ペリカンズの200点なオフ

ザイオン他のルーキーで100点、イングラム・ロンゾ・ハートとチームへの相性で30点、ホリデー残留で20点。残りの50点は何か。

前回の続きです。ヤングコアを揃え、それが他のチームで経験を積んできてくれて花開きかけており、ペリカンズのオフェンスに合いそうな上に、不足部分は全てホリデーが補ってくれそうなのでした。

しかし、ここまでの補強には1点だけ大前提があり「ザイオンがインサイドで獅子奮迅の大活躍をする」ってことになっています。まぁAD、ランドル、ミロティッチ全員いなくなったしね。それくらいインサイド陣に不安があり、かといってザイオンには中核を担ってもらいたいから強すぎる選手を加入させても意味がない。ザイオン以上にヘイズにもプレータイムあげないとね。

◎フェイバーズの獲得

そこで獲得したのがフェイバーズ。なんという完璧な補強なのか。まるっきりザイオンに与えられそうな役割を代役としてこなせる上に、ザイオンと同時にコートに立てば違う役割を担ってくれます。未知数なスーパールーキーがどんなプレーをしても役割を変えて対応してくれるベテラン。オールラウンドな選手は多くいますが、分業化がすすんだ現代では違う専門的な役割をこなせるってのは貴重すぎます。

エースとしてのプレー
ロールプレイヤーとしてのプレー

フェイバーズはどっちも対応してきました。ゴベアーが圧倒的なフィニッシュ力とは逆にロールプレイヤーよりのプレーになっているのに比べるとフェイバースの方が個人でのプレーメイクまで対応できました。ただ、ジャズは周囲にプレーメイカーを増やしたし、スーパーエースがいたからね。

PFとしてのプレー
センターとしてのプレー

インサイドフィニッシャーとしてのプレー
コーナー担当としてのプレー

さらにフェイバーズはこれらの対局的なプレーのどちらも対応可能です。コーナー3Pの確率には不安があるのですが、ジャズではゴベアーとの共存も、代役センターとしてもプレーしてきました。非常に特殊だったフェイバーズの存在。

ザイオンは「主役・PF・インサイドフィニッシャー」を行くでしょうから、代役時はそのまま、同時起用ならばフェイバーズが「ロールプレイヤー・センター・コーナー担当」になるわけです。センター+コーナー担当っていう役割をこなせる選手自体が多くないし、しかもユニットによって柔軟に役割を変えるとなると殆どいません。

ペリカンズオフェンスではインサイドの選手はキーポイントになるので役割としての重要度が高く、そこがルーキーのザイオンに任せっきりになると安定しそうになく、結果的にイングラムとロンゾも苦しみそうだったのですが、フェイバースによって安定感がもたらされそう。チーム戦術が迷走しそうになった時には修正担当になりそう。

ザイオンがケガなどで活躍できなかったときは当然として、暴れまわったときでもその陰でフェイバーズが暗躍していそう。それくらい貴重な存在を見事にゲットしたペリカンズでした。+20点のフェイバーズ。

◎JJレディックとプレーオフ

フェイバーズと共にFAで獲得したのがレディック。ルーキーシーズンからプレーオフを逃したことがないシューターは、さっそくザイオンに「俺が13年連続プレーオフに行けるかはお前次第だからな」みたいな発言をしたとかなんとか。

このレディックに関してはポジティブな言葉を並べることが出来ます。まず第1にザイオン(フェイバーズ)を中核的なプレー構築するならばアウトサイドから決めてくれる選手は必要不可欠です。次にロンゾとイングラムが3Pに不安が大きいこと。ホリデーもか。そう考えるとレディックの獲得は理にかなったものでした。

実際にプレーオフに向けて勝利が必要ならば、強力なシューターはディフェンスを広げプレーを楽にしてくれた上で、ラストプレーでの選択肢にもなってくれます。リーグ屈指のシューターが加入したことは、接戦を勝ち抜くためには重要なことでした。

プレーオフに進むためには重要なレディック。しかし、バトラーでプレーオフに進んだウルブズと若手で逃したナゲッツの翌シーズンなんて例もあります。単年ではなく将来まで見据えた時に、シューターとして強烈な存在感を放つであろうレディックが正しいのかどうか。言い換えれば

3年後にもレディックが必要なオフェンスシステムをしていることになっては意味がない

ってことです。光が強すぎるレディック。実際、ペリカンズにはムーア、フランク・ジャクソン(21歳)、ダリウス・ミラーなんて選手もいます。ベテランが足りていないので、その意味でも価値のあるレディックですが、若手のプレータイムを削ることに繋がってしまうのではないか。ハートがいつ復帰するのかわからない面はありますが、ポジション適性がSGしかないレディックなのでプレータイム配分は考えてしまいます。

勝利に向かっては価値のあるレディックだけど、チームつくりの初期段階に本当に必要なのかは疑問が残る獲得だったので、±0点ってことで。

◎突然のビズデリック

残りの30点はこれ。なんとディフェンス担当ACに前ロケッツのビズデリックを雇いました。昨シーズン開幕前に引退しながらロケッツが窮地に陥ったことで復職したわけですが、シーズンが終わって引退ではなく新天地にやってきたのです。驚き!このニュースが飛び込んできたため、ペリカンズへの期待値は大きく膨れ上がりました。最後に飛び込んできたACに30点もの価値があるのはなぜか。

まず大前提としてペリカンズは組織だったチームディフェンスの面で課題があります。この課題ってのは難しくて、オフェンスへの志向が強いうえに、それがトランジションを中心としているからディフェンスにスキが生まれるってのが挙げられます。ディフェンス問題じゃなくてオフェンス問題であり、クリス・フィンチがナゲッツでも抱えていた問題。

いずれにしてもADとホリデーがいるわりには課題があったというディフェンス組織。ここに明確なメスがはいります。

ロケッツもまたオフェンス型のチームでしたが、そこにダントーニがやってきて、よりラン&ガンが強まった割にはディフェンス面も改善させました。それがビズデリックを称賛する理由です。とはいえ、本当にディフェンスが良くなったのはトランジションを辞めてからだから、簡単な話ではないけどね。

トランジションチームにディフェンスを植え付ける経験をもったAC

ビズデリックの良さ1つ目がこれです。そして2つ目にロケッツは顕著なスイッチングディフェンスを組織してきました。主にウォリアーズを意識したディフェンスでしたが、ハーデンやゴードン、ライアン・アンダーソンといったディフェンスに課題を持つ選手がいながら個人が個人を守るシステムで成立させていきました。

ただチームディフェンスとしてスイッチングがビズデリックオリジナルかというと、ロケッツがチームの方向性として目指していたものであり、これがそのままペリカンズに導入されるわけではありません。それでも様々なエッセンスが残るはず。そのエッセンスがこれまたペリカンズに似合うのではないかという予想です。特にロンゾとイングラム。

レイカーズがドラフトで揃えていったロスターで評価していたのが実はこのディフェンス面で、ロケッツがウォリアーズ対策のディフェンスをしていたのならば、レイカーズはウォリアーズ型のディフェンスが可能な選手を集めていました。HCもウォルトンだったし。

PGとしてはサイズと身体能力を持つロンゾ、フィジカルに課題はあるものの圧倒的な高さを持ちガード相手に守れるイングラム、万能なハートとインサイドながらガードスキルを持つクズマと、全員がオールラウンドに守れる選手で構成されており、サイズもあってスイッチしてもミスマッチの少ないロスターでした。

クレイ、ドレイモンド、デュラント、イグダラとカリー以外がオールラウンドに守れるウォリアーズと似た図式です。それはビッグマンがいないスモールラインナップといいつつ全体としては小さくはなかったのが特徴でした。ロンゾ、ハート、イングラム、クズマはこれに近い構成が可能であり、スイッチングディフェンスに適した選手たちです。

その中でもキャラクターとしてレアなロンゾとイングラムを手に入れたことはペリカンズがディフェンスを疎かにしない意気込みであり、そんな選手の特徴に適していそうなビズデリックの獲得は単に良いACを手に入れた以上の意味があります。選手の特性とコーチの特性の両面を考えた構築の仕方でした。

選手の特性とコーチの特性が合致したディフェンス担当ACの獲得

HCじゃなくてACってのも良いよね。感情派HCと論理派ACってのは一番結果を残せそうな組み合わせ。

そしておそらくここから個人のディフェンス能力を伸ばしていく取り組みも行われるはずです。ロケッツの奇妙な特徴は守れていそうになくても守れていること。リスクマネジメントとそれぞれのシチュエーションで最低限何をするべきかがハッキリとしていました。 カペラレベルまで守れなくても、何をどうやって最低限守るかってのは重要です。

特にゴードンが守れないという割にはチェイスとコンタクトを上手く活用して嫌がらせ出来ていることと、ライアンがスピードについていけないのに、高さで出来るだけシュートが外れるように守っていたのは印象的。必要な個人ディフェンス能力を鍛えてくるACでもあります。

個人のディフェンス戦術とスキルのレベルアップをもたらすAC

ロンゾはゴードンよりも守れるし、イングラムはライアンよりもスピードについていけます。ロンゾがハッスルディフェンスするシーンは容易に思い出せますが、それが効果的に機能していたシーンはあまり思い出せないように、チームとしてどこで何をするかはとても重要。最低限の部分とプラスアルファを生み出す部分をビズデリックが上手くマネジメントしてくれることが期待されます。

だからビズデリックの獲得は+30点。単に良いACを手に入れた以上の意味を感じずにはいられないのでした。

なお、この特徴はオールラウンドに守れるホリデーと守れそうなNAWにも当てはまります。レディックとムーアには苦しいかもしれない。あとはダリウス・ミラーがどこまで対応できるかどうか。フェイバーズは問題ないよ。

◎ロンゾとイングラムと

ペリカンズの主役はホリデー。そして次にバトンを受け継ぐのはザイオン。それがハッキリしている中で、むしろ戦術的にはロンゾとイングラムに好影響を与えそうなチーム構成になりました。ロールプレイヤーというにはもったいなく、主役にはなり切れない2人ですが、戦術的に活かされるならば立派な成績を残してくれるでしょう。

レディックを獲得したように1年目からプレーオフを目指して戦いそうなペリカンズ。それは実はロンゾとイングラムへの期待値にも思えます。スーパールーキーとされているとはいえ、「ザイオンがいるから1年目からプレーオフ」とはならないはず。そんな負荷はかけないでしょうし、チームつくりとしては誰がザイオンに適しているか試したいはず。

それよりもまずはザイオンのプレー範囲を限定するために、周囲を経験を積んだ若手で囲み、適した戦術を構築しようとしている雰囲気。成長に天秤を振りつつも、結果をあきらめることはしないし、責任をもったプレーを3年目~4年目に求めているように思えるのでした。

ということで200点だったペリカンズの補強。個人での点数的には20点くらいのロンゾとイングラムでしたが、周囲を囲む環境は相乗効果を目指している気がするのでした。

ペリカンズの200点なオフ” への19件のフィードバック

  1.  ファンとしても、ADが入団した時以来のワクワク感が止まらないシーズンです。かなり別にチームになりそうなので不安ももちろんありますが、オフの動きはかなり的確だったと思うので楽しみです。NAWやヘイズのチームとの融合も楽しみであり、イングラムやロンゾがどんなランドルみたいに一皮むけてくれるかも期待したいです。その中心はホリデーなのですが・・・高速トランジッションを確立してほしいです。
     ザイオンは、期待値が高すぎる分同じくらい不安地も高いので今は自分の中ではいないことにしています(笑)それでも100点なんで・・・
     

    1. NBAって弱くなっても楽しみは増える良い例になっていますね。

      ここが育成に失敗すると一気に不人気になりますが。

  2. 最終的に守備から試合を支配するチーム作るなら
    同年代で固めてシンパシーがあうというのは大事な要素ですよね。
    システムありきとはいえ人間ですし、逆に5歳差ぐらいが一番ぎくしゃくしそう。

    1. 同世代は大切ですね。離れたベテランは使えるけど、それくらい。この感覚の違いが多くのチームを悩ませている気がします。

  3. ザイオンを引き当てれた(ADがトレードの時に)ってだけでも確かに100点かもですよね。

    でも、それは別に考え、今回の元レイカーズ組や使い勝手&コスパよさそうなフェイバーズ きりやすい・落ち着くまでは頼りになりそーなレディック ってだけでもGM優秀

    さらに、ディフェンスコーチがヒズ…こーまとめると『ずるいぞペリカンズ』ですね(笑)

    さーさー 並べていくと良い味が出そうなペリカンズ いざ混ぜ合わせたらどう反応するのか楽しみ

    1. 混ぜてからの答えから、細かく修正していくのも大切です。そこはHCがやってくれそうだし。
      取り敢えず1年目としては大成功!何事も始めが最も期待されるので。

  4. ミラーはちょっと前にアキレス腱やっちゃったので今シーズンは出れなさそうです。
    あとヘイズに関してはこの前のメディアデーでグリフィンが今年はほとんど出さないみたいなことを言ってました。センターとしてはまだフィジカルが足りないからですかね。逆にNAWは今年から起用する予定らしいです。

    SGのポジションについてなんですが、ホリデー、レディック、ムーア、ハートと役割は違いますが混雑していてプレータイムの分配が読めないです。どんな感じになると思いますか?

    1. あらミラー残念ですね。NBAに定着できるか勝負のシーズンだったのに。

      ヘイズを使わないってことはオカフォーがちゃんとプレータイムもらうってことですね。なかなかのギャンブルな。

      ハートはケガが不明じゃなかったですっけ?

      SGは2人同時起用が増えるんじゃないですかね。もともとホリデーとムーア並べてましたし。そしてホリデーはPGが増えるのかと。イングラム加入でそこの柔軟性は増した気がします。

  5. レディックは同ポジションの若手の成長にとっては疑問もありますね。
    しかしとにもかくにもザイオンです。
    彼のプレーを考えると1枚引っ張ってくれるレディックの存在が充分彼の成長の手助けになると思います。
    シューティングコーチ的な側面も有ると思いますし。

  6. レディック獲得で何も考えず興奮してたので興味深いです。ペリカンはザイオン中心で長い将来を見据えるのでベテランレディックの起用法は慎重に考えたいということですね。なまじ優秀なシューターだからといってレディックに深入りしたら不味い。シクサーズでは目前のチャンピオンリング真っしぐらだったもんなぁ。

    1. コーバーにしろレディックにしろベテランシューターは優勝目指すチームが居場所ですからね。
      まぁ最悪、そんなチームとのトレード要員にもなります

  7. 1つ前の記事のコメントでイングラムが頭打ちということを仰っていましたがリム周りのフィニッシュに関してはまだまだ伸び代があるように思えます
    男子中学生並に右からのアタックしか引き出しの無いイングラムですが良い時の彼はドライブに対してどれだけきつく並走されてもレイアップ沈めますし、これが常時出来ればなあ…と何度思ったことか

    それと記事ではあまり触れられていなかった懸念点としてはイングラムはある程度球を持ってナンボの選手というところでしょうか
    お世辞にもオフボールカットが上手い選手ではないですし、ウイングが割とダブついてるロスターでどれだけボールを持てるのか(そもそも持って上手くいくのか)という点が気になります

    初コメントでしたがいつも楽しみに読ませていただいています。これからも期待しております。LALファンより。

    1. 頭打ちといっても細かいスキルは誰でも成長します。
      でも、シュート力が伸びているってわけでもないので、レナードやハーデン、ウエストブルックみたいに変化するってのは考えにくいのかなーと。

      プルアップ3P連打するデュラントや強気に仕掛けるコービーみたいな選手になることは難しいのでは。
      ステップが上手くなったゴベアーみたいに、地味な成長で安定したプレーが出来るようになればと思っています。

      それを打ち破れるかどうかはオフボールでの脅威を増せるかどうかですね。
      少なくともレイカーズにいたら無理だったと思いますが、ペリカンズがそれを求めてくるので打ち破れるかどうか。

  8. レイカーズから出たラッセルやランドルが他で成長したけど
    レイカーズの育成とか周りの重圧だけが問題じゃなくて沢山いる有望な若手の中の1人であるという事とチームで1人の有望な若手であるという事は随分違うと思うのでペリカンズは上手く育てられるのかちょっと気になります

    1. セルティックスも同じような悩みを抱えていますしね。
      ネッツはラッセルだけじゃなくてラベート、クルッツ、アレン、ジョー・ハリスなんかもいました。
      ラッセルの役割はホリデーなので、ラベートやクルッツになることを求めるのだと思っています。

      とはいえ、ザイオンが大活躍すると消えてしまう可能性も高いですね。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA