変革のブレイザーズとホワイトサイド

思い起こせば1年前。レブロンを加えたレイカーズ、AD&ホリデーでセカンドラウンドまで進んだペリカンズ、2年連続プレーオフを狙うウルブズといったチームがある中で、なぜかプレーオフ圏外と予想もされたブレイザーズ。今シーズンはそんな声は聞こえてこないぜ。

1年前の予想に管理人は反発していまして、「リーグ最強クラスのスターター陣なのだからプレーオフには出てくる」と評しており、キーになるのがセカンドユニットだと位置づけました。それくらい強かったスターターの5人と、底上げを目指していたセカンドユニット。

ホワイトサイドをはじめとして補強が進んだオフ。層の厚さがもたらされ、底上げに成功したような形はオーナーを喜ばせていますが、逆に気になるのがケガでシーズン全休の可能性が高いヌルキッチとハークレス&アミヌが移籍してしまったこと。つまり、「リーグ最強クラスのスターター陣」から3人も抜けました。リラード&マカラムが残っているから印象が薄いだけで、スターター3人変更はかなりのショックがあります。

◎3人の強み

スペシャルなダブルガードを支える3人ですが、この組み合わせがリーグ最強クラスになった理由はディフェンス力。PGへのキラーディフェンダーになっていたハークレス、万能すぎるアミヌ、コースを読むヌルキッチはマークマンへのプレッシャーだけでなくヘルプディフェンスでの機能性が高いことが特徴で、守れないと評判のリラード&マカラムを見事にフォローしました。

〇ブレイザーズのレーティング
オフェンス 113.7
ディフェンス 109.5

〇ヌルキッチ・ハークレス・アミヌのオンコート
オフェンス 117.6
ディフェンス 106.4

これだけ違った数字。オフェンスで+3.9、ディフェンスで+3.1と3人がコートにいるときにチーム平均よりも結果を残していることがわかります。そもそもレーティング差4.2はリーグ7位と高順位なわけですが、それが11.2まで広がります。

リーグで最もレーティング差があったのがバックスの8.2ですが、バックスのスターターユニットは5.7しかありません。各チームのスターター同士での戦いでは差がつきにくいものでトータルゲームで戦うチームが増えてきました。そんな中で明確にアドバンテージを作り上げているブレイザーズの他3人のスターターです。

その中でもディフェンス106.4は素晴らしく、オフェンス力とディフェンス力を共存させてしまうハードワークも含めて称賛に値します。3人が全員揃っている時間ってほぼスターター同士が戦う時間だけなのに、攻守に圧倒できているデータなのでした。

高いディフェンス力を構成していた3人のスターター

このディフェンスに関しては1年前の時点でもわかっていたことであり、「オフェンスのリラード&マカラムとディフェンスのハークレス&アミヌ」みたいな構図で成立させているイメージもありました。しかし、昨シーズンはここにオフェンス力が加わりました。ブレイザーズのスターターが進化した部分です。

〇アシスト/ターンオーバー率
チーム 1.66
3人オンコート 2.05

わかりやすいデータの変化がここでリラード&マカラム(とカリー)のシュート力を活かす方向性になったオフェンスではパッシングゲームを導入し、シーズン前半は酷かったものの、シーズンが終わるころには・・・ヌルキッチがケガするまでは・・・自分たちのプレーとして確立しました。

その結果、アシストを増やしたわけです。新たに起点役をインサイドのヌルキッチにもってきたことでディフェンスの死角を増やし、リラード&マカラムの3Pを警戒させながら、空いたゴール下も活用するチームになりました。

〇カットプレー
17-18シーズン 8.0(12位)
18-19シーズン 10.2(2位)

それはカットプレーのデータで明確に差が生まれていました。特にハークレスはカットプレーでのFG75%と高い成功率を記録しておりオフボールの動き出しに大きな進化がみられました。

ヌルキッチを中心に攻守に大いなる改善が施され、やっぱりリーグ最強クラスのスターターであることを示しました。キングス戦のヌルキッチは24点、23リバウンド、7アシスト、5スティール、5ブロックという秀逸なスタッツを残しましたが、ハイライトがアシスト中心になったよ。

攻守に効果的なプレーをしてカンファレンスファイナルへ進んでいただけにハークレスとアミヌがいなくなったことは大事件です。ただヌルキッチが離脱してからはオフェンス面でアミヌとハークレスの意味が薄くなってきたのも事実なので、キーマンのヌルキッチに全休すらも予想される中で2人に高額なサラリーを払い1シーズンを過ごすことに懸念があったのも理解できるのでした。

強力だったスターター陣を解体することとなったブレイザーズ。その変革がどうなるのかを注視していく新シーズンになります。

◎代役ホワイトサイド

最大の注目はヌルキッチの代役に指名したホワイトサイド。カンターと再契約すれば済んだ話だったのですが、サラリーキャップの関係もあってレナードとハークレスを放出する方向で獲得しました。結果的にカンターは格安でセルティックスと契約しているので、本当にそれが良かったのかは難しく、トレード下手なところをみせてしまっています。

それはともかくヌルキッチとアミヌがいない前提で考えた場合、ホワイトサイドを選んだ理由はわかりやすい面と難しい面があります。メリットとデメリットというか。計算と未知数というか。

〇リバウンド数
ヌルキッチ 10.4
アミヌ 7.5
ホワイトサイド 11.3

リバウンド面は2人を欠いたところを明確に補強できます。ホワイトサイドの11.3本はなんとプレータイム23.3分で獲得した数字であり、30分くらいプレーすれば13~15本くらいになります。2人分を1人で補ってくれそうな存在のありがたさ。マジックとそこそこのサラリーで契約したアミヌを残せない段階では理解できる補強でした。

〇ブロック数
ヌルキッチ 1.4
アミヌ 0.4
ホワイトサイド 1.9

ブロック数も同様で2人分を容易に稼いでくれます。ディフェンス力に優れたチームなのにブロックがリーグ16位だったブレイザーズに加わったリムプロテクターはディフェンス力の向上という名目だけでなく、アンソニー・デイビスにボコられた1年前のプレーオフ対策みたいなところもありそうです。

〇ダンク
ヌルキッチ 68
アミヌ 42
ホワイトサイド 151

ゴール下での存在感はオフェンスでも同じ。どうにもフィニッシュ力に欠けていたブレイザーズなのだけど、ホワイトサイドは押し込んでくれる能力の高さがあります。そもそもヒートがチームとして合わせるシステムではなく活かされていなかったホワイトサイドなのにダンク数は2人の合計を大きく上回ります。

ヌルキッチのケガ、アミヌの移籍を想定した中ではチームの組み換えは必須事項であり、そこにホワイトサイドを持ってきたことは数字的には理に適っています。オフェンス・ディフェンスともに優れたチームでありながら、ブロック力とゴール下のフィニッシュ力という基本事項が弱かったブレイザーズは明確な武器を手に入れました。

◎ヒートが手放した事情

リバウンド・ブロック・ダンクと極めて有能な存在感がありながら、ヒートが手放した事情はメンタルな側面を無視しても、数々の問題があったからです。ハードワークと運動量が売りのヒートではチームカラーといつの間にか合わなくなりました。「いつの間にか」ってのも大切で、そもそもヒートが見出した選手なのに合わなくなったわけです。

要するにトランジションの連続となってきたここ数シーズンで、相手よりもハードに走るようなヒートにおいては致命的に走れなくなっていました。でも走れないってのも表現が難しくて、ホワイトサイドはセンターとしてはそこそこ走れる方です。じゃあ何が悪いのか。

それはポジショニング。どのコースを走ってオフェンスに参加し、どこを優先的に防ぐディフェンスをすればよいのか。その判断の甘さと全体が動き回る中で細かくポジションを変更することが出来ませんでした。「走れない」というよりは「アジリティがない」といった方が正確な気がします。特にアデバヨがモンスターレベルに動き回るだけに対比がひどすぎた。

ブレイザーズはリムプロテクト能力が低いわりに守れていたのは、細かいポジショニングの修正と高速ヘルプがあったから。明らかにホワイトサイドが持ち合わせない部分です。

高いリムプロテクト能力と足りないアジリティ

どちらに転ぶのかわからない部分です。特にウエストはイーストよりも早いので、コートには出ているけど全体のスピードについていけず、画面から消えるシーンが多発する可能性すらあるわけです。

◎ポイントセンター

そしてこれらの能力からブレイザーズはホワイトサイドを「ゴール下に置く」のか「ヌルキッチの代役」にするのかで大きな分岐が訪れます。なんせゴール下は強いけど、ヌルキッチはそこではなくてハイポストからトップで起点として結果を残してくれました。

起点役になりゴール下のスペースを作ってカットプレーを促す。そこにアシストも通せば、リラードとのピック&ロール、マカラムへのオフボールスクリーンとヌルキッチの役割は数字には出てこない戦術的な役割が多かったのですが、ホワイトサイドってどれも出来そうにない。

ヌルキッチと大きく乖離した長所と短所

こう考えるとさすがにヌルキッチの代役はやらせない気がします。カンターはできるタイプでしたが、それでも得意のローポストアタックを優先させていたし、ブレイザーズは戦術を大きく変更させるのだと思っていました。

ところがホワイトサイドが「ポイントセンターになれる」発言をし始めました。ということは、ヌルキッチ路線を継続するのかどうか。確かにシュート力に欠けていたヒートに比べるとリラードとマカラムが積極的にアウトサイドから狙っていくブレイザーズだとホワイトサイドからしてもパスを出しやすくなります。インサイドアウト。

でもフリースローが50%にも満たないホワイトサイドがポイントセンターのポジションを取っても無視してカバーリング優先で守れられ、ドフリーにされるだけの気もします。そこからアタックしていく能力もないし・・・。

ここで忘れてはいけないことが、HCテリー・ストッツの存在。

そもそも昨シーズンのヌルキッチを中心にしたパターンも「何やってんだ」というシーズン序盤から始まりました。ヌルキッチのパスがカットされまくるので全く機能せず、企画倒れに終わる匂いしかせず、ターナーPGで誤魔化し始めることもありました。リラード&マカラムのシュート力を活かしたいけど、パサーとしては読まれすぎるヌルキッチ。

ところがこれを我慢して継続し、形にしてしまうのがテリー・ストッツの恐ろしさであり、チームを戦術的に成熟させていく素晴らしいところ。いつの間にかヌルキッチのパスは厄介そのものになり、さらにはハークレスとアミヌがカットプレーを増やしていました。そんなキャラじゃなかったのにね。

ホワイトサイドの弱点である細かいポジショニングの判断力は、細かく調整してくるテリー・ストッツの修正力で補えるのかどうか

ブレイザーズ最大の注目点がここです。シーズン当初は噛み合わないシーンが続出しても、シーズン中盤辺りでは形にしてしまうのは、この2シーズン連続で見せられているHCのスペシャルの能力です。成長させていくのが上手いテリー・ストッツと戦術的に成長しないホワイトサイド。どちらが勝つのかみたいな戦い。

ホワイトサイドがポイントセンターと呼ばれるスタッツを残すことはないでしょうが、その意識をもって変革を促されている可能性はあるだけに、どうなっていくのか楽しみでもあるのでした。

追伸:契約最終年のホワイトサイドは、これに対応できないと来シーズンのサラリーがミニマム近くになる可能性もあります。

変革のブレイザーズとホワイトサイド” への6件のフィードバック

  1. ポイントセンター的なことはガソルがやってくれそうな気がするのでわざわざホワイトサイドがやる必要もないのかなと思います…
    といはえガードはコントロール系よりシューター系が多いので、やっぱりインサイドよりの選手がそういう役割をしそうですね
    コリンズとかそういうの上手くやってくれそう

    個人的にはインサイドはホワイトサイドに任せるよりコリンズとトリバーで守らせた方が安定しそうな気がします
    どっちもインサイドも守れてシュートも打てるハードワーカーなので…

    あとはプレイオフでも思いましたが、ドレイモンドかイグダラみたいな選手がいてくれたらいいんですけどね

    1. ホワイトサイドよりもイグダラ取りたかったですね。今からでも、、、なのですが、そうするとセンター連れてこないと。
      結局はスプラッシュブラザーズに見立てた方向性にしたのでウォリアーズの選手がハマるんですよ。ルーニー連れてきたかった!

  2. ATLで安定して二桁得点を記録しながらも存在感が薄れてきていたベイズモア
    ヤニスを跨いだりクラッチタイムでレブロンをブロックしたり何かと話題になるヘゾニャ
    オフに獲得した二人の役割はどういったものになると思われますか?
    あと今シーズンのスタメンはリラード、マッカラム、ホワイトサイドは確定として、SF、PFは誰が入るのが効果的だと思うかお聞かせください

    1. ベイズモアはよくわからんです。
      ヘゾニャはストレッチ4に徹すれば改善しそうですが、性格的にムリでしょうね

  3. 自分は今シーズンの世間のPOR評は過大だと思ってますね。
    普通にPO圏内を争うグループだと思います。
    盛大にSACやGSWが失敗したら可能性は高くなるとは思いますが。
    それだけフロント3人の貢献はでかかった。個人的にはリラード、CJがいようともチーム解体レベルの状態だと思います。

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