ラプターズvsウルブズ

ラプターズ素晴らしいよね。レナードいなくても勝ち続けている。そんな話が中心になるわけがない試合です。

さっそくディアンジェロがタウンズとのピック&ロールからシールしてのハーフスピードジャンパーを打ちます。エルナンゴメスはポストのタウンズがボールを持つとエンドラインをオフボールカットしてゴール下、ビーズリーはタウンズのスクリーンを利用してオフボールからフリーになってキャッチ&3P。あぁ戦術タウンズ。

しかし、すべてのシュートが外れたので、まだまだです。ラプターズがスキを突くカウンター連発しているのに比べるとウルブズは甘い甘い。シアカム、アヌノビー、RHJとハードワークするぜラプターズ。本日はタウンズの担当をRHJにするスモールラインナップです。ユニット変更しても関係ないチームに仕立て上げるニック・ナース。サンダースにはまだムリだろうな。

新加入ばかりのディフェンスにはミスだらけで、マークとカバーとローテが曖昧なので、次々にインサイドが空いてしまうウルブズ。それを逃さないラプターズなので、もうボロボロ。イージーショットを生み出していくラウリー。

一方でディアンジェロはプルアップのロング3Pを決め、エルナンゴメスとビーズリーも気持ちの良いキャッチ&3Pが決まったので一気にオフェンスは改善します。これまで足りなかったディフェンスを広げる個人技は、カットプレーからのパスアウトという育ててきたプレーも混じって良い感じ。RHJを抜けないタウンズ以外は良い感じ。

止まらないラプターズの3Pは続くも、今度はベンチから登場のクラブがクイックのキャッチ&3P。そしてそのクラブにマークが行ったので、やっとこさ真打タウンズの3P。これって本来は逆で、これまでは「タウンズが決めるしかなかった」のであり、本日は最後にタウンズでも得点が繋がっています。カルバー君はアウトサイドが全然なのですが、インサイドが空きまくったのでカッティングからダンク。クラブもカッティングでドフリーに。戦術ネッツ。

また不安なディアンジェロの代役をジェームス・ジョンソンにやらせています。なるほど。ピック&ロールはありませんがPG的に振舞うので、タウンズのポストアップに繋げやすくなっている。アウトサイドから打ちまくるのを基本にして、インサイドの効率アップをしています。

採光のプレーが出たのは1Q残り2分。5人が殆どポジションを動かさずに次々とパスをつなぎ、最後はコーナーからクラブが3P。このシュートが外れるのですが、ディフェンスを動かしまくったので、トップから飛び込んだタウンズがオフェンスリバウンドを押し込みます。ラプターズがリバウンド弱いとかツッコんンじゃダメよ。

それにしても守れないウルブズ。オフェンスは3P決まりまくって結果を残した1Qでしたが、守ってはピックへの対応すら決まっていない感じで、イージーなラウリー。

シュート力に優れた選手を集めて決めまくったウルブズと、イージーなシュートシーンを作りまくって決めまくったラプターズ。40-36とハイスコアながらラプターズに軍配が上がった1Qでした。

◎スモールラインナップ

この記事を挟んでウルブズが続くのでラプターズの話にしましょう。ただ、ウルブズが「いくらなんでも」くらい守れていないので、参考になるのかどうか。

3Pを打ってインサイドを広げる

そんなウルブズの戦術は、シューティングによってオフェンス構築を簡単にする考え方ですが、ラプターズは逆だよね

難しいオフェンスを構築してイージーシュートを打つ

これが極めてうまい。ここでいう「難しい」は単に複雑なことをしているのではなくて、ディフェンスに応じて変化してくるってことです。判断の難しさがある。2Qのウルブズはディアンジェロ、タウンズの両者をベンチに下げたので、さらに苦しみ始めます。とくにPGディフェンスがまずく、それはディアンジェロも同じではあるね。ここにエースキラーを連れてこないと勝利は遠い。

一方でラプターズはオールスターまできたからベンチメンバーでも苦労せずに組み立てています。とはいえ、ラウリーかヴァンブリードはコートに残すのがニック・ナースの特徴。ダブルPGでも機能させ、シングルPGでも構築できる。そんなガードを連れてこないといけない時代になりました。だけど、そこに大金は詰めないからサードPGのデイビスみたいな選手を育てらるかがキーだよね。育成のラプターズ。

ところがちょっと小さすぎた。明らかにラプターズ優勢なのに、エルナンゴメスにインサイドアタックされてしまいます。高さよりもフィジカルな問題だった気がする。エルナンゴメスがそこそこミスショットしてくれるから助かっているだけ。決めていればナゲッツに残っていただろうに。

ところで、RHJをセンターにして他はガードばかりのラプターズの考え方はロケッツに近いです。スモールラインナップを否定し始めたシーズンに、逆に徹底したチームが出てきたのも面白いところであり、セルティックスも含めた3チームの考え方は少し似ていて

ドフリーは絶対に作るな

というディフェンスの考え方です。リムプロテクターがいれば多少の穴はブロックでふさいでくれるので、ジャズみたいに抜かれることを怖がらないチームもあります。でもラプターズはローテディフェンスを最優先しているし、リバウンドに拘らない。考え方の違いは面白いよね。

これで接戦が続くのですが、同点で主力が戻ってくると流れが変わります。ゴール下を決めたエルナンゴメス、ディアンジェロがポストアップでファールドローと弱いところを突かれると、オコギーのドライブパスアウトからディアンジェロの3P。オフェンスでラウリーの肘がオコギーの顔にはいるなど、アンラッキーな部分もあってミスが続いたことで、ウルブズにリードされます。でも、そこからは流石のラプターズなんだ。

自分たちのディフェンスの弱点を突かれてどうするのか。単純に埋めるのではなく、ハンドラーに対して積極的に手を出すことでウルブズのやりたいことをやらせないプレッシャーを強めたのです。タウンズに積極的にダブルチームに行き、逆にオコギーのカットプレーをされることもあったけど、ボールの出所を潰してしまうのは素晴らしいね。ヴァンブリードもディアンジェロからスティールカウンター。

そしてディアンジェロにはRHJがプレッシャー。タウンズにはアヌノビーがヘルプとノンポジションなディフェンダーたち。オフェンスでもハンドラーがシアカムでアヌノビーがスクリナーになることで、慣れていない逆パターンのスイッチ対応を間違えさせ、シアカムがドフリーで3P。難しいことを簡単にやっているし、そこにあるのはオールラウンドディフェンダーにしてプレーメイカーを並べること。

前半は75-74と互角だったけど、とにもかくにもラプターズの戦略性の高さは感嘆するしかない。

◎チームの差

ウルブズのオフェンスはラプターズのプレッシャーに意図したプレーが出来なくなります。そんな時には個人が違いを作らないといけない。ディアンジェロがプルアップ3P、トリッキーなパス、オフボールでゴール下へカットしてくるエルナンゴメス。苦しみながら少しずつ反撃しています。

ちょっとずつ差が出てきたのは走力。シアカム、アヌノビー、RHJの運動量がミスを助けスキを突く。タウンズ、エルナンゴメス、オコギーだって悪くないのにね。ここに走りかつラプターズを褒めるしかない。そして連携の差が生まれ始めました。そりゃあ仕方ないさ。チャンピオンチームと3日間チーム。

サンダースも走力差を感じたのか、フロントラインを全員交代するのですが、カルバー、ジェームス・ジョンソン、リードになるとスクリーンが極端に減ります。そう考えるとタウンズは偉いな。スクリナーをこなしまくっていたわ。

そんなわけで着実に点差を広げていくラプターズ。個人能力ではそこまで差がないので反撃することもあるウルブズですが、チーム力には格段の差があるね。そしてウルブズはガードコンビが交代し、頼みの綱のアウトサイドが決まらなくなると一気に崩壊。

3Q終わってラプターズが106-94と二桁リードにして、しっかりと勝利を掴む体制にしたのでした。

◎流れを切る

この試合の面白いのは、たまにウルブズが個人技で上回るってことです。4Q序盤がタウンズVSブシェイになったので、オフェンスのフィニッシュが上手くいかないラプターズ。守ってもタウンズへ分厚く寄ってはクラブ、ジェームス、カルバーと決めていきました。「タウンズにディフェンスが集まる⇒ウイングが決められない」問題があったウルブズとは思えないぜ。

4点差に縮められたラプターズはここから、チャレンジしたり、タイムアウトしたりで、なんだかんだで勢いを止めてしまいます。偶然な気もするけど、やけに時間がかかった1分間を経て、シアカムがタウンズをブロック⇒ポストアップからゴール下で勢いをねじ切ります。

ディアンジェロが戻ってきますが、そこにはRHJとヴァンブリードが立ちはだかります。書きながらだとよくわからないのが、どんな基準でマッチアップを決めているのかってことで、ヴァンブリードがスティールしたと思ったらRHJがプレッシャーかけているんだよね。

そしてヴァンブリードはハーフコートを組み立てると、自らのロング3Pにキックアウトからマコーのオープン3Pをアシスト。再び点差を二桁に。そして決まるわ決まる3P。これもニック・ナースになってからの特徴なんだけど、選手は同じなのに終盤になって3P決まるんだよね。

さらにスイッチ誘導でシアカムvsディアンジェロを作りまくり。狙われたディアンジェロ。そのために好調のアヌノビーをベンチに置く判断だしさ。

反撃したいウルブズの個人技でしたが、プレッシャーディフェンスをかいくぐると、高速ヘルプでテイクチャージするラウリーにも悩まされ、残り3分には19点差まで広げられてしまったのでした。

◎ニック・ナースは偉大なり

トレード後2試合にしてオフェンス面の良さとディフェンスの悪さを露呈したウルブズ。とはいえ、そこはカルバーやオコギーもいるし、ジェームス・ジョンソンも入れたことだし、コーチ陣がどこまで頑張れるか。ただできればベンチにリムプロテクターが1枚欲しい。3Pはリードじゃなくても打てるじゃん。しかしラプターズを相手にするとオフェンスでも課題が明確にされました。

いつ何をするか

チームが熟成されていないのは理解しつつも、プレーコールの出しどころで上回っていたようなニック・ナース。そしてここが下手な印象があるサンダース。戦術的な部分ではとっても良かったウルブズオフェンスなのだけど、ディフェンス面を考えた起用法もしていく中で、継続したオフェンスが構築できるのかが課題になります。ディティール。

そしてディアンジェロは見事に抑え込まれました。いや、明確に抑え込まれたわけじゃなくて、ちょこちょこ入れ替わる守り方にターンオーバーを誘発された感じ。

〇ディアンジェロ・ラッセル
22点 5アシスト 6ターンオーバー

インサイドに困ったラプターズだけど、ハンドラー止めちゃうんだからすごいね。そしてネッツ時代に同じことが出来たかというと、そうでもないので同じようなオフェンスをしているけど、やっぱりディティールがさ。

ラプターズは相変わらず素晴らしい。玄人志向がすごいからわかりにくいけど、本当に素晴らしい。このチームがもつ論理性は群を抜いているぜ。

本日はベンチポイントがたったの14点でした。論理性以外に不思議なのは、コンディショニング能力です。けが人は多いのに、プレーしている選手は運動量抜群。どうしてそんなことが出来るんだい?

これで15連勝のラプターズ。敢えて言おう。昨シーズンより強いぜ。レナードがいれば連覇していただろうに。

クリッパーズに勝った勢いはラプターズに止められたウルブズでした。

ラプターズvsウルブズ” への2件のフィードバック

  1. 選手を動かさなかったラプターズと動かしまくってタウンズのチームにしようとしているウルヴス。対照的でした。ラプターズはプレーオフでどうなるのか試す思惑がありそうな気はします。どこまでいけるのか自分も見てみたい。
    相変わらずケガ人は多いですが今季からマコー、デイビス、ブーシェ、RHJが多く出てくるので見ていて楽しいです。HCまで含めたチーム力の高さを感じます。
    ファンからHC(ドックリバース)いりませんなんて言われてるチームに行ったレナードは今何を思っているのやら…。あっちは個人技主体のチームだから選手のモチベーターできればいいんですかね?

    1. レナードはラプターズのチームオフェンスの中の異分子個人技でしたから、クリッパーズの個人技の組み合わせは気持ちよく、アシストが増えたのかもしれません。
      ラプターズは素晴らしいですが、だからといって選手に人気のある戦術かは別なんですよ。

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