将来の不良債権は誰なのか

与えられた課題

MAX契約が多く締結されましたが、誰が不良債権になりそうですか?

なるほど。面白い課題ですね。多くの契約が結ばれたFAにおいて不良債権化しそうな契約を探してみる企画です。まずはこれまでの不良債権にどのようなケースがあったかを捉えてみましょう。

①サラリーキャップの拡大で誕生

NBAで最も問題になったのが、これで放映権料の関係でキャップスペースが爆上がりしたときに契約を手に入れた選手が軒並み高額契約になりました。当時の構図としては

既に契約があるスター選手のサラリーが安い
キャップスペースがあるので、ほどほどの選手が高いサラリーをゲット

こんな感じでした。最も有名なのはホーネッツの惨状で、ケンバが10Mくらいなのに、マービン・ウィリアムスやコディー・ゼラー、MKG、プラムリー、そしてバトゥームに至っては26Mくらいのサラリーで契約しました。

このパターンはチーム全体の構図が問題でした。ただ、バトゥームを除けば処理できないってわけではないサラリーだったのですが、とにかく契約期間が長かった問題もありました。そんなわけで不良債権の条件って

単年なら問題なく、契約期間が長いと苦しい

これも大切ですね。今回はニックスが2年契約を連発しましたが、2年目がギャランティーされていない契約が多いので、不良債権にはなりえないってことです。

でも、①は減ってきました。多くのチームが学んだからです。これは違う問題も生み出していて、中堅クラスの選手にまともなサラリーが提示されなくなってきたのです。

②ベテランの長期契約

そして問題になったのがベテラン陣の契約です。例えばカーメロの契約は重すぎて引き取り手に困ったわけです。1年前はまだカーメロを欲しがるチームはいくつかありましたが、高額サラリーを払うことは拒否されました。

意外とスター選手って引き取り手がいないパターンがあります。チームへの影響力が大きすぎて欲しくないってこともあるわけです。しかもサラリーが高いっていう。

③純粋に欲しくない選手

サラリーはそんなに高くないのだけど、他のチームが欲しがらないパターンもあります。なんか戦術的に微妙ってやつです。あるいは性格が悪いとかさ。

こう書くと問題ありそうですが、特定のチームだとハマるけど、万能性がないってことです。

◉現在の不良債権

うーん、概念だとムズカシイネ。というわけで名前を並べてみましょう。

ニコラス・バトゥーム 2年54M
クリス・ポール 3年124M
ゴードン・ヘイワード 2年65M
アンドリュー・ウィギンズ 4年122M

トップランクのサラリーでは、この4人かな。2年しかないバトゥームとヘイワードでもそう簡単には引き取り手が見つかりません。そしてクリス・ポールの3年とウィギンズの4年はもっと苦しい。

それでも実力的にクリス・ポールなら、まだ欲しがるチームはあるかもしれないし、ウィギンズに賭けたいチームもあるかもしれません。ネックはやっぱり「長い」ってことです。

オット・ポーター 2年56M
スティーブン・アダムス 2年53M

この2人はチームでの役割のわりにサラリーが高いわけですが、年齢を考えても欲しがるチームはあります。処理できなくはないけど、どこのチームでも欲しがるかっていうとそうでもない。ニーズが限られています。

なお、有名な不良債権たちがこのオフに割と解消されました。理由は契約期間が1年だから。

チャンドラー・パーソンズ 25M
ハッサン・ホワイトサイド 27M
タイラー・ジョンソン 19M
エバン・ターナー 19M
アレン・クラブ 19M
ソロモン・ヒル 13M
メイソン・プラムリー 12M
メイヤーズ・レナード 11M

この辺がこれまで中堅どころで高いサラリー故に不良債権化していた選手達ですが、めでたく契約が残り1年になったので軒並み動いたわけです。

動き方は2パターンしかありません。ひとつは不良債権同士のトレード、もうひとつはドラフト指名権などをサービスすることで成立するトレード。いずれにしてもGMが上手く処理していく必要があるわけでした。

◉本題です

まぁそれぞれの契約を観ていきましょう。不良債権になる可能性をつけてみましょうね。

10% カイリー・アーヴィング 4年141M

うーん、サラリーに値するプレーをしているのかって疑惑はありますが、まだ27歳なので4年契約でも31歳です。人気者って事もあり、売りたければいくらでも売れるでしょう。

30% ケビン・デュラント 4年142M

デュラントの場合は、実は結構怪しかったりします。これまで1+1年契約でしたが4年を選択しました。でもこれってデュラントよりもネッツにとって大切だったりします。というのもアキレス腱のケガで来シーズンは本調子になるとは思えないから。契約的には実質3年ってことです。

そして1年経って「本調子」になるかもわかりません。それでも得点力があるのでそこそこ活躍はするでしょうが、他のチームがこのサラリーを引き受けたがるかは未知数です。つまり「本調子に戻らないから売りたい」→「本調子じゃないから売れない」可能性があるってことです。

70% デアンドレ・ジョーダン 4年40M

危険極まりないのがオマケみたいについてきたジョーダン。31歳に4年契約は。しかも、そもそも今のNBAで10Mの価値があるのかもね。10M出すチームはあるだろうけど4年出すチームはないだろうね。

5% ディアンジェロ・ラッセル 4年144M

ウォリアーズで活躍しない可能性もありますが、それでも若いディアンジェロなので、逆に4年契約あることで欲しがるチームはあるでしょう。

40% ケンバ・ウォーカー 4年141M

29歳のケンバは、年齢面だけでなくスコアリングタイプのPGなので、衰えと共に需要がなくなります。スキル的には4年間バッチリ働くでしょうが、サイズの問題もあって悩ましくなる可能性はそこそこあります。

40% テリー・ロジアー 3年58M

ホーネッツはそこまでして手に入れなければいけなかったのか。3年58Mなので、そんなに重たい契約ではありませんが、気軽に処理できる金額でもありません。ロジアーの場合は活躍できるかどうかが全て。その確率が60%くらいってことです。

70% アル・ホーフォード 4年109M

今回の契約で最も怪しいのがホーフォード。なんせ33歳です。セルティックスに加入した初年度は「衰えた」とすら評されていたわけで、見事に復活した翌年でしたが、さすがにここからの4年っていうのは厳しい。逆にホーフォードはベストのタイミングでFAになりました。

なお、シクサーズとの契約は「優勝するかどうか」が重要らしいので、考えなしの契約ってわけではありません。ただ2年後に他のチームが欲しがるかっていうと、ムリだろうね。

50% トバイアス・ハリス 5年180M

そして同じく危険なのがトバイアス。意外と若くて27歳なので、5年契約自体は特に問題なさそうです。加えてビッグマンながらアウトサイドが上手く、多くのチームに順応できるので不良債権になる可能性は低め。

ただ、そもそもこれだけの契約価値があるのかどうか。シクサーズだと特にね。トバイアスはエース的な動きが出来ますが、スーパーエースにはなりにくいので、単純に金額的な問題です。

30% ジミー・バトラー 4年142M

バトラーも29歳なので最終年は33歳です。プレー的にもそこそこ苦しい気がしますが、ヒートはトレーニングがしっかりしているチームなので、特に問題なく過ごせると思います。万が一、売却したくなったら困りそうってくらいです。

40% ボバン・ボグダノビッチ 4年73M

4年ギャランティーのボグダノビッチも30歳。シューターなので、それなりの働きは期待できますが、やっぱり衰えは衰え。サラリー的には苦しくなるでしょう。ただジャズは2年経つと軒並み契約が切れるので、売れなくても保有できる算段です。

30% マルコム・ブログトン 

ブログトンの場合は、このサラリーに見合った活躍が出来るかどうかが怪しい。でも、そこそこの実力は間違いなく発揮するし、年齢的にも問題ないので売れるはず。

40% クリス・ミドルトン 5年178M

ここはとっても難しい。この契約を結ぶだけの結果は残したわけですが、シューターだと思うと高いよね。バックスにはハマるけど、どこでもハマるわけじゃない。

20% ニコラ・ブセビッチ 4年100M

オールスターとしては破格のお値段。お買い得物件でした。懸念事項はこちらもハマるチームが少ないこと。それでもサラリー的にはまだ大丈夫。

10% ダミアン・リラード 4年196M

29歳のリラードが手にしたのは史上最高のサラリー。もちろんサラリーに見合った活躍をしなくなる可能性もあるわけですが、ウエストブルックが移籍したのでカリーと並んで「絶対にトレードしてはいけない選手」のトップです。だから何があっても不良債権にはならないのでした。

◉駄作

ちょっと書き方失敗したな―。面白みが少ない記事になってしまいました。構成を間違えた。

多くのチームが過去の失敗から学んでいるので、不良債権化する契約はとても少なくなりました。それは純粋に契約期間が2年程度が増えたってことです。

それに対してスタークラスだと契約期間も長くなるので、いろいろと懸念したくなるのも事実です。エンビードとシモンズがいるのにホーフォードとトバイアスに高額を支払うシクサーズは危ないわけですが、過去の失敗がないから走ったのかな。

またネッツも笑っているだけではすみません。デュラントがトップパフォーマンスを取り戻さなければ、カイリー&ジョーダンと合わせて総合的に負ける可能性もあります。

あとはバックスかな。ミドルトン以外はそこまで重くないので、何とでもなるでしょうが、放出するのが下手なイメージのチームなので誰かが躓いたときに動きなおせるのか疑問。なお、ジョージ・ヒル、ロペスツインズ、マシューズなんかも獲得しているので、トータルでの話です。

そういえば忘れていましたが、ナゲッツはジャマール・マレーと5年マックス契約をしました。こちらは不良債権にはならないでしょうが、マックスから20%くらいは削減すべきだったかと。ナゲッツは来年以降の契約更新を乗り切れるかどうかが勝負なので、少しでも削減しておくべきだった。

現在、クリス・ポールについて引き取り先が見つかっていませんが、その理由には各チームのサラリーキャップがいっぱいになっているので、リーグ全体で余裕を生み出す要素が足りていない事情があります。不良債権になる選手よりも、身動きが取れないリーグ全体の方が問題かもしれません。

将来の不良債権は誰なのか” への24件のフィードバック

  1. サラリーここ数年で上がりすぎて麻痺してきました。キャップ上がってるから全体が上がるのはいいとしても、MAX契約の価値下がりすぎな気がしますよね。
    ウィギンスとかマレーの実績位でMAXなんだって。
    全盛期のコービーより上なんてわらけてきます。

    1. 若干ローカルチーム故の決断でもありましたが、成長率を見極めないと厳しいですね。ウィギンズがここまで落ちるってのはさすがに予想できません。マレーが成長してマックスに相応しいと示せるのを願うばかり。

  2. 時代も条件も何もかも違いますが、
    ピッペンの7年20Mって何の冗談かと思いますよね

    そして来季全休のジョンウォール、、

    1. 異常なサラリー爆上げで、NBAのリーグ運営が上手いことを感じますね。

  3. 他に安くて若いPGとると思ってたのに此の期に及んでこの契約するとは思っておりませんでした
    ロジアーの成長に賭けるのは良いけど、キャップスペースはアセット引換券でもあるということは不良債権チームとしても痛感していたわけなので

    ケンバを失うということは悪い契約を結ばない為の教訓としては十分過ぎたはず

    1. これまで不良債権処理にドラフト指名権を使ってこなかったのだから、指名した選手を徐々に引き上げる代わりに、来年から空き始めるキャップスペース利用ってのは1つの手段でしたね。バトゥームは契約残るからまだ苦しいのに・・・。
      GM変わってまともになったと思ったら、ロジアーを獲得しただけで動きに乏しいのが悩ましい。

  4. 僕的には面白かったですね。契約編やって頂きありがとうございます。やっぱりホーフォードは危険な契約ですよね? CP3がチラつきますね。トバイアスとかミドルトンにmaxって本当に賭けじゃないですか?伸びしろに期待しての契約なのかな?…。来シーズン終われば高い安いが分かりますよね?その時暇があれば高額過ぎる選手でチーム編成して欲しいです。暇な時で良いので。

    1. 高額過ぎる選手って、どうしてもケガが出てきてしまうのでヘイワードとかウォールは考えにくいかな。
      1年前、2年前を振り返るってのはよいかもしれませんね。

  5. 他球団の不良債権を受け持つ代わりに指名権を得ていたネッツが、この場に登場してくることに少し笑ってしまいます。

    1. もうネッツも勝利を目指すチームになったって事ですね。その象徴的な選手はいなくなりましたが。

  6. シクサーズファンですが、今後層がペラッペラのチームになりそうで心配です

    1. これまでの経緯から、何とかなると思っているのでしょうね。
      でも、あんまり育成出来ていないしな―。

  7. 今年のFAは理解し難い契約は少なかったなという印象です。
    リスクある契約もチラホラ散見されますが、そのリスクをとる意味は分かるものが多いなと。
    おっしゃる通り各チームが学習した結果、チーム毎のFA提示の差が小さくなったと感じています。
    FAであまり差異がないとなるとトレードとドラフト・育成がますます重要になりそうです。

  8. リラード本人は不良債権にはならないでしょうがチームのサラリーは身動きとれない状況が続くでしょうね

    長期契約の選手をシーズン途中にトレードで獲得ってあまりメリットないように思いますし、クリスポールは来シーズンオフに残り2年なら……って思うチームが現れるまでOKC残留ですかね

    1. 各チームがキャップスペースないので、シーズン中に獲得するにはいろいろな調整が必要です。
      クリス・ポールは需要自体はあるのですが、サラリーがネックになりすぎているので、調整さえできれば!って感じですが、レイカーズとかが既に多くのアセット出してしまったから冒険したくないでしょうし。

    1. No1候補なのにスッカリ忘れてた!

      このサラリーで欲しがるチームがあるとは思えないんだよなー。

  9. やはり1番はシーズン健康体でいることでしょう。
    価値観もそれぞれで、チームに角が立たないギリギリのライン狙ってくる
    ハリソンバーンズやルーウィリアムズなんかもいるわけで。

    あとゲームメイクのみ、得点能力のみの低身長選手は不良債権しやすい傾向
    うまくいかなかった時、すぐプラン変更できる選手に高額契約結ぶべきですね。
    数年後プレイメイカーのKDと、隙間産業トバイアスがきっと躍進してますよ。

  10. ミドルトンの契約の影響で他の選手との契約が低くなり優勝から遠ざかる。

    ヤニスが移籍する

    直接の不良債権ではなくてもこのような流れを考えてしまいます。

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