ペリカンズvsレイカーズ

予定していた主力がやっとそろい始めたペリカンズ

イングラムが戻ってきたことでロンゾ、ホリデー、イングラム、ザイオン、フェイバーズという主力が揃ったペリカンズ。レディックがケガしたので、理想の布陣は来シーズンまでお預けかもしれませんが、元レイカーズのヤングコアとモンスターが合わさって、どんなチームになるのか。

◉トランジション

本日はADがいないレイカーズはクズマがスターター。そのクズマがトランジションからイージーレイアップに行きます。このプレーそのものは肯定ですが、トランジションが増えていくのだからペリカンズの流れになっていくのでした。

2年前を思い出させるようなプレーになっていて、あの頃のペリカンズは本当に守らなかった。全然守らなかった。守らないからオフェンス合戦になって、次第にフィニッシュ力で上回っていきました。そして4Qになると守る。そもそもロンド、ホリデー、ADが並んでいたからマジで守るとちゃんと守れていたよ。

その頃の匂いを感じさせるような立ち上がりで、個々が守れないってことはないのに、トランジションの連続になっていきます。フリーが多くできるからシンプルに3Pを打っていくレイカーズですが、あんまり決まらない。レブロンだけは問題なく決めているけど。

ペリカンズの方はインサイドへ進入できるのは良いのだけど、それ以外があまり決まらない。1QはFG41%でした。ところが、フェイバーズが1人で4つのオフェンスリバウンドを奪うなど、セカンドチャンスをものにして31本もアテンプトがあったので33点まで伸びました。

レイカーズは48%でしたが29点。理由はペリカンズがファール1つしかしないのでフリースローが1本しか打てなかったこと。割と自由にやらせているようで、そこそこ戦略があるペリカンズ戦法。懐かしい。

トランジションに適した選手が多いと踏んだのであれば間違いではない戦術で、ADが最も輝いたシーズンに戻ってきたような感じでした。

なお、ペリカンズはザイオンとフェイバーズを並べるスターターから、ノービッグでメリとイングラムに3ガードのセカンドユニットになる不思議さ。気が付いたらゴール下にやってくるムーアも懐かしい。

◉ロンゾとレブロン

スモールになった理由にはイングラムが自由にプレーしやすくなるメリットを享受したかったから、という1Q終盤でしたが、2Qになると今度はザイオンのインサイドスペースが使いやすいメリットが出てきます。

ザイオンが規格外なのはハワードしか対抗できないパワーを持つこと。そのハワードだってパワーだけなら負けているしさ。レイカーズはトランジションが遅れると苦しくなります。

一方で相手がスモールなことを利用できるようなオフェンスではないどころか、得意のパスワークに追いつかれるので攻めにくそうにします。レブロン以外は唯一クズマがザイオン相手だとドライブしやすそうにしているくらい。

そんなわけでペリカンズペースっぽいのですが、変わらずハードに守らないのでどっちも得点していく展開に。

2QのレイカーズはFG55%なのですが、またもフリースローは1本のみ。超独特なディフェンスにリズムを狂わされるイメージです。ペリカンズ相手にはFG60%決めないとダメよ。

一方のペリカンズはロンゾとザイオンの2人でFG8/11というトランジションデュオを形成。噂のコンビ。まぁコンビというか単にロンゾがトランジション仕掛けまくっているだけなんだけどさ。

ロンゾがコーストtoコーストみたいなプレーが増えてきましたが、その理由は単純に「ドライブコースが空いている」ってことです。結果的に3Pを打つ本数も減らすことが出来ています。

では何で「ドライブコースが空いているのか」といえば、ザイオン中心に止めたい選手が多いこと。しかも両コーナーに広がるのがイングラムとホリデーだったりするから相乗効果。

レイカーズはレブロンとクズマのドライブは有効なのだけど、どうにもインサイドのフィニッシャーが負けそうなので、レブロンは段々とドライブしやすいようなプレーメイクをしていきます。要はロンゾみたいな。

なんかよくわからないままペリカンズの流れに巻き込まれたようなレイカーズでしたが、レブロンがそんなことやればリードは奪えるよね。ってことで63-61と逆転して前半を終えました。

ちなみにレイカーズはザイオンのマークをクズマにし続けました。もう少しパワーで対抗できる選手はいたはずなのですが、ヴォーゲルによるある種の愛情だったのかどうか。

◉イングラムとレブロン

クズマへの試練でなければ、ヴォーゲルの狙いはイングラムを沈黙させることだったかもしれません。後半になりレブロンのしつこいディフェンスにオフェンスファールするイングラム。レブロンの「しつこい」なんて信じられないけどね。それをやらせたヴォーゲルなのだから、クズマへの試練とかやりそう。

さて、イングラムと対峙したレブロンはこの試合1点も許しませんでした。3P1本打たれたのみ。まぁマッチアップデータがわかりにくくなったので、パーフェクトだったといえるかはわかりませんが、少なくとも正面から得点されたのはゼロでした。

やっと自分たちの流れに持って行った感のあるレイカーズが、3Q前半に9点リードまで持って行きました。ディフェンスで止めきるのが持ち味。

それでもペリカンズはトランジションにホリデーとフェイバーズの2人で走ったりと若手たちだけじゃなくて運動量で上回ろうとするので、ADのいないレイカーズが通常のローテにならず、5分が経過したころに再び追い上げムードになります。イングラムもダニー・グリーンがマークになると3P決めたしさ。

KCPがフローターを決めると、ゴール下のスローインからワンパスカウンターを出すロンゾ。ここからロンゾがロングパスを投げまくって、再びペリカンズの流れになります。要は戻り切れない選手が出てきて、運動量に圧倒され始めたレイカーズ。

ということで、すかさずベンチメンバーを増やしたレイカーズだったのですが、ハワードがメリとのゴール下ファイトに熱くなりすぎてファールばっかりしたりと、イマイチ上手くいきませんでした。ただハワードがファールするのでトランジションは止めました。よくわからん。

3Qだけで5つのアシストを記録したロンゾ。盛り返したことで2点リードに変えて3Qが終わるのでした。まぁレブロンは6アシストなのですが。

◉守り切る4Q

スモールの時間になってザイオンにボールを集めるペリカンズ。強引に押し切ったり、ザイオンに寄せておいてアウトサイドからメリが決めたり。

ザイオンのディフェンスが緩いクズマは3P。ちなみにモリスはベンチから登場してはファールしてました。この試合14分半で4ファール。

同じような流れになるかと思われた4Qですが、レイカーズはさらにディフェンスの強度を高めます。ザイオンがボールを持つとガード陣のカバーがあり、KCPやクックがボールを奪ってカウンター。

またレブロンのポストアップを使う事でスローダウンにも成功し、大きなリードを得るわけではないけど、レイカーズペースっぽくなっていきました。

しつこいくらいにレブロンのポストにボールを入れ、ダブルチームが来る前提で見事にパスを振っていくレブロン。ペリカンズは小さくてもホリデーなのでノーヘルプという選択肢もあった気がしますが、それよりは3P外れることを期待したほうがベターという判断でした。

残り3分半でクズマが3Pを決めてレイカーズが4点リード。しかし、ここからレブロンのキックアウトが乱れKCPがキャッチミス、ダニー・グリーンはコーナー3Pを外します。レブロンは3Pを決め、イングラム相手のポストアップでファールドローと得点するのですが、ダブルチームでパスを出させるペリカンズの戦略は正しかったともいえます。

ペリカンズのオフェンスは良くも悪くもホリデーに頼らないので、ロンゾがファール貰ってフリースローを外したり、ドリブルにひっかけられてヘルドボールになったり。勝利を優先するならば、ホリデーとフェイバーズの組み合わせをもっと活用すべきだったと思いますが、若手にやらせていきました。

これで残り1分半でレイカーズが6点リード。どちらかというとオフェンスよりも、お互いのディフェンスが優位になった初めての時間だった気がします。

ここでレイカーズボールのスローイン。レブロンが信じられないミス。しかもクズマを責めるし。

まぁそれでも、この後のディフェンスで守り切るとオフェンスではレブロンのポストアップで時間を使い、急ぎたいペリカンズの追撃を何の問題もなく逃げ切ったのでした。ちょっとペリカンズ側に余力がなかったのか、見せ場を作れなかった印象の方が強かったかな。

◉レブロンの掌で

36分はペリカンズの流れだった気がする試合でした。でも、その「流れ」ってのはお互いに決めあう流れだからリードになるとは限らないのもペリカンズ流。そして残りの12分でしっかりと自分たちの強さを発揮したレイカーズでもありました。ADいないなら、これくらいかなーっていう試合。

とはいえ、ペリカンズは嫌なチームです。何が嫌かっていえば、他のチームと大きく違う戦い方をしている事。シーズンの1試合で特殊なチームのために準備はしないから苦しいよね。

例えばハーデンは難しいステップバック3Pを難なく決めてしまう選手ですが、ペリカンズを相手にするなら「難しいシュート」を決める選手よりも「簡単なシュート」を高確率で決める選手が欲しくなります。ムーアとか、ダニエルズとか。

レイカーズはそれでもディフェンスの良い選手を並べてしのぎ切りましたが、ペリカンズが3P7/32と外しまくってくれたことで助けられた部分もありました。

〇ペリカンズの3P
イングラム 1/9
ロンゾ 1/7
メリ  1/7

まぁ伸びしろってことで。ここにシューターがいれば完成しそうなペリカンズですが、レディックがいると打ちすぎちゃって意味不明になるわけだし、結構難しいよね。

ロンゾが威力を発揮し始めましたが、逆にイングラムは流れに乗り切れない印象も。2人が合わないというよりは、プレーする選手が多すぎて整理されていない感じです。

イングラムとホリデーのコンビはかなり良さげ
ロンゾとザイオンのコンビは未来がありそう

なーんて感じなんだけど、じゃあ4人で相乗効果があるかっていうとロンゾが突破しやすくなるくらいでした。ロンゾ、イングラム、ホリデーが37分以上プレーしているのですが、もう少しプレータイムシェアして、地味役をこなしてくれるムーアやハートで相乗効果を生み出した方がベターに思えたのでした。

〇ザイオン
35点 FG12/16
6ターンオーバー

うーん、難しかったザイオン。1on1で守り切るのは困難なパワーは変わらず、しかも堅実に押し込んでくれますが、レイカーズ的には敢えてそうしていた雰囲気も。変にインサイドに寄りたくない事情が垣間見えたような。

〇レブロン
34点 13アシスト 12リバウンド

トランジションでぶつかり合えばロンゾより怖いPGであり、イングラムを止めきるディフェンダーであり、ポストアップすればザイオンよりも多彩でした。ADがいないことで色んな役割を引き受けた感じ。ADいると自分でポストアップしたがらない時間があるよね。

非常によく頑張ったペリカンズの若手たちですが、結局はレブロンの掌の上で踊っていたような試合だったかもしれません。掌では踊らないホリデーがFG10本しか打たなかったのが残念でした。

ペリカンズvsレイカーズ” への8件のフィードバック

  1. 4Qのシャクティンはあれどびっくりするくらい守りますよね今季のレブロン。
    NOPはプレーオフが狙える位置にいるけど若手の経験を積ませる(そのためにプレーオフに出たいとこもあるんですが)意図がありつつまあまあよくやってる気がします。
    前の試合ではイングラムに取られ過ぎたことに対するヴォーゲルの対策も見事ですね。

    1. レブロンの武器を余すことなくペリカンズの若手たちにぶつけたヴォーゲルって感じでした!

  2. クラッチタイムにザイオンにパワーで負けずにボールティップしたシーンがいくつかあって最初からザイオンにはレブロンで良かった気もしましたが、体力消耗してプレーメイクできなくなるのかな。
    しかし今季のレブロンは集中したときのディフェンスがヒート時代みたいです。

    1. 多分、スタミナ浪費させたくなかったのでしょうね。そこはよくわかりますが、以前ならサボっていたのが、パワーの代わりにペリメーターでは追いかけさせたわけで。あの迫力で来られたらシュート外しちゃう!

  3. グリグリズが前日レイカズ勝っていただけに、ペリカンも勝ちたかったとこですがそうは甘くはなかったですね。後半になるにつれレブロンの存在が増していきました。3P確率が悪かったこともありますが、ペイント付近でもザイオン以外の攻め手に欠けていたように思いました。
    これからのチームですが、思いのほかプレイオフも狙えそうな位置にいるので楽しいシーズンです。

  4. まだ実力不足な感はありますがロンゾはプッシュ始めよくやってくれていると思います。ただやはり終盤や悪い流れの時間帯では厳しいのも事実で、そういう時にもう1人、うまく言えないですが機転をきかせられるようなPGがいればいいなと特に最近の試合でよく思います。(単純にロンゾのPTがここ最近多いのもありますが)
    ペリカンズはこれから具体的にどういうプレイメイカーを(PGに限らず)取りに行くべきでしょうか?

    1. ロンゾのPT長すぎですよね。あれだけ走らせたいのに。
      終盤はホリデーに任せればOKだと思うので、そこは大丈夫かな。ケンリッチがいれば偽PGもやってくれますし。

      ペリカンズはピースとしては十分にそろっていると思うので、下手に邪魔する選手を加入させない事かな。
      ムーア、ダリウス・ミラーってのはハマっている気がします。ケンリッチのようなハードワーカーだけは増やしたい。メリくらいシュート決めるケンリッチのようなハードワーカー

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