クリス・ポールとアダムス~新コンビを結成するサンダー~

このコンビも楽しみだ。

1年前もスティーブン・アダムスには大いに期待していました。当時はウエストブルックが1か月近く欠場するって話だったので、その間にオールスタークラスの数字を残すのではないかと。それは特にリバウンドにおいて堅実なブロックアウトからウエストブルックにとらせておいて、自らは献身的に速攻に参加する動きから、自らリバウンドをとることへの変化でした。結局のところ、どっちも働きぶりとしては同じなのですが、スタッツ的には自分でリバウンドを取った方が評価されるよね。

今シーズンは完全にウエストブルックがいなくなるのでアダムスにはリバウンド12本が最低限の目標設定になるでしょう。ボックスアウト9.0回はブセヴィッチと並ぶリーグ2位。ハードワーカーかつ堅実な動きが光りリバウンドという役割に没頭すれば数字を伸ばしてくることは現実的な目標です。

さらにサンダーで最も良いオフェンスだったアダムスのポストアップも更なる武器に昇華することが期待されています。 FG59.5%の高確率なアダムスはフリースロー50%さえ改善すれば、オルドリッジやヨキッチ、エンビードクラスの個人アタックを持つ超優秀なセンターです。特にウエストブルックの変態パスを受けて、柔らかなフローターを決めていくシュートの上手さもあります。フリースローもフローターで打てば。

PFがガリナリとムスカラになることが予想されるロスター構成だと十分にインサイドにスペースがありそうですし、パスアウトする能力もあるのでアダムスがポストアップを決める体制は整ってきています。ウエストブルック、ロバーソン、グラントとは違うよね。

単純にウエストブルックがいなくなったことで起こりそうな変化なわけですが、そのウエストブルックとの交換でやってくるのがクリス・ポール。ロケッツに起こりそうな変化とは逆のことがサンダーで起こりそうなわけです。それがアダムスにどんな影響を与えるのか。

◎遅すぎるクリス・ポール

トランジションへの移行が極めて優れているウエストブルックと、極めて悪いクリス・ポール。この両者の違いはミスが多いウエストブルックと少ないクリス・ポールという違いにもなります。

アダムスのハードワークが優秀な理由は、ミスの多いウエストブルック事情にも関係していました。走ってくれるセンターじゃないと成立しなかったサンダー戦術は、そもそもトランジションにはいかないクリス・ポールによってスローダウンだらけに変化し、アダムスはハードワークを自然と減らすことが出来ます。PGが走らないのだからセンターだって走らなくてよいはず。

アダムスの問題はデータには出てこない仕事量が非常に多く、ポストアップを増やしてもスタミナ的にもたなそうという点が挙げられます。またリバウンドから走るという仕事も負担が大きかったのが、クリス・ポールによって走らなくてよくなります。

要するにエースセンターにとってウエストブルックスタイルは負担が大きいし、「エースとしての働き」をしにくく、クリス・ポールのスタイルだと「エースとしての働き」がしやすくなります。

例えばエンビードやヨキッチ、ブセヴィッチあたりがウエストブルックと組んだらコンビとしては苦労するでしょうが、クリス・ポールなら生かすと思います。一方でADやヤニス、ゴベアーみたいな選手だとウエストブルックと共に走ることでフリーでのチャンスが大きく増えるはずです。そんな違いであり、後者であったアダムスが前者に移行するのではないかという予想です。

リバウンドとポストアップの増加はプレースタイル的には十分に期待できるものの、スタミナ的には苦しくなりがちですが、遅いクリス・ポールならインテンシティが低くなるのでスタミナも持つことが期待されます。

◎岩のようなアダムス

しかし実はアダムス単体以上に興味があるのがコンビとしてのCP3&アダムスのピック&ロール。岩のようなアダムスのスクリーンは1枚引きはがしてくれるくれるのでクリス・ポールはハンドラーとしてのプレーが非常に楽になるはず。デアンドレ・ジョーダンは一生懸命な割にはポジション取りが下手だったし、カペラはそんなに一生懸命ではなくアイソレーションを作れればOKでした。

前述の通り、ガリナリの存在はインサイドにスペースを構築してくれるので、コンビで攻略するギャップが生まれ、さらにアダムスのフローターはパスターゲットの範囲を広げてくれます。代わりにアリウープへの期待値は下がるけど。

〇カペラへのパス
ハーデン FG65.4%
CP3  FG50.6%

面白いことに高確率で決めてくれるカペラはハーデンからのパスと、クリス・ポールからのパスでは15%もFG%が異なりました。つまりはクリス・ポールにはゴール下の堅実性を武器としているカペラは相性が悪い存在でした。

ウエストブルックの変態パスですらリングに運んでくれるアダムスなので、クリス・ポールが適切なパスを出せれば概ね問題ないはず。55%くらいは決めてくれるアダムスなのでカペラよりも相性が良いと予想しています。

周囲にシューターが増えたことでアダムスのプレースペースが広がる
相性の悪かったカペラに比べるとフローターを持つアダムスはCP3のパスからフィニッシュする確率が高い

こんな予想があってピック&ロールのロールマン(アダムス)がフィニッシュする確率が高くなると思っています。ただ、これってあくまでもピックからフィニッシュするのであってウエストブルックの場合は、突破からのアシストがありましたが、そこは減るだろうから総合してアダムスにメリットがあるかは不明。その一方でクリス・ポール側にはメリットが大きいわけです。

それはクリス・ポールの得点面にも関係してきます。アダムス視点でみるとせっかくのスクリーン能力をシュートが下手なウエストブルックだと現代戦術的には有効利用していなかった一面があるからです。

〇ピック&ロール ハンドラー
ウエストブルック 得点率 0.78
ポール・ジョージ 得点率 1.02

大きく差があった2人のエースですが、これをFG%とEFG%でみると違う事実も出てきます。

〇ピック&ロール ハンドラー
ウエストブルック FG44.2% 47.6%
ポール・ジョージ FG44.9% 50.8%

同じようなFGながら3Pの効率が段違いだったためポール・ジョージの方が得点率が大幅に上回りました。つまりアダムスのスクリーンで1枚引きはがしても3Pが決まらないウエストブルックだと意味が小さくなっていました。これがロケッツで3P乱れ打ちを経験してきたクリス・ポールからするとイージーに3Pを打てる環境になるはずです。

5.9回のピック&ロールハンドラーとして、5.1点しかとれなかったクリス・ポールはプルアップ3P34.5%と微妙な数字ですが、ウエストブルック(26.4%)に比べたら遥かによく、サンダーではアイソレーションからの3Pを求められないでしょうから、確率向上が期待されます。

〇クリス・ポールのプルアップ3P
18-19(ロケッツ) 34.5%
17-18(ロケッツ) 38.1%
16-17(クリッパーズ) 38.7%
15-16(クリッパーズ) 33.3%

15-16シーズンはグリフィンが35試合しか出場していなくて、スクリナーがジョーダンのみになっていたシーズンです。シュートチョイスするので37%くらいは期待できると考えられます。が、昨シーズンは「クリス・ポールが衰えた」ってのもロケッツの問題だったので、本当に衰えたのか、それとも負荷が大きすぎたのかがわかる新シーズンになりそうです。いずれにしても

アダムスのスクリーンはクリス・ポールを楽にし、クリス・ポールの3Pは得点効率を上げ、インサイドのアダムスを楽にするはず

これが新シーズンで最大の注目ポイント。これまでウエストブルックの相棒として見事なハードワークと柔らかなフローターで貢献してきたアダムスがエースキャラに近づくのに役立ちそうなクリス・ポールと、屈強なスクリーンでクリス・ポールのプレーを楽にしてくれるアダムス。それぞれがこれまでの環境に比べると大きな変化になるので、新たなケミストリーが発生することも期待されています。

◎モラトリアム・コンビ

サンダーはPFの人材不足感が否めないため、ストレッチ系の選手が長く起用されそうです。そのためセンターラインのプレーメイクを担うPGとセンターのコンビは戦術的に重要度が増してきます。これまでも重要だったけどより効果的なプレーが求められるってことです。

毎シーズン着実な成長を遂げてきたアダムスが相棒と別れたことで、役割を変えることになります。これまではフォローする側だったのが、フォローされる側に変化してさらなる成長ってのが期待されます。でも、これは時にはマイナスに左右する可能性もありますし、ベンチに控えるノエルの方がクリス・ポールとフィットしそうな感じもあります。

クリッパーズ、ロケッツ両方で発生したのがクリス・ポール加入によるポジティブな効果で、ミスが減り、堅実なゲームメイクと正確なパスで周囲の効率が向上します。粗かったウエストブルックに比べるとサンダーの面々はプレーが楽になり気持ちよくシュートが打てる可能性が高いです。

ただそれが続くと今度は閉塞感が出てきます。これが現状のロケッツ問題であり、クリッパーズが勝率を落としたけどなんだか期待できるチームになった要因でもありました。レナード&ポール・ジョージでその効果は測定不能になりましたが。

サンダーはクリス・ポールを5年先までキープする考えはないでしょうから、短期的な改善策であり、チームカラーを調整する期間と捉えていそうです。強烈な個性をもったエースから戻すことで自分たちを見つめなおすというか。

アダムスは5年先までキープされる可能性もあれば、市場価値が高まれば放出も検討されるはず。要するにクリス・ポールと同じ状況です。この2人のコンビが有能であると証明されると解散されるかもしれない難しい状況だったりします。

ある程度の結果(41勝)を残してくれる期待値はありますが「解散させたくない」と思わせるほどの高い勝率(55勝)を残すとも考えられないので。

これまでの経緯と今後の展望。様々な理由がありますが、お互いに良い影響を与えてくれそうなクリス・ポールとアダムスのコンビ。サンダーは再建といっても簡単に負けるのではなくチームとしてのアイデンティティを生まれ変わらせる選択肢を選んだのかなとも思うのでした。

・・・・で、ロバーソンはどうするんだ? ウエストブルックとのコンビじゃなければ、どうやって機能させるんだろうか・・・。

クリス・ポールとアダムス~新コンビを結成するサンダー~” への14件のフィードバック

  1. ロバーソンはねー スモールビックマンのPF・C扱いで ホーネッツのM.K.なんちゃらみたいに(スリーうてないSFの人)的にとか…でもそこまで身体能力系じゃないしなぁー ましてや膝の怪我あけだしなぁー

    うーん よー 分からん(最近の口癖)

    クリポとピュアビックマンのアダムスは相性良さげですよね。でも管理人さんの仰られる通りそれだけじゃー現代的には『閉塞感』があるんですよねー。ここが難しい。そのセンターラインからの影響力で生まれる他のスペースへの好影響や、負荷管理しやすいチームを作れるのか?です。

    スラムダンク的に照らし合わせると宮城(アシストファーストPG)&赤木的(リング下周りの接触を嫌がらないファイター)なコンビは分かり易いセンターラインなんですが、何せ今はもう令和時代の高速化スペーシングNBA

    昭和世代が駄目なのではなく、令和時代以降のバスケでその『ピュアセンターライン戦法』を考えなければならないので、なかなかに難しいなぁーとゆう僕の考えっす。

    圧倒的に頭数を揃えにくいビツクマンを戦術の要にすると、替えが効きにくいんですよねー。同じタイプを並べて使うのもまた渋滞するし。

    ガード・ウイング系は、絶対数的に掘り起こしがしやすいのが長所かなーと。

    でも、スクリーンとゴールキーパー役だけじゃないセンター(ビックマン)の価値もあるし、また時代が進めば変わってゆくはず。

    カズンズ・AD やホーフォード・エンビート(ここはどーなるか分かんないですが) みたいなビックマンありき作戦がうまくいまではなかなかに難しそうなcurryやハーデンの存在です。

    ザイオンはビックマンなの?ウイングなの??

    バッシュ壊しまくっていいから、身体こわさないよーにして欲しい

    1. ヨキッチとは言わなくても、現代はガード&センターでチーム戦術を構築し、ウイングが個人能力を上手く使っていく感じだと捉えています。
      だから「センターを見れば戦術がわかる」とも思っているわけで。

      その意味でザイオンはウイングというよりは、センター的に戦術構成していくのだろうなーと思っています。
      センターというポジションではなく、ビッグってことですね。ウイングに位置するかもしれないけど、役割はウイングじゃなさそうな。

  2. SGAやシュルーダーをどう使っていくのか。再建する以上若手を使っていきたいけどポールいる間はしょうがないって感じになって若手の成長を妨げないか不安。その辺との兼ね合いを取る必要がありそう。
    何はともあれ、サンダーは荒れに荒れまくった夏の影響を大きく受けたチームの一つで楽しみなことに違いはないのでシーズン開幕が待ちきれない!

    1. それクリス・ポールの問題でもありますね。意外と若手を成長させる能力に乏しいんじゃないかっていう。
      逆にウエストブルックと一緒にいると、多くの選手が成長するんですよね。だから閉塞感がないけど、一緒にプレーしているうちは完成しないっていうジレンマ

  3. 真剣に疑問なのですが、ビリードノバンは何故クビにならないのでしょう?3年連続プレーオフ1回戦負けの責任を彼に押し付けるわけではありませんが、この3年彼の手腕を感じられたことがあまりないのですが(whynotさんの言うマッチアップの柔軟性の少なさなど)
    それにロバーソンとアダムスがいるとはいえウエストブルック 、PG13、グラントあたりのキーメンバーを失い再建に舵を切ることを決めたサンダーに彼が必要だとも思えないのですが

    1. もともとドノバンは賞味期限切れだと思っていましたが、リスタート切るのならばますます不要です。
      若手を成長させることはできますが、SGAしかいないし。
      ちょとよくわかんないですが、現状ではチームの将来骨格もないので、誰をHCにしても同じってのもあります。

  4. 更新お疲れ様です。
    サンダーが昨シーズンより勝てるとは思っていませんが、割と上手くいく確率も低くはない気もしています。

    クリポがゲームメイクに徹する
    みんながクリポに合わせる

    クリポが事実上のHCと考えれば、彼のコンディション次第でPO争い出来そう。
    P&Rで確実に崩せるなら、今年は3Pもあるからバランスよく点が取れそうだし。

    超楽観的w
    でもやってみないとわからないですよね。

    1. プレーオフ争い自体がウエストはわけわからないですからね。
      ジャズ、ナゲッツだけが安定感あって、クリッパーズもたぶん。

      それ以外は、50勝してもおかしくなければプレーオフを逃してもおかしくないチームだらけです。

  5. オクラホマシティーにわかです。大好きなラスはいなくなりましたが、オクラホマシティーにわかです。半分はヒューストンにわかです。

    サンダーは確かにアダムスがどーなるのか、すごく楽しみなのは間違いないのですが、にわかながらサンダーのプランの無さは悲しくなるレベルだったので、なんか全くうまく行かなさそうな気がしております。ドノバンよりCP3が監督なチームになりそー。

    きっとラスが恋しくなるんだろうなぁ。

    1. むしろ将来のHCにしたかったりして。
      意外と向いていない可能性もありますけどね。

      この記事かいておいてなんですがエースはガリナリですから。

  6. いつもながら丁寧なスタッツ分析なんですが、正直OKCが成功するかどうかはクリスポールのモチベーション次第な気がします。流石に今のOKCで優勝を狙えないことはわかりきっているし、長期的には要らない選手だし、チーム側がバイアウトする可能性も限りなく低い。そんな中で何をモチベーションに今まで通りのプレーを続けていくのだろう?っていうのが最大の疑問なんです。もちろんプロというか選手会長なんであからさまな手抜きはしないと思いますが。結論から言えばOKCは早くMIAとトレードをまとめてドラギッチをとるべきだと思っています。

    1. モチベーション問題は誰にでもあるし、それこそ1年前のクリス・ポールも問題でしたね。
      明らかに腑抜けていた前科があるので、怪しいです。

      マイアミ側もサラリーキャップ問題があったので、3つ目のチームを見つけられなかったのがね。
      ただサンダー的にもサラリー問題がなければドラギッチよりもクリス・ポールの方が良いのだと思います。
      ウエストブルックの影を消すためのPGなのかなと

  7. アダムスに再びトレードの噂が出てますが高額すぎるし、スモールラインナップで使えないし等の理由で貰い手が見つからないみたいですね。管理人さんはアダムスが移籍するならどのチームがいいと思われますか?

    1. 対価を期待しちゃダメですね。サラリーが高い時点で価値が下がってしまっていますし。

      中心不足で放出したい高額がいるホーネッツ
      ヴェンデル・カーターがケガしたブルズ

      以外は優勝目指す途中でケガ人が出たチームかなぁ。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA