ウォリアーズの5つのこと

ザ・パクリ。5つの数字でウォリアーズを振り返る。

どっかの公式サイトに載っていそうな題名。しかし、これは題名を決めてから内容を考えています。5つも何がわかったのか?

◉EFG68%のクレイ

3P58%

41本打って24本も決めたエクストリーム・クレイ。2Pも50%決めて、EFG68%という怪物スタッツ。16本打ったタイトな3Pですら7本も決めています。

このファイナルは戦力的に下回り、常にリードされていたウォリアーズが様々な戦術的対策を繰り出し、それにアンサーを用意してきたラプターズでしたが、クレイ・トンプソンにだけは何もアンサーを用意できませんでした。

ゲーム1でシアカムのマークが成功していたと判断したラプターズは、継続してチェイス役のシアカムを使いましたが、あまりにも決めるゲーム2ではマーク変更をして、それがチームディフェンスを崩しました。

ゲーム3を欠場してくれたことで1勝のアドバンテージとなり、ゲーム4からは「決められてもシアカム」という対応になりました。本当にここには打つ手なし。

もっとも多くマークについていたのはラウリーですが、マークしていたというよりは誘導された印象が強く、トランジションで前を走るトンプソンをはじめに捕まえるのがラウリーになってしまい、そこの高さミスマッチを有効に使っています。

兎にも角にも、どうしようもなかったエクストリームなクレイ。このシリーズでラプターズが完膚なきまでにやられた唯一のポイントだったかもしれません。ゲーム6もケガがなければウォリアーズが勝っていたかもしれない。

しかし、それだけのプレーをしながら、そしてデュラントを欠きながらトンプソンが受け取ったパスは43本。とんでもない効率性で得点している一方で、もっとパスが貰えれば、もっと得点が増えたのではないかと。

ラプターズのディフェンスは良いけれど、それでもパスを通してしまうオフェンスシステムがあるのがウォリアーズであり、ゲーム3はカリーしかいないのに、カリーにボールが集まりまくった。

「デイビッド・ウエストがいれば」というのはその通りな気がしていて、ウエストが最もトンプソンと相性が良かったよね。その役割はカズンズに引き継ぐと思ったんだけど。

エクストリームなクレイだったけど、やっぱりプレーメイクしてくれる選手がいないと苦しいわけだし、両方やってしまうカリーの方がアテンプト数が多くなる。もっとクレイにやらせていれば・・・ケガがあるから難しいんだよな。

◉6試合のスターター・イグダラ

現代NBAは高速化し、ポジションレスが進み、誰もが走り、ファイトしていく時代。それを「急激に」推し進めたのがウォリアーズという存在でした。

だけど、これには弱点があって、選手個々への負荷が強くなってしまうわけだ。「元気な方が強い」の誕生です。

だけど、ウォリアーズはそこにも答えを持っていて、プレーシェアとプレータイムシェアが進んでいたチームでした。

代表格はアンドレ・イグダラを6thマンにしていること。ゲームトータルを考えると6thマンにしておくことで、コートにいる5人の総合力を試合を通して落とさず、それでいて交代もしやすくなり、最後はデスラインナップだ!

そしてこの「デスラインナップ」って「優秀な5人」ではあるけど、それ以上に「スモールラインナップで機動力勝負」なわけです。「オールラウンドで弱点が少ない」ってこともあるけどさ。

つまり試合を通してプレータイムをシェアしながら、最後は走力で勝ち切るって寸法です。ますます「元気な方が強い」ってことなわけで、ウォリアーズの見えにくい強さでもありました。

「イグダラをスターターにする」「デスラインナップをスターターにする」

それが色濃く出たのは昨シーズンのプレーオフから。もちろんデュラントの離脱なんかもあるから一概には言えないけれど、そこまでしてイグダラをスターターにせざるを得ないのは何故だったのか。

昨シーズンのロケッツ戦から始まったギリギリのローテーションによる戦い方は、次第にウォリアーズを蝕んでいったわけで、確かにカズンズは活躍したけど、それよりもウイングが欲しかった。あるいはマッカウなのか。

「元気な方が強い」というのがウォリアーズ理論だと思っていただけに、そこに失敗というか、固執しなくなったってのは何だか、アレだよね。

2シーズン前はスティーブ・カーが体調不良でマイク・ブラウンが指揮をとった試合で、不器用なほどの定型ローテーションで戦いました。そしてカーが復帰すると、ちょっとバランスを崩した柔軟性を取り戻した。

チームとしてはローテーション重視。そこに負けられなくなって柔軟性によって変化してしまうのか。2シーズン前、昨シーズンと徐々に変化していたプレーオフの戦いだったかな。

◉15分のプレータイム・クック

ちょっと舐めていたクックの活躍度。3Pだけでなくミドルレンジからも強気に打っていたファイナル。ファイナルだぜ。

クックはデュークのガードとしてNCAAタイトルを獲得しているエリート。大学入学前はエリートでもなんでもなかったカリーとは対照的なルート。

それまではマッキーニーの方が重要視されていたような起用法だったのが、ファイナルの舞台ではヴァンフリートの関係もあって好調なクックがプレータイムを与えられ、重要な場面でもシューターとしてこのまれました。

ロケッツとのオーバータイムはマッキーニーのリバウンドで制したのにね。

時に戦術的な戦いが続くと、戦術的な対応が出来る選手を起用したくなるもの。クックはサラリーの安い選手としては、それに対応してくれる貴重な選手だったのかも。

実はもう少しPGっぽいことをやらせた方が役に立つ気がするのだけど、カリーの代役PGとしてシューターになっているのが現在地。だけど、ファイナルではシューター+アルファの部分で少しだけプレータイムを伸ばせた感じ。

マブスはブロンソンをスターターにまでしてしまったけど、なんだかんだNCAAでチームを勝たせてきたガードってのは安いサラリーで使い勝手が良いのかも。

◉デュラントの155

「たられば」という話は「ウォリアーズが勝っていたはず」みたいな結果論に吸い込まれてしまうけど、ここで言いたいのはそういうことじゃないよ。

マッキーニーが終盤に使いづらかったというか、使う意味があまりなかった理由は、アスレティックな能力でクックより役に立つのだけど、リバウンドとかその他もろもろ全てレナードに抑えられてしまうから、起用してもオフェンスリバウンド取ってくれないからでした。取らせてもらえないから。

その意味ではデュラントはロケッツ戦の時点でかなりお疲れでオフェンスリバウンド0だったし、運動量は大きく減っていました。ハーデンを止める仕事までし始めてからは特に。

だからファイナルでもう少しプレーしていても、やっぱりレナードにリバウンドを抑えられていたってのは事実でしょう。

しかし、たった12分の話をすれば、デュラントの存在がゲーム展開を大きく変えていく事を示していました。

ラプターズのディフェンス陣ではアヌノビーがいないのでレナードくらいしかデュラントを担当できません。もちろんレナードを抜くのは至難の業。デュラントといえども。

ただし、それはレナードもデュラントに集中しているという事。ゲーム5の序盤はレナードがデュラントに対して集中しており、ヘルプ要員が不足していたことでウォリアーズは周囲もプレーしやすくなりました。

ゲームレポートでは「オフボールムーブが活発化」と書いていますが、内容的にはインサイドのスペースがあり、しかもパスが回ったという事です。それはレナードによる邪魔が殆どなかったから。

「デュラントがいればウォリアーズが」という結果的なことよりも、「試合内容が全く違った」可能性があり、ラプターズ側の戦略には迷いが生じてきたはず。

そしてデュラントがいないことで「レナードのヘルプディフェンス」がどれだけ効いていたことか。

3P3本決めたこともさることながら、その別格の存在感はディフェンスシステムを狂わせるということがわかった12分でもありました。味方の動きだけなら、不在でも良いかもしれないけれど、相手の動きも考えるとデュラントがいたほうが遥かに厄介なのね。

ファイナルでウォリアーズのオフェンスレーティングは109。デュラントがコートにいた12分は155。カムバック・デュラント!

◉ディフェンス・レーティング114.9

ウォリアーズのファイナル史上最悪のレーティングになったシリーズ。奇しくも「ウォリアーズはディフェンスのチーム」という考え方が正しかったような数字にして、「ケガ人関係なくラプターズは強かった」と言いたくなる要因

単にオフェンスが上手くいかなかっただけならばケガの影響を強く言いたいけれど、便利なデュラントがいないって点を踏まえても、悪かった数字。なお、4-1で勝った2年前のキャブスとの戦いもこれくらい悪かった。不思議。

〇ファイナルでの被FT
15年 28.5本 70%
16年 23.9本 73%
17年 24.6本 75%
18年 22.5本 73%
19年 26.8本 86%

最近は高速化が進んでいるから自然と増えるものですが、それにしても増えたね。そして決められたねしっかりと。むしろレブロンの弱点みたいな数字ですが、ラプターズの86%はかなり高い数字です。

〇ラプターズのシュート
ゴール下 114本 69%
ペイント内 114本 41%

数字を見ると、ゴール下シュートを決められたけれど、その本数がペイント内と同じくらいに過ぎず、「ゴール下を打たせない」ことに成功しています。そしてペイント内のショートレンジはあまり決まらなかった。シアカム。

ちなみにウォリアーズは・・・

〇ウォリアーズのシュート
ゴール下 132本 65%
ペイント内 69本 29%

ということで、こっちもショートレンジが全く決まらなかった問題でした。あぁデュラントっていいたいけれど、リビングストンとかカリーもいまいちだったね。

もうひとつの理由が速攻。トランジションで上回るはずが出来なかったのだ。

〇速攻での得点
ウォリアーズ 15.8
ラプターズ 18.3

そもそも「デュラント抜き」で走っているようでいて、フィニッシュ力の低さであまり変化していなかったウォリアーズが、フィニッシュ力で負けたようなファイナルでした。ゲーム6とか両チーム疲れていてトランジションが決まらなくって、行ったり来たりの時間があったもんね。

トランジションでフリーを作ってシューティング勝負

に勝利してきたチームが決まらなかったことでカウンターを発動されたような一面もあったファイナルでした。

◉5つの数字

1つの記事にするには内容が足りないことをまとめて書いてみましたが、3つ目くらいから何書けばよいのか悩み、結果的に出てきて、まぁそれなりに書けたね。

特にデュラントがプレーしている時のレナードのディフェンスは注目に値するものでした。意識が強くデュラントに向いていたね。しかも3P3連発してしまうものだから尚更。

そしてエクストリームだったクレイ。で、両者が来シーズンどうなるのか。FAどうなるのか。そんなことに興味も映っていきます。

もうちょっとラプターズについて書くつもりだけど、のんびりしていたら即ドラフトなんだ。八村については・・・別に書かなくてよいかな。

ウォリアーズの5つのこと” への10件のフィードバック

  1. 短時間とはいえ、改めて数字で見るとデュラントの影響はとんでもないですね。
    来季にウォリアーズではないチームでどう輝くのか楽しみにしてたのですが、、復帰後どこまで戻せるか。

    そういえば、このブログに出会ってからどっかの公式サイトは内容が薄すぎて全く見ないようになったなぁ。笑

    1. 試合を観るようになってから自分も公式サイトを観る機会がほとんどなくなりましたが、題名が流れてきて面白い気がしました。

  2. クックが出たときにいつも思うのはクックがボールを持つとボールムーブメントがないorクックからボールが離れないことが多いなぁと思ってました。なのでPG向きではなくSG向きのポジションとして動いて、ドレイモンドがPGをこなす物のほうが安定して見えてました。個人的にです。
    ファイナルのトラジションオフェンスはやはりTORのほうが上手にできてた印象がありますね。
    来季のGSWはどういったメンバーが組まれるか今から楽しみです。

    1. クックの持ち過ぎってのはその通りでしょう。
      一方でクックがコートにいるってことはカリーがいないのが基本なので、もう少し落ち着いた方が良い気もしています。
      ミスが多いのもウォリアーズなので。

  3. 八村については割と紹介されてる記事も多く(上位候補なんで当たり前ですが)、指名されてからサマーリーグまで見てチームとの相性を考察した方が面白いと思います。ここのブログらしいというか。

  4. 公式サイトオマージュ(笑)

    ウォリアーズの『負けた後』のチーム構成や、各チームの『打倒ウォリアーズ』じゃないチーム構成はどーなるんだろ?

    って思っています。

    ラプターズが新しいバスケスタイルチームって感じでもないので(だからってオーソドックスかどーかも分かんないけど)

    対策ってゆうか『対抗するチーム作り』って考えにくいよーな

    そもそもラプターズが来シーズンも今の形(選手や戦術)ベースのままなのかも怪しいし

    てか、ラプターズらしさって何なんだろー

    が今のもっぱらの疑問です。

    ロケッツらしさとか 

    バックスらしさとか

    なら分かりやすいんですが、優勝したのに『ラプターズは今シーズンこんなスタイルで戦い熟成させました』感が僕には分からなくて…

    昨シーズンからの違いは確かにありましたがヘツドコーチやエースが変わったので当たり前だし

    でも、『劇的にこー変化しました』 ってあるのかなぁ

    『劇的に変化しない』事がよかったのかもしれないし…

    Finalの振り返りも楽しみですが、『シーズン全体から振り返るラプターズの変化』はやって欲しいです。

    先生 教えてください

    1. ラプターズのその視点は書く予定がありました。

      あったんだけど、ADにかき消されたっていう。

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