パスカル・シアカムを追いかける

ゲーム1を振り返ろう

ほぼほぼ完璧だったウォリアーズのレナード対策

それがゲーム1であり、ラプターズの進化が紡いできた内容でもあります。

マジックとのファーストラウンドではレナード頼みであり、レナードが持つと足が止まっていたラプターズ

シクサーズのとのセカンドラウンドでは、レナードをフィニッシュ役に限定し、オフェンスそのものはチームで組み立てる

バックスとのカンファレンスファイナルは、フィニッシュ役のレナードを囮にしつつ、キックアウトから3Pを徹底

変化にしてディフェンス力が上がる度に違う形で対応をしてきたラプターズ。その内容はファイナルでも変わらず、シクサーズ対策とバックス対策が上手く混じった内容になりました。

そして試合を決める活躍をしたのがパスカル・シアカム。ファイナルのゲーム1はそんなシアカムにフューチャーしてみましょう。この動画を元に話を進めていきます。まずは全体を見てから、1プレーずつの画像を切り取ります。ブログが重くなるから嫌なんだけどね。

このシーンはシアカムvsカリーにしています。そこにドレイモンドがヘルプに行きたがっている構図でした。最終的にシアカムは1回ダニー・グリーンに戻し、体勢を整えてから再アタック。ドレイモンドがヘルプに行って、グリーンの3Pでした。

これがアタック時の構図ですが、レナードがポジションをずらしました。「オレがオレが」ではなくシューティングポジションへの移動です。しかし、トンプソンとイグダラのポジションも秀逸で、それぞれ2人をカバー出来るような位置取りをしています。そう考えるとラウリーの位置がコーナーであるべきか、それともコーナーを空けておいてパスが出てから移動すべきか悩みます。

パスをだした瞬間がこれ。いくつかポジションが苦しくなっていて、まずラウリーの件でイグダラの位置がレナードをカバー出来なくなっています。その理由はガソルなのかコーナーなのかを止めたい意向なわけです。そこにトンプソンの左足がペイント内までかかっており、レナードはカバー出来てもダニー・グリーンをカバー出来なくなりました。

つまり瞬間的に2vs4になってしまいました。だから問題点はジョーダン・ベルとドレイモンドの2人がヘルプに行ってしまったこと。この場合はやはりドレイモンド側の問題点になりそうです。その角度からヘルプに行くならばパスコースを潰すのがウォリアーズならお約束のはず。カリーのポジションをみるとシュートよりもパスコースを塞いでいる気もします。偶然かな。

もしも、これがベルではなくデュラントだったら・・・となるとドレイモンドはデュラントに任せた気もするのでした。

次のプレーがこれ。リバウンドの流れでベルがカリーのカバー(ダニー・グリーンをブロックアウト)にはいったことで、再びシアカムvsカリーになりました。注目点はドレイモンドのポジションです。画面右の向こう側に行ってしまったガソルの担当です。

ポストアップに移行したシアカムに対して、本来ならそのままベルがカバーにいけば良いのですが、ドレイモンドが中途半端な位置に戻ってきてしまいました。トンプソンはダニーとレナードをカバーする位置取りですが、レナードが空きすぎな上にパスコースが明確なので、レナードを優先しに行きます。判断として正しい。

最終的にこうなります。ベルは被ってしまったので急遽ダニーを捉えに行ったのでガソルがドフリーでした。で、ここもカリーのディフェンスを観るとエンドライン側にヘルプが欲しそうですし、そこにはベルがいると考えていたのでは。

あとラウリーってダニーにパスだせ、って指示に見える。

その次のハイライトもトランジションからガソルへのアシストでした。飛ばします。
その次がこれまたカリーとの1on1になりトップから仕掛けます。

これはもう高さの利で柔らかなフローターを決めました。シアカムを褒めるしかありませんが、フリが効いているのでヘルプに行きにくかったのも確かです。シアカムの爆発したゲーム1でしたが、3つのアシストからスタートしていたわけです。

次は動画をそのまま見て下さい。トランジションからの3Pで決めたシアカムを褒めるしかありません。

全体的にシアカムのパス判断の良さが目立ち、そこから自分も空くようになりました。やっぱり「強引でも決める」よりも「適切な判断をする」ことの方が重要性が高くなります。序盤戦~中盤戦は特に。これが次々にイージーシュートを生み出す事になりました。

そしてこの後でドレイモンドを1on1で攻略していきます。誰もヘルプにこれない形にして、ウォリアーズの泣き所でもあります。これまでならばドレイモンドに対して勝負を仕掛けられるとデュラントのカバーがありました。

もちろんルーニーはカバーにくるものの、ガソルがストレッチしている事情やら、なんやらもありつつ、イグダラはレナード番なので助けには来てくれないのでした。

◉トランジション

ここからトランジションに移ります。

1つめのトランジションです。リバウンドを取ったときにシアカムは1番後ろにいます。ウォリアーズは3人が戻っており、ラプターズはダニーが走り出しているくらいで、とてもじゃないけどトランジションの匂いはしません。

ところが、これがこんなフィニッシュになります。ボールを持っているのに1番早かったシアカム。お前はアンテトクンポか。そして地味にダニーの走りが効いています。これがなければドレイモンドに止められていました。

理想的には逆サイドにもう1人3Pシューターが欲しいわけでして、ガソルじゃなくてアヌノビーならその可能性もあったし、ウォリアーズに当てはめるとデュラントじゃなくてマッキーニーならそこにいてくれます。

次のトランジションです。カリーのミスからレナードがボールを奪った瞬間です。ルーニーがレナードに食らいつきますが失敗します。ファールで止めたかったかもしれません。

シアカムは画面上です。トンプソンよりも後ろにいます。ちなみに画面下のカリーはファールアピール中です。

フィニッシュの手前です。シアカムがトンプソンを置き去りにしてフリーランニングで走り抜けました。早すぎです。そして地味に画面下に走っているダニーの献身性と、レナードと競りあっていながら、それでも戻ってきているルーニーも大切です。

次のトランジションはカリーの3Pにイバカがくらいついて触った場面から始まります。シアカムは画面下にいます。またもトンプソンとのマッチアップです。そうです。これもシアカムの良さです。ミドルトンに打たせないためだったり、アンテトクンポのアタック対応だったり。

ボールはレナードが奪いました。ヴァンフリートとイバカはブロックの流れから前を走っています。カリーとドレイモンドはディフェンスに戻っており、トンプソンも戻れる位置です。ただし、レナードに行くべきかどうかは迷うところです。

こうなりました。トンプソンがレナードに寄ったけど、全くジャマを出来ずに、結果的にシアカム側にディフェンスが足りません。問題はドレイモンドの位置です。もう1歩はシアカム側でよかった場面な訳です。

しかし、このポジショニングを否定は出来ません。ていうか正しいです。イバカへのアリウープがあり得ましたからコースを塞いでいます。問題なのは単純に「シアカムが速すぎた」ってことです。コンマ何秒か速くここまで到達していることでドフリーに見えたって感じです。

なお、別にこんなに速くなくても、3Pが打てます。でもシアカムにはムリです。カリーならレイアップよりも効率的です。カリーの3Pよりも効率的なトランジションを生み出すのは至難の業ですが、シアカムはそれを出来る数少ない選手の1人でした。レナードも。

次はクックが3Pを打ったシーンから。ブロックに飛んでいるのがシアカムです。なお、カズンズを片手で抑え込んでいるのがレナードです。こちらも規格外です。マジでレナードはいろいろとおかしなプレーをしてくれます。

リバウンドがこぼれたのをラウリーが拾いました。画面下のシアカムがスタートを切ります。なお、このシーンはジェレブコとリビングストンがトップにいながら2人ともオフェンスリバウンドに行ってしまったことが最大のミスです。トランジションディフェンスが悪いっていうか。。。

はい。1秒後です。シアカムの完璧な速攻になりました。ジェレブコは頑張って戻りますが、リビングストンとカズンズは画面の左端です。ラプターズの誰よりも遅くなっています。そしてトンプソンは再び中途半端になってしまいました。

次です。ボールが映っていませんが、画面右端のカリーが3Pを打ちました。ガソルとシアカムがリバウンドポジションです。結果はガソル側に落ちました。なお、ルーニーが絡んでくるのでギリギリでした。

ガソルがシアカムにパスを出したら、こうなっています。画面中央のやや上にいるのがリビングストンですが、上の写真ではシアカムとリバウンドに備えていたはずが、シアカムは無視して自分のマークを探したことで、何故か画面下半分にウォリアーズディフェンスがいなくなりました。トンプソンも背中を向けていますが、これは仕方ないのか、判断が悪いのか難しい。

というわけで、結果的にこうなります。誰もボールプッシュするシアカムに対応せず、カリーとリビングストンが2人でヴァンフリートを守ろうとしてダニーも誰も観れませんでした。

不運にもドレイモンドは2on1にされました。これはさすがに止められません。ウォリアーズは人数は揃っていたはずが、カリー、トンプソン、リビングストンの3人の連携が悪かったシーンです。

どうみてもリビングストンが浮いています。リバウンド争いからそのままシアカムをみていれば防げたトランジションでしたし、リビングストンがいかないならばトンプソンが行くべきでした。

◉シアカムを止める

ゲーム2でポイントになってくるであろうシアカムですが、問題になっているのがシアカムの個人アタックなのかどうか。というのがウォリアーズ側の課題です。確かにドレイモンドとの1on1を制していたシアカムですが、その得点は数点に過ぎず、むしろパッシングでディフェンスを崩されてしまいしました。

そこに加えてトランジションで「何でもないシーンを速攻」にされている傾向が伺えます。

これらはウォリアーズが強い要因でもありました。適切なポジショニングと全員のフリーランニングが生み出すマークの混乱。それをシアカムに具現化されてしまいました。スティーブ・カーもトランジションディフェンスを課題にしているようです。

切り取った画像ではトンプソンの中途半端な位置が目立っています。もしくは「ボールマンを止めるのかどうか」の判断がチームとして曖昧になっていました。レナードにスティールされたならファールで止める判断も必要です。

ゲーム2では何でもないボール運びの部分に注目してみましょう。意味なく絡んでいるウォリアーズの面々がそこにいるかもしれません。そしてコンマ何秒か遅らせることでシアカムの得点は3割くらい減るでしょう。

ということで、今日がゲーム1だったら書く時間があったのになぁ・・・。

◉デュラント君の呟き

「オレがトップの位置でオフェンスしかけていたら、カウンター速攻はされなかったんじゃないか」

「ドレイモンドが抜かれてもオレがカバーで叩き落としていたぜ」

「オレの打点なら止められることはないから、ミスからの速攻もなかったぜ」

「オレの手の長さならヘルプに行けばパスだってさせないぜ」

パスカル・シアカムを追いかける” への11件のフィードバック

    1. 試合の具体的内容とは少し反れますが
      画像があると格段に見やすくなりますね。
      ゲームレポートでは厳しいと
      思いますが、試合後のまとめ的な
      記事では今回のように画像があると
      管理人さんの目線がよりイメージ
      しやすくなるので、重くなりすぎ
      ない程度であれば今後も取り入れて
      頂きたいです。

      1. 写真の貼り付けが、かつてより楽になりました。加工すると時間が必要ですが、それをしなければ。

        リーグパスが録画出来なくなって辞めたのですが、個人のハイライトならばユーチューブでいけますね。

        問題はスマホだと、イマイチわかりにくい事かな。

  1. デュラント君、あながちビッグマウスでも何でもないから笑えます。便利な上に強すぎて、誰でもデッキに入れるカードみたいな感じです。

  2. いい加減にしてください!デュラントはSNSで匿名で書き込んだりしません。
    という冗談はさておき
    GSWのカーは百戦錬磨なので1手で3つのことをしてきそうです。
    1戦目は走って相手の主力を削ることと、相性のいいベンチメンバーを実践の中で探すことが
    真のテーマだった気がしますね
    GSWは3回は負けれるという王者のシリーズ運びが感じられました。

    1. 日本語の裏アカです。

      カーは試してくるわけですが、じゃあゲーム1で何を得たのかなぁ、と。ルーニーは良かったけど通常通りです。
      マッキーニーも良かった気がしますが、その割にはプレータイムが短かった。ジェレブコはカズンズありき。

      さて、ゲーム2はどうするのか?

  3. 素朴な疑問なんですけど、何でボガット使わなかったんでしょうか?相手がマルクだったら使ってもいいと思ったんですが。

    1. それは凄く思っているのですが、カズンズが出るのにボーガットまでは出さないというのは理解出来ます。でもベルの必要性がなかったなぁ。

  4. ゲーム1のキーポイントはここにある通りトランジションでしたね。
    画像あると凄く考えやすいので良かったです!

RR へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA