セルティックスはどこへ行く

ケンバをとり、ロジアーを放出

◎さようならセルツ

このチームについては書くことがないというか、あまりにも有名な崩れ方をしたので、そこを敢えて触れても面白みがないのでした。単純な話として、ブラッド・スティーブンスの得意技

相手の弱点と自分たちの戦力を見比べ、確実に勝てるポイントで勝負する

モチベーションを保つ魔法のような人心掌握術

が消え失せていました。ここでカイリーに絡むのが前者で、ある日ロジアーPGになったら見事に復活していました。「これぞセルティックス、これぞブラッド・スティーブンス」みたいな。

この時、別にロジアーが素晴らしかったのではなく、チーム全体が明確な狙いを持ってプレーしていることが伝わってきたのであり、個人で突破してしまうカイリーがいると、そんな良さが出てこないのでした。PGとしての能力不足。

一方で、後者はロジアーにかかわってきます。非常によく我慢できたロジアーでしたが、我慢しているのにチームの状況が悪すぎるのは納得いかなかったはず。「自分がスターターのほうが強い」と歯ぎしりしていたのでしょう。

◎贔屓のHC

これだけなら「カイリーとロジアーの問題」なのですが、実際には他の選手も前者が出来ないことが増えていました。つまりチームの狙いよりも自分のプレーを優先していたわけです。それは「強気に攻める」良さと紙一重の部分であり、だけど紙一重でブラッド・スティーブンスの良さが登場しないわけでした。

具体的にはテイタムとモリス。カイリーPGに加えて、この2人がコートにいると、ディフェンスを見ていないようなプレーが増えていきます。もちろん、それでも決めるから大問題にはならないわけですが、HCの意向やらセルティックスの強さやらは消えてしまいました。個の集合体に過ぎないんだ。

管理人的にはとても不思議な光景でした。「なぜ、そこまでモリスとテイタムを優遇するのか」全くもって理解できない構図は、大概の問題点をカイリーに持っていきがちですが、実際には3人を組ませたこと自体が失敗。相手を考えられない選手ばかり揃えては「戦略に優れたHC」の良さは出てきません。

ところが「セルティックスの何が悪かったのか」という論調が強まった際に、予想外の話が登場しました。

ブラッド・スティーブンスがヘイワードを贔屓した

大ケガからの復帰となったヘイワードのプレーは確かに低調でしたが、「低調な選手なのに贔屓してプレーさせている」ことに批判が集まっていたというのです。

シーズン序盤のセルティックスはベンチメンバーをヘイワードパターンにすることで成功した気がしたのに、すぐにやめてしまいました。ひょっとすると、この時期のことを指していたのかもしれません。ヘイワードのプレーは確かに低調でしたが、「ディフェンス全体を見ながらプレーをチョイスする」という意味では、スマートと並んでセルティックスでは最も賢い選手でした。

しかし、それを嫌ったのが選手たちだったといわれれば、カイリー、テイタム、モリスを優遇したことも辻褄があってくる気がします。本当は「相手を見てプレーする」選手を起用したいのに、選手から反発を食らってしまったブラッド・スティーブンス。つまりは

モチベーションを保つ魔法のような人心掌握術

ブラッド・スティーブンスが失敗したのはこっちの部分だったということです。戦略・戦術・データが蠢く現代NBAにおいて、最高のヘッドコーチとして名をはせようとしていたブラッド・スティーブンスは「人間臭い部分」で負けたということ。

長いシーズンを共に戦う集団として機能させるためには、優れた戦略・戦術だけではダメなのでした。

◎冷徹なる男

これだけならばHCの失敗で終わるのですが、セルティックスには違う事情もあるのが怖いところ。HCと共にこのチームを作り上げてきたのはGMダニー・エインジ。稀代の嫌われ者として現役時代を過ごしたエインジは、GMになっても嫌われ者っぷりを発揮してきました。

ポール・ピアーズのようなレジェンドであっても放出して再建モードにしていったスタートから、見事にチームを引き上げたアイザイア・トーマスをトレードした男は、冷静なるドラフト戦略も駆使してきました。

コアメンバー以外はルーキー契約とユーロから連れてきた安いサラリーで構築しており、カイリー、ホーフォード、ヘイワードがサラリーの大半を占めていたりしてさ。微妙に使い捨てている部分もある冷徹なエインジによって、セルティックスは復活したのです。

しかし、苦しんだ今シーズンはダンマリだったエインジ。ガード過多の中でカイリーを切ってしまう冷徹さを発揮しませんでした。ついでにいえば3つの指名権をトレードに使わなかったのも愚かだった。

人心掌握に優れたHCと冷徹なGM

うまくいっていたコンビはHCが人心掌握に失敗したシーズンに、冷徹なトレードを実行しなかったGMという構図になってしまいました。悪循環。

そして、この「冷徹なトレード」にはテイタム放出を拒否した事実も含まれます。残念ながらテイタムのプレーは現代NBAのエースとはなりえぬプレーぶり。これがレナードクラスにショートレンジを決めるようにならない限りは、効率の悪い選手でしかありません。

それでもテイタムを信じているエインジ。ここがセルティックス勝負の分かれ目です。

◎ケンバの噂

FA解禁されていないのに、決定事項になっているケンバの獲得。

今回はテイタムを主役にしたがっているのにケンバというミスマッチ、それもロジアー放出について触れる記事だったのですが、普通にさようならになってしまったので、次回に続きます。

問題は人心掌握が出来るのかということ。ホーフォードまで移籍するチームに未来ではなく「現在」はあるのかどうか。

セルティックスはどこへ行く” への16件のフィードバック

  1. カイリー出すのは普通にわかるけど
    ケンバって…
    2ndオプションでプレーしてくれるとは思えないんだけどなあ
    多くのBOSファンと違ってテイタムになんの価値も見出してないからそれでも勝てるならいいんだけどさ
    カイリーはカイリーでBKNって(デュラントも)
    魅力的なチームだけど、またスタイル合わずに喧嘩する未来しか見えない

  2. LALみたいに出しきるのも問題ですがLALよりアセットが豊富だっただけに少し勿体無さみたいなのは感じますよね
    中でもスマートやブラウンは多くのチームにとって魅力的ですがテイタムが役割的な問題で評価が揺れた気がします

  3. デュラントがネッツらしいですよ。
    アービングとコンビっぽいです。
    ネッツはアービングがレギュラーシーズンを引っ張って、プレーオフでデュラントとのコンビみたいになるのでしょうか。

  4. 自分もケンバならテイタムはカイリー時代と変わらないのでは?と思いました。それこそ人心掌握的な面でカイリーよりかはマシと判断したんでしょうか。
    ましてや献身的なホーフォード、ベインズがいないなら、、

    色々な余波を受けて我らがラッセルがgswへ行きました。カリー、トンプソンとのケミストリーは意外と上手くいったりするんですかね?

    1. ケミストリーは上手くいくと思っていますが、それだけでは、、、となりそうです。

  5. ニックスについてどー思いますか。ランドル、ギブソン、ポーティスとるってポジション被りすぎじゃないですか?あとアリーザ、サディアスヤング等優秀なロールプレイヤーには優勝を狙えるチームにいって欲しかった。ネッツPF薄いのも気になる…

  6. めちゃめちゃ動きましたね初日から。
    デュラントカイリージョーダン!とか思ってたらバトラーも決まって。シクサーズはどうなることやら。個人的に好きな選手だらけで楽しみなのですが。

    セルツはちょっと、わかんないですね。ケンバとカイリーってあんまり違わない気が、、、まぁシーズン始まってみないとなんともいえないですが、、、

  7. テイタムを純粋なシューター的な使い方はダメなんでしょうかねぇ。もうコーナー待機とかで。

    ダムダムするからダメで、ドフリーの3ポイントなんか結構高確率で決めるイメージなんですけどね。

    1. でも、それだとテイタムはトレードしておいて、ロールプレイヤーでよかったわけですしね。

      1. 管理人さん、こんな言い方しますよね。『だったらサラリーのより小さなシューターでいい。』みたいな。

        でもテイタムの打開力も魅力でしょう。被チェックやタフでも決めるんだからオープンならより確率良く決める論理で、『テイタムのタフ』と『他の崩しから供給されるテイタムのワイドオープン』のツープラトンは良くないんでしょうか。

        仮にテイタムをシングラーにしたら局面打開力はなくなりますよね。メリットの多い方になるんでしょうが、やはりシングラーや安価なシューターに代えた方が良い? 全体の攻め方が少なくなりませんか。

        僕は同じ理由でアイバーソンにスポットで打ってもらいたかったですよ。ムービングで打つ一方、スポットのワイドオープンも数本。(ウェバーも怪我だけど在籍したし。)案外最小限の動きでオープンになれるんで。

        1. サラリーの小さなシューターってことは、他の選手にサラリーを使えるわけで、「シューター+打開力あるパサー」の方が有効ってことです。

          そしてセルツの問題は「テイタムが・・・」ではなくて、「テイタムにケンバ」ってことです。
          だったらロジアーでボール動かした方が遙かにテイタムの打開力だって活かされるわけです。

  8. ケンバもカイリーと同じでドリブル主体のプレーヤーですから昨季と変わらない状況が予想されます。そして何故かドラフトでガード寄りのプレーヤーを取りすぎ飽和状態なのが謎です。アイソレーションばかりのプレーでポストオフェンスが圧倒的に少ないのにペイント強化に乗り出さないのは疑問です。カンター取りましたがそれでも心もとない。それこそケンバではなくロジャーと手頃な金額で再契約しランドル等のインサイドプレーヤーを取るべきだった気がします。ヘイワード+指名権でアダムスを取るなんて噂も出てますが…

    1. ケンバはカイリーよりもチームプレーするイメージがありますが、ドライブからのキックアウトが上手いわけじゃないので、まぁだったら決めきれるカイリーの方が良いんじゃないかと。
      ホーフォードのところをどうやって埋めるのか、全く算段がついていないように見受けられます。ニックスからギブソンでも譲って貰わないと。

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