20171216 バックス vs ブルズ

負けないクリス・ポール。
それよりも驚異的に負けないのはミロティッチ。

3勝20敗のチームに復帰すると4連勝。勝率1割のチームを4連勝させています。

 

『エース』のマルケネンが休んでも勝たせてしまうミロティッチは、雨降って地固まるならぬ、土砂崩れして政府が抜本的な地盤工事する、くらいの勢いでブルズを改善中。

まぁ基本的にはミロティッチ本人が悪いのですが。



こちらも好調なバックス。

何故かちゃんとやる信じられないブレッドソー加入から、何故かエネルギー溢れるヘンソンにより全く違う雰囲気のチームになっています。



◉個人技に移行しているバックス

シュートが好調なバックスが飛び出します。外から効率よく決めていきます。少し変わっているのはアウトサイドをボールムーブさせてシュートを狙い、同時に広いスペースを構築しているのでアンテトクンポとブレッドソーのドライブ力を活かそうとしているところ。

開幕当初はアンテトクンポに渡して個人技打開から展開するのがオフェンスの半分だったので、スタッツが下がってきたのはやはり戦術変更によるものです。

これが極端になるとロケッツなのですが、そもそも連携で勝負していたチームなので、あくまでもフロアバランスをとりながらバランス良く攻めているレベル。

バランス良ければアンテトクンポを止められないだろう?

そんなバックスの好調なシュートでリードを奪います。なんか左利きの見慣れないシューターまで決めるし、と思ったらお気に入りのゲイリー・ペイトンjrでした。いつの間にかスターターに!



◉ブルズとミロティッチ

プレシーズンのブルズは『高速パス交換+スクリーンコンフュージョン』と名付けたパス交換とスクリーンを連続する形で3Pを連打するプレーをしていましたが、開幕すると全く。

その理由はミロティッチとマルケネンがキーポイントになっていたからです。外から狙えるビッグマンはスクリナーとしてシューターとして、そしてマークが緩いのでパス交換の中継役として機能させていました。

だからミロティッチ復帰でそんな形かと思ったら、バックスの個人ディフェンスに苦しめられてそんな場面は訪れず。

代わりに各自のプレッシャーが強いのでヘルプが遅くなり明らかに勝てるポイントで得点します。それはヘンソンvsロペス。地味に得点を繋いでいくブルズ。

半分がセカンドユニットになってくると盛り返し始めます。バックスの弱体化に対して、そこまで落ちないブルズ。

目立つのはクリス・ダン。ペイトンとブレッドソーのディフェンスから解放されると、つまり個人のディフェンス力が弱まると抜けるし、キックアウトで3P決まるし。

つまりブルズは戦力としては弱いですが、ちゃんとオフェンスを構築できるチームです。そしてダンは成長が期待できるので、ブレッドソー程度は軽くいなせるようになるでしょう。未来ではなく、この試合の中での話。

1Q後半に一気に盛り返したブルズ。両チーム30点を超えるハイスコアでブルズが3点リードします。

◉バックスのスターターは止められないので

バックスがペイトン使っていたのはベンチのクオリティを落とさないためです。そのベンチもスターターと同じようにボールを回してコーナーからシュートを決めていきます。

しかし、スペースとってもドライブするのはブログトンだけなので差が生まれません。

2Q開始からアンテトクンポが加わるので、あっさりと逆転します。アンテトクンポは少しローテーションが違うので、割とセカンドユニット同士の対決の中で稼ぐところがあります。

ブルズもヌワバやポーティスらのベンチ陣が活躍していきますが、やはり戦力はバックスが上です。
さらにミドルトンが戻ると3Pで点差を広げて行きます。



アンテトクンポ、ミドルトン、ブレッドソーが揃うとディフェンスはどうしようもなくなるブルズ。仕方ないから3Pを打たせて落ちるの待ちになります。

そして落ちた3P。

その間にダンがブレッドソーを攻略しドライブを決めると、ホリデーのミスショットをミロティッチとロペスが押し込み追いつくブルズ

なお、ダンがブレッドソーを攻略したのは成長したからとかでなく、試合開始直後はブレッドソーが気合い入れて注意していただけだと思います。

最後はファールでベンチに下がったダンに代わり出てきたグラントが見事に3Pとファールを引き出してまたも逆転して前半を終わらせたブルズでした。



◉ブルズは強いのか?

バックスを全く止められず3Pが外れる事を期待しているディフェンスなので別に強くはありません。

では、その分オフェンスはどうなのかというと、これもまた微妙でロペスにやられ過ぎているヘンソンという感じ。

しかし、開幕当初から離脱者が多く、またスターターで全く活躍できない選手がいたりして、多くの選手が起用されてきました。
そこでダンやヌワバが台頭し、更にミロティッチも復帰した事で層が厚くなったのが大きな要因です。

最後に打ったグラントも何の迷いもなく放っており、時間とともに選手達が成長してきたとしか言いようがありません。その要因がプレータイムを貰えていたというだけです。

また、マルケネン慣れしていた所にミロティッチが戻ってきたので、ダンのみだった崩す役目にミロティッチが加わり効果的になりました。大切なのはマルケネン慣れしていた事。

正直、ミロティッチなんて積極的に行ったところで効率悪いだけなのですが、よりシューター系のマルケネンは基本がキャッチ&シュートなので、ボールが回るだけの時間もありました。
特にバレンタイン、ホリデー、ロペスとドライブで力を発揮していたとは言い難い中でのミロティッチは周囲を楽にしてくれています。

チーム全体が積極的に外から打ちますよ、という構成なのでミロティッチレベルのドライブでも効果的というわけです。単純にまだマルケネンよりはミロティッチが上とも言えます。

リードしたのはミドルトンとブログトン以外に3P打たせるという消極的ながら理には叶っているディフェンスをして、その3Pが落ちたからというだけでした。



◉中学生みたいなディフェンス

変わらずにバックスにアウトサイドから打たせるブルズ。中学生のバスケみたい。次第にミドルトンまで外しはじめます。
そのためリードを奪えたブルズ。ミロティッチが躍動したと言えばしましたが、そんなに見事というわけでもありません。

仕方ないのでブログトンを出してきてPGをやらせますが、ボールを回してもシュートが決まらないだけなので、あまり効果はありませんでした。

そこで珍しく展開を早めて行き、ディフェンスが隊形を整える前にアンテトクンポとヘンソンのスピード&高さで得点して行くバックス。アンテトクンポの3Pも決まると盛り返す雰囲気に。



ブルズはバックスのディフェンスに手を焼くのですが、それだけプレッシャーをかけてくれれば1番勝てるポイントのセンターにボールが渡り、しかも単独勝負に持ち込めます。

バックスに流れが行ったのを個人で取り戻すロビン・ロペス。お前は昨季までのブルック・ロペスか!?

ロペスのポストプレーなんてそこまで警戒するものではないのですが、フックシュートが上手くてヘンソンとソンメイカーには止められません。しかし、遅いので誰かしらヘルプに行けば簡単に止められるはずです。

3Pの威力でそうさせないブルズなのか、そんなディフェンス設計をしていないバックスなのか。多分、後者です。

そんなわけで何とも言えない3Q
相手を攻略しようとか粉砕しようとかそんな雰囲気が皆無の両チームでした。



◉ブログトンとブレッドソー

4Qも変わらぬ立ち上がり。
攻めきれないブルズですが、基本的にはインサイドヘルプが弱いのでポーティスがギリギリで個人の勝負を制して決めると、オフェンスリバウンドからねじ込みます。いろいろと細かくダメなソンメイカー。

バックスはブログトンの価値をなくすような個人勝負ばかり。ボールを持って出しどころに困るブログトンなんてあまり見かけない気がします。

ブレッドソーにジプサーがマークした時なんか、ジプサーはただただ下がって行くだけなのですが、ジャンプシュートは出来ないブレッドソー。

膠着状態が続き、タイムアウトでアンテトクンポが出てきます。



タイムアウト明けはブレッドソー前のセットでチームで崩せたバックスですが空けられたのはそのブレッドソーで外れます。
そうなると次のオフェンスではアンテトクンポが無理矢理速攻にして&ワン。結局こっちの方が効率的というプレー。

ブルズがアンテトクンポのディフェンスの隙をついて2本決めると、セットオフェンスでブログトンが2本ドライブを決めます。
更にブレッドソーの速攻失敗からブログトンのアシストでミドルトンが決めて逆転したバックス。

うーん、やっぱりブログトンだよね。



ダンとミロティッチが戻ってきても好調なポーティスで加点しますが、勝負所になって自分でドライブしたダン。

面白いのはブログトンのマークをポーティスにしたホイバーグ。まぁバックスがノーセンターだったのでミロティッチと同時起用するには、アンテトクンポの対応等を含めて選択肢がなかったとも言えます。

そうなるとサイズがあるというブログトンの優位性はあまり活きなくなります。またブレッドソーがエアボールを放った事もあり、ミドルトン中心にしていくバックス。決めるミドルトン。

ブルズはダンがブレッドソーのディフェンスを嘲笑うプレーをみせて、ポーティスとミロティッチにアシストを通します。ダンのドライブについて行けなくて1回転するブレッドソーは味方のヘルプが遅いと文句を言うサンズ時代っぽい姿をチラ見せ。



◉ビッグプレーにビッグプレーを返す

ブルズが5点リードを得た残り1分半でダンがブレッドソーとミドルトンを自分の所に引きつけて見事なパスをフリーでゴール下に飛び込むミロティッチに通します。

これで勝負ありかというプレーに対し、逆サイドから飛んできたアンテトクンポが完璧なブロック。そしてそのまま速攻に走り、止められた所を後ろからきたミドルトンの3Pに繋げ、ダンがファールしてしまいます。

このフリースローを3本決めたミドルトン。7点差になるはずが2点差に。

プレッシャーを強めたバックスディフェンスに苦し紛れで出したインサイドへのパスをミロティッチがオフバランスで受けて、タフショット&ワンを決めます。

お互いに決まったビッグプレー!

その次のオフェンスをコーナーでプレーに迷った挙句、意味不明の3Pで台無しにしたブレッドソーで試合が決まりました。



◉酷いバックス

◯3P
ブルズ 8/22 36.3%
バックス 9/33 27.3%

ブルズはアンテトクンポの事は非常によく守りました。主にヌワバ。しかし、それ以外は守っていません。ひたすら外から打たせただけです。アンテトクンポも同じと言えば同じ。

平均24.4本のバックスに33本打たせ、賭けに勝った。ただそれだけです。まぁアンテトクンポに苦労するよりは確率が高かったと考えたのでしょう。

◯3P
ミドルトン 2/9
アンテトクンポ 1/3
ブレッドソー 1/5
ブログトン 0/4
バーン 2/8

ブレッドソーとアンテトクンポが入らないのは誰もが知っていますが、35%以上は決めている他の3人まで打たせているので、賭けに勝ったとしか言いようがありません。



しかし、開幕当初の分析時にバックスはもっと3Pを決めていたはずです。それは見事なチームオフェンスから生み出される効率的なシュートでした。

ブレッドソー加入からあまり試合を観ておらず、好調な結果と思いきや、この試合で見えたのは個人技頼みの効率のカケラもないオフェンス。

フロアバランスはしっかりと整え、アンテトクンポ、ブレッドソー、ミドルトンが勝負する土壌は整備されているものの、そこまでの3人ではなかったという事なのでしょうか。
更には流れがないから決まらない3Pという事なのでしょうか。

それを導いたブルズと考えればホイバーグは策士過ぎます。

少なくとも、試合開始直後はドライブからボールムーブして3Pを決めていたので、初めからインサイドを固めて、ドライブだけは許さずに外を打たせるスタイルに切り替えているので、作戦だったのでしょう。

まぁ策士という以上に下手すぎたバックスということかな。なんで勝ててたの?



◉ポーティスとミロティッチ

◯ポーティス
27点 FG9/16 12リバウンド

◯ミロティッチ
22点 FG7/16 8リバウンド

活躍した2人。元々ブルズはミロティッチとマルケネンの特殊性で機能させようとしていたので、ある程度活躍するのはわかります。ミロティッチだって別に効率が良かったわけでもありません。

しかし、やはりというか献身的になっていた2人。これまでならば顔を出しそうにないゴール下の激しいシーンにもミロティッチが現れるように。

バックスはロペスに粉砕される程度のインサイドなので、そこに2人が参加すれば優位に立てます。4Q終盤はそんなにオフェンスは良くなかったですが、この部分で優位に立てました。

◯ロビン・ロペス
18点 FG9/14
6オフェンスリバウンド

そんなわけで勝因はロペス。最後はポーティスが好調だった事とスピード対応から出番がありませんでしたが、3Qまではロペスがいなければどうにもならなかったはずです。

1番のポイントはこうやってインサイド陣が活躍しながらもエースはダンだった事です。

◯クリス・ダン
17点 FG7/12
7アシスト

ちなみにホリデーも7アシスト

こうやってレポート書いていてダン、ロペス、ミロティッチ、ヌワバ、ポーティス、ホリデーと名前が出てくるのは開幕後のブルズでは考えられない状態です。

地崩れしたブルズですが、結果的に献身的なPFと全員が活躍する強く補強された土壌になってしまいました。

なお、開幕後に活躍していたバレンタインだけは蚊帳の外でした。



◉ホイバーグとキッド

とちらも中々の戦術屋ですが、チームオフェンス徹底からアンテトクンポが無双できる事に勝機を移していったキッド。

その目論見はこの試合では外れていますがチームの成績は上向いたので評価は難しい所。そしてそれを実行するためにブレッドソーが欲しかった事は理解できます。

このバスケをやるならばアンテトクンポがレブロンやデュラントクラスになる必要があります。それはオールラウンダーよりもスコアラーに近いので、本当に可能なのかどうか?

戦術を個人に寄せていくキッドでした。



HCとしての求心力は皆無じゃないかと疑いたくなるホイバーグですが、プレーオフでセルティックスを追い詰めた策略と、強く興味を引かされたオフェンスシステムは健在でした。

そんなシステムに全くついて行けない選手達だったわけですが、さすがに20試合も経過してくると個人が追いついてきます。
それがダンやグラントのガード陣から迷いがなくなっている部分だったり、ロペスにしっかりとボールをいれられる視野の確保だったりします。

ミロティッチの復帰は大きいですが、1つのきっかけレベルの話で、チーム全員がレベルを上げてきた事が連勝の要因です。

選手を戦術に寄せてきたホイバーグ

そして驚異の5連勝のミロティッチ。12月の月間MVPはとれるのか?

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