エルフレッド・ペイトンと成長曲線

小話第3話は2014年ドラフト10位のPG

マジックで中心的な役割を期待されながら結果を残しきれずサンズにトレードされると、ペリカンズを経てニックスにやってきたペイトン。ペリカンズでは5試合連続トリプルダブルなんかもして、アップテンポな(数字を残しやすい)オフェンススタイルに合致し、才能が花開いたかと思いきや、ロンゾに負けた事になります。

もっとも、ニックスの方が大きな役割を得られそうだったので、ペイトンの希望だったかもしれません。いずれにしても新天地にやってきたペイトンは、ニックスで唯一といって良いほどにクリエイティブなプレーを披露し、オフェンスの組み立てにおいて中核的な存在になっています。

その一方でニリキナとデニス・スミスがいるチームに来て、どんな意味があるのか疑問がありましたが、この2人を追い出すほどにはなっていません。

ペイトンの方が良いPGだ
でもペイトンにチームを託すほどではない

なんとなくこんな感じの評価を受けているような起用法をされており、素晴らしいPGとしての成績と、エースキャラにはなれない成績を残しています。

〇エルフレッド・ペイトン
10.0点 FG44%
7.2アシスト
2.1ターンオーバー

ニリキナとデニス・スミスがハンドラータイプではなければよかったし、ジュルー・ホリデーと組んで結果を残せたことがわかる数字でもあります。ミスがなくアシストをしているけど得点力に欠けるペイトンは3P20%と致命的な弱点を持っているのでした。ニックスはバディ・ヒールドを取りに行け!

髪型変えてシュートが決まるようになったかと思われたけど、髪型関係なかったぜ!

そんなペイトンについて語る今回ですが、「語る」は正しくありません。そんなに語りたいわけではない。この2シーズンのペイトンのプレーがなかなか良くなってきたわけですが、2014年ドラフトなので6年目26歳となり、そろそろ選手としての評価も定まってくるよね。ってことで、キャリアスタッツを並べてみると「あれっ?」となったので、ただただキャリアの数字を並べていく回です。

〇プレータイム

2019-2027.7
2018-1929.8
2017-1828.7
2016-1729.4
2015-1629.4
2014-1530.3

ルーキーシーズンが最も長く、かといって「減った」というほど減っていない状況です。いつも評価され、いつも絶大な信頼とかは得ていない。

〇得点

2019-2010.0
2018-1910.6
2017-1812.7
2016-1712.8
2015-1610.7
2014-158.9

そんなプレータイムなので得点もルーキーシーズンからそんなに変わらず。マジックでの3年目までは2点ずつ伸ばしているので良い方向性でしたが、移籍したら伸びなかったのが苦しい所でした。

プレータイムが変わらないから得点が伸びなかったのか
得点が伸びないからプレータイムが変わらなかったのか

〇FG%

2P3P
2019-2048.2 20.3
2018-1947.9 31.4
2017-1851.6 32.6
2016-1750.5 27.4
2015-1646.0 32.6
2014-1544.4 26.2

得点が12点を超えていた時期は2Pが高確率で決まっていたことがわかります。ペリカンズはトランジションが多いのだからもっと決めておきたかった気も。何よりも問題なのか3Pの成功率が一向に上がらない事。6年目でこの確率はヤバい。

ただ成功率が低いのには、そもそも打たない事情もあります。打たないから上がらないというか、打つためのプレーを構築していないから、習熟度が上がらないというか。ここロンゾとかなり違うね。

〇3Pアテンプト

2019-201.5 
2018-192.5 
2017-181.5 
2016-171.8 
2015-161.3 
2014-150.5 

3Pが成長していないという捉え方も出来ますが、「時代に適合できていない」という捉え方も出来ます。さすがにこの6年間で3Pを伸ばそうとしないのはマズかった。エースかどうかは別にして、しっかりと3Pを打ち切れる選手になっていればプレータイムも伸びたはず。

〇今シーズンの成功数
2P:193本
3P: 14本

なんと10%にも満たない3P成功数。いまどきそんなガードがいるのかって話です。アデバヨじゃないんだから。だから3Pを積極的に打っていくべきなわけです。成功率を上げる第一歩は打つことから。

〇フリースロー成功率

2019-2057.0 
2018-1974.3 
2017-1864.9 
2016-1769.2 
2015-1658.9 
2014-1555.1 

ただしペイトンは「シュートが苦手」の意識が高いと思われます。フリースローが決まらない。遂に74%になった昨シーズンでしたが、50%台に戻ってしまった今シーズン。要するにシューティング向上のトレーニングが足りないニックス。ペイトンはマブスにいけよ。カルデロンに弟子入りしろよ。

ということで、今回の趣旨が理解できて来たかと思います。ペイトンのプレーはかなり良くなってきた印象があるのですが、実際にはルーキーシーズンからの数字を並べていくとステップアップが足りていない空気があります。

ルーキーシーズンのペイトン

ルーキー時代から才能を見せていたペイトンですが、もしもマジックのフロントが「才能」ではなく「成長力」から見限ったのであれば、その決断が間違っていたとは言い切れない現状かもしれません。マジックの問題はトレードに価値があったのかどうかだけど。

〇リバウンド

2019-204.7 
2018-195.2 
2017-184.3 
2016-174.7 
2015-163.6 
2014-154.3 

PGながらリバウンド力もあるペイトン。スティールもいけます。

〇スティール

2019-201.6 
2018-191.0 
2017-181.3 
2016-171.1 
2015-161.2 
2014-151.7 

どっちもルーキーシーズンから安定して結果を残しています。安定しすぎですが、ここの数字は一概に成長=数字アップとも言い切れないので、否定するほどではありません。オールラウンドな能力があると誉める部分。

〇速攻での得点

2019-200.7 
2018-191.5 
2017-182.4 
2016-172.7 
2015-161.6 
2014-151.7 

ただ、この能力をトランジション時代に結び付けられていないのが苦しいのです。オールラウンドなPGならば「攻守の切り替え」で優位に立ちたいし、それが出来ればウエストブルックに代表されるシュートが下手なガードも成立しています。

トランジションと3Pが足りない

時代に合わないというよりも、時代を追いかけることが出来ていないのがペイトンの苦しい部分なのかもしれません。才能があるペイトンだけど、戦術的に結果に結びつけることが出来ていないといえるのかもしれません。

中核になり切れないペイトンの伸びないプレータイムは、個人能力と成長速度が時代の流れに追いつけないからなのさ。

◉アシスト/ターンオーバー

6年目の中堅となったペイトンはここからシュート力は向上させていく必要がありますが、それ以外の部分を劇的に変化させるのは難しいかもしれません。だからこの先も苦しいかというと、そういうわけでもなく、明確に成長しているのがアシストとターンオーバーでした。

アシストターンオーバー
2019-207.2 2.1
2018-197.6 2.7
2017-186.2 2.7
2016-176.5 2.2
2015-166.4 2.4
2014-156.5 2.5

うーん、『明確』ってのはやっぱり言いすぎですね。ルーキーシーズンから6.5アシストで2.5ターンオーバーは素晴らしいけど、普通はここから10アシストに向けて数字を伸ばしていくのに、トランジション天国のペリカンズでさえ7.6が最高でした。もっとも、ここでもプレータイムが5分伸びていれば違ったのかもしれません。

その一方で今シーズンのアシスト/ターンオーバー率はPGとしてトップクラスになりました。

〇アシスト/ターンオーバー上位(PGのみ)
タイアス・ジョーンズ 5.18
モンテ・モリス    5.11
イシュ・スミス    3.70
TJマッコネル    3.67
コーリー・ジョセフ  3.41
ペイトン       3.36
ルビオ        3.27

観てのとおり、ペイトンよりも上位にいる選手はベンチスタート。数字的にはルビオクラスのPGとなっているペイトンなので、そういう路線だと思えば良いわけです。良いPGはサンズに行く説。

だけどルビオは走って良し、止まって良しの「NBAルールじゃなければ」世界最高のPGなので、チームにスピードを加えられないペイトンとはちょっと違います。シュート力に自信がないのは似ているけどルビオはもっと打つし。

代わりにノートランジションなPGはターンオーバーする機会も少なく、クリス・ポールなんかも同じです。危険地帯にチャレンジしないっていうね。でもペイトンはクリス・ポールのようなシュート力はないからな。

優れたゲームメイク力
ミスなくアシストするパス能力

実際ニックスの試合を観ていると、「良いチームオフェンス」だと思うシーンには大体ペイトンが絡んでいます。よくバレットと見間違えちゃうのですが、その理由は6番と9番を見間違えるからなのですが。

それだけでなくペイトンはルビオやクリス・ポールに比べると自分でタメを作る時間が短く、あまりキープしないから目立ちにくく、ゲームを作っている感じに乏しいからだろうね。

足りないシュート力
トランジション不足

それはこんな短所からゲームを動かす感覚に乏しいとも言えます。自分で得点を取るかどうかは別にして、試合トータルで捉えていった場合にPGとして不足しているのが引き出しの多さかもしれません。

苦しい時間にラッシュする手段
ゲームのテンポを変える手段

同じ意味ですが、ペイトンのゲームメイクにはアシストの多さ、ターンオーバーの少なさの割には印象度が低くなってしまいます。ペリカンズはひたすらに同じように仕掛けていってメリットを生み出すイメージがあったのでトリプルダブル連発もあったけど、「堅実なPG」になるためにはパターン不足のような。

◉戦術力は上がるのか

ネガティブな見方をしてきたここまでですが、実際にはペイトンに足りないのが「戦術力」であることが明確なのがポイントです。個人能力は明確に示しており、だけどそれが現代戦術の中では苦しくなっています。

ペイトンの能力がピッタリとハマる戦術チームがあれば、もっと重要な選手になれる可能性を秘めており、ニックスがそんな路線を目指すのかどうか。

例えばヒートは今シーズンからバトラーとアデバヨがインサイド担当ながらプレーメイカーになりましたが、バトラーの役割ならばそのままペイトンは引き継げたりもします。戦術的にどうやって当てはめるのか、チームメイトを集めるのか。ただバトラーは中心となるエースだけどペイトンは・・・。

あるいは、ペイトンが「何らかの戦術的特徴を1つ身に着ける」だけで、適合できるチームが増え、貢献度が大きく変わってきそうです。

3P、トランジション、テンポチェンジ・・・

全部が必要なわけではなく、どれかがあれば良いってのはハードルとしては高くありません。NBAは「成長しなければ退化する」リーグなので、どれかしらは身に着けるべきだし、まぁでもルーキーシーズンからの成績を観ているとどうなんだろうね。

サラリーが8Mしかないペイトンなので、トレードなんかでも獲得しやすく、能力を伸ばすことや、戦術的に合わせる自信があるチームは獲得しても面白いかもしれません。

ニックスがペイトンで構築するなら、ヒートは参考になるはず。ルビオのサンズってのも参考になるのですが、いずれにしてもシューター系を増やさないといけません。でもニックスはその路線で選手を集めていないんだよね。

良いプレーをするようになったペイトン
数字がルーキーから伸びていないペイトン

印象と違う数字ではありますが、その理由もはっきりしているので、中断期間に充実したトレーニングを積めるかどうかに期待もしたいのでした。

エルフレッド・ペイトンと成長曲線” への1件のフィードバック

  1. プレイの精度とクォリティ自体はルーキーの時から着実に向上していると思います。
    ただ管理人さんも仰るように時代に追いつけていない。
    3PがPGの平均レベルまで向上すれば今より出場時間は減ると思いますがプレイオフチームに行けるような選手になれると踏んでいるんですが…

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