セルビアvsアルゼンチン

スコラおじさんってジョージ・クルーニーみたいなダンディさだよね。

スペイン相手にまさかの弱点を露呈したセルビア。ヨキッチが周囲と合わないので、パスを出されるのはわかっているけどヨキッチを潰して、ヨキッチというかチームのミスを誘い、そしてメンタルもイラつかせたスペイン

そこで忘れていけないのはキックアウトしてフリーになっても3Pを外していったセルビアの状況。本日もまたワイドオープンが決まりません。非常に危険な立ち上がりのセルビアに対して、周囲と見事に合わせるカンパッソのゲームメイクから確実に決めていくアルゼンチン。

セルビアはワイドオープンだけでなく、ゴール下でも大苦戦。大苦戦ってのはオフェンスリバウンドをとっては外していくということ。どうやら高さのセルビアは健在で、なんだけど、囲まれては外してしまいます。そんなこんなでアルゼンチンが先手を取ります。でもゴール下の戦いだから5分と経たずに5ファールのアルゼンチンでもあります。

ヨキッチは早くも切れそうです。フリースローの時にレフリーがボールを渡すのが遅いと怒っている。しかし、それだけファールを貰っているという事であり、ヨキッチがスコアラー側に傾いたことで途端にアルゼンチンは苦しくなり1Q残り3分半で同点にします。

そこから再びカンパッソ。ヨキッチのポストアップを死角から近づいてスティール。ドリブルで崩しながら突然の3Pとエースの力を見せつけます。ヨキッチはさらにポストアップからのパスをカットされます。NBAファン的には不思議だ。

そのワンマン速攻をチェイスダウンブロックするセルビア。カウンターでビエリッツァ。セルビアは結局のところパスを回さず個人技の方が得点の匂いがします。鮮やかなパス回しよりも1人しかこないなら決めきるんだ。

が、レフリーがファールコールしてくれないのでレイアップがリングに当たらないビエリッツァ。カウンターに走ったカンパッソが目の前にいたディフェンスにこけさせられると、これがオフェンスチャージ。大きなリアクションしてテクニカル。

なんとも変な匂いの1Qはアルゼンチンが25-23と1ゴールリードで終わります。

◉3Pの差はメンタルの差

2Q開始早々にミチッチドライブ&ワンで逆転するセルビア。ファールが増えたヨキッチがベンチに下がると、合わせるようにカンパッソもベンチへ。ポジションの違うPG同士の戦い(笑)

マルヤノビッチが登場し、高さを使うセルビア。ところがその高さを止めていくアルゼンチン。なんでだろか。NBAよりもフィジカルに優しいことと、逆に手で押すとファールなのでオフェンスファール2回。

内容的にはセルビアの方が良さげでしたが、マルヤノビッチから奪っての速攻と、全く決まらないセルビアの3Pを尻目に連続で成功させてリードを8点まで広げます。アルゼンチンが決まるのではなく、セルビアが外しすぎ、そして自信を失ったかのようにドライブしては潰されていきます。

ということで前半のセルビアはアルゼンチンと戦っているようでスペインの亡霊とも戦っていました。あまりにも決まらなすぎのアウトサイドと、自信を失ったかのようなシューティング。

アルゼンチンは自分たちのやるべきことはゴール下で激しく美地当たることだとばかりに阻害していくのでイライラさせています。スペイン戦で見つけた弱点を継続して利用できているし、自分たちは自分たちを失わずに決まろうが外そうが、しっかりとトランジションディフェンスして、ボールを奪ったら走っています。

残り5分で遂に3Pを決めたセルビア。でも連発は出来ない。アルゼンチンはしっかりとコーナーからガリーノが決めてカンパッソがベンチの間にリードを得ていくのでした。

苦しくてタイムアウトのセルビアはこの試合初めてヨキッチのポストアップから普通のパスアウトを普通に3Pにして決めます。普通が出来なかったから苦しかったのに。でも即座にアンサーするアルゼンチンの3番。

そういえば消えていたボグダノビッチも3Pでお返し。さらにドライブからタフなレイアップ。ちょっとずつ通常営業になっていくセルビアだけど、アルゼンチンは揺るがない。慌てずにボールを回し、またもガリーノが3P。シュート以外ではボールを触っていないガリーノ。

我を失っていたセルビアもここにきてヨキッチがゆっくりとポストアップを決め、リバウンドを押し込み。ビエリッツァがドライブからファールドロー。

試合開始からスペインとアルゼンチンの両方を相手にしていたようなセルビアがやっと普通になったけど、そんなことには慌てない動じないアルゼンチンというのが印象的な前半でした。慌てさせ、いらだたせた分だけ失点を減らし、前半を54-49と5点リードで終わらせました。

〇3P
アルゼンチン 9/16
セルビア 3/10

〇オフェンスリバウンド
アルゼンチン 3
セルビア 12

それでも49点奪ったセルビアともいえますが「3Pが外れ続けるなんてない」といいつつも外し続けたチームを知っているから何とも言えない。クソみたいなオフェンスしているのにオフェンスリバウンドの強さで勝るチームを知っているから何とも言えない。

あとはアルゼンチンが3Pを決め続けることが出来るのかどうか。なおアルゼンチンは16もファールしているけど、3ファールは1人しかいないよ。

◉揺るがないアルゼンチン

ボグダノビッチの3Pで始まり確率が普通になったセルビア。外れ続けるなんてことはない。でもヨキッチは外した。決まり続けることもない。

カンパッソがドライブから見事なキックアウトをしてスコラも3P。でもヨキッチはビエリッツァをドフリーにしたけど3Pは決まらない。こういうのを何ていうのかね。良いボールムーブをするほど決まらないアメリカっぽいな。

ということで後半も一進一退のスタート。でも「良いオフェンスをして決まらない」場面があるだけにセルビアの方が良く見えてきます。だからといってアルゼンチンは揺るがない。特にカンパッソは揺るがない。ドライブレイアップにドライブしたら逆サイドの合わせがあってイージーな得点にします。

完全にカンパッソに負けているヨキッチ。初戦から感じていた通りマレーとハリスが欲しい状況が変わりません。マレーとハリス、特にハリスについては「ヨキッチがいなかったらどんな選手だったのか」に悩みますが、このセルビアを見るとハリスの存在がヨキッチにも好影響を与えていた気がしてきます。ゴール下からパスを出してカットされ顔を覆うヨキッチ。それスペインにも狙われたやつ。

ダメダメなヨキッチ。それでショットクロックがなくなったところでランニング3Pを打ったビエリッツァのシュートが決まると、走ったアルゼンチンのドリブルがビエリッツァの足に当たりノーコールでカウンター。ドライブに行ってファールドローのビエリッツァ。でも決まれば同点のフリースローをミス。詰めが甘い。

追い上げられても揺るがないアルゼンチンは逆転されそうな決定機を迎えてはゴール下シュートを3人で囲んで止めていきます。残り3分から延々と1点差になりながら、耐え抜くアルゼンチン。

セルビアのラストオフェンス。ピックから苦し紛れの3Pが決まらず。残り4.5秒からのアルゼンチンのラストオフェンスもセルビアがなんとか守り抜き、68-67で3Qが終わります。前半が54-49だからかなり得点が止まったわけです。

◉大事な時でもガリーノ

4Q初得点はセルビアのタフなコーナー3P。1on1からの3Pで遂に逆転します。でもヨキッチは打てそうなのにフェイクして苦しくしてから3Pで決まらない。決まり続けない個人はよく見かける。ダメダメヨキッチ。初戦が幻のようだ。

本当にパスを出しても打ってすらもらえず、スピンムーブで抜いたのに決めきれず。お前は本当にヨキッチか?その結果、またもガリーノがコーナー3Pで逆転。

ちょっと凄いなーと思うのは、たびたび大事なシュートをガリーノが決めている事。アルゼンチンのスターターの中では重要性の低い選手ですが、大事な場面で迷いなく打って決める。そして最も重要な選手であるカンパッソは当然のように決める。再びリードはアルゼンチン。

そしてまたもガリーノ。今度はワンドリブルしての難しい3P。ガリーノまで止められっこないわけで、完全にチームとして上回っているアルゼンチン。

だから個人技のボグダノビッチ。個人技を仕掛ける選手の数ではセルビアが上。でもフリースローが決まらない。4Q開始こそ逆転したけど、やっぱり揺るがないアルゼンチンの流れが続きます。

アルゼンチンはオーバーヘルプになってもよいから果敢に仕掛け、それをカバーリングするのですが、カバーリングの速度よりもパスが遅くなっているセルビア。判断悪いのは「ヨキッチに任せたい」気持ちが出すぎている選手がいるから。

そして揺るぎ始めるセルビア。再びシュートが決まらなくなります。一方でアルゼンチンは外れてもスコラとカンパッソがリバウンドを押し込むので残り5分で8点リードに。

気持ちが切れそうなセルビア。戻りが遅くなり始めます。そして決まったのがカンパッソ&スコラの見事なピック&ロール。全く揺るがなかったアルゼンチンが、セルビアの揺るぎと共に一気に11点差まで広げ残り3分20秒になり、ヨキッチは5ファールで退場。

この大会で何回退場しているんだヨキッチ。退場したから負けるってわけじゃありませんが、退場させるように仕向けられて負けています。

◉優勝候補と戦うこと

正直、アルゼンチンがセルビアに勝てるとは思いもしなかった。実際、リバウンド争いでは大いに苦戦したし、単純な個人での突破はかなり許していました。ところが、手を出すカンパッソという場面が多発。手を出しまくっているのにファールが少ないカンパッソ。

そして注目したいのは、そんなカンパッソの動きに周囲が対応してカバーできているところ。全員がチャレンジしやすい形を作れています。

この試合はセルビアが良かったり悪かったりに応じて点差が動いていきました。アルゼンチンはずっと一定。大爆発した感じもなければ、一気にリズムを失う感じもありませんでした。とにかく揺るがなかったアルゼンチン。

それはカンパッソの見事なゲームメイクだけでなく、必要な時にしっかりと3Pを沈めていったガリーノ、6thマンとして登場するとリバウンドにも何度も飛び込んで苦しい場面を救ったデックと多くの選手が活躍する形に。ガリーノ泣いているぜ。

〇アシスト
カンパッソ 12
ヨキッチ 4

カンパッソが見事だったとはいえ、2人の間にはそこまで差があったかな?
カンパッソの見事なアシストをしっかりとリングに届けたアルゼンチンの「使われる選手達」に対して、ヨキッチのパスからシュートを決めるシーンが少なすぎたセルビア。

オーバーヘルプをすることがあるアルゼンチンなので、セルビアが空くシーンもあったのですが、そういう時に何故かヨキッチにボールを戻したがる感じに。あとヨキッチからボグダノビッチというパス自体もあまりなかった気が。

スペインにつつかれたセルビアの弱さ。
一方でスキルや身体能力以外の部分で強かったアルゼンチン。

優勝候補と言われながら負けたエースは何を考えるのか。快調なスタートを切った大会でしたが、思わぬ形の結果がまっていた大会でした。

アルゼンチンはカンパッソのゲームメイク能力の高さがアメリカを上回るでしょう。そこから使われる選手たちにパスが出てきますが、アメリカはそれでも個人で守ることを選ぶかも。あのディフェンスをどうやって手玉に取るのかには注目です。

試合後にはまるで優勝したかのように喜んでいるアルゼンチン。この試合に賭けてきた空気感が出ています。強豪相手に完璧な姿を披露した印象的な試合でした。

セルビアvsアルゼンチン” への6件のフィードバック

  1. セルビアは10年ぐらい前の弱かったスター軍団アメリカみたいでしたね。殆どのチームには個でぶっ潰せるけど、スペイン、アルゼンチン、当時のギリシャみたいなチームバスケットには普通に負ける。バスケットボールの奥深さですね。

    1. うーん、ヨキッチがね。というかヨキッチと周囲がね。

      意外な相性問題が中心選手同士にあると苦しいですね。

      1. ヨキッチはオフボールで動く周りが居てなんぼですしね。
        ボギーはハンドラータイプ、ビエリツァは砲台タイプですからね。
        後はヨキッチは国際ルールのハードなディフェンスにイライラし過ぎたのかもしれませんね。ハイライト勢なんで詳しくは観てませんが、おこでしたよね。

        1. ヨキッチは怒りすぎなので、レフリーとチームといろいろと不満だっただろうも予想してます。

  2. アルゼンチンっていいチームだなーって印象です。正直好みのタイプです(笑)

    日本と親善試合した時にも思いましたが、相手が日本だからかと思いました。世界5位ランクもうなずけます。

    身体能力が異常じゃなくても、スキルフルじゃなくても『タフさ』は標準装備ですし、何よりスキルとチーム戦術を遂行し続ける徹底さが強い。それをしないと勝てないとかじゃなく本当に標準装備に思いました。

    日本代表の話になって申し訳ないですが、アルゼンチンが『国民の平均身長や身体能力が近いのに世界で結果を出している』から、ラマスを呼んだとゆう記憶ですが、なら、何故、協会や指導者がアルゼンチンに行かないのか(行っているかもですが)

    行っても教えて貰えないのは当然ですが、選手だってそれは同じ。教える側に旨みが無ければ提供などないです。わざわざ強さの秘密をボランティアで教えてくれるわけない。

    だけど本当に『アルゼンチンスタイルを学びたい』なら、そこを突破しないと始まらない。ラマス1人におんぶに抱っこじゃーねー

    選手ばかりに『海外で活躍しろ』たって無理っす。その選手を育てる 見守る人間が『海外で活躍』しないと、世界の成長速度を知る由もないはず。ユーロ各国もNBAのコーチスタッフにも増えましたしね。

    何をお手本にしてもいいんですが、まずは『プレーしない人間』が世界を知らなければと思いました。金の卵は待ってりゃーいつか産まれる事もありますが、それで世界と戦うレベルに なんて世界に失礼。

    オリンピックは出場国が少なくて『各国らしさ』や『世界のバスケ』が分かりづらかったですが、今回のワールドカップは日本が本線に出れた事もあり、観る機会が増え、『NBA以外のバスケ』を沢山、知れました。 良かったし、勉強になりました。

    と、同時に『あー世界ってすげー』とも『NBAって見慣れてたけど、やっぱ凄いだけあるなー』と再認識。NBAのシーズンが待ち遠しい(もうすぐですが)

    1. ヨーロッパの強豪クラブがフロント組織をサッカーの知識・経験に溢れている人材から頭の良い人材に切り替えて成功しているんです。現場はサッカー人材。

      そういう組織論で日本は圧倒的に弱いですね。
      アンダーカテゴリーはトーステン・ロイブルが上手く組み立てをしているので、アルゼンチン式ってわけじゃないですね。

      現状では協会主導の育成面はそこそこ機能していて、仕組みなどを構築する組織論は弱い。という印象です。

      でも、それ以上に問題なのは根っことなる育成年代の基本指導となる学校レベルの指導力です。ここの考え方を変革させないと難しい。そして学校から離れた形を模索するサッカースタイルへの移行を図るって感じですね。

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