ラプターズvsマブス

流行の先端を行く試合

強いよねマブス。ドンチッチがいなくなったらダメだと思っていたけど、全然そんなことなくチームとして戦えています。不思議な要素がいっぱいありますが、ハーダウェイが不調も癒えて絶好調です!って話は驚くし、深い事情を知らないと物事はわからないってことを示してくれます。

ラプターズも強いです。ちなみにシアカムがいません。いなくてもしっかりと戦えているわけですが、当初のラプターズは7人ローテで問題ありだったのが、シアカムとガソルがいなくて5人になっても大丈夫なんだから観察しないとね。

◉ストーリーは静かに始まる

ラプターズのスターターにはマコーとイバカが加わっています。マコーについては注目すべきではありますが、ある程度慣れているメンバー構成です。それよりもシアカム→マコーなので明らかにビッグマン不足なのが目立ちます。

先手を取るのはラプターズですが、その得点はトランジションのみ。イバカ以外が運べて打てるメンバーなので、個々で勝負をかけたいのかな。

早々にタイムアウトになったマブスはパスミスが目立ちます。ドンチッチに頼っていた部分でミスが出ている状況と捉えたくない内容です。ボールを回してはミスになる。ポルジンギスのマークがマコーなので、そこを使えば良いと思うのは素人考えなのかな。

5分が経過してやっとそのポルジンギスがファールを貰ってフリースローでチーム初得点。完全にラプターズディフェンスの術中にはまっています。

ハーフコートになると個人能力不足もあってシュートが決まらないシーンはあるものの、素晴らしいチームオフェンスで見事にインサイドアウトを行ってシュートチャンスを作るラプターズは、快調に点差をつけていきます。若干エースムーブを任されたアヌノビーの物足りなさがありつつも、チームとしてやることは当然ってばかりのプレーぶり。

基本的にはディフェンスの強さを活かして1Q残り3分の時点で18-6と大幅リードのラプターズ。極めて順調なオープニングです。

しかし1Qは20-17と低調に終わります。なぜかタフショットをチョイスしていたラウリーと、たまたま決まったような3P+ゴール下の強さの違いでオフェンスリバウンドを重ねたマブスによって試合は動き始めたのでした。

1Qと2Qの間にデロン・ライトのトリビュートが流れました。今となっては戻ってきて欲しいだろうに。

◉撒いたエサ

2Qになるとマブスはラウリーのパスからセンターのブシェイが目立ちます。ホリス・ジェファーソンは個人技で続きます。この状況はマブスがインサイドにカバーを用意していない状況が浮かび上がってきます。ブシェイなんだからパウエルに任せておけよ。代わりにアウトサイドからの得点がなくなったラプターズ。

逆にマブスは簡単に3Pを打っていきます。もとい、「簡単に」打たせてくれる相手じゃないけど、ラプターズの網に引っかかる前に早めに打ちたい気持ちが感じられます。1Qに組み立てようとして失敗したから、ベンチメンバー中心ではアグレッシブに打っておかないと、攻略も何もなくなってしまう。

これでラプターズが3点リードのまま時間が過ぎていくと、マブスはゾーンにスイッチします。でも一瞬で辞めました。何かを変えたいけど、手順には戸惑っているのか。

しかし、オフェンスの方は明確に変化します。ハーダウェイがミドルを決めると、そこからパスアウトでボールを動かすように。パウエルを含めて3Pラインの外に5人が構えることで、1on1が5か所の状況を作っていきます。するとパウエルにフィニースミスも3Pで点差とギャップを生み出していきます。

すると次第にラプターズディフェンスが後手を踏み始めます。後手っていうかチェイスするゾーンが広すぎるから追いかけきれない。序盤の3P打ちも効いてきて3Pラインの1m前まで追いかけさせています。

面白いことにこの時間のマブスはそこまで早打ちをしません。それよりも繰り返しディフェンスをチェイスさせてギャップを何度も作りだそうとしています。エサを撒くだけまいて回収している時間帯。

2Qは最後にポルジンギスがブザービーター3Pを決めて51-42とマブスが逆転します。ラプターズは1Qに続いて低調に終わってしまったオフェンス。見事にアウトサイドを封じられたのでした。

◉ブロンソンとヴァンブリード

ラウリーとの見事な合わせからダンクに行ってミスしたイバカ。カウンターから数的優位でブロンソンが3P。今度は離されたのでミドルを打ってミスになったイバカ。逆にインサイドへの合わせを成功させるマブス。

そしてラプターズは、いやラプターズというかヴァンブリードがブロンソンに振り回され始めます。ノンスピードのドライブという自分の得意技で隙間を作られてしまったり、ポストへのヘルプに行ってフリーのシュートを打たれたり。次々に決めていったブロンソン。

そしてヴァンブリードの積極性はオフェンスでもマイナスに。2人のディフェンスの間を抜けた見事なドライブはレイアップミス。ピック&ロール気味のパスはスティールされ、強引なドライブは決まるわけもなく、フリーで打った3Pも決まらず。

その間にもブロンソンが行って得点を稼げば、ポルジンギスは3Pライン2m後方からの3P。フリーなのにさ。ノロノロ歩いてオフェンスへの参加が遅れたと思ったら、カウンターになったアヌノビーの速攻も止める。ツキもあったぜマブス。

これで気が付いたら25点差。理由は点が取れないラプターズなのですが、それは前半から同じか。そして、このアヌノビーが止められたプレーでレフリーに猛クレームしたニック・ナース。前半からアヌノビーへのコールが厳しいので、わざと切れた感じ。タイムアウト明けはアヌノビーをPG役にしてヴァンブリードをウイングに回していました。わざとだね。

タイムアウトでもどうにも止めることが出来ないラプターズ。マブスはもう組み立てる必要もなく、2人くらいでイージーレイアップに持って行きます。とにかくアウトサイドにパスを出せば追いかけてくるディフェンスをみてスキがうまれています。そこを逃さないし、カッティングを忘れないし。

85-55まで広がった3Q終盤。いやー、なんか気が付いたらって感じでした。ブロンソンのプレーメイクと3Pこそ目立ちましたが、本当にいつの間に!

〇3Qのマブス
2P8/14
3P6/13

うん、まぁそこまでじゃないよね。3P6本は多いけど、半分以上は外しているし。FG52%なので、この程度ならあるある。オフェンスリバウンド5つは多かったくらいです。

マブスの3Qは35点。うん、そこそこですね。それに対してラプターズは21点。これで1Qから20点、22点、21点です。シアカムがいなくて低調なオフェンス、いや組み立ては出来るから低調なフィニッシュ力としか言いようがないのでした。

〇3Qまでのヴァンブリード
FG2/13 
3P1/7
1アシスト
3ターンオーバー

うーん、やっぱりここかな。PGの乱調が特に響いていた気がします。86-63と23点差で4Qに突入するのでした。

ここ最近の逆転チームは全て守れない前半から、後半になってディフェンスを強めて追いつきましたが、ディフェンスはそこそこだけどオフェンスの問題が大きすぎるパターンは初めてです。

◉フルコートプレス

ADを酷使してでも意地を見せたヴォーゲルに対してシーズン当初を7人ローテで戦ったニック・ナースは4Qに普通にベンチメンバーを起用しています。何でだよ。どうしてだよ。難しいぜ。

理由の一つはフルコートプレス。プロではなかなか見ないレベルのフルコートプレス。運動量で上回ってのハイプレッシャー勝負です。ラプターズもまたディフェンスを強めた。

そのベンチメンバーの中で普通にプレータイムを得ているホリス・ジェファーソンはPFだけどPGも守るタイプですが、このディフェンスでは自分の良さを活かせるとともに、オフェンスに切り替わるとリバウンドに奮闘します。なお、SGよりも小さいPFです。

このディフェンスの面白い所はRHJがトップからプレッシャーをかける代わりにラウリーがフロントコートに戻ってカバー担当になります。なのでパウエルからテイクチャージも。

ベンチメンバーの3人がバックコートからプレッシャー担当なのでスタミナも残っているし、ラウリーは少しサボりながらもその読みの良さで危機を早めに察知する。

それくらいマッチアップ無視なのでマブスがフロントコートに運んできてもスローダウンさせるわけにいかず、ハイプレッシャーを続けます。なのでイージーに突破されるシーンもありますが、センターのブシェイが広い範囲をリムプロテクターとして走り回ります。

現在、ウィンターカップが開催されていると思いますが、そんな高校生顔負けのフルコートプレスを実行しているラプターズ。たまにフルコートはみるけど、ここまでのプレスディフェンスを延々と続けるのはお目にかかる機会はとても珍しい。

さらに切り替えるとテレンス・デイビスとラウリーが3Pをヒットし、一気に盛り上がる会場。4分で93-83と10点差にします。13点も縮めたよ。

タイムアウトのマブスは堅実にボールを運んでから、止まってスローダウンを選択します。この戦略自体は成功するも、ラウリーがタフな3Pを決めてしまうのでラプターズの勢いは止まらず。ヘジテーションの連続からフローターも&ワン。ワンマンチームになって成功するラプターズ。

それでもマブスがスローダウンを選択したことで追いつくのに時間がかかっていきます。フルコートプレスは無効化されているものの、パスすらもリムプロテクトするブシェイのディフェンスは躍動し、困っていくマブス。こんな時にドンチッチがいれば。

残り5分半。タイムアウトあけのオフェンスで、ボールムーブからゴール下に飛び込むRHJに完璧なパスが通り同点。ディフェンスから動き始めた4Qですが、ラプターズのオフェンスが止まらなくなって同点となりました。

するとメンバーは変えないものの、遂にフルコートプレスを辞めたラプターズ。凄い決断だぜニック・ナース。普通はこれをするならスターターに戻すのに。マルコム・ミラーの3P決まってないしさ。しかし、ラウリーの3Pは止まらない。

RHJとブシェイが起用されているので、マブスもポルジンギスにパウエルを加えて良いラインナップなのですが、フルコートプレスの余韻があるからか、スモール勝負になっています。これでラウリーの3Pを止めていれば良かったのですが、打たれるし、リバウンドをRHJに取られるし。

しかもマブスはダブルスクリーンをかけられると、ラウリーにショーディフェンスだけでスイッチしないので4Qで4本目の3Pを決められてしまいます。意地でも止めるべき部分に手を出せていないのは、そういう戦略なんだよね。フィニースミスを信じろ。

次のディフェンスは即座に切り替えてダブルどころかトリプルチーム気味に仕掛け、守り切るのですが、ここでオフェンスリバウンドがRHJ。あっちをとれば、こっちが取れず。

マブスはポルジンギスの3Pがエアボール。ラプターズも1人全くノレていないミラーの3Pが決まらず。ちなみにミラーは2スティールなのでディフェンスでは貢献していたよ。でも外すからヴァンブリードと交代。ヴァンブリードも決めてないぞ。

残り1分半。ラウリーはパスを出さずに自分で強引にでもドライブに持って行って、ターンからのレイアップで106-102と4点リードに。

マブスはブロンソンが同じく超強引にドライブして、ラウリーを吹っ飛ばしながらのレイアップ&ワンで1点差。ラウリーが当然いこうとするものの、ガマンして守るマブスの前に苦しい3Pになってしまいます。リバウンドはポルジンギスが抑えるも、またもRHJとヴァンブリードが絡み、ラプターズボールに。

4QのRHJのオフェンスリバウンドは2つなのですが、ポルジンギスのルーズボールファールなんてシーンもあって、実質5つかな。しかし、そのRHJのドライブはポルジンギスがブロック。

残り35秒。マブスはゴール下に飛び込んだポルジンギスが見事なフェイクでブシェイを飛ばしてファールドローのフリースローで逆転。

残り26秒。2FOR1のラプターズはラウリーがドライブからブシェイに見事なアシストを通し、ダンクで1点リードに。見事だわ。ここまで1人で決め続けたのに、そこでパスするのかよ。

マブスのラストオフェンス。カリーがブロンソンにスクリーンに行くも、何故かボールをキャッチしたブロンソン。それでもポルジンギスとハンドオフをするとヴァンブリードが何故かポルジンギスにダブルチームに行ってしまい、空いたのはブロンソン。十分な体制でミドルを打つも、これが決まらずラプターズが30点差からのチーム史上最大の逆転劇を果たしたのでした。

◉大逆転が流行しているぜ

さて、この2週間で何度目の大逆転だろうか?あっちも大逆転、こっちも大逆転。今日のサンダーは大逆転じゃないよね?

3Q残り2分32秒で85-55の30点差でしたが、そこから僅か9分後の4Q残り5分30秒で95-95の同点になっていました。

この試合も結局はフルコートプレスというディフェンスから始まっています。まぁ大逆転にはディフェンスもオフェンスもよくないとダメなので当然といえば当然ですが、全チームが「アグレッシブなディフェンス」を意図的に打ち出して、逆転に繋げたのが共通項です。レイカーズは逆転できなかったけど、方針は同じ。

これは当たり前のようでいて、2年前ならば「トランジションを増やして3P連打」が通常パターンだったと思います。3Pではなくてディフェンスが主流になったことで生み出された大逆転ショーの数々・・・ってのは偏った見方かもね。

まぁいずれにしてもディフェンスが良くないと勝てない今シーズンは、単にディフェンスが良いといっても、アグレッシブにボールを奪いに行く事を求められています。それが3P時代ってことでもあります。奪いに行かないと3P打たれちゃうからね。スパーズが守れないんじゃなくて、ディフェンスの進化に追いついていないのか。

さて、シアカムがいなくて20点に抑えられていた3Qまでのラプターズ。それがドンチッチがいなくてプレスに止められてしまったマブスの4Qでした。だからまぁ、どっちも言いっこなしだね。

シーズン当初のラプターズの姿はどこへやら。時間と共に使える選手を順調に増やしていったニック・ナース。さすがは優勝監督。ただし、必ずラウリーかヴァンブリートはコートに残すんだけどね。シアカム抜きでも勝っています。

本日の主役は4Qだけで20点のラウリーだけでなく、

〇ブシェイ
21点 4ブロック
得失点差 +24

でした。ちなみにスターターのイバカは△25です。その差は49点だってさ。別のチームじゃん。

パートル君が去ってから寂しかった日々もありましたが、こうして次の走力系センターが登場してしまう育成のラプターズ。育成メソッドで勝負するNBAで唯一の特殊系チームです。育成されるのがドラフト指名選手だけじゃないんだもん。

昨シーズンの優勝チームは大逆転勝利の波に乗り遅れることなく、独自の強さを磨いているのでした。

ラプターズvsマブス” への4件のフィードバック

  1. 好調なベンチメンバー4人とゲームメイカーで大逆転、そのベンチメンバーを信じ続けた骨のあるHC、そこにはキーマンRHJ。
    何かと去年のネッツ対キングスを思い出す好ゲームでした。

  2. ここまでFMVPを失ったとは思えないほどの好成績を収めているラプターズですが、管理人様は今季のラプターズがシーズン中に優勝に向けた補強に打って出ると思いますか?

  3. ブーシェは昨シーズンからガベージタイムにちょいちょい出始めてはいたんですが今シーズンプレータイム多めにもらえてます。機動力に加えて3Pも打てるので伸びると面白い選手になるんじゃないかと。

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