ブルズ観察記

vsセルティックス

ザック・ラビーンとはなんぞや

3Pラインの1mくらい後ろから打ったラビーンの3Pで始まる試合。何でそれを打つ必要があるのかが全く分からないシュートです。「でも、それってリラードだって打つよね」というのも事実ですが、リラードにしろカリーにしろ、打つことで他の選手を楽にする狙いがあります。でもブルズには広くなったインサイドをどうやって利用するかの論理に乏しいんだよね。この3Pだってマルカネンにパスしたほうがベターじゃないの?

ってことで、最近気になっているラビーンの意味を試合を見ながら考えたいことでチョイスした試合です。

そうそう「クリス・ダンは失格」みたいな意見を開幕から目にした気がしますが、何故かスターターです。しかもサトランスキー、ラビーンと並んでの3ガード。タフショット打たせるチームにはハードワーカーを並べるってのが鉄則で、「デリック・ローズと仲間たち」戦術を構築していたのが懐かしいよね。そこもどんな意味があるのかね。

ただ本日はセルティックスが相手なのでビッグマンはヴェンデル・カーターとマルカネンがいれば十分ってのはよくわかります。平面の戦いでスキの少ない形は序盤のディフェンスで優位に立っていきました。

あとセルティックスはケンバがいません。スピード不足です。

◉広げたスペース

1本目に続いて、2本目、3本目と3Pを決めまくったラビーンで早々にブルズがリードします。基本的にオープンショットはありません。3P以外には1回バックドアでサトランスキーのアシストを貰ってレイアップ、ドライブからヴェンデル・カーターのコーナーへキックアウトがありました。つまり

3Pでスペースを広げ、そのスペースを自分で使う

という形がメインです。しかし、サトランスキー→ホワイトでよくわかなくなります。突然、全体がドライブ中心になり、キックアウトからホワイトの3Pは出ますが、インサイドはセルティックスディフェンスに囲まれるシーンばかりに。

しかも、その後ラビーン→サトランスキーの交代でした。1~2分で再度交代するのは何なのかと思ったら、8人ローテのブルズなのですが、インサイドの交代は
マルカネン → サディアス・ヤング
カーター  → ガフォード
とポジションが決まっているけど、アウトサイドの3ポジションを4人で回すエマージェンシーみたいな状況です。何かに追い込まれているのかボイレン。プレーオフじゃないんだぞ。

ってことで、サトランスキーかラビーンが交代すると共にオフェンスが悪くなったブルズ。あっという間に逆転されて28-30と2点ビハインドの1Qでした。

ブルズのオフェンスは3Pをしっかりと打つのでキックアウトして広げることも、そもそもプルアップ3Pで引いて守ることを許さない形も出来ています。しかし、そのスペースの使い方はラビーンの個人技次第って感じなので、効果的に利用できているとも思えませんでした。この組み合わせの悪さが論理的とは感じにくい理由になっています。

◉踏ん張るリムプロテクター

ダニエル・ガフォードは2巡目指名のルーキーセンターで、見た目は運動量系統で、スキル的には低い感じですが、カンターが嫌がるほどにガツガツ体をぶつけながらファイトし、ゴール下での高さで奮闘しています。

そのインサイドに困ったのか、アウトサイドでミスを連発したセルティックス。スティール速攻が次々に出てブルズが逆転します。ヴェンデル・カーターに交代してもタイスのダンクをブロックし、そこからカウンターでマルカネンのコーナー3P。

ディフェンスからリズムを掴んだブルズですが、どっちかっていうとミスから失点したセルティックスです。

そのセルティックスはワンスクリーンを使ってジェイレン・ブラウンがキャッチ&シュートの3Pを決めます。これをラビーンでやれば良いのに、1on1でワンドリブルからのプルアップ3Pを打つラビーン。でもファールをもらいます。チームオフェンスするよりも個人技で打った方が効率が良いんだ、といわんばかりのプレー。

そしてスマートはブラウンのワンスクリーンシュートのパターンを連発。要するにブルズディフェンスはガードを増やしたのに1つのスクリーンにも対応できていないって事で狙われていきます。

こうして個人の対応に任せるシーンが攻守に発生するブルズなのですが、例外というか、ドライブに対してはヴェンデル・カーターが素晴らしいフォローをしまくります。コースを切るヘルプに、パスを出されて一瞬遅れてもタイスをブロック。

ある意味、ブラウンの3Pパターンはセルティックスがカーターの待ち構えるインサイドを攻め切れないから生まれたパターンでもあります。セルティックス的にはやっぱりビッグマンの弱さが目立つね。タイスが決めておけばボコれそうだったのに。

・・・・・・

ブルズのオフェンスで1つパターン化されているっぽいのがドライブに対して逆サイドのコーナーで合わせる形。両サイドからコーナーへのキックアウトが目立ち、そこに立つことが多いマルカネンが正確に射抜いていきます。

前回の対戦(去年の2月!)でラビーンとマルカネンで77点を奪っているのですが、どうも相性が良いらしい形でスマートに読まれた時以外は気持ちよいほどにキックアウトパスが決まっていきます。

ということで前半は52-55と3点ビハインドになったブルズ。イージーにやられる場面と、やらせない場面がハッキリしていました。

一方で早々に11点とったラビーンは17点止まり。途中からはダンとホワイトのドライブが織り交じった形に変化していきました。ドライブ&キックアウトは機能し始めたので、ガードが多い構成そのものは意味があったというか、序盤にタフでも関係なく打ちまくっていたラビーンへの警戒が強まり、動かなくてもただの囮になっている状況は良い変化を生み出しています。

ラビーンが空けたスペース
→他のガード陣がドライブ
→コーナーにキックアウト
うん、否定するほどじゃないよね。ただ一番上の「ラビーンがスペースを空ける」って部分が強烈に個人技ってのが気になる。そこが決まる前提みたいな。

◉チームオフェンス

後半になるとさらにラビーンを使うパターンを減らすスタートになります。トップからのピック&ロールという実に基本的な形がここにきて増えるのですが、やり慣れていないからかスムーズなプレーにならず確率はいまいち。なお、ハンドラーはダン。サトランスキーでもないのは突破力重視っぽいなぁ。

しばらくするとウイングで立っているだけでオフェンスに参加していなかったラビーンが、オフボールスクリーンからのキャッチ&シュートの3Pが出てきます。前半にブラウンが経っていた形みたいな。このプレーを連発しているなら何の否定もしません。

「PGのピック&ロールを使いつつ、ウイングではオフボールスクリーンでシュートチャンスを作る。」

どういう心変わりかわかりませんが、チームオフェンスが回転し始めたブルズ。そしてハンドラーがサトランスキーになると、マルカネンやカーターにもアシストを決めてどこからでもアタックするので、素晴らしいオフェンスになっていきます。でも、ダンからカーターへのアリウープパスは雑。慣れていないんじゃなくてダンが雑なのか。

これで度々2点差まで行くのですが、そのたびにセルティックスのドライブに崩されて失点します。あと一歩なのに守れないんだ。前半はカーターが止めていたのですが、ことごとくカバーできないようにポジションを外されているので、セルティックスの細かい狙いですね。

ちなみに3Qはお互いに良い内容ですが、得点自体はそんなに伸びません。理由はトランジションで打っていくパターンが減ってハーフコートを作るので時間が消費されていったこと。また、ハーフコートではちゃんと形を作って攻略するのだけど、お互いに3Pではなくインサイド攻略が多かったから。大きなリードを奪いにくい戦い方だから嫌がるチームもあるよね。

良い感じだった3Qでしたが、1Q同様に
サトランスキー→ホワイト、
続いてラビーン→サトランスキー
の交代と共にオフェンスが決まらなくなりました。あと、ここにきてビッグマンを3人構成にして形が悪くなってしまった。

そしてカンターのポストアップ1on1でガフォード、カーターがたて続きに&ワンを決められてしまい始めて二桁ビハインドになってしまい73-85で3Qが終わるのでした。オフェンスが良くなったらリードを広げられてしまったという悲しい結末。

ただし「チームオフェンスが機能して良くなる→悪くなったらとめどなく悪い」という構図はあるあるです。そんな時はエースの1on1を混ぜましょうは鉄則ですが、ラビーンのアイソレーションはなかったよ。こういうゲームメイクは難しいよね。だったらラビーンがタフでも打ち続けている方が楽なんじゃないかってね。

爆発力には欠ける堅実なプレー構築
チームとしての機能性がなくなると得点が止まる

こういうのが嫌いだから個人ベースにしていくのは、フィズデイルなんかは好きなやり方でしたね。ちなみにホイバーグは爆発力があるチームオフェンスを好み、機能しなくなると全く得点が取れなくなっていたよ。その反動が大きすぎるようなボイレン型。

◉個人の戦い

4Qもカンターのポストアップに押し込まれるセンター陣。一方でブルズにも狙い所があって、ワナメイカーがスピードについていけないから、ダンとサトランスキーが振り切って決めていきます。

すると嫌がったのかゾーンにしてきたブラッド・スティーブンス。これがピンポイントで効いてジャボンテ・グリーンが連続スティールから速攻を生み出すのでした。うーん、一発屋みたいな見知らぬ選手を連れてきて、一芸を成功させてしまうブラッド・スティーブンスマジック復活みたいな今シーズン。

それでもサトランスキーが今度はグリーンを突破して&ワン。4Qになってからワナメイカーとグリーンのところばかりを攻めているっていうか、突破できない中でボールを回した結果、そこが突破出来てしまうような感じだな。

いずれにしても、ここまでこれたので、久々にラビーンの個人技タフ3Pで5点差にします。終盤まで使ってこなかったパターンなので、これは良いよ。

さらにサディアス・ヤングが速攻に走りまくり。ここで働かなきゃ役立たずでしかないので、ヘルプでプレッシャーをかけ、マイボールになっての走り出しで差をつけていきます。ちなみに速攻のパターンはサトランスキー任せです。

ところがこの時間帯に15-2のランで圧倒したのに、逆転まで到達できないのがこの試合のブルズ。ワンポゼッション差になってからガフォードがオフェンスチャージしたり、サトランスキーがレイアップ外したり、ダンが不要なファールでヘイワードに&ワンくらったり。残り5分で6点差。

スマートに1on1を仕掛けられたマルカネン。しっかりと守っていたのですが、スマートが強引にファールを貰うためにボディアタックしたことでファールコールされた上に倒れこまれて左足を痛めます。スマートが悪質なのか、自分からぶつかってもファールコールされるルールが悪いのか。

ラビーンで連続得点も、アフタータイムアウトをブラウンのジャンプシュートで決められ、さらにラビーンはスマートにブロックされてしまい、残り2分半で7点差と変わらず。

ラビーンにはダブルチームされ、マルカネンがコートにおらず、苦しむブルズですがカーターがオフェンスリバウンドをねじ込んで&ワン。いいね。段々とヴェンデル・カーターのチームに見えてきたよ。

ただ得点した後に返されてしまう展開が変わらず、テイタムがドライブジャンプシュート。今度はラビーンがテイタム相手にドライブでゴール下をねじ込む。

ここでダンのディフェンスがテイタムを追い込むのですが、ショットクロックがなくなってムリヤリ打ったようなテイタムの3Pが決まり、またも点差を縮めさせてもらえず残り1分7点差のまま。守れなくて苦しんでいたけど、守ったと思っても決められてしまった。

が、調子に乗ったテイタム。ボールを持ちすぎて、ディフェンスが2人いるところにドリブルして奪われます。本日はセルティックスの回じゃないから良いけど、プラスなのかゼロなのかわからんぞ。

このカウンターでオープン3Pを狙ったラビーンですが、本日5/8と高確率だったけど、決まらず試合も終了したのでした。

◉プレーオフじゃないんだから

好調セルティックスに対して接戦を展開したのだから、ブルズが悪かったとは言えない試合でした。敗因は

あと一歩の場面で必ず失点してしまった

ということです。リードトラッカーを見るとワンポゼッション差まで行った時間が多いのですが、全て同点にもできませんでした。

それを「闘志が足りない」といえば間違いではないかもしれません。ただセルティックスはアフタータイムアウトでのプレーを成功させるなど、チームとしての細かい工夫もあってのリード死守って感じでした。まぁテイタムといいブラウンといいジャンプシュートを決めるから、ブラッド・スティーブンスマジックなんだけどね。

ラビーンは35点と爆発したものの、マルカネンは結局15点止まり。というのも、ほぼシューターと化していたのでキックアウトが来なくなったらシュートシーンが減っていきました。シューター的役割だったらマルカネンである必要はないので、3&Dを連れてきましょう。というのがマルカネン好きな管理人の悩みです。

同じことはヴェンデル・カーターにもいえますが、前回のジャズ戦に続いてカーターの評価が上がってきています。どこにでも顔を出すハードワーカーとしての能力が上がってきたことと、その中でリバウンドやブロックという結果を残してきました。器用なタイプだと思っていましたが、それよりもハードなタイプとして結果を残しているわけです。

正直、カーターがいなかったらボッコボコだった気がするディフェンス面なので、ラビーン頼みと思いきやカーター頼みな気がしてきたこの2試合。ということはラビーンと仲間たち路線にしたいのか。

それだとやっぱりダンは違うよねー。ってことで、ブルズの問題はロスターと戦術のミスマッチです。まぁこれはホイバーグからボイレンにHC交代した時点で分かっていたことだから、そろそろ動いた方が良いと思うけどね。

あとコビー・ホワイトの個人技が減っていたのが気になりました。たまたまな気がしますが、3ガードになったことで個人技パターンが減ったのは事実だと思います。ホワイトはホワイトで個人でも得点できる能力が売りだと思うので、路線変更されるとミスマッチっていうね。

8人ローテで戦うプレーオフみたいな形を採用したブルズ。だけど、プレーオフじゃないんだからチームとして強くなるための戦い方だって大切なんだけどね。ボイレンもクビの危機でプレッシャーをかけられているのかどうか。

◉ラビーンの回だったはずが

主旨が変わってきてしまいましたが、ラビーンに対して思うのは途中で出てきたようなスクリーン利用でのキャッチ&シュートが増えたら、どれだけ安定して得点できるのかってことです。

前日に観たサンズはブッカーのためにオフボールスクリーンを増やしてきましたが、そんな環境ならばブッカーくらいの得点になるのかもね。ただPGまでやっているブッカーに比べると、ドライブからの展開は苦しそうだから、今の形で十分なのかもね。

ラビーン1強体勢が続くブルズ。続けようとしているブルズ。ってのが他の選手だけじゃなくてラビーン本人にも苦しい気がするのでした。

もう少し守れれば、それだけで大きく改善するのですが、それって選手を入れ替えれば良い話なのかがちょっとわからなかったよ。

ブルズ観察記” への4件のフィードバック

  1. お疲れ様です。

    ダンはちょっとチームに恵まれていない感じもあるので、見捨てないでくださいw
    対人ディフェンスは一級品なんで。

    ブルズは結構負けてますけど、そこまで点取られてるわけでもないんですよね。
    勝っても負けても接戦。スティールは1位だし、上位ともやり合える。

    ラビーンはよくやってますよね。あとは良き指導者に…

    シボドーがきたりして。

    1. 個人的にはダンを見捨ててはいないです。
      連勝しまくっていた時はダンがPGでしたし。

      ただ選択肢が少ない中でプレーを構築するタイプのPGじゃないので、ブルズだと厳しいですね。
      ディフェンスについては、スクリーン1枚で簡単にはがされていたので、そんなに。これもチームとしての守り方も問題でしたが。

  2. 今シーズンのCHIはタレントは揃ってたはずなのに、ポーターとハッチソンが長期離脱したところから色々狂い続けているなぁという印象です。HCも微修正が得意なタイプではないので。2人が戻って来ればウィングも埋まって程々に勝てると思いますが、ロッカールームで不満が募っているという話もそれなりに厄介で、ロスターにはポテンシャルがあるのに何かもったいないなぁっていう感じです。

    1. ただ「ロスターは良いけどチームとして機能させないだろう」というのも予想通りなんですよね。
      ボイレンの良し悪しではなく、ロスターと合わないHCとわかりきっていました。
      非常にもったいないし、ラヴィーンがスターになるほどに問題が積み重なっていきます。

      あぁホイバーグ!

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