マーティン・クラッシュ・ツインズ

コディーとケイレブ、双子のマーティンは通称クラッシュ・ブラザーズ

前回の続きでホーネッツのコディーとケイレブのマーティン・ツインズのお話です。本来はわざわざ特集するレベルの選手ではないわけですが、運動量という武器によってホーネッツを支え始めたことは非常に興味深いわけで、ついでにいえばそんなツインズが同じチームにいるってのも珍しいことです。

かつてモリス・ツインズはサンズでチームメイトになり、今はロペス・ツインズがバックスでチームメイトになっています。同じチームが珍しいってのは嘘ですね。

しかしこの両者はトレードやFAでチームメイトになりましたが、マーティン・ツインズはルーキーながら同じチームです。双子は同じような能力を持っているので、ドラフトで似通った順位になるため、同じチームに指名されるのが珍しく

2011年ドラフト
13位 マーキーフ(サンズ)
14位 マーカス(ロケッツ)

2008年ドラフト
10位 ブルック(ネッツ)
15位 ロビン (サンズ)

モリスは典型的ですが、2人続けて指名されるのに同じチームに指名されるわけがないよね。またポジションが被ることが多いわけで、バックスでロビンはブルックの控えになっています。わざわざ同じポジションの選手を同じドラフトでとりにはいかないよね。

ってことで、ちょっと興味を持ったマーティン・ツインズのバックボーン。

ルーキーの双子で同じチーム
同時にコートに立つ双子

だからウィキペディア先生を読んでみたら、なかなか面白かったのでご紹介するショートコラムです。

◉指名されたコディー

2人が同じチームにいる理由は、ただ単にコディーがドラフト指名され、ケイレブが指名されなかったからです。

ドラフト2巡目36位 コディー・マーティン
ドラフト外 ケイレブ・マーティン

コディーは48試合、ケイレブは18試合と両者が得られたプレー機会も大きく違い、どうやらコディーの方が優秀な選手とみなされているようです。ホーネッツはコディーを取りに行き、ついでにドラフト外でケイレブと2ウェイ契約した感じかな。

ちなみに2人はノースカロライナ州の高校→大学と進んでおり、シャーロット(ノースカロライナ州)が地元の選手を獲得したような感じです。なんだかいろいろとオマケな匂いがしてくるケイレブなわけですが、まずは優秀な方のマーティンであるコディーをウィキペディア先生に教えてもらいます。

ノースカロライナのモックスビルで生まれたコディーは、そのままモックスビルの高校で3シーズンを過ごした後で、バスケットで有名なオークヒルアカデミー(プレップスクール)に通いました。カーメロやデュラントも通っていた学校です。

その後、ノースカロライナ州立大学に進みます。地元志向というか、そこまで引き合いがなかったのかは知りません。なお、あの有名なマイケル・ジョーダンなどを生み出したノースカロライナ大学ではありませんよ。

2年目のシーズンのコビ―は6.0点、4.4リバウンド、2.3アシストを記録しました。

・・・

・・・

・・・えっ!NBAプレイヤーだよね!?

ワン&ダンの怪物クラスではないとはいえ、NBAに指名されるレベルの選手が残した成績としては驚異的な低さな気がするコディー。普通のドラフト組ならば2年目でかなりの成績を残しているのが一般的なのに、かなり物足りない数字です。

そんなコディーはケイレブと共に転校を選びます。行先はネバダ大学。地元からかなり遠い場所に行くことになりましたが、ネバダのHCが有名で2010年のチームUSAでコーチしていたり、2012年のDリーグでコーチ・オブ・ザ・イヤーだったらしいので、NBAプレイヤーになるために必要な転校だったのかもしれません。

転校したので1年間はレッドシャツ(プレーしないけど在籍カウントもされない)として過ごし、翌年にはやっとそれっぽい成績を残します。

14点、6.3リバウンド、4.7アシスト

超すごいってわけじゃありませんが、これくらいのNBAドラフト組はそこそこいると思います。そしてコディーはマウンテン・ウエスト・カンファレンスのDPOYにも選ばれました。

うん、ちょっと見えてきましたね。ホーネッツでの役割そのもののディフェンスのコディーらしい賞が与えられたわけで、そこに得点・リバウンド・アシストと総合的なスタッツが付け加わったことになります。なんとなく、それなりに、必要性がわかりやすくなってきています。

そしてコディーはケイレブと共に一旦はドラフトコンバインへの参加を選びますが、ここではドラフトに進まず、大学のラストシーズンを選択しました。最後の年の成績は

12.1点、4.5リバウンド、4.1アシスト

前年から伸びなかったこともあって、可もなく不可もなくって感じですが、まぁそれでも結果的にはドラフト36位にかかったわけで、そしてルーキーシーズンから48試合に出場し、エースキラーの役割を与えられているわけですから、充実した大学生活になったといえます。

そう、コディーの経歴をみていて興味深いことはプレップスクールこそ有名な学校だったとはいえ、全体的にはエリート路線から外れており、転校してやっとNBAプレイヤーになるきっかけを掴めたような経歴であることです。

ルーキーシーズンからプレータイムを得られるような経歴とは思えない

そんなことを言いだしたら他にも同じような選手はいますが、コディーもまた見事に大学に長く残ることで、自分を伸ばしNBAプレイヤーになったタイプといえます。

◉ケイレブ

もちろん、コディーとほぼ同じ経歴のケイレブ。しかし、こちらはドラフト指名されなかったわけで、コディーよりも劣る選手だったと思われるわけです。その前提でウィキペディア先生に教えていただくと

大学2年目の成績
11.5点 4.7リバウンド

あれっ?コディーよりもちゃんとしてるじゃないか。転校前のノースカロライナ州立大学での成績を見ると、このまま転校せずに残っていればチームの主役になっていそうな雰囲気です。33試合中19試合にスタートなので、次第に伸びてきたって空気感。

そしてネバダ大学へ転校すると、1年間のレッドシャツを経てプレーした17-18シーズンには

18.9点 5.4リバウンド 2.6アシスト
マウンテン・ウエスト・カンファレンスMVP

なんと一気にカンファレンスMVPまで獲得してしまいます。ドラフト指名されたコディーの後塵を喫しているのかと思いきや、ケイレブの方が立派な賞を得ていたという中々の衝撃です。

MVP ケイレブ
DPOY コディー

この年のマウンテン・ウエスト・カンファレンスはマーティン・ツインズのものとなりました。まぁ強豪カンファレンスってわけじゃないので、どこまで評価して良いのやらって感じではありますが、ツインズの比較としてはなかなか面白いものがあります。

いわゆるロペスツインズ型で、双子が同じチームでプレーしているから自然と役割がズレていった感じでしょうか。

守のコディーと攻のケイレブ

そしてウィキペディア先生には「ケイレブがチームを全米トップ25に導いた」と書かれ、NCAAトーナメントではテキサスやシンシナティを破り、チームをスイート16まで進めました。わぉ!スイート16のエースであれば、NBAドラフトにかかってもおかしくない雰囲気ですね。

ウォリアーズに指名されたエバンスやロケッツにいたクラークのいるシンシナティに対して、22点差から逆転したネバダ

ちなみにスイート16では「この年の主役」となったシンデレラチームのロヨラ大に負けています。

コディーと同じくドラフトには進まず、もう1年大学に残ることにしたケイレブは最終年度には更に平均得点を伸ばし、実力をアピールすることに成功します。

19.2点 5.1リバウンド 2.8アシスト

再び進んだNCAAトーナメントではファーストラウンドで敗退したものの、シーズンを29勝5敗と素晴らしい成績を残したのでした。カンファレンスMVPには選ばれなかった。

ということで、マーティン・ツインズを調べて興味深かったのはNBAドラフトに指名されなかったのに

ケイレブの方が優秀なスタッツだった

と見えてきたことです。まぁこのカンファレンスのMVPになったからといってNBAプレイヤーになれているのはボーガットとか限られているので、指名されなかったからどうってことはないですが、コディーが指名されているのに・・・ってのは残るよね。

◉NBAプレイヤーとして

18年ドラフトでグラハムを2巡目で「当てた」ホーネッツですが、19年ではコディーを「当てた」ことになります。そこにある基準がグラハムの強気で、プルアップ3Pという武器を見出した事と、コディーの運動量とディフェンス力という武器を見出したことにありました。そしてケイレブは「指名権を使ってまでは」欲しくなかったことにもなります。

通称クラッシュ・ブラザーズと呼ばれていたマーティン・ツインズはハードワークとして鳴らしていた部分をホーネッツに買われたことになり、その特徴は見事にNBAでも発揮されています。地元のホーネッツが再建モードになったシーズンに大学卒業したのもラッキーだったかもしれません。

狙い通りの特徴を生かしきれているホーネッツなわけですが、グラハムとマーティン・ツインズの3人とも大学をフルシーズン通っており、堅実な選択肢を選んでいるのも特徴です。1巡目もPJワシントンだしね。

とはいえドラフト外のケイレブと指名されたコディーの差が示すのは「一握りのエース級でなければ、ディフェンスの良い選手の方が好ましい」という事。共に運動量豊富だけど、オフェンスのケイレブよりもディフェンスのコディーだったわけです。それはルーキーシーズンから48試合もプレーしている事にも繋がっています。あとコディーの方がアシストも多く、ちょっとだけオールラウンド。

さて、そんなわけで個人スタッツとしては勝っているけど、NBAでの存在価値として劣っているケイレブでしたが、結局はコディーに続いてホーネッツとは2ウェイ契約を交わし、そしてシーズン途中で本契約に変更されています。来シーズンからのサラリーはコディーと同じに。仲良しツインズ(ミニマムサラリーなだけですが)

ここまで18試合の出場に留まるも、3月の6試合では平均12点と3Pを武器に得点を伸ばしてきました。守のコディーと攻のケイレブがホーネッツでも発揮されかけていました。そこに至るまでのGリーグでの成績はなかなかのものがあります。

〇ケイレブのGリーグ
36.9分 
21.3点
FG47%
6.0リバウンド
3.8アシスト
1.6スティール

NBAでディフェンダーとして経験を積んでいるコディーと離れ、Gリーグでエースクラスの経験を積んできたのがケイレブ。それがNBAにコールアップされても発揮されてきた感じです。

コディーのディフェンスが目立ちますが、ケイレブもブロック力もあってしっかりと守ろうとするハードワーカータイプなので、ツインズが両方コートにいても成立しています。

ホークス戦では試合終盤に両者がコートに残り、ケイレブの3Pで接戦に持ち込みダブルオーバータイムまでもつれました。

ということで、最近お気に入りのマーティン“クラッシュ”ツインズがまさかの2回に渡る記事になってしまいました。

ハードワーカーとしてどこにでも顔を出す
特にディフェンスで運動量が素晴らしい

こんな特徴から興味をもったわけですが、調べてみるとツインズならでは比較論も出来て面白さが増してきたのでした。共に大学に5年通ったわけですが、その苦労がハードワークに結びついているのも事実なのでしょう。上級生ならではのNCAAトーナメントの経験も生きていそう。

上位指名権を得られず、核となるべきスター選手をなかなか指名できないホーネッツ(2位でMKG指名したのが・・・)ですが、下位指名やドラフト外から手に入れた選手たちの活躍が目覚ましいのでした。

マーティン・クラッシュ・ツインズ” への5件のフィードバック

  1. クラッシュ・ブラザーズとは、勉強になります。
    ホーネッツファンとしては、役割分担できるハードワーカーはチームに留めて、シャーロットを盛り上げていってほしいです。
    エース級はまだですが、周りを固める選手が出始めているので、これからのシーズンが楽しみです(みんな健康だったのも大きい。ケガだけはしないで。。。)

  2. 近々ドラフトは高卒エントリーが可能になる訳ですが
    マーティン兄弟の存在はNBA入りを目指すシニアクラスの大学生たちにとって支えになりそうですね

    1. 出番がなければ意味がないってことですね。
      海外でプレーする手もありますが、NCAAの方がNBAにプレースタイルが近いから大学残るのは有意義です。

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