シクサーズvsキングス

逆襲のエンビードとホルムズ

前の試合でまさかの無得点に終わったエンビード。その汚名返上を目指してか、試合開始から積極的にアタックしていきます。マークはかつての同僚ホルムズ。高さというよりデカさで圧倒するエンビードは豪快にドライブダンクを決めれば、柔らかなミドルも決めてシクサーズにリードをもたらします。

ここからキングスのディフェンスはガタガタになってしまいます。基本的に1on1が全く止められない。シューター不足のシクサーズなので、しっかりとブロックを形成すれば止められるのですが、そのブロック形成の前にジャンプシュートを決められ、ドライブで簡単に抜かれ。

ただし、3Pの決まらないシクサーズ。一番信頼できそうなのがマイク・スコット疑惑あるしね。どう見てもシクサーズペースなのですが点差がそこまで離れない1Qに。

キングスのオフェンスはエンビードの高さにビビりまくり。ドライブしてもそこにエンビードがいると止まるしかないので、シクサーズディフェンスは3Pまでプレッシャーをかけることが出来ています。

唯一、ビビらなかったヒールドが10点を奪ったとき、キングスはまだ16点。タフショットばかり打っているようなヒールド頼みのオフェンスはそりゃあ止められるよね。たまにバーンズ。

そんな一方的なシクサーズペースの試合なのですが、1Q中盤あたりからエンビードが止まり始めます。ユーロステップのレイアップ外したり、決まらない3P打ったり。0点は出来すぎとはいえ、ラプターズが止めたようにエンビード対策ってのが固まっているのかもしれません。

エンビードの特徴は強力な個人技アタック。デカくて動けるから止められない。弱点はアウトサイドは打つ割に決まらない事、そして合わせのプレーが上手くない事。上手くないっていうかインサイドにいないんだもん。「3Pと合わせ」がひっついている弱点です。

そこに今シーズンはシューター不足になったので、これまでのように「エンビードにカバーを用意しにくい」なんて状況は生まれません。3Pはほっとけ。インサイド固めろ。エンビードがストレッチしたところで誰がドライブしてくるんだ?

そしてエンビードがいなくなると、ホーフォードのインサイドアウト、トバイアスのインサイドアウトなので、チームとしては良くなります。良くはなるけど、個人の突破問題もあるからそこまで強力ではない。それ以上にベンチにもシューターがいない。

ザ・ディフェンスチームって感じのシクサーズ。オフェンスだけ見たら上位とはとても思えないんだけどね。

◉ホルムズと自由

開幕してすぐに「こりゃダメだ」となったキングス。各自が勝手にオフェンスしている。無理。絶対ムリ。しかも自分勝手ってのがルーク・ウォルトンっぽいから、なおさらムリ。

そう思っていたら5割近くまで上がってきました。マジか。何でだ?

ってことで大きな理由は2つボグダノビッチがハイパーな活躍をしている事。ただし、スターターではなく6thマンなのでゲームトータルでの優位性を使っています。

もう1つがホルムズがスターターになったこと。これがキングスに良い影響を与えてくれました。特にビエリッツァ。

自分勝手なキングスでしたが、その中でも目立っていたのがデッドモン。だって何をしたら良いのか知らずにポジショニングしていたんだもん。3P打てるからアウトサイドに出てきてボールをつなぐ役割をしているけど、繋ぐって事は時間がかかるって事で邪魔なんだ。

ホルムズはエンドライン担当であり、3Pなんか打たないし、そもそもオフェンスに強く絡むのはフィニッシュのみ。あとはスクリーンを一生懸命かけていきます。デッドモン時代は5人が打ちたがっていたけど、1人が徹底して地味役&アウトサイドのスペース構築してくれました。

これがビエリッツァに3Pを打つスペースを与えてくれ、適切な距離感のパスが増え、ヒールドが打つからディフェンスが広がり・・・みたいなね。ではそれはHCの調整なのか。結論は「知らない」なのですが、観ている限りの感想だと

ハードワークとインサイド担当のホルムズですが、前述のとおり、みんながエンビードの高さを警戒しており、ドライブしては袋小路になっています。本来はここでしっかりと合わせるなら機能するのですが、そういうわけじゃない。

スクリーンからフリーを生み出すプレーコールは当然あるのですが、徹底してヒールドに打たせるわけでもない。かといってエンビードをおびき出すためのデッドモン3Pでもない。微妙。

一方で自分勝手に打ちまくるわけでもありません。自重自重。開幕直後のような自分勝手さこそありませんが、だからといって何か明確な狙いがあるオフェンスにも見えない。大体そんな感じのキングス。

どっちのチームもオフェンスが微妙なので、ロースコアが得年と続いていきます。

◉何が良かったのか?

そして前半残り5分。シクサーズはオフェンスが全くどうにもならなくなります。ターンオーバーからのカウンターも食らって、トラブル。でもトラブルだからってポストアップでの1on1を成立させることも出来ていません。

4分近く無得点だったシクサーズは追いつかれてしまいます。でもさ、エンビードがいれば守れるわけじゃん。それをデッドモンが3Pラインまで引っ張るからインサイドが空いて、キングスのドライブフィニッシュが増えていきました。

ポジティブに言えば選手を使い方次第では十分に機能するキングス。ウォルトンの采配がズバリといえばズバリ。かといって、素晴らしいオフェンスってわけじゃないしね。

あまりシュートが決まらなかったキングスでしたが、それでも追いついたわけで、しかも本日はボグダノビッチの爆発もなく。

ちょっと難しいのは「キングスのディフェンスが良かった」のか「シクサーズのオフェンスが悪かった」のか判断がつない事。なお、キングスのオフェンスは明確にシクサーズディフェンスに捉まっていました。前半は-でシクサーズリードです。

ロースコアが退屈って事はないのですが、両チームに共通しているのが「相手の弱点を崩す」という視点が足りない事。唯一、デッドモンの存在はエンビードのディフェンスを薄めてくれたくらい。本日はホルムズを主役にしたかったのに失敗したね。これはこの試合を選んだ管理人の失敗。

◉サイブル・ハード

後半に再び飛び出したのはシクサーズ。でもヒールドとビエリッツァの3Pを食らい、バーンズが1on1ミドル。そして再び4分近くFGがなかったシクサーズ。

久ぶりの得点はヒールドの3Pをブロックしたサイブルが走った速攻。ディフェンスから。一番の得点方法はディフェンスから。さらに速攻のカウンターをサイブルが3P。ディフェンスから。アンストラクチャー勝負。

そしてサイブルね。忘れていたけど、この選手も素晴らしいハードワーカータイプのルーキーです。オフェンスで特別な才能はないのですが、若者なのでクレバーなプレーが多く、クレバーっていうか3P、ドライブ、パスの判断が適切っていう若者らしさ。現代らしさともいいます。

トバイアスもそうですが、特別ではなくても必要なプレーを迷いなく判断できるって大切。パスアウトをもらったら迷わず打つというだけのサイブルですが、それがインサイド側が強いシクサーズにはハマっている気がします。しかもディフェンスが良いから弱点にもならない。

トバイアスのパスアウトからも3Pのサイブル。これでリードを得たシクサーズ。エンビードが休んでいる時間にトバイアス、スコット、ホーフォードがインサイドアウトしてサイブルも3Pを決める。非常にバランスが良くなったことで二桁リードを得ます。

アレっ?ベン・シモンズ必要だった?ディフェンスの良いハードワーカーとしての活躍くらいだったね。

キングスのオフェンスはやっぱり個人技頼みで噛み合ってはいませんでした。ボグダノビッチがロング3Pを1本決めてくれたくらいで、あとはハイパーでも何でもなかったのが響いたかもしれません。そもそも、そんなに毎日ハイパーな選手ではありません。

フォックスとバグリーが不在という事情を考えればポジティブですが、特にこれと言って書きたいことがないオフェンスでもありましたよ。今度はシクサーズディフェンスはあまり関係なくね。

◉個人技勝負の時間

エンビードに対して積極的にダブルチームを仕掛けるキングスですが、ダブルじゃなくてトリプルで行ってしまうからサイブルへナイスパスのエンビード(ダンクをファールで止められてみんなから弄られる)

サイブルは再びヒールドをブロックするし、ドライブに対しては手を伸ばしてスティール速攻。わお!ハードワーカーたちが生み出す2点って4点分の価値がある。

さらに前半のお返しとばかりにデッドモン相手にミドル、3Pで加点するエンビード。これで16点差にします。やっぱり強力な個人がいると違うね。そして速攻の空気がなかった中で走ったエンビードと全く追い付いていなかったデッドモンで豪快なダンク。サイブルの活躍から、主役・エンビードの躍動で一気に試合を決めに行ったシクサーズでした。

先にキングスについて触れると「エンビードへダブルチーム」については悪いチョイスではありません。チームとして3Pがないからね。だけど、その結果がゴール下フリーってのは戦術的な大問題であり、トリプルチームしてしまったのはチームとしての判断ミスでした。

犯人はヒールドっぽいのですが、一方でファレルが積極的にダブルチームに行っているので、ダブルチーム担当はガードと決まっているっぽいので、判断に迷います。「迷い」って事は何らかのルールを感じにくいので、どんな指示が出ていたのか怪しさ満点。

せっかく前半は上手く守れていたのに、明らかにダブルチームで崩れ始めました。しかも続けざまにサイブルが3P。後手を踏んじゃったぜキングス。

そしてここからシクサーズオフェンスは、ボールムーブとランニングが向上し、気持ちの良いボール回しとポストアップを絡めた形に。きっかけを作ったのはサイブルですが、そもそも3Pを打てるビッグマンは多くいるわけで、テンポの良いボールムーブとポジションチェンジが増えれば打つことは出来るよね。そのためのプレーメイカーが足りないともいえます。

ところがテンポが良くなったら、カウンターも食らいやすくなり、キングスのオフェンスはトランジション勝負に。シンプルな形でシュートをポンポン打っていくと気が付いたら残り5分で7点差に。テンポは良くてもシュートが決まらず、またも2分半無得点で10-0のランを食らっていたシクサーズ。

チャンスがありそうなキングスですが、何故か勝負どころでもスターターがバーンズのみのユニット。ハーフコートになったらファレルとボグダノビッチの個人技頼み。

シクサーズもエンビード頼み。ダブルチームで追い込まれたり、かいくぐってフックを決めたり。それでもヒールドが登場すると合わせるようにサイブルを起用して、固く守っていく作戦なので、エンビード頼みは理解できます。時間を使ってミスの少なそうなパターンを使っておく。

基本的にディフェンスの良いチームに許される特権みたいなオフェンスですが、本日はサイブルが3P決めてくれているので怖さをはらんだオフェンスになりました。これで時間を消費していったシクサーズ。

キングスは3Pで追い上げたいはずが、ボール運びの段階でヒールドに持たせてしまうから「ヒールドだけは止めておこう」なシクサーズの強気ディフェンスを前に時間はかかるはヒールドはシュートチャンスがないわ。

ということで試合中はかなり危なかったけど、終盤は危なげなく逃げ切ったシクサーズ。基本的にディフェンスの良さがもたらした勝利ですが、最後はキングスオフェンスの拙さも目立ったのでした。

◉キングスは変わったの?

シクサーズについては、いろいろあるけどまぁこんな感じだよね。ファンもみんな分かっているさ。守ってなんぼ。ディフェンスから走るのが最高の得点パターン。

〇サイブル
15点 FG5/5
4スティール 2ブロック

目立ったねルーキー。ディフェンスからの速攻と3P。仕事的にはほぼそれだけなのですが、それが大きな差をもたらしてくれる要素でした。ビッグマンが多くて走力に課題があるわけですが、その中で気持ちの良い運動量。

ハードワーカータイプのルーキーがここにもいるわけで、ザイオンのケガもあって得点面では甲乙っていうメンツですが、面白くなってきているルーキーたちです。ウルブズのカルバー、サンズのケルビン・ジョンソン、キャブスのケビン・ポーターなんかもね。

シクサーズはちょっと固定化しちゃいそうなベテラン陣なので、若いパワーを積極的に混ぜたほうが良いよ。毎シーズンのように良いルーキーが登場しては消えていくけど、サイブルもどこかでベテランとトレードされたらウケる。

〇ホルムズ 
20分 3点 8リバウンド

〇デッドモン
23分 18点 6リバウンド

そんなシクサーズで頭角を現した1人であるホルムズはデッドモンの活躍によって出番が限られましたがリバウンドはとっていた。同時にデッドモンが長かったからか、開幕当初と大して変わっていない気がしてくるキングスでした。

まぁ細かい変化はいろいろあるし、意味わからない変化もあるのですが、それはそれとして、開幕時よりも良くなったことは、「シュートを自重するシーンが増えた」ということ。やっぱりヒールドやボグダノビッチに打たせようぜっていうね。

でも、まぁそれくらい。ヒールドをハンドラーとして使う考え方とか、どうにも理解に苦しむし、だからといって周囲が合わせてくれるわけでもない。

見方を変えればフォックスがいなくても、ヒールドとボグダノビッチというハンドラーがいて戦えている個人能力なわけです。バーンズもいるし、シューターのビエリッツァもいる。その意味では良い感じのはずが、システム的にはどうなのかね。

スクリナーとパサーとシューター。両チームに共通して足りていない事項。キングスにはヒールドっていう素晴らしい(スプラッシュブラザーズがいないので)リーグNo1シューターがいるけど、シューターとして利用していませんでした。わからん。

でも実はキングスに最も足りないのはスクリナーだと思います。「誰が」「どこで」「誰に」スクリーンをかけてフリーを作るのか。それが定まればコーリー・ジョセフから良いパスも出てくるはず。

5割に近づいてきたのに、未だに良くわからんキングスでしたが、この試合がたまたまだったのかどうか。そうとは思えないのはルーク・ウォルトンがHCだからかな。

シクサーズvsキングス” への5件のフィードバック

  1. チームの流儀が変わらないのは首脳陣が同じだからなんですかね。

    シクサーズの場合、PGが外を打てない、エースが使うインサイドスペーシングの為の外角を徹底できない、シューターが揃わない、ハーフの水準が低いから堅守速攻に尽きてしまう。

    あの頃と同じですよね。

    まあ、時期時代により部分的に成功したりもするけど、他所が不具合で揃わないような、この『タイミング』が合わないことが1番まずいのではと思っています。

    1. 2年前はシューターだらけで、今はシューターがいない
      というシモンズ&エンビードを中核にしつつ、一貫しているのか、いないのかってのがフロントの謎ですね。

  2. この試合に関係なくて申し訳ないのですがどうやらデローザンがラプターズ、ピストンズ、そしてロケッツにトレードされると言う噂があるのですがどう思いになられますか?ロケッツなんかは合う気がしないのですが、、

    1. ラプターズは幸せ・・・でも誰を放出する?
      ピストンズはまぁ・・・グリフィンとのトレードならやるべき
      ロケッツはサラリームリ・・・ハーデン、ラス、カペラの誰かを出さないと

      じゃないですかね。そもそもスパーズが何を望んでいるのか。スムーズで効果的なデローザンを出してまで、どうしたいのか?

  3. よりによって11月のキングスで1番見所の無いの選びましたね笑。キングスが1番変わったのはディフェンスですね。10月からは10点以上下げてます。でも殆ど個の頑張りだと思います。ホームズやボギーを筆頭に。出来る出来ないじゃなくやろうとする意識があります。ヒールドも下手なりに頑張ってます。
    オフェンスはズバリおっしゃる通りスクリナー不在による何がしたいの?ハーフコートオフェンスです。
    これはずっとキングスフォンは言ってますがジャイルズを使えてない弊害ですね。スクリーン後のポジショニングが1番ユーザー側に親切で尚且つハイポストでパスも出せる彼をウォルトンが使えてないのです。
    受け手としても出し手としてもビッグではジャイルズが1番なんですよね。
    んで、結果グッドパスを貰えないヒールドが自分でハンドラーになって無理に打つ。
    なのでここ3年で1番確率悪いしTOVも多いですが、それでも40%決めます。前の試合のボストン戦なんて12本決めて一人で勝たせかけました。
    バグリーが復帰したらハーフコートオフェンスはある程度は改善する、フォックスが復帰したらハンドラーは劇的に改善する、でもなにも変わらないHCを改善するのが1番だとは言っときます。知ってるでしょうけど。笑

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