サンズvsシクサーズ
本日はリアルタイムじゃない良さを活かして、ゲームレポートの中にブッカーのデータを入れ込みます。わかりやすくなるように背景の色を変えていますが、こういう書き方もいいよねってことでのお試しです。
◉オフボールムーブからゴール下のブッカー
試合が始まるとすぐにサンズの変化はわかります。ブッカーとウーブレイを両コーナーに置いてコートを広く保ち、ルビオとサリッチを中心にプレーを構築。そこにべインズも絡みます。
コートを広く保ったうえでビッグマン2人がトップのルビオと絡むので、インサイド側が広く、両ウイングがフィニッシャーとしてゴール下にオフボールで飛び込むシーンが頻繁に出てきます。スクリーンと裏パスも多いのでプリストン型のオフェンスを志向しているサンズ。
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ということで、1Q半分が経過したくらいで理解した気になったサンズの変化。試合後7試合合計のブッカーの数字をみてみましょう。
〇チームメイトのパスからシュートアテンプトと確率
ルビオ 4.6本 47%
サリッチ 2.6本 56%
べインズ 2.6本 56%
ウーブレイ 2.4本 71%
カーター 2.3本 43%
観てのとおりルビオ・・・と思わせてサリッチとべインズから有効なパスが通っていることがわかります。これがサンズ最大の変化になっていて、2人のビッグマンがゴール下に走りこむブッカーにアシストしていることが増えました。そこを空けているわけだ。
ちなみに昨シーズンはエントンからのパスで3.6本をうって40%でした。ビッグマンとブッカーの関係性がサンズに効果的なオフェンスをもたらしてくれています。
〇ブッカーのパスからの2P(3P)
サリッチ 2.0本(1.3本)
べインズ 1.1本(1.1本)
一方でブッカーのパスからはビッグマンが3Pを打つことが増えています。ここで逆転現象が起きているサンズのオフェンス。ブッカーがインサイドに、ビッグマンがアウトサイドに。現代では普通といえば普通。でも、サンズ的には効果的な変化でした。
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という1Q前半。スマートで現代的なオフェンスに変化したとともに、ブッカーがオフボールでインサイドに飛び込むのは、余計なボール保持を減らしてフィニッシュに専念させることにも繋がっていました。
ところが、ここからベンチメンバーが増えると意外な形になっていきます。管理人のお気に入りミカル・ブリッジスがスターターじゃないのは?って感じでしたが、スターターが行っているオフェンスを考えると納得でもあります。クレバーに動きシュートの上手いミカルですが、ゴール下へのオフボールとフィニッシュのイメージはありません。
シュートが基本プレーなので、ルビオのようなプレーメイカーはありがたいわけですが、ウイングのポジショニングで勝負したいわけで、ガードが崩しているところを有効活用したい。
ところがブッカーだけが残った形では昨シーズンみたいな内容で、ブッカーのアタックから構築されていきます。試合開始とオフェンスが違うんだよね。唯一、ゴール下を空けていることは同じ。
そしてブッカーは切り崩してはキックアウトを連発します。良い時のブッカー。自分で打ちすぎないでPG的に振舞える時間帯。それはブッカーがルビオと交代しても似たような感じなわけで、ハンドラーが崩してアウトサイトでシューターが待つ形です。
偶然なのか、狙っているのかわかりませんが、スターターが実行する両ウイングがオフボールで裏パスを狙うプリストン型とハンドラーが突破してキックアウトする形の2つを混在させているサンズ。ちょっと守りにくいね。
しかもルビオもべインズも3P決めていくから止められなかったハーフコートオフェンスでした。
それで終わると思った前半でしたが、2Q途中でスターターが出てきたと思ったら、そこからベンチメンバーを混ぜていき、ローテがよくわからないくらいになっていきました。試合開始6分はわかりやすいオフェンスだったけど、2つの形とそれが混在する形。決まっているのはインサイドを空ける事。
◉印象よりも点を取るシクサーズ
さて、ここでシクサーズ。ベン・シモンズとジョシュ・リチャードソンが反則みたいなスティールして速攻を作ります。ズルいくらいのディフェンス力。
とはいえ、ここまで無敗ってのは出来すぎです。そこまで明確に良いわけじゃない。ベンチが苦しいし、ディフェンスが成功しないと形になりにくいし。
本日はトバイアスが好調に攻め込んでいきますが、ハーフコートはそれくらい。あとはトランジションじゃないとさ。シモンズのマークがべインズだったり、つけ入るスキがあったけど、そんなにうまく利用できていません。
ディフェンスが良いのはわかるけど、でも無敗はね。
本日はエンビード不在のため、オフェンスではゴール下のフィニッシュ力に苦しみます。前半は9つものオフェンスリバウンドを奪いながら、セカンドチャンスは3点のみ。9つっていうけど、オフェンスリバウンド→ミス→オフェンスリバウンドみたいな。
1Qラストも2Qラストもホーフォードが3Pを決めてディティールで上回り、ちょうど6点リードで前半が終わりましたが、オフェンスはどうにもパッとしません。
トランジションキングのシモンズですが、ハーフコートになるとシューター不足なのでスクリナーになってセンターやって、みたいなのが限界。べインズ相手に3P決めれば良いじゃんってなるけどさ。それはそれで4人がアウトサイドに広がりすぎていて、シモンズのプレースペースがないよ。
こう書いていくとむしろ不思議なくらい得点を奪ったシクサーズ。ホーフォード、トバイアス、スコットのビッグマン達が正確なアウトサイドシュートで得点を奪うのが印象的でした。誰かペネトレイトしてくれる選手が欲しいな。それがシモンズじゃないのが寂しいな。
◉何がブッカーを変えたのか?
後半も正確なシュートでチームをリードするホーフォード。シモンズもまたもやスティールするし、持ち味を出せているシクサーズですが、ディフェンスはブッカーにタジタジ。慌てないブッカーはダブルチームに来られたら下がってロングパスするし。
「サンズが良い」よりも「ブッカー個人が良い」という場面が増えてきます。チームとしてプレーできているのも事実だし、著しく改善したわけですが、そもそもオーバーヒート気味にやっていくブッカー個人の問題も多かったわけで、スマートにプレーしているのが違和感あるし、成長したし。
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〇ブッカーの今シーズン
FG 53.5%
3P 50.0%
なんだこの数字は反則だぞ。非常にシンプルなシュートが増えたブッカー。実際に全シュート数をドリブル数別の割合にした数字が大きく変化しています。
〇ドリブル数とシュート割合
0ドリブル 22.9% → 28.3%
1ドリブル 11.1% → 17.3%
2ドリブル 11.9% → 12.6%
3~6ドリブル 30.2% → 25.2%
7ドリブル以上 23.9% → 16.5%
半分以上が3ドリブル以上だった昨シーズンに比べて大幅に改善したブッカーのスマートオフェンス。持ちすぎだったことと、それ故にスタミナ浪費していたことが伺えます。ただ、まだ3ドリブル以上が42%もあるわけで十分に多いです。
ここまでの試合の印象はそこまで多くなかったのに、数字は嘘をつかないわけで、ブッカーをフィニッシャーに専念させる時間と、ハンドラーやらせる従来のスタイルが混じっている様子です。それでも以前に比べればイージーに決めていくブッカー。
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ということで、ブッカーの正確シュートで徐々に追い上げていくサンズ。徐々に。
途中でサイブルが意味わかんない揉め方したり、べインズがクレームしたりと熱くなりそうな展開でも落ち着いているブッカー。
ルビオやジャボン・カーターみたいな落ち着いたタイプの選手がPGしていることが効いているのか、どうにもサンズがサンズらしくない。もっとこう途中でプッツンしてくれないとサンズじゃない。加えて言えば、サリッチやカミンスキーもメンタルがかなり怪しい選手だし、ウーブレイはすぐ切れるし。でも、全然崩壊しないのはなんでだろうか。大人になっているサンズ。
そしてディフェンスも良くなっているサンズ。ただこれは、この試合だけでは何とも言えません。シクサーズのオフェンスもよくわかんないからさ。ブッカーがディフェンスでも個人で頑張っていたのは事実だけどさ。
メンバー的にはミカルやタイラー・ジョンソンを混ぜて、緊張感をもって守らせている気もします。そう、管理人はサンズってすぐに崩壊するチームだとみているので、接戦を粘り強く戦えていること自体に驚きと違和感が隠せません。
さて、そんなディフェンスですが、ビッグマンがどうしようもないカミンスキー1人なのに成立しています。特徴としてはPGジャボン・カーターも含めて全員がゴール下までファイト出来ることです。小さい選手、ミスマッチな選手が生まれにくいラインナップです。
ビッグラインナップのシクサーズですが、エンビード不在で特別大きな選手がいないので、サンズの粘り強いディフェンスに苦労しています。ミカルとジャボンは優れたディフェンダーということもあって、オフェンスがそこそこでも問題なく戦えているベンチメンバー。
ここにブッカーはいないわけですが、そもそもこうやって粘り強いってのがサンズとかけ離れた内容。一体何がここまで変えたのか、全く分からないわけです。モンティ・ウイリアムスの人心掌握術が凄いのかどうなのか。
3Qは26-21と爆発したわけではないけど守り切ったサンズが取り返して4Q勝負です。なんだろう。不思議で仕方がないけど、こればかりは試合を観ていてもわかんないからな。ハワードと一緒。
◉世界一のPG
タイラー→ルビオ→タイラーと連続で決めていくサンズに対して、先に崩壊したようなシクサーズ。ミス連発でブッカーを休ませているサンズが4Q序盤に逆転します。
そこからじっくりと攻めることをチョイスするルビオ。ここはもうわかりやすい変化です。プレーメイクの部分ではなくゲームメイクの部分。
「ルビオが崩してアシストする」といったプレーメイクではなく、「逆転してリードを得たから慌てず、時間をかけて自分たちのプレーを組み立てるんだ」というチームへのメッセージにも見えてきます。そしてオフェンスミスから戻りが遅くなったシクサーズに速攻を食らわします。
ブッカーが登場しても、じっくり、しっかりのルビオ。言い換えればハーフコートでも得点が取れるという自信でもあります。
前半からゴール下にスペースを空けて、オフボールで飛び込むプレーが目立っていましたが、4Qになるとそのプレーを囮にしてアウトサイドが空くことの方が増えました。シクサーズからすると「わかっているけど止めにくい」ようなプレーです。
7点ビハインドのシクサーズは、ブッカーにシモンズをマークさせることで抑え込んでいきます。そしてコルクマズの3Pとホーフォードのミドル、シモンズのレイアップが外れたのをホーフォードがプットバックダンクで同点に。
で、ルビオ。速攻のチャンスでも決めきれないと見るや止めてハーフコートに。世界一のPGはスペイン代表同様に劣勢でも慌てずに、自分たちが最後に上回ると信じたゲームメイクです。
◉タフショット・ブッカー
終盤までほとんど点差が離れない大混戦、102-102の残り3分から抜け出したのはサンズだった。絶好調のデビン・ブッカーがマークするベン・シモンズをヘジテーションでかわしてジャンプシュートを沈める。ジョシュ・リチャードソンの演技が審判を欺いてブッカーに個人5つ目のファウルが宣告されるも動じず、アル・フォーホードをブチ抜いてのバスケット・カウントでお返し。残り1分にはシモンズとアル・フォーホードの2人がかりのマークをかわしてパス、これがケリー・ウーブレイJr.へのアシストとなり、109-103とシクサーズを突き放した。これが決定打となり、114-109でサンズが勝利している。
書くのがめんどくさいからコピペしてしまった。怒られるかな?
さて、この文面にある通り、ゲームメイクするルビオは終盤をブッカーに託します。これまでスマートなプレーをチョイスしてきたブッカーですが、最後に見慣れたブッカーに戻ります。
シモンズのタフなマークをもろともせず、タフショットを決めるブッカー。なお「タフショット・ブッカー」は「タフショット打ちすぎ」だけじゃなく、「タフショット決めすぎ」なブッカーという意味です。
接戦の試合終盤に登場した見慣れたプレースタイル。NBA史上8番目の若さで6000得点を記録したドライブ&ワンでサンズは再びリードを手に入れます。とはいえ4点リードで2分も残っています。
当然のように時間を使うルビオと、託されるとダブルチームに来られてパスを出すブッカー。そして守ってもルビオがテイクチャージにべインズがトバイアスをブロック。どうしても個人技なシクサーズに対して、リードを守り切ったサンズでした。
一応シクサーズについて触れておくと
〇FG
ホーフォード 13/20
トバイアス 10/20
コルクマズ 6/13
その他 13/36
こんな感じです。どうにもベンチが弱く、シクサーズが無敗だったのが信じられなかったのですが、まさかサンズが止めるとはね。
サンズのディフェンスは効いていたわけですが、エース達に対しては有効なディフェンスとは言い難かったわけです。だから、サンズディフェンスの評価はもう少し先にしましょう。ヒート戦も観る予定だしさ。
〇勝敗別ブッカーのFG
勝利 FG59% 3P63%
敗北 FG41% 3P18%
タフショットだけじゃないブッカー
とはいえ、その好調がチームの勝敗に大きく関係しています。いくらなんでも決めすぎの勝利と、いくらなんでも外し過ぎの敗北。エースの好不調がわける勝敗。
それはルビオをはじめとするチームメイト達との連携によるフィニッシュが増えたことでブッカーの確率があがっているのか。そしてそれは続くのか。時に出てくるタフショットと、基本のスマートショット。
ルビオがコントロールする試合終盤にはブッカーにタフショットを打たせ、ルビオ以外のパスから高確率で決める試合序盤のブッカー
なんだかちょっと面白い現象が起きているサンズでした。
ブッカー中心というより、ルビオ中心にチームを作っているように思います。MINでもUTAでもなく、スペインに近いような。スペインとの大きな違いはウィングがブッカーで、ルビオが無理にシュート狙わずに済んでいるのが大きいですね。それにベインズのスクリーンアシストがかなり効果的で、エイトンが帰ってきたら逆に不安になるレベルです。
スペインは今回のWCじゃなくて、ナバーロとルディ全盛期が近いかもしれません。フィニッシャーのウイングをルビオが使っていく形。そこにブッカーなのは分かりやすい。
あれだけタンクしまくったサンズとフィリーが首位争いしてて
しかもドラフト外しまくってて強くなった決定要素がそれ以外だったってのがウケます
タンクって難しいですね
指名権ばっか集めても再建は厳しいですよとサンダーに伝えたい
まあでもサンダーにはラスKDハーデンと言う実績がありますからねえ、、(^^;
あとプレスディは指名権を売って選手を集めるので、土台が固まり、チャンスを見つけたら大量の指名権でスターを捕まえに行きますからね。
あれをそのまま若手指名するとは限りません。
開幕戦から全試合見てますが、サンズの試合は大体こんな感じです。ブッカーがタフなレイアップを外したナゲッツ戦、ブッカーのキックアウトからフリーのコーナー3を外したウーブレ、いずれも1点差負けなのでファンとしては満足できる試合でした。
ご指摘の通り、急に粘り強くプレーするようになったその変化に驚いています。接戦の4Qではまるでプレーオフのようなインテンシティーです。モンティ、ウィリーグリーンありがとう!!
結局はブッカーなわけですが、勿体ぶった後でのブッカーなのがね。
しかし、本当にブッカーに何があったのか?
コービー先生に教えを頂いたのか?
ブッカーの負担が減ってるのはやっぱり大きいですよね。FG成功率もそうですが、余力をディフェンスに注げるようになったようにも感じます(ディフェンスが上手いかはともかく)。
なんというか、パスもわりと器用にこなすサリッチや、スクリーンがうまいベインズといった周囲のメンバーを見ると、「ブッカーが他のメンバーを引っ張るチーム」から「他のメンバーがブッカーの得点を後押しするチーム」に変化しつつあるように思えます。
エースは変わらずブッカーなんですけど、1から10まで全部ブッカーありきのプレーばかりの去年と違って、他の選手の起点や状況作りの上に成り立っているエースっていう感じが強まってますね。
エイトンは今季まだ1試合だけなので、オフと出場停止期間を経てどんなふうに仕上がってるかまだわかりませんが、元々判断力がある選手なので今のサンズにすぐ馴染めると思っています。
ただ、ひよわな筈のカミンスキーが好調ですが、エイトン戻って来たらPT減りそうで、その辺りはなんとも複雑な気分です。
カミンスキーはアレなので、エイトンを待ちましょう。
この形だと、本当はアウトサイドも打てるエイトンの姿が観れるのかどうか。そこを考えるのが将来へ続くかどうかの別れ道ですね。
私もサンズの試合は大体見れていますが、今年は明らかにディフェンスとブッカーの動きが違いますよ!
特に終盤のカーター、ミカル、ウーブレ、ルビオの殺しに行くスティールが素晴らしい。強豪との試合ではこれが決まるんですよ今年は!
ルビオにお願いしていた、エイトンのラジコンとブッカーの制御が正に的中している感じ。
今日勝てたのは、シモンズを封じきたこと。シモンズ全く3Pうたないよ!離れて守れば十分。その代わり、ホーフォードが若返りましたが…。
あと注文は、ウーブレかな。最近ドライブで切れ込む姿が見れてないような。3Pを待ちすぎてないかな…?
シモンズは3P打つべき試合だったのに、何でここで出さなかったのか不思議でした。
サンズはこれまでと違ってベンチメンバーの個性を活かしているのも印象的。
もう完全にHC時代だなー