離婚調停中のダブルＰＧ

2019年6月20日By whynot ④移籍・トレード

ハーデンとクリス・ポールの噂話

チームが上手くいかないと、不協和音は大きくなるばかり。プレーオフで散ったロケッツはその直後から変なうわさ話が飛び交うようになりました。観ている方からすれば大善戦のプレーオフだっただけに、揉めるほどの苦しみなのかは訝しんでしまいます。

ロケッツに起きたとされる問題は大きく２つありますが、小さい方から触れましょう。

・ダントーニとの契約延長交渉の不発

この話はとても難しくて、そもそもＧＭダリル・モーローはダントーニをＨＣにすることに反対していた経緯もあり、そして今シーズンの不出来と賞味期限が切れそうな事情から「ダントーニを厚遇で延長する」気持ちがなかったのではないかと。

間違いなくロケッツを導いてくれたＨＣですし、管理人的にはダントーニ以外ならロケッツはプレーオフ当落線上だったと思います。正直、そんなに戦力が良いわけではない。

カペラとタッカーの活躍はあるものの、ともに自分で何とかするタイプではなく、あくまでも誰かに活かされてこそ意味があるタイプ。その活かす選手であるハーデンにプレーの負荷を減らしつつ、ハーデンばかりがプレーメイクする形を作り上げました。これって難しいよ。

とはいえ、それはパターンの少なさを露呈し、プレーオフでは勝てない気持ちを強くしてくれました。正直、ダントーニを長くＨＣに据える魅力に欠けています。

しかし、それはお年を召しているダントーニから見ると「ハーデン以外に未来がない」ロケッツと「ＨＣ生活のピリオド」となるであろう次回の契約を安易に結ぶことも出来ません。

つまりはロケッツというチーム自体がダントーニにとって魅力的とは思えないわけです。ハーデンを除く。

◉ロケッツが失速した理由

アリーザとバーアムーテを失い、急速にディフェンス力が低下したことがロケッツの問題でしたが、アリーザについては別の問題もありました。

オフボールのポジショニングとカッティング

アリーザは個人で得点することはあまり出来ないタイプですが、ディフェンスの状況を見極めて、上手いポジショニングと弱点を突くカッティングで崩してしまえる選手です。今シーズンのロケッツにはこのタイプがいませんでした。

次回はロケッツにも少し触れるのですが、アップテンポだったダントーニ初年度はアリーザだけでなく、複数の選手がこの動きをしていました。アリーザが一番うまかったけど。

ストレッチしてくれるロング３Ｐの使い手もライアン・アンダーソンとゴードンがいて、スペースの使い方が非常に上手かったわけです。

これがクリス・ポール加入によりスローダウンが増えたことで次第に減ってきました。要するに、昨シーズンから減り始めたポジショニング＆カッティングが、今シーズンはより減ったってことであり、２シーズン前に頑張っていたことが薄まってきたわけです。

それでも昨シーズンは「ムダうちが減って、ポジショニングも良かった」ような形で６５勝を手にし、優勝まで後少しの実力を見せました。残念ながら、今シーズンは薄まりすぎだし、新加入選手は２シーズン前のことを知らないし。

これらの事は微妙に次の問題に絡んできます。
・ハーデンの負荷を減らすプレーモデル構築
・スローダウンのＣＰ３
・オフボールが下手になったチーム

◉ハーデンとクリス・ポール

プレーオフの試合中にケンカしていたという２人でしたが、その時は火消しがしっかりとありました。選手として普通のことを言い合っていただけだと。

完全オフになるとダントーニの契約延長問題もあって、段々と火消しが出来ないくらいに、そして面白半分であろうフェイクニュースも含めて増えてきました。

〇クリス・ポールの言い分

「もっとパスを回すオフェンスを」
「もっとオレのいう事を聞け」

さて、至極まっとうな意見のようにもみえてきます。

〇ハーデンの言い分

「お前が誰も抜けないから、オレがやるしかないんだろうが」

はい。大正解。ハーデンが正しい。
まぁこれを本当に言ったかどうかは別にして、噂になるくらいに世の中がそう思っているってことです。

これをハーデンとクリス・ポールの言い合いっていうのは大物２人の不仲説ってことでキャッチ―でもあるし、事実っぽいし、話題として事欠かないよね。

でもね。よく考えてみよう。クリス・ポールは本来この内容を誰に言うべきか。そうＨＣのダントーニだ。実際にダントーニに言ったらしい。
そして、もしもあなたがダントーニなら何て言い返す？

「お前が全然決めれないからハーデンに頼るしかなかったんだろうが」
「お前のパスが溜め過ぎで、周囲のオフボールムーブが仕掛けにくいんだろうが」
「ショットクロックギリギリでパスしてんじゃねーぞ」

ダントーニ御大はこんなことは言いませんが、まぁ事実としてロケッツで起きていた問題の多くはクリス・ポールが引き起こしていたよね。カーメロ問題の時点で、そう言ったよね。

ロケッツが開幕から不調なことをカーメロの責任にするのはお門違いだし、ましてやアリーザの放出に求めるのもお門違い。ロケッツで起きている問題の７５％はクリス・ポールが悪い。クリス・ポールって超正統派ＰＧでポイント・ゴッドなんて呼ぶ人もいるけど、衰えというか、まぁチーム事情で変化するものって事です。いずれにしても、そのパフォーマンスの悪さを愚痴っていますが、最近ではそういう意見の方が多くなっているみたいですね。

とにかくクリス・ポールのパフォーマンスが悪すぎて、そこから派生するオフェンスが全く機能しなくなったロケッツ。ハーデンの歴史的な平均得点は、この状況から生まれました。

〇ハーデンの平均得点
１１月まで　３０．７点
１２月以降　３７．８点

ハーデンの得点が増えたのは超人的に「決めた」のではなく「打った」ってのが事実です。その理由はあまりにもふがいないチームメイトから発生しており、ダントーニもまたハーデンに頼ることにしました。

〇クリス・ポールの言い分

「ハーデンはパスを出した後で全く動かない」

これも事実ですね。クリス・ポールの言い分は正しそうに見えます。しかし、ロケッツのオフェンスは、１にも２にもハーデン。ハーデン、ハーデン、またハーデン。

だからハーデンにはプレーメイク以外の仕事を極力しなくて良いように設計されています。そりゃあ動いた方が良いに決まっていますが、おそらくハーデンと言えども、そこまで動いていたらケガで離脱していたでしょう。

んっケガで離脱して、チームを敗退に追い込んだのって誰だったっけ？
チームがハーデンに頼りまくった今シーズンはケガしなかった気もするぞ。

さて、まぁ、これはアレですね。完全なるアンチＣＰ３ブログになっていますね。言いたいのは、アンチとかハーデンが正しいとか、そういう事ではなく

クリス・ポール問題から発生した事を、クリス・ポールから問題視されたら、誰だってイラっと来るだろ

ってことです。多分、ハーデンだってクリス・ポールの意見を一般論として観た時に「その通りなんだよな」くらいの感覚はあるはずで、「だけど今シーズンのチーム状況では、致し方なかった」とも思っているはず。

なのに内部の、それも原因だった存在から言われたら・・・。

「言っていることは正しくても、お前が言うな」
「ていうか、チーム事情を知っている内部の選手なら言わないだろう」

チームメイト達だってわかっているはず。思うようにボールが回らなかったこと。ハーデンに頼り過ぎた事。でも頼るしかなかったこと。だから言わない。

なのにクリス・ポールは言ってしまう。どこに言ってもチームメイトとの不仲説が流れる理由を垣間見た気もします。

離婚よ、離婚。人の気持ちがわからないあんたなんかと一緒に暮らせないわ！

◉クリス・ポールの契約

しかし、離婚したくても重すぎる契約のクリス・ポール。契約にそぐわない低レベルのパフォーマンスしか見せていない上に、まだ３年も残っています。

そして今回の件で、さらにトラブルメイカーのレッテルが張られました。だってさ、ＮＢＡの関係者はロケッツで起きた事情何て理解しているに決まっているじゃん。それでもクレームしている選手、しかもサラリー圧迫する選手を欲しがるわけないじゃん。

なお、仲の良い選手と組ませれば話は変わってきます。頑張れレイカーズ。

３８Ｍ、４１Ｍ、４４Ｍと契約が残るクリス・ポール。ロケッツに発生した不良債権なわけですが、ここで冒頭のダントーニ問題に続くフロント事情が出てきます。

そもそも昨シーズンのプレーオフで負けた時点で「クリス・ポールにマックスの価値はない」とロケッツファンですら（むしろロケッツファンだからこそ）思っていました。

ところがロケッツは重たい契約を、それも４年契約を結びました。なかなかに信じられないことです。昨年の時点でマックスの価値がないと思われた選手と、それも年齢的に苦しい選手と４年契約を結んでしまった。

噂によると、既にそれを後悔し始めたというオーナー

・・・オーナー。・・・オーナー。

ロケッツのオーナーは、ハーデンに恋をして連れてきて、そこにダントーニも連れてきて、優勝を願った名物おじいちゃんレスリー・アレクサンダーが２０１７年９月に株を売り渡しました。

※売却益２３００億円とか。

新たなオーナー・ファティータはクリス・ポール派閥のようで、クリス・ポールを高く評価し、逆にダントーニをあまり好きではないようです。

そのオーナーすらマックス契約したことを後悔し始めたという報道も出てきました。もう迷宮入り事件です。

◉勝てないことが悪いんだ

結局はこれに行きつくわけです。昨シーズンに優勝していればクリス・ポールのマックス契約だって誰もクレームしなかったし、今シーズンだってウォリアーズに勝っていれば、不協和音も聞こえてこなかった。

勝てないからプレーにクレームするし、
勝てないからプレーを変えたわけだし、
勝てないからＨＣも変えたくなるし、
勝てないから離婚もしたくなる。

だけどさ。今のロケッツは「そもそも優勝できる状況ではない」ということが先に立ってしまうので何とも言えません。

結果だけ見ればセカンドラウンドに進み、ウォリアーズに惜敗しただけのロケッツですが、観ている方の印象通りに多くの問題があった今シーズン。

オフになって発生した問題はどうやって片付けるのか。
片づけを放棄してモーローが移籍したら超ウケる。
ロケッツはオフの主役に躍り出るのか？

◉どうすればよいのか

冷静に考えればクリス・ポールを放出です。ハーデン中心で後５年は戦いたい。マックスサラリーすら要求しない優等生のハーデンが最優先なのは当然です。

でもね。クリス・ポールは売れません。

だったらハーデンを１巡目指名権５つくらいと交換したらどうだろうか？

モーローはルーキーを連れてくるのが下手なので、この選択はしないでしょうが、ＧＭが交代するなら話は別です。大きな対価を求めることが可能なハーデンと、売るのに苦労するクリス・ポール。

チームが若手だらけになったらクリス・ポールはどうする？
バイアウトすら可能性が出てくると思うんだ。