ウルブズの大胆なデッドライン

ディディディ・ディアンジェロー・ラッソー・ソー・ソー・ソー

念願かなってディアンジェロ・ラッセルを獲得したよ。ティーグとネイピアーを放出した時点で「ディアンジェロ確定か」と思わせながら、ウォリアーズはそうでもなかったらしい。でも最終的にはウィギンズでOKになったんだってね。それはそれで不思議。

デッドライン間際で9人を入れ替える大型変更を実行したのは驚きであるとともに、突然の路線変更でもありました。正確に言えば、戦術路線はすでに変更していたけど、戦術に合った選手をかき集めた感じです。でも、それらは全て「ディアンジェロありき」な補強でもありました。ディアンジェロいなければ悪夢だたけど、いるなら天国。ごーごーへぶん。矛盾だらけの戦術じゃいいも悪いも興味がないよね。

そんなことを書いていきますが、ショートカットしたい方はこっちを読んでね。

◎ミネソタ・ネッツ

管理人はウルブズが良い感じに見えていた開幕前だったのですが、実際にシーズンが始まっても戦術タウンズで良さげな変更がなされました。これが丸っきりアトキンソン・ネッツを模倣したような戦いぶりでして、ネッツからやってきたトレビアン・グラハムは判断力が際立っていました。もちろんネッツ目線で見る管理人だからこそ「優れた判断」とみなしている部分は大きかったですが、スターター起用されていたわけですからHCとしても信頼していたわけだ。

ただし、ウルブズにはネッツとは大きく2つの違いがあります。

①中心がセンター

これは最大の違いですね。タウンズを中心に置いた形はネッツでは取りえなかった形であり、アトキンソンが頻繁にスモールラインナップを使ってきたのは、タウンズのようなセンターがいなかったからでもあります。ストレッチ5にして、インサイドフィニッシャーでもあるタウンズがいないなら、グラハム、RHJ、クルッツ、ダドリーを並べたアトキンソン。

この戦術タウンズについては、動画にもしたので過去記事を読んでください。

ここまでは良かったのですが、タウンズ離脱によりウルブズは大低迷期に戻りました。でも、正しくは「タウンズがいないから」で決着をつけてよい話ではなく、「タウンズがいたから何とかなっていた」と捉えたほうがベターです。ウルブズの真の問題は

②ネッツの模倣でしかなく、戦術を伸ばせなかった

ここですね。なんせカルバー、ネイピアー、コビントン、そしてウィギンズも個人としてはそこそこ良い活躍をしていましたが、それに比べるとチームとしては脆弱すぎました。ディフェンスが悪いとかシュートが決まらないとか色々ありますが、トータルで考えると戦術的進展もなければ、戦術の中で選手が進化もしてきませんでした。

プレーブックを見ればネッツと同じかもしれませんが、この戦術を実行するのに必要なトレーニングメソッドが欠けていたのかもしれません。ちなみにウルブズは今シーズンから前ネッツACだったプリジオ-ニがACになっているのでネッツ化は意図的に実行されたのだと思います。欲しかったディアンジェロを手に入れられなかったけど、ウォリアーズからネイピアーとグラハムを譲ってもらっていましたしね。

しかし、上手くいっていた部分もあります。それがキャッチ&3Pの増加

〇キャッチ&3Pアテンプト
22.3本⇒28.3本

これがなんとリーグ1位に躍り出ました。「マブスのボールムーブ上手いよね」と思っていたら、その上にいたウルブズ。でも33%しか決まらないでやんの。ここで1つの結論に達したっぽいウルブズフロント。

40%を超えるタウンズが離脱 ⇒ 勝てない ⇒ シューター集めればよいんじゃね?

極めてシンプルな結論ですが、ビーズリー、クラブ、エルナンゴメス、スペルマンを集めました。後ろの2人は確率悪いけどね。でも考え方はシンプルだ。ネッツをやりたいのだから、それに適した選手を連れてこい。それはシューターとストレッチ4さ。ストレッチ4が大切な理由はスクリナーにもなれないとダメだからです。

逆にジョーダン・ベルとジェンの両方を出したことも特徴的です。カルバーとオコギー以外はそれっぽい選手にしてきました。若手コアっぽくない選手で唯一残ったのがレイマンだしね。ターナー?知らん。

ミネソタ・ネッツを目指したけれど、選手の質が合わなかった問題。デッドラインではそこを解決していくことにしました。でも、本当にそこが問題だったのか、それともコーチ陣のトレーニングメソッドが問題だったのか。もうサンダースは言い訳できないぞ。

◎ウィギンズ問題

サンダーズの違う問題はウィギンズの使い方でした。

かつての輝きを取り戻し始めたウィギンズですが、タウンズが3Pを増やしたことでポストアップの機会が増えたのが良い部分であり、リバウンドも積極的になったね。しかし、ポストアップを除けばウイングとしてはキャッチ&3Pは決まらないし、オフボールの動きにも乏しいし、選手間の適切な距離も作れないし。

・・・で「3Pが決まらない」はウィギンズが悪いかもしれませんが、オフボールのポジショニングとプレーチョイスに関しては戦術的問題でもありました。だってウィギンズ以外も良いイメージがないもん。ここが前述のネッツ化しきれていない部分が顕在化していました。

しかしウィギンズはハンドラー役になると輝き始めました。試合の中で重要な時間はウィギンズにハンドラーやらせようぜ!が上手くいき始めていたウルブズでしたが、サンダースはこれをやったりやらなかったりとよくわからなかった。気まぐれサンダース。

その理由を好意的に解釈するならば、ウィギンズがハンドラーになるとネッツっぽくならないからだったかもしれません。やりたい戦術に対して、ウィギンズが持つ能力はちょっと違うんだ。カイリーとディンウィディだって違うんだ。

なお、補足しておくとウィギンズのハンドラーはカルバーやオコギーに比べたら格段に機能性がありました。パスを出す能力が高くなってきたし、ジャンプシュートでもドライブでもフィニッシュできるから選択肢は他の2人よりは多かった。

もっともっとウィギンズをハンドラーにするプレーコールを混ぜてよかったと思うのですが、チームオフェンスっぽくならないから嫌がった気がするサンダース。それともウィギンズを信用できなかったのか。たまに混ざるし、勝負所でも選択するし、ウィギンズのプレーそのものを嫌がっていたとは思えないだけに、読めないのでした。

本来はPGがゲームを作り、終盤をウィギンズで締めたかったであろうウルブズ。その狙いってそれなりに上手くいっていたと思うのですが、どうなんだろうね。戦略は下手だった。

◎タウンズとプルアップ3P

ウィギンズのハンドラー化はタウンズを活かしきれない問題も起こしました。ひとつはパス能力の部分ですが、それ以上に大きかったのがプルアップ3Pだった気もします。ここに関してはウィギンズ以外もダメだったので、どうしてもディアンジェロにしたかった理由になります。

タウンズの高いシュート力は相手に脅威を与えますが「タウンズ優先」で守られると急激に苦しくなったのがウルブズがネッツになりきれなかった部分でもあります。スクリナーのタウンズに対してスイッチせず、アンダーで守っておけば、ハンドラーが中途半端になりがち。ディンウィディなんて決まらなくても打ちまくるんだけど、ティーグとネイピアーは意外とそういう選択はしない。

〇プルアップ3Pアテンプトと確率
ウィギンズ 2.7本 31.3%
ネイピアー 2.6本 28.0%
ティーグ  1.5本 38.5%
タウンズ  1.6本 38.9%

これね。ティーグは決まるけど打たない。打つパターンが少ないって感じかな。ウィギンズとネイピアーは決まらない。でも決まらないよりも少ない。

〇プルアップ3Pアテンプトと確率
ディンウィディ 4.1本 29.4%

ディアンジェロ 5.4本 35.0%

ディンウィディなんてこんなんでも4本打っているからね。比較するとディアンジェロは難しいプルアップをそこそこの確率で決めてくれます。

タウンズを空けると4割決められる
でもディアンジェロに隙間を与えるとプルアップを打ってくる

この関係性はこれまでのウルブズにはない特徴であり、ネッツ化を進めるには大切な要素です。ディアンジェロのパス能力は様々なメリットを生み出すでしょうが、実はそれだけではなくプルアップ3Pでオフェンスの仕組み自体が変化することが期待されるのでした。

◎ビーズリーとディアンジェロ

そんなディアンジェロがプレーしなかったトレード明け初戦はビーズリーが13本の3Pを打ち、7本を決めました。「タウンズばかり見ていたらダメだぜ」と言わんばかりのビーズリー。ウルブズのトレードが単にディアンジェロだけじゃなかったことを示しました。

エルナンゴメスも3/3、クラブが1/2と新加入組がウルブズに足りなかった3Pの確率をもたらしてくれたことで142点を奪い、クリッパーズを一蹴しました。ネッツ化したウルブズですが、タウンズがいるからネッツを上回ったのでした。(1試合だけだから何でも言えるぜ)

さすがにディアンジェロ抜きでここまでの破壊力をもたらすのは意外でしたが、ビーズリーの小気味よいシューティングを見ると、明らかにウルブズには足りない要素をもたらしてくれています。

でも、本当に見たいのはここから。ディアンジェロとどんな化学反応を起こすのか。

ジョー・ハリスとクルッツの間みたいな選手になってほしいビーズリー。というのもヨキッチに慣れているから裏抜けやら、ポスト周囲の回転やら、引き出しは多いよね。タウンズはヨキッチではありませんが、ヨキッチに近づけるようにパスを引き出してほしい。

一方でナゲッツはPGからのアシストが少ない稀有なチームなので、ディアンジェロのタイミングが読めないパスがビーズリーの得点力を挙げてくれるのかどうか。なお、自分で打つから下げる可能性もあります。

コートを広げる能力を持つディアンジェロとビーズリー、タウンズなのでインサイドの使い方がキーになります。そこにドライブ、カッティング、プルアウェイといろんなプレーがみたいよね。ってことで、曖昧なまま終わらせましょう。

◎動きまくったウルブズ

聞いたことがないほど選手を動かしたウルブズ。デッドラインでここまで動いたチームって他にあるのかな?

その動きはディアンジェロを中心にしながらも、戦術と選手のミスマッチを解消し、チームの進むべき道を明確にする論理的なものでした。だけど、それだけじゃあ上手くいくとは限らないんだけどね。

そしてこんなに動けるならば、シーズン前に動かなかった理由は何なのかと。もちろんビーズリーとディアンジェロを得れたのはナゲッツとウォリアーズ(とロケッツとグリズリーズと・・・)の事情ですが、それだってシーズン前に獲得できる可能性はゼロじゃなかったし。

ひとまず管理人的には「エロいディアンジェロ+感動的なネッツ戦術+お気に入りナゲッツ」を同時に見れるチームが出てきたことは大変興味深いのでした。でも、プレーオフチームを中心にしていく時期になってから整えるのはやめてよね。

ウルブズの大胆なデッドライン” への14件のフィードバック

  1. 大変納得のいく記事ありがとうございました.

    Rosasを含め,コーチ陣の顔ぶれを見てもミネソタ・ネッツ化が今シーズン当初からの筋書きだったので,Wiggiのハンドラー化改造計画は夢に終わってしまいました.

    残念.

    試合中にWiggiをハンドラーとするタイミングは謎でしたが (もうちょいWiggiを押しても良かったと思っています),2シーズン調子を落としていたWiggiにハンドラーをやらせてくれたのはRyanなりのやさしさだったのではと思っています.

    GSWではハンドラーをやらせてもらえないであろうWiggiがKerrとGreenおじさんにどう改造されるか見ものです.いつかそんな記事を読めること期待しています.

    1. ウォリアーズは今シーズン何かを書くのが極めて難しいチームになってしまいました。ケガ人多すぎだし、時に選手が勝手に苛立っているし。
      ウィギンズを褒め称える度に、これまでの違和感を感じてしまうのは気にしすぎなのかなぁ。

      1. サラリーとコアの選手の年齢を考えるとチーム維持の限界が見えていたので,KD放出とともに終わってしまったのかも.ドラフト次第では来シーズン中に選手を切り売りしてリビルドというシナリオでしょうか?Wiggiを褒め称えちゃう違和感がそこからくるなら納得してしまうかもしれません.

        Wiggiを応援している身としては,今回のトレードが自分のもつ才能を開花させるようなものであって欲しいと思っています.

    1. 何故かうちのTVでYouTube自動再生は気がついたら
      スピード → 宇多田光 → miwa
      と続きます。いつも同じルートで。

      毎日観るのはネコ動画で、毎週ガンダムを観るくらいですが。

  2. ウルブズのネッツ化かぁー てか、そのネッツ化は『ディアンジェロにうちに来て貰いやすいよーにネッツ化しとくねー』だと思い込んでいましたが、ウルブズ的にはplay-offチームになるためのお手本チームだっのかもですね。

    ウィギンスのハンドラーバージョンにもっとこだわっても良かったのになぁー。しなかった理由も確かにそーなんですが、なんか影が(キャラが?)薄いウィギンスさん。ドラ1なのに。

    見る側の都合でしかないですが、本当この時期の今の順位で『さぁー選手は揃いました!』ってなってもねぇー(笑) オールスター以降の後半戦は来シーズンの為の練習ですかね。

    エロンジェロ&ネッツ戦術+ナゲッツ風味なウルブズ(笑)楽しみだす。

    エロンジェロが一番楽しみかな。ウォリアーズにいてる頃はなんかエロくなかったですもんね…

    タウンズやネッツ化&ナゲッツ風味が、ディアンジェロをよりエロくしてくれたら嬉しいなぁー

    1. ネッツ化は本当にそのままで、プレーコールが同じなんですよ。でも同じだからといって本当に同じ結果を生み出せるわけではなく、シーズン半分過ぎてもイマイチでした。形が同じだけ。

      ただタウンズには合ったオフェンスなので、これがどうなるかは楽しみかな。実際、ビーズリーとエルナンゴメスはタウンズから「パスを引き出す」事が出来ており、得点以外にプレーが増えてきそうなタウンズです。

  3. 論理性はあるんですが、MINに足りないのはフロアリーダーな気がします。タウンズは優秀なフィニッシャーだけどヨキッチみたいに全体に指示しないし、ディフェンスに至ってはバラバラで。JJがその辺に気づいてコミュニケーション取ってくれてますが、改善できるかどうか。

      1. フロアリーダーを獲得して、プレイオフ出場して、フロアリーダーにぶっ壊された歴史なんで。ジミー個人がフィットしてたかどうかはともかく、そういう役割の人材は必要なんじゃね?と思う最近です。タウンズは多分そういうタイプじゃないです。D-loもディフェンス面では引っ張れないでしょ。

  4. そういえば最近のネッツさんの調子はいかがですか?試合は見ていませんけどカイリーが消えたことによってチームとしては良くなってるんじゃないですか。

    1. ディンウィディがイマイチだとチームもイマイチなのでは。エロさもなくなりましたが、ウイングの質は高いけど変化はつきにくくなってきましたね。

  5.  ザイオンが復帰したのでペリカンズの試合を語ってほしいです!
    今のところ、ピックアンドロールかローポストからアタックをしており、昔懐かしきグリフィンを思い出します。
     また、パスセンスもある選手なのでヤニスみたいにガードをさせるシーズンがあってもいいかなと思うんですがそれについては管理人さんはどう思いますか?

    1. ガードやるには体重が重すぎてケガを誘発してしまうかもしれません。
      ヤニスは体格のバランスが良かったですし、プレーもすべてが粗削りでしたから、徐々に整えていく過程でしたね。
      まずはインサイド中心に「やりやすいこと」から入るのが王道パターン
      「やりにくいこと」から入ったヤニスはレアケースでした。

      でもザイオンのプレーは、どこの弱点を埋めるかで大きく変わってきそうなのでチームプランも問われそうですね。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA