ドンチッチのユニフォームは破れていないよ。
エンビードが離脱したシクサーズ。はっはっは、シモンズ仕様じゃないオフェンスの問題点が出てくるのかどうか。オフェンスで空気になってきたシモンズが、エンビードがいないことでスコアラー度合いを深めていくのか。
しかし、オフェンスならマブスさ。だから守らないといけないし、守っているだけじゃ勝てないんだ。トランジション勝負が適切な気がしますが、いきなりそこに振り切れたら、そっちの方が問題だし。
◉機能していないぜ
試合はロースコアではいるのでシクサーズの流れです。しかし、実際には守れているのはマブスの方で、シクサーズのオフェンスを問題にしません。問題にしないのか、オフェンスが悪いのか。
とにかくポジションチェンジに乏しく、ボールも動かないので苦しくなってはトバイアスが打つ形。あんまり決まらないトバイアスですが、これを高確率で決めろって方がかわいそう。それでも3Pと速攻を決めたことでリードを奪います。
ここにエンビードがいると動かないなりにもポストを経由してディフェンスは視野を確保するために動くことが求められます。そうすると強力な個人突破も使えるのですが、本当にボールを回しているだけって感じのシクサーズ。シモンズ仕様になる空気はゼロです。
なかなか酷いオフェンスをしているシクサーズ。ところがドンチッチがそこに付き合ってくれました。1Qだけで3ターンオーバーのドンチッチ。ちょっとプレーに迷いがある感じなのは、レイカーズ戦での疲労なのかな。
一回ベンチに下がると、復活したような感じでファールドローして得点を伸ばしました。ロースコアの展開なので大切だった1つのフリースロー。22-20で1Qが終わります。
1Q終了後のドンチッチをみると、やっぱり疲れている気がするよ。
◉Jリッチの細かいスキル
2Qになっても展開は変わらず。特にマブスの低調さが気になります。お疲れなのかな。それ以外に何かあるのかな?
1つだけあったのがジョシュ・リチャードソンの素晴らしいディフェンス。ドンチッチは体でプッシュしてステップバック3Pを決めますが、目立ったのはこのワンプレーくらい。ボールすら持たせないように守るJリッチは、スクリーンがくると一回ドンチッチとの距離を空けることでスクリナーのポジションをズラしておき、両足が止まったところでスッとドンチッチとの距離をつめることでファイトオーバー出来る状況を作っています。マジで、このテクニック凄いね。
(そしてこれがキープレーになるとは、この時点では想像もしていなかったよ。)
こうしてドンチッチから自由を奪ったJリッチ。ただし、ドンチッチの方もだからといってムリするのではなく、チームメイトにパスを出してコーナーに移動するようなプレーに移行します。アフタータイムアウトではドンチッチを辞めてハーダウェイのピック&ロールを選択したりして、チームとしても拘らないね。
また、スイッチさせてしまうと、カバーディフェンスが狙ってくるのですかさずパスアウトしてアシストを決めたドンチッチ。そしてこのパスを決めるのがマブスの良さだよね。クリバーの3Pが決まったりして、まぁそこそこ。
ただ、あまりにもそこそこだったマブス。2Qは21点しかとれず前半を41点で終わります。10のターンオーバーはお疲れからくるミスだったような。
一方のシクサーズオフェンスもまぁ酷い。全然足が動かないで、止まったまま「何しようか」って考えるている間に残り14秒。結局はベーシックなピック&ロールにするけど、1枚剥がした後のプレーにこれといったルールがない様子で、「剥がしたけど何しようか」な空気です。
ここでもJリッチが、積極的にミドルから狙っていき、またベンチからトレイ・バークも同じくミドルで加点しました。でも、それが爆発的な得点につながることはないよね。
また、この困った状況に、何して良いのかわからないシモンズ。なのですが、あまりにもパスを出す先がないからか、珍しく強引なシュートを打って決めたことでシクサーズはリードを広げることに成功します。でもシモンズ本人は3つのファールでベンチへ。締まらないぜ。
結局ターンオーバーが2つしかなかったシクサーズ。オフェンスリバウンドも10個奪ったことで、単純にチャンスの数の差でリードを奪った感じです。
〇前半のターンオーバー
シクサーズ 2
マブス 10
〇前半のオフェンスリバウンド
シクサーズ 10
マブス 2
ということで単純に言えば、シクサーズの方が16回もオフェンス機会が多かった前半です。結果は50-41と9点リード。このリードは多いのかい?少ないのかい?
16回のオフェンスで9点と考えれば、相当に苦しい数字なんだよね。それだけルーズボール系で頑張ったシクサーズだし、「マブスがお疲れ」と思わせる部分でした。
シクサーズは3P2/19しか決まっていないよ。19本打てた理由が、単にオフェンスを構築できなくて打っただけなんだけどね。
◉論理しかない3Q
ドンチッチのキックアウトから、ホーフォードのコーナー3Pで始まった3Q。うん、これは形だよ。しっかりした形だよ。一方でホーフォードを狙う雑なパスで微妙なシクサーズ。エンビード用のパスみたいな。結局パスミスが続いて、カウンターでハーダウェイのダンクさ。
そして3P打っては決まる気のしないシュートで退屈なシクサーズ。なんだけど、ドンチッチも自信もって打ったフローターが短かったり、取り返しに行ってファールしたり。お疲れっぽいぜ。そしてオフボールでボールを貰うために動き、Jリッチを吹っ飛ばしてオフェンスファール。3つ目。両エースがファールトラブルです。
そんな感じなのですが、そこにはマブス側の方が修正してきた事実があって4分も経過すると追いつきます。工夫としてはドンチッチのハンドラーを辞めたことで、オフボールで動かしてスクリーンを使う事です。前半に何気なく見ていたJリッチのスクリーンをかわすスキルを無効化する狙いか、ドンチッチの調子の悪さを補う狙いか。
さらにここから前半とは違う光景が出てきて、シクサーズがディフェンスリバウンドを確保できずにパウエルに押し込まれます。ドンチッチの役割変更からディフェンス組織を崩されているような雰囲気です。クリバーの3Pも決まって逆転のマブス。
もう完全に崩し始めたマブス。オフボールでドンチッチを動かしてディフェンスをずらしてはフリーのシュートが増えていきます。言い換えればシクサーズ側が過剰に反応してしまった感じです。落ち着いてスイッチ対応するなり、ゾーンにするなり、ドンチッチを諦めるなりやり方はいくつかありましたが、華麗に崩される道を選んでしまいました。
Jリッチ自身は良いディフェンスをしているだけに非常にもったいなかった3Qの攻防。そもそもオフェンスがクソみたいなものなので、焦りが生み出した混乱とも思えてくるのでした。
シクサーズはエンビード不在のためペルというセンターを起用しており、インサイド側でポジション取りに奮闘しています。そこにパスが出てくるし、それ自体はペルの頑張りとして評価して良いところですが、このメンバーでインサイドをゴリゴリポジション取りされたら、どうやってドライブすればよいのか。
ロースコアの前半で困ったエースの役割を調整して復活したマブスのオフェンスに対して、エース達が足を止めて困ったにも関わらず、更に動きにくく自分たちを絞めていったシクサーズ。まぁブレッド・ブラウンあるあるだけどね。
3Qを32-16と圧倒したマブス。それは選手の好不調ではなくて、極めて論理的な結果でした。両チームが繰り出してきた手法を考えれば「そうなるだろ」ってね。32点だったようにマブスも爆発したわけではありません。一方でマブスがミスを減らしたことでカウンター速攻が出来なくなったシクサーズの得点が落ちたことも当然でしたね。
前半2つだったマブスのオフェンスリバウンドが3Qで5つでした。ここが勝負の分かれ目だったのかな。回数で勝っていたシクサーズが回数でも質でも負けてしまった。
◉動く・止まる
どうしようもないシクサーズですが、前半同様にちょっとだけ良くなる時間帯があって、それはトバイアスとホーフォードがベンチで、シモンズとJリッチの2人のハンドラーに任せる形がハッキリする時間帯です。他の3人はシューターだったりリバウンドに専念している感じ。
4Q序盤もそんな感じになり、またシモンズのマークがブロンソンなのでわかりやすくポストアップするので、オフェンスの整理がつきそうに。ブロンソンがシモンズにファールしまくって、トータル10分もプレーしていないのに6ファールで退場します。
ところが、このスモールラインナップがマルヤノビッチの高さに圧倒されます。そもそも4人が振り回してのビッグマンという構成なので、マルヤノビッチに集中して襲い掛かることは出来ていません。ショートレンジシュートが上手い選手なので、空けちゃうと決めてくるからね。
そんなこんなで10点差に開いてしまった4Q序盤でした。ファールはされたけどフリースローボーナスまでいかなかったので、得点にはならなかったしな。
トバイアスとホーフォードが出てくるとJリッチのパスをスティールされます。2人との関係性はわかりませんが、足が止まった形になっのボールムーブが消えるのはこの試合ずっと続いています。
外しまくっていたホーフォードの3Pが連続で決まって何とか離されないものの、機能性はゼロなシクサーズなので、これ以上観戦する意味があるとも思えない残り6分。ドンチッチも楽になってきました。
まとめるとシクサーズのこの問題は、何もエンビードが離脱したから出てきた問題ではありません。シーズン初めからずっと足は止まっていたし、オフェンスの膠着は頻繁にあったじゃないか。
ただ、それを「シモンズが3Pを打たないから」という「わかりやすい事実」に押し込めている印象がありましたが、この試合では「空けられまくったのに3Pを打たない」という感じではなく、ただただ純粋にチームオフェンスのパターン不足と、全員が足を止めるから何をするのかすらわからない状況に陥っていました。
ディフェンスの良い選手を集め、ハードに踏ん張れるのは良いことです。しかし、オフェンス面で優れた選手じゃないなら補うだけの論理がないとね。少なくとも理不尽なまでにチャンスを生み出すような個人能力を持った選手はいないので、点差が離れると一気に苦しくなりました。
難しいのはこれがエンビード不在で顕著になった現象であるものの、いまさらエンビード抜きで成立するロスターには出来ない事です。振り切ったんだから、振り切るしかないじゃないか。
さぁどうするんだシクサーズ。デッドラインに動くのか。動くっていっても、何をどう動くんだ。シモンズを3P打つガードに変えて済む問題なのか?
◉「結果」を示す戦術
マブスはかなりドンチッチ頼みな反面で、チームオフェンスで崩してしまうのが非常に上手い一面があります。だからベンチメンバーが得点できるんだよね。この試合では前半に困った部分を見事に修正して後半に繋げました。
これってラプターズみたいな秀逸な柔軟性なのですが、マブスの場合は「多彩かつ狡猾」という表現を使いたくなりません。というのも「多彩」な感じがしないからです。大別すると3つくらいの仕組みで攻略している印象がするのです。
ただ、なんで3つくらいで済むのかといえば、たとえばドンチッチが出したパスアウトに対して、ボールを貰った選手が「しっかりと決めきる」ことが出来ているから。ラプターズって攻略しても外しまくるからね。クリバー、パウエル、ドリアン・フィニー・スミスなんて怪しい感じがするのに、戦略的に必要なシーンではきっちりと決めてきます。
後半になってドンチッチをオフボール担当にしたってことは、ハーダウェイがハンドラー役になるのですが、それって超怪しいわけですよ。だけど、ここで期待に応えたハーダウェイ。それは何でだろうかっていうね。
ディフェンスを崩したとはいえ、パウエルがオフェンスリバウンドを拾いまくるってのも、かなり意味不明なわけです。もちろんハードに戦う良い選手ですが、きっちりと結果になるんだから凄いわ。
全てはドンチッチから始まるといっても、結果として表現しすぎだぜマブス。試合は順調に20点差に広がっていきましたとさ。
Jリッチの前半のディフェンスとドンチッチの後半の動きを動画にまとめたいね。
中核の二人(エンビート・シモンズ)は3年目なのにOFの機能性が年々低下しているのがチームが停滞しているという印象を受けます。
POをDで勝ち上がっていくというならブラウンではないと思いますし煮え切らないですね
とりあえずブラウンHCではダメなことは証明されまくっているので、そこを変えてから考えたい(sigh
確かにね。ブラウンも可哀そうですけどね。自分のオフェンスやらせてもらえないロスターに変更されるって・・・。