物凄く極端な話をしてみよう。「良いPG」も「凄いPG」もいるけれど、プレーオフに絞ると話がいろいろ変化してくる。そんな中で、唯一、最低無二の条件ってのが何かを一言で言います。
◉結論:速攻での失点を減らせるPG
これがプレーオフを観ている中での個人的な結論でした。大きくねじ曲がった意見ではありますが、実はこれこそが唯一無二の重要なことじゃないかっていう。
事の発端はカリーの存在。やっぱりどう考えてもPGじゃないんだよね。では誰がPGなのかっていうと、ドレイモンド・グリーンとアンドレ・イグダラの2人。じゃあこの2人がPGとして優れているかっていうと、別にそんなことはない。
ていうか、PGって何だろうね?
そんな問いをもう一度イメージしなおしていってみるわけです。例えばレブロンはPGです。オフェンス時はPGです。でもディフェンス時はPFです。
じゃあPGって何だよ。「ディフェンス力があるPG」が成立しなくなるわけだ。だから、もっともっとシンプルにしてみましょう。
トップの位置にいるのがPG
これはもう超絶シンプルです。「カリーはPGじゃない」と意見していますが、これを基準に考えれば、トップにいてパスを回している時はPGだし、自分がオフボールで動き回ってコーナーまで自由に動く時はPGじゃありません。
あるいは、そんな時にデュラントがPGってこともあります。ドレイモンドもイグダラも。トンプソンのケースは少ない。トップに陣取るレブロンはPGだし、キャブス時代のアーヴィングはトップよりもウイングだったよね。
そんなわけで今回は超絶シンプルにPGというものを位置付けた時の、唯一無二に重要なことを絞り込んでみました。
◉ジョン・ウォールの悲劇
ケガの話ではありません。リーグ最高クラスのスピードを持ち、素晴らしい突破力を誇るウォールに対して、2017年プレーオフでセルティックスが採用した作戦は
ウォールがドライブしてきたらカウンター
という文字にすると若干意味不明な戦い方でした。トップの位置でPGを務めるウォールは、そのドライブから自身の得点もチームメイトへのアシストも生み出します。そのオフェンス力は見事だったし、セルティックスは簡単には止められませんでした。
しかし、「トップにいるウォール」がゴール下へドライブするので、ウィザーズはトランジションディフェンスが遅くなります。これをセルティックスが狙いまくってカウンターを発動しました。酷い時にはウォールがレイアップを決めたのに、その時点で前を走っていたアイザイア・トーマスへエンドスローインのワンパス速攻でした。
ウィザーズの伝統芸能になったトランジションディフェンスの悪さですが、チーム全体の問題はあってもウォール個人を責めることは出来ません。だけど、このプレースタイルに問題があるのは事実なわけです。
一方で似たような感じのウエストブルックはチーム全体がハードワークで助けてくれます。そう簡単にカウンターは食らいません。だけど、やっぱりプレーオフでは弱みを発揮しています。これは明確にカウンターではないのですが、「インサイドに侵入してくるウエストブルック対策」から始まる一連の流れを作ってくるチームは結構ありました。
そしてロバーソン不在で大問題になっていそうなのがここです。オフェンス力がない代わりにカバーで貢献する(カバーでしか貢献しない)ロバーソンは、ウエストブルックのフォローをしまくっていました。
〇17-18シーズンのロバーソン(サンダー)
プレータイム 26.6分
速攻での失点 5.2点(11.2点)
ロバーソンのいない約14分間に6点を速攻で失っている計算です。もっといえば、代役のブリュワーは7.6点でした。フルでプレーしていた16-17シーズンをウエストブルックと比較すると
〇16-17シーズンのプレータイムと速攻での失点
ウエストブルック 34.6分 8.1点
ロバーソン 30.1分 6.6点
こうなってくると単にPGの問題ではないのですが、いずれにしても突破型PG、スコアラー型PGにはカウンターを防いでくれる仲間が必要になります。カリーとトンプソンがガードコンビのウォリアーズは、この点では困るはずがイグダラとドレイモンドでカバーさせましたが、ウォールとビールをカバーしてくれる選手はいませんでした。
シーズン中は明確な対策を打ち出さなかったり、あるいは弱いチームだと狙いたくても狙えなかったり。それに比べるとプレーオフになってから「トップの位置に選手がいなくなる」ことのリスクは急上昇するように感じています。
◉カリーとリラードの3P
一方でプレーオフで結果を残しがちな両PGは、共にドライブがあまり得意ではなく、そこからのキックアウトパターンもウォールに比べると遥かに弱いです。その一方で3P能力については折り紙付き。
「シュート力こそが重要なのだ」
といいますが、本当にそうかってことです。そりゃあ決まるに越したことはないけど、ドライブタイプよりも優秀かっていうと、それもちょっとなぁ。
しかし、「PGはカウンターを食らわないことが大切」と定義すると途端に3Pという武器の見方が変わってきます。要するに3Pにはロングリバウンドという欠点こそあれど、トランジションオフェンスへの移行を楽にしてくれるメリットがあります。
突然打つロング3Pを決める
というハイライトプレーよりも
外してもカウンターされない
が重要だと思うわけです。。ウォールやウエストブルックがガツガツ突っ込んでシュートを外すとカウンターのリスクがあるのに対して、カリーやリラードが突然打つロング3Pは「外れてもカウンターのリスクが小さい」プレーになります。
これを戦術的に捉えるとロケッツやバックスになります。ハーデンのステップバック3Pの良さって決まることよりも、とりあえずシュートまでは辿り着けてしまうこと。バックスに至っては3P打つ時にはディフェンスに戻っている印象すらあります。
えっ?ロケッツとバックスはプレーオフに強いチームではないって?まぁ確かに微妙か。
◉ビッグPG達
ここでビッグPGの良さが出てきます。主としてレブロン。レブロンがトップにいるなら、そう簡単にイージーレイアップにはいけません。といいつつも数字的にレブロンがキャブスの失点を減らしていたともいえないのですが。ここにはやっぱりドライブしてしまうレブロンのフォロワーが足りない事情がありました。
次にデカレブロンことデマーカス・カズンズもビッグPGみたいなことをしますが、こちらは単純にスピードで振り切られるケースが多くありました。それでもやっぱりゴール下に先に戻られると嫌なもんだ。
ヨキッチも同じくスピードが嫌いで、すぐにユーロファールをします。ナゲッツは簡単にはシュートを打たず、ディフェンスを振り回すようになったことで失点が大きく減りましたが、オフェンスのやり方が全員がポジションチェンジするのと、ドライブよりもオフボールムーブなのでカウンターを狙いにくくなっています。
デカけりゃ良いかっていうと、そんなことはなさそうです。
そんな中で意外にも優れているのがハーデン&クリス・ポールコンビ。ディフェンスの悪いハーデンですが、ボールを読むのが上手いので速攻を止めるシーンは結構あります。止められないときはファールしてしまいます。普通のPGに比べるとちょっと大きなハーデンの存在は、やりにくいのだと思います。そしてハーデン自身はステップバック3Pが多いので、戻れることが多い。
ドライブした時もクリス・ポールがフォローしてくれます。アリーザがいたときはもっとよかったけど。なお、今度はウエストブルックが参加するわけですが、ハーデンのドライブ時に約束事をしっかりしておかないと危険です。
◎この理論は正しいのか
プレーオフを見ながら思ったことをまとめてみましたが、実際にプレーオフで速攻からの失点が少なかったチームは順番に
ナゲッツ、ジャズ、ネッツ、マジック、ブレイザーズ、スパーズ、サンダー
直接対決したナゲッツとブレイザーズだけがセカンドラウンドに進んだチームなわけで、「速攻での失点が少ない」のと「プレーオフで勝てる」ってのは因果関係が低い要素になっています。
確かにPG達は無駄な失点を生み出してはいけないわけですが、それ以上にチームにメリットを生み出すような得点が欲しいということ。またウォリアーズのように速攻が多いけどカウンターもされてしまうチームもあるので、個人レベルでは諸刃の剣の中でより多くの得点を生み出せるほうが大切なわけです。
PGはミスをするな、というけれど、もちろん余計な失点は避けるけど、それ以上に得点を生み出してくれる方が大切なんだ。
ということでボツ理論。
PGに必要なディフェンスってどんなものなのでしょうか。
マレーやハーデンはディフェンスをサボっていようがオフェンスの影響力が重要ですが、トップから抜けれすぎるのも考えものです。
得点力が当たり前のなか、ディフェンスで差を出している選手が思い当たればと。
面白いから考えてみましょう。
自分的には答えがあってそれは
PGの(ポイント)と(ガード)を分けるべき論ですかね。
ドレイもレブロンもポイント・フォワード。
なんとなくこの二人はそのポイント・~タイプを象徴してる気がします。無理矢理2種に分けると。
レブロンタイプはそれこそウォール、カイリー、ケンバ、リラード、ラス。昔なら、初期AI、マーブリー、バロンデイビス、なんならトライアングル以前のMJだってそうでしょうね。今なら立派にハンドラーだしスコアリングタイプのPGをやらされるでしょう。こちらは自分自身にチームを大きく依存させる形の選手。
ドレイタイプはブレッドソー、スマート、ヨキッチ。昔ならバード
、ピッペン、ロンハーパー、シュレンプ、オドム、サボニス親父なんかもそうかな。
チームの調和より膨大なスタッツを叩き出す個人で引っ張る前者とチームの調和を円滑にするから地味な後者。
彼らポイント・~系の選手がどんな時に結果が悪くて、また別のどんな時に結果が良かったのか。そして周りの選手や監督はどんなだったか?そして周囲も含め、過去現在の彼らの関係性を考えると勝てるポイント~系選手は多少は見えてくると思いますね。
例えばスティーブカーはブルズOBである事やロンハーパーの経歴、ピッペン、シュレンプ、サボニスの関係。前期、後期のMJ。
「ポイント」が何かっていえば「トップにいる事」と定義する感じです。
ポジションの流動性が高まったので、その中でバランスをとる役割に近いでしょうね。
だから「ポイント」といいつつ起点になるのではなく、「バランサー」としてディフェンスへの切り替えやセーフティなのかと。
でも、最終的にそうでもなかった笑
ポイント~系選手一人で勝てるわけもなく(勝ててもPO出るのが限界くらい)複数人揃えるのが勝てる条件かと。ポイント~系選手を複数人揃えて、チームの機能を常に保つ。昨年、一昨年のCP3やKDの存在はそんな感じだったし。特にスコアリングタイプのポイント~系選手がエースなら必須。7試合連続TDしても勝てないMJにピッペン、ハーパーが必要だったし、ポイント・ガードのAIも勝てなくてスノウやマッキーが必要だった。カリーにもドレイやイグダラ、KDが必要だった。カイリーにはレブロンが必要だった。
記事の始まりの内容は、ポジションなんて流動的になっていて選手紹介時のPG、SGなんて意味がなくなってきている、そんな感じですよね。2、3ガードと言わなくても、どのチームもそんな感じで、持ってる人間が1、レシーバーなら2。2005年のPGアイバーソンだと守れない話にも振ってくれれば良かったのにと思いますが、これがトップから攻め入る原理的デメリットなんでしょう。
こういった事情から、ウィングを討ち入り場所にしてトップをシューターでセーフティーにしておくのが最優先なんですね。勿論バリエーションとしてトップから攻める形も持つわけですが、守れないデメリットを考えるとゴール下まで侵入し難いしエルボーミドルも得点効率が低い。となるとトップから攻めて勝ちに貢献できるのはポイントガード関係なくデュラントだけでは。
そうですね。最終的にウイングが強いチームが勝つってのはどんな意味なのか。
それはウイングが強いんじゃなくて、ウイングから仕掛ける方がリスクが少ないって事なのかと。
レナードなんか、その頂点みたいなところがあって、ショートレンジ多いですけど、プレーオフで勝つにはリスクが減って良いんだろうなーと。
投稿お疲れ様です。初コメです。
プレーオフで勝ち進む為にウイングにKDやレナード、レブロンなどのエリートスコアラーを置くチームが増えていますよね。
プレイオフになるとディフェンスの狙いが明確になるので、打ちたいシュートは基本的に打たせてもらえなくなると思います。例えば、背の低いガードがアイソレーションで点を取ろうと思うなら、最初から強くてデカいディフェンダーでマークする。ピックを使用するなら、ダブルチームで潰す。これによってガードが得点することは難しくなります。そこから先は、ローテーションで守り最終的に一番決定率の低い選手にシュートを打たせるような守り方ができます。
ビッグマンがポストオフェンスで攻める場合はダブルチームでローテーションとなります。そこから先は同じ。
しかし、体が大きくて力が強くてシュート力のあるウィングの場合、ガードと同じようにぺリメーターからアイソができ、しかもインサイドのビッグマンのヘルプとアウトサイドからのガードのヘルプにも対抗できる身体能力とスキルが備わっているので、3Pシュート・ミドルレンジ・レイアップ・ファウルをもらうなどの多彩なオプションが選択できる強みがあると思います。
①3Pラインでボールを持ってもディフェンスを警戒させられるシュート力
②ファウルを貰える場所(ゴール下)までドライブで移動できるスキルとパワーとアジリティ
③ゴール下でファウルを強引に引き出せる高さとパワー。これらの能力
これらの能力を併せ持つプレイヤーは必然とウイングの選手になると思います。
ウォリアーズのここ5年くらいのまとめの記事を読んでみたいです。
採用!
改めてGSWはハンドラー守れるSF、PFがいるのがズルい。
全盛期SASのサポートメンバーにも言えるが
スピード勝負、フィジカル勝負、テクニック勝負にも最低限ついていける
誰でもジャンケン相殺万能型プレイヤーは便利すぎる。
ズルいっていうか、カリーという特殊系を考えた時には、周囲をかためる選手にはそこを求めざる得なかったのでは。
モンテ・モリスを放出したときに方向性を定めたのかもしれません。
スパーズはそういうタイプっていうか、ディフェンスシステムの中で育てるのが非常に上手い。スティーブ・カーもその要素を取り入れようとしたのかもしれません。
PGとはなんぞやというと、ペースやリズム、落ち着きを与えてくれるプレイヤーですかね。
だから単純にハンドルできても、レブロンとかハーデンとかどうなんだろってかんじですね、個人的に。
そういうプレイヤーが1人もいないと、絶対強いと思ってたヒバート全盛のペイサーズとかドタバタして負けちゃうんですよね。
(ヒルは厳しかった。)
だからクリッパーズとか案外コケるんじゃないかと。守り合いでジリ貧になって、攻め方も強引で怪我しちゃうとか。
そのタイプだとマレーやフォックスなのですが、ここ数年のウォリアーズ・キャブス時代だと、ちょっと様相が違いました。ラウリーでやっと復刻した感じですが、アレも本当は強気すぎると事がありますし。
だから、重要な要素なのだけど、近年はオフェンス力に押されているのかもしれません。
こーゆーボツ理論の記事も僕は興味あります。
そりゃー最初からオチまで完璧な流れの記事は『流石だなー』となりますが、それだけでは管理人さんの思考などは完璧過ぎて掴めませんし、ボツから生まれる何かも大事だったり面白かったりですからね-。
リクエストして書けるものではないかとしれませんが、ちょくちょくこーゆー記事があった方が読みても一緒に考えられて個人力には嬉しかったりします