停滞のインディアナ
問題の多いペイサーズ。ターナーがケガをした試合をサボニスのスーパーな活躍でやっと初勝利。でも、スターターがいなくなって勝ったのは皮肉だし、ペイサーズ問題を表しているような。
キャブスは結局ドラフト5位ガーランドをスターターに。セクストンとのコンボガードは機能するなら意味はありますが、どうなんだろうね。1試合ではなく3シーズンくらいかけて評価していく部分です。
そしてケビン・ラブ。秀逸なシューターはレブロンがいなくなってどうなるかと思ったら、やっぱりシューターじゃないかっていうね。対するはTJリーフ。ロンゾのチームメイトとしてUCLA卒、ラブはコリソンやウエストブルックとチームメイトだったUCLA卒。どちらもシューター系だし似ているのかな。
まぁリーフがファールしてベンチに下がったので、注目してみるほどではない。
◉異常に普通なブログドン
ペイサーズはブログドンによるプレーメイクが目立ちます。まぁでも、それってブログドン像じゃないんだよね。もっと周囲にやらせながら、つまりは普通のパスを出し、戻ってきたら普通のシュートを決めたり、普通のドライブをしたり。でも延々と普通の事をモンスターたちの中で出来てしまうのがブログドン。
特にペイサーズは前任のコリソンもそんなタイプ。周囲に任せまくるタイプのPGで構成されることでオラディポとボグダノビッチが主役としてプレーしていたねと。
それでもブログドンはしっかりとしたプレーを構築します。ここはさすが。だけどラムあたりがボールを貰うと、「さぁどうしようか」状態に。自分からプレーメイクする形がチームとしてない感じです。
要するに簡単に言えば、レブロン・ウエストブルック型のブログドンに。選手としての性格とか能力が全く違う事と、サボニスがいることで緩和されていますが、こんなにブログドンにやらせるなら周囲はどんな選手が適切なのかってね。
ペイサーズのオフェンスはブログドンにより的確なプレーをしている感じの中で、爆発力が生まれないようなプレーを繰り返しています。そりゃあ上手くいかないわ。
◉何しているのかキャブス
ラブのスムースなロング3Pから始まったキャブスのオフェンス。何が良いとか書きにくい感じです。ガード中心ですが、そのガードが若手だから強い印象を残せない。とはいえ、悪くもないし2ガードでボールも回すから、チームオフェンスが悪いわけでもありません。
しかし、この状況はキャブスの問題ではなく、ペイサーズのディフェンスが、いやオフェンスの終わり方が苦しいのか、カウンター気味のプレーが増えるので、空いた選手が生まれて打っていく感じ。
何しているのか、っていうかフリーランスに攻めていける状況が生み出されています。そこで得点できるなら良いことだ。
ベンチメンバーが増えてくるとハーフコートをラブのポストアップ中心にします。そこからの展開は楽しみなのですが、結果的にはペイサーズがダブルチーム気味に仕掛けてくるので、だったら誰かが空くよね、そこを使えばよいよね。ってことで何してんのかがまたわからない。
決して効果的なオフボールカットが出てくるわけではありませんが、3Pラインの外にバランスよく構えているので、パスが出ればそれなりに。パスを出せなきゃだめだよラブ。
ということで良くわからなかったキャブス。それはキャブスではなく主にペイサーズの理由ですが、基本的にはどこかの個人勝負を使うのが好きみたいです。フロアバランスと個人技の組み合わせかな。
◉ペイサーズのベンチ
苦しんでいたペイサーズですが、ベンチメンバーになると劇的に改善します。マッコネルとアーロンの小さなガードコンビを並べたことでディフェンスのカバー&ハンドチェックが激しくなり、スティールを生み出せば、ルーキーのビターゼが1人だけのビッグマンとしてリムプロテクトしてくれます。
オフェンスになると基本はマッコネルPGながらも、積極的にボールプッシュするアーロンがスピードに乗ったドライブから、どこにいてもお兄ちゃんを見つけるみたいでキックアウトのジャスティン3Pが効果的に打たれていきます。効果的に決まったわけではないよ。
さらにビターゼがインサイドでも奮闘。ミドルもあるので、捕まえにくく、それでいてマグダーモッドがカッティングをしてきます。
スターターと違ったのはPG2人設定なのでプレーメイクが複数になったこと、そしてマグダーモッドとジャスティンというウエストブルックやレブロンとも組めるタイプのウイングになったので、ドライブ→キックアウトという形が機能しやすかったこと。
これで逆転に成功したペイサーズ。なお、ジャスティンがラブのポストアップ相手のディフェンスでボールすら持たせない見事な守りをしていたことが印象的です。何をしているのかキャブスってのは、ペイサーズのディフェンス次第になっていたわけですが、キーポイントのラブを抑えられたら、本当に何をしているのかわからなくなりました。
そのジャスティンだけを残してスターターにしたペイサーズ。またもオフェンスが止まります。ディフェンスは機能し始めています。ジャスティン偉い。
サボニスが1人奮闘していますが、基本的にブログドンとサボニスの特殊な個人技頼みって感じ。特殊ってのは個人技なんだけどチームにかませるって意味ね。
でもキャブスのオフェンスも何がしたいのかさっぱり。ミスマッチ作って個人技アタックするのが精いっぱいで、それもガードvsサボニスにしてもむやみにドライブしてブロックされています。トリスタン・トンプソンが1on1仕掛けてミドルとか意味わかんないわ。
ということで急速にロースコアの試合になってしまいます。
ペイサーズは長くなったジャスティンからビターゼに。でもvsオスマンなのにボール貰えなかったりしてさ。サボニスとのツインセンターになったことで、ちょっとビターゼの使い方に戸惑いがある様子。ラムに至っては自分のプレーに戸惑いがある様子。
それでもとにかくオフェンスが全く構築できないキャブスと、ブログドン&サボニスのプレーメイクしかないけど、それ自体はそこそこ機能しているペイサーズなので、前半はペイサーズが42-37でリードします。
酷い試合だ。
◉わかってきたぞキャブス
後半も速攻のなんでもないパスをディフェンスに出すラム。ラムなんて自分で行くしか能がないのに、それすらも迷い始めたわけだ。
キャブスもどうしようもないの感じなのですが、誰かがドライブしたときに困ってもストレッチしているラブに出せばロング3Pを簡単に決めてくれます。優秀なシューターだぜラブ。一方のリーフは決まらず。
さて、このラブのプレーは何しているのか不明なキャブスオフェンスを少し解き明かしてくれます。
vsリーフにおいては全てストレッチしてのロング3Pです。一方でジャスティンなどが相手となるペイサーズのスモールラインナップに対してはポストアップです。要するにマッチアップの優位性を使っているわけです。
ガード陣も両ウイングに広がって、パスを繋ぐのでコートを広く使う意識がある一方で、時に長い時間ボールを持って移動しています。これも細かいスクリーンなどでスイッチさせてのスピード勝負です。
キャブスのオフェンスは形を作れていないけど、マッチアップをどうするかで成立させたい様子。プレーオフみたいなやり方であり、4年前くらいのイメージな内容ですが、そこそこ安定感を生み出してくれることがあります。なお、前半はターンオーバーが多かったので安定すらしなかった。
これをベースに考えるなら、セクストンとガーランドを同時起用する意味はあります。スピードのミスマッチを使える選手を増やしておき、そんなに形はないから渋滞もしない。
ただまぁ、ラブがストレッチしている時間は強いけど、ポストメインになるとインサイドが渋滞しがちで、ちょっと苦しいね。同じルーキーでもブルズのホワイトだと1on1からの3Pをメイン武器として使っているので、セクストンよりもホワイトが良いなぁ・・・。
あるいはトリスタンではなく、ビターゼならね。そう思っていたらナンスが出てきて3Pを決めました。これが出来るならラブの意味がよりはっきりと示せます。要するにインサイドコンビは両方ともストレッチ出来るようにしたいね。
TJリーフがバカみたいに外しまくったことと、そんなリーフが相手だからキャブスオフェンスも機能しやすかった3Q序盤に追いつきます。チームとして酷いペイサーズの中で、個人として酷すぎたリーフ。クビだクビ。
そうね。キャブスはペイサーズにラブを提供したらどうだろうか。見返りにグレートな選手はとれなくても多くのグッドプレイヤーを求めることが出来るよ。あるいはターナーを要求するか。
◉片翼のペイサーズ
リーフ以外もブログドンがシュートを外していき、ラムは何してんのか不明なペイサーズ。頼りはゴール下での強さを発揮していることだけ。
どっちも決まらないからトランジションも増えて速攻は出るけど、やっぱり決まらない。ペイサーズだ。これがペイサーズだ。ただし、「問題の多い」という意味のペイサーズだ。
前回の対戦ではキャブスが勝利していますが、想像するにこのトランジションがしっかりと決まったのだろうな。それくらいシンプルな速攻が増えていましたが、それすらも止めているゴール下の強いペイサーズ。でも個人力のあるエースがいれば決めている内容です。だから勝てないペイサーズ。
3Q終盤になりベンチメンバーにウォーレンが混ざるのですが、ビターゼがピックに行っても「えっどうするの?」みたいなウォーレン。ウォーレンが悪いのか、これをウォーレンに求めるビターゼが悪いのか。
そして前半に結果を出した気がするアーロンは出てこない。うーん、嫌われているのかな。昨シーズンのチームだとケミストリーとしては弱かったアーロンなので起用されないのもわかるのですが、ケミストリーがないチームだけど起用されないアーロンってのはかわいそうな。ラブでアーロン取ろうぜ。
前半のベンチメンバーが良かった理由は、ダブルPGになってプレーメイクに幅が出てきたことでした。しかし、今度はマッコネル1人体勢。マッコネルはブログドンと違いパスで動かしていくので3Pを打たせるプレーは機能していきますが、誰もドライブする選手がいませんでした。
ペイサーズはどうしても片側のプレーしか出てこない感じ。そこから両側のプレーが出てくれば爆発力もあるのに、パスで3Pしかないから、そりゃあキャブスだって慣れて簡単には打たせないよね。最後もピックからラムの3P。もうよくわからんぞペイサーズ。
ラストプレーの選択肢がジェレミー・ラム。ホーネッツファンに笑われるぞ。
◉スターター△3人
4Qの序盤もラムパターン。いまいちなペイサーズ。ただし、ラム自身はスターターに混ぜられるよりもやりやすそうです。もともとチームの中よりも個人で行く形で力を発揮するので、任せてもらえるわかりやすさがポジティブ。同じタイプのクラークソンよりは守れるし。さらにビターゼがゴール下で踏ん張り、何とかかんとかペイサーズ。
とはいえ、キャブスもラムがエースのチームに簡単に引き下がれないよね。こちらもルーキーのケビン・ポーターが3Pで対抗します。
ただセクストンとガーランドがペネトレイトを選択しすぎ。スピードのミスマッチで1on1っていっても動けるビッグマンからしたら、ドライブ警戒するだけならイージーだ。コビー・ホワイト連れて来いって。
そのうちマッコネルが見事なドライブ&フェイクから決めれば、マグダーモッドのカッティングに合わせるアシスト。遂にはビターゼの3Pも決まると、そのビターゼがペリメーターのディフェンスでラブから見事なスティール。それを速攻のサボニスがダンクでペイサーズが10点リードで残り8分。
このマッコネルとマグダーモッドの時間は機能します。パサーとオフボールムーブのシューターは相性が良い。シクサーズだってそれじゃん。そこにビターゼが決めてくれるなら効果は抜群だ。
一方のキャブスはサボニス&ビターゼになったのでラブを3Pラインの外に構えさせますが、共に3Pを打たせずターンオーバーを誘発されたことで、オフェンスの構築が難しくなります。かつてのラブは同じサイズの選手相手のポストアップなら決めていったわけですが、そこは志向されていないキャブスの事情。
完全にペイサーズの流れ。マグダーモッドがミドルもダンクも外して台無しになりそうでしたが、ジャスティンが登場したことでウイングが2枚になり、機能性が増します。
残り5分のペイサーズはブログドン、サボニス、マグダーモッド、ジャスティン、ビターゼ。スターターと3人違いますが、これが最も機能するっぽいわけです。願わくばブログドンがオラディポであってほしいけどさ。ちなみにその後でマグダーモッド→ラム。ラムが好きらしいマクミランHC。カムバック!オラディポ!
◉若手を伸ばそうキャブス
試合はキャブスが奮闘しようと頑張ってはいましたが、個人技アタックなので爆発することもなく、普通に終わりました。
キャブスを見直して考えると、オスマンの評価は難しいけど、再建の中心になるセクストンとガーランドの2人は合格点からは遠い内容でした。今シーズンも多くのルーキーが活躍している中で自由とチャンスがありながら、これくらいのプレーってのはどうもね。
チームオフェンスとしての形もないので、ロールプレイヤーたちがどうすればよいのか不明なのですが、その一方でセクストンとガーランドがスーパーな活躍をすれば機能するのも確か。だから、選手を育てるって意味では正解といえば正解だしさ。
でも、それだとナンスやトリスタンはどうすればよいのか理解できないでしょうね。だったら若手を連れてくれば良いのにね。どうしたいのかよくわかんないのはHCよりもフロントかな。GMは契約更新されたけど。
せめてここにウイングが1枚いれば・・・それはケビン・ポーターか。動きたいけど、動ききれないのかもね。
そんなわけで、どう捉えるかが難しいぜキャブス。「選手の成長が楽しみだ」という視点なら耐えられるかもしれないけど、ホークスやネッツみたいな再建チームの戦術的な方向性って意味では耐えられないな。
◉ビターゼとペイサーズ
ペイサーズについては、別途まとめるとして、まぁこんなところですよ。困ったね。一番困ったのはアーロンが否定されている事かな。どうにもプレーメイカーの価値が低いみたいです。サボニスがプレーメイカー出来るからかもしれません。
簡単に言えばバランスが悪い。バランスのよさこそがペイサーズだったのに、急激にHCの好みが出てきてしまったような。
ただ、本日はターナー不在によりビターゼがプレータイムを伸ばしました。インサイドの強さがあって3Pも打てるセンターですが、まだNBAルールに不慣れということと、3Pラインの外でプレーするにはアメリカンスキル不足が目立ちました。もう少し、スムーズにプレーできないとスピード全開のNBAでは難しいです。
とはいえ、多くは慣れの問題でもあるので、プレータイムを得て、きちんとスキルトレーニングすれば解決するだけの能力はもっていそうです。
ただし、TJリーフの惨状をみるとペイサーズの育成は大丈夫かな?となります。ハイスキルを持ちながら・・・なターナーの課題も含めて、ビッグマン達がアウトサイドのプレーを効果的に行うことが出来ていないよね。
ビターゼがペリメーターのプレーを構築出来れば、大きな戦力になるでしょう。ただ、ちょっとサボニスとの相性が悪いかも。そこも慣れで解決するのかもしれません。インサイドでの活躍が目立つサボニスのプレーエリアを邪魔しない形でビターゼを起用しなければいけません。
それが出来るのはターナーがいない今がチャンスなので、頑張って学ばせましょう。
マクミランの特徴というか、ペイサーズのコーチ陣はスターターを固定して慣れさせるのが常套手段なので、新チームとしては通常営業かと。ダンバーク御大に絶対的な信頼があるからDは大丈夫かな。多分。
時期的にも人員的にもこれから作ってく感が溢れてますから、とにかく経過観察です。
つまり、今シーズンもよろしくお願いしますのご挨拶コメントでした。
ほんと、ダンバーグすごいなー、という試合でした。