24分のミルサップ

24.4分
12.0点
 5.9リバウンド

かつてのオールスターはジャズにいた2年目以来の低水準のスタッツとなってきました。14年目の35歳は今シーズンが契約最終年。30Mという高額のサラリーに見合わない活躍度であり、次の契約は低水準になることが予想されます。

ただし、オファーは確実にあるはず。若きナゲッツを支えるベテランとして活躍する姿は、エースではない役割を受け入れることが可能であり、ヨキッチやマレーといったメインハンドラーに任せて地味な役回りをしっかりと引き受けるのでした。それこそフェイバーズ不在で困っているジャズなんかには適材かもしれません。

ナゲッツの今シーズンは43勝22敗と可もなく、不可もなく。相変わらずののらりくらりなヨキッチでもあり、弱小チームからの取りこぼしが多く、かといって+21勝としっかりと勝ち越してもいます。バックスとは言わないまでも、レイカーズくらいまで勝率を伸ばすことも期待されていたような。

〇レーティング
オフェンス 112.0(9位)
ディフェンス108.9(12位)

とはいえ攻守に上位をキープしており、物足りなさもあるけど、若いチームとしては結果を残してもいます。良くも悪くも若さを感じさせないような戦いっぷりなんだよね。

そもそもデンバーは高地にあるマイルハイシティな上に、ミネソタやポートランドまではいかないけどウエストの中では不利な立地ってこともあり、ホームで強くてアウェイで弱い特徴があります。

相手チームは高地のデンバーの条件に苦しみ
ナゲッツは距離のある遠征に苦しむ

〇オフェンス
ホーム 113.6
アウェイ110.4

〇ディフェンス
ホーム 107.2
アウェイ110.7

その違いは明確に出ていて、攻守に差があります。オフェンスはともかくディフェンス面がアウェイで苦しすぎる傾向に。

そんな気候と立地条件はベテランほど苦しみそうだよね。35歳のミルサップにデンバーは厳しい土地柄なのかもしれません。

◉違いすぎのH&A

ということで、初めにホームとアウェイでのミルサップの成績差を観てみましょう。

〇ミルサップ ホーム/アウェイ
得点 14.6/9.7
FG 52.4%/44.2%
3P 54.2%/32.0%
リバ 6.4/5.5
アシ 1.9/1.3

得失点差 +8.2/+2.8

それはそれは大きな差がありました。チームのオフェンスレーティングは3くらい下がっていますが、それって「100回のオフェンスで3点少ない」ことになりますが、ミルサップが1人で5点も少なくなっています。ほぼミルサップなんじゃないか疑惑。

ホームでの3Pが恐ろしい数字になっていますが、気圧が低い所で50%決めたら、平地に降りたら30%に下がるってのは何か理解も出来てしまいます。

総じて得失点差が△5.4となっているわけですから、ナゲッツの不安定な成績には、ミルサップがホームとアウェイで成績に差がありすぎることが関係もしていそうです。

年齢面に加えてデンバーをホームとするチーム特有の問題点からも、ミルサップのプレータイムは下がっていったのかもしれません。「下がる」っていうか「抑える」って感じですが。

◉違いすぎのレーティング

しかし、悪い数字になっているアウェイといってもミルサップの得失点差は+2.8点もあります。24分と試合のほぼ半分なので、なかなか優秀な数字ですし、ホームだと8.2点ですから驚異的な数字です。

そう、ミルサップは24分しか出ていないけれども、その間のナゲッツは驚異的な強さを誇っています。

〇ミルサップのオン/オフ
オフェンス 113.5/110.0
ディフェンス102.2/110.7

大黒柱であるヨキッチがいるかいないかでオフェンスは大きく変わってくるナゲッツなので、ミルサップのオフェンス面の差異は「ヨキッチと一緒に出ているかどうか」に過ぎなかったりします。実際ミルサップがいなくても110なので悪くないよね。

一方でディフェンス面では驚異的な貢献度を誇っており、リーグ12位の108.9というチームレーティングに対して、ミルサップがいれば102まで下がってしまいます。

ミルサップがいればリーグ最高クラスのディフェンスチーム

20分以上プレーしている選手の中で、ディフェンスレーティングを比較するとミルサップは8位なのですが、上位5人はバックスなのでチーム全体の数字の良さ。6位マルク・ガソル、7位エンビードに続くわけですが、この中でミルサップはオフェンスレーティングがNo1だったりします。攻守に貢献できていることに。

ちなみに9位はレブロン御大。レブロンのディフェンスレーティングがリーグ9位になるとはびっくりだぜ!パーフェクト・レブロン。

ということでミルサップのレーティング差異は+11.3でリーグ9位。なお、上位7人がバックスなので・・・。8位がオフェンスの優秀さでカワイ・レナードがはいっています。

24分しかプレーしていないミルサップ。しかし、その24分のナゲッツはバックスに次いで、レイカーズ・クリッパーズと並ぶ強さを発揮しています。

ミルサップの24分はナゲッツが最高に輝く時間

このベテランの価値はスタッツの低下だけでは測れないのです。だからナゲッツはミルサップを手放したくはないはず。高いサラリーも払いたくないだろうけどさ。

◉何が凄いのか

これだけのディフェンス力を示しているミルサップですが、何がすごいか考えると難しい選手でもあります。

〇ブロック 0.6
〇スティール0.9

ポジションとプレータイムを考えるとスティールの数はそこそこですが、ブロックが多いわけではありません。じゃあ鋭い読みでチャージングドローしているかというと、今シーズンはトータルで3回のみ。明確な数字を残せているわけではありません。

〇6フィート以内の被FG% 62.6%

ブロックできないまでも「確実に立ちふさがることでシュートを落とさせている」ってわけでもありません。ショートレンジで63%決められており、リーグトップクラスのディフェンダーとは言い難いよね。

特別に優れているポイントはないが、オールラウンドにチームを向上させる

特徴的な数字は本当に少なく、だけどすべての数字を少しずつ良くしてくれています。非常に困りますね。分析者泣かせ。なので、印象からの話をしていきましょう。

ナゲッツに限らずですが、ディフェンス力が重要性を増してきた今シーズンではPFの存在が勝敗に大きく左右してくるケースが増えてきました。レイカーズがスターターではADをPFにしていますが、ワンセンターだとストレッチ5に引き出されてリムプロテクト出来ない傾向があります。

その一方でアウトサイドを守れないPFを起用しても意味がない。つまりはミルサップはアウトサイドを個人で守りつつ、ヨキッチと入れ替わってゴール下で奮闘できるPFってことになります。

高速カバーと3Pチェイス

この両方を絶えず実行しているのがミルサップの特徴。ドレイモンド・グリーンみたいな感じかな。あっちもスタッツは残していない。

ミルサップのスタッツで興味深いのは被3Pの多さです。

〇被3P
アテンプト 4.3本
成功率   34.2%

24分のプレータイム、そしてPFというポジションながら、マレー5.3本、バートン4.7本の次に打たれているのがミルサップ。ゲーリー・ハリスが「そもそも打たせない」というナゲッツなりの特殊な事情もあるのですが、ミルサップは非常に多く打たれている選手です。

一方で成功率は抑えており、チェイスすることが多いから結果的にアテンプトが多くなっています。要するにヨキッチの分も追いかけているような感じのミルサップ。

〇6フィート以内の被FG
アテンプト 4.3本

一方でショートレンジの被アテンプト数はヨキッチの7.3本に次ぐ2位です。これは別に多い数字ではないし、PFとしては当然なのですが、インサイドもアウトサイドも追いかけることがミルサップの役割になっていることはわかります。

ベテランなのに、元オールスターなのに、チェイスしまくるのがミルサップの仕事

なかなかファンキーな35歳です。ディフェンス平均移動速度3.83はメチャクチャ優れている数字ってわけではありませんが、年齢とポジションを考えたらなかなかです。

明確な武器で抑えているわけではないけれど、全ての水準を高めているハードワーカーのミルサップ。24分というプレータイムに抑えないといけないのかもしれません。

◉プレーオフで

で、まぁ、この24分がプレータイムでどうなるのかなー、という疑問です。MPJを鍛えたくてプレータイム与えているナゲッツの事情がありますが、勝負がかかってくるならミルサップを30分くらい引っ張るんじゃないかなと。ただジェレミと同居させるのも悩ましいからな。

そんなプレーオフの事を考えても仕方ない今日この頃。なお、管理人もNBA記事をサボり気味にして、新型コロナ関連で忙しい。マジで。近所の病院で感染者がでて、そこで働いている関係者や入院患者の家族なんかで1日てんやわんやして、翌日になったら「感染していませんでした」とか言われるしね。

契約最終年のミルサップですが、サラリーは5Mくらいまで落としてでも3年契約くらいをナゲッツとかわしてほしい気もします。限られたプレータイムに制限されつつも、地味役として貢献度の高いプレーが出来るチーム構成って貴重です。

とはいえ、マイルハイシティはベテランにはキツイのかなぁ。。。

24分のミルサップ” への1件のフィードバック

  1. 今季の現時点でのプレーオフ進出各チームのPFを見てみたのですが、
    西
    LAL デイビス
    LAC ボールジャージ
    DEN
    UTA ロイスオニール
    OKC ガリナーリ
    HOU タッカー
    DAL ポルジンギス
    MEM クラーク

    MIL ヤニス
    TOR シアカム
    BOS ヘイワード
    MIA アデバヨorマイヤーズレナード
    IND サボニス
    PHI ホーフォード
    BKN プリンス
    ORL ゴードン

    こうしてみると、残留か管理人さんがおっしゃるUTAがいいですね。

    MPJの育成に入ったナゲッツをミルサップがどう判断しますかね。

    あとは、優勝リングを持ちたい希望が有れば、MLEでヒートかネッツでプレーするのを個人的に見てみたい気がします。

    ヒートはスモールサイズのメンバーで固めた際にPFにどっしりと構えてもらいつつ、イグダラやバトラーが偽PGをすれば、攻守に安定したチームによりなると思います。

    ネッツはパッと見たところ純PFがウィルソンチャンドラーのみですし、スタメンはSFが本職のプリンスがやってます。
    KDとカイリーが復帰すれば優勝を来季狙えるチャンスがあるチームであり、かつミルサップ自身がプレータイムをもらえるという点ではすごくいい選択肢だと思いました。

    HCも代わり、怪我してるKDとカイリーが合流となってチームを実質1から作り直すでしょうし、他の東のチームのPF陣に対抗できるディフェンダーがいないのでその点ではとてもいいのではないでしょうか。

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