ピストンズの今シーズンを評価するのは難しい。
久しぶりにプレーオフ進出したのだから成功したともいえるし、積極的に即戦力獲得のトレードに動いたチームと考えれば8位というのは失敗ではないけど成功とも言い難い。ましてやオールスターが2人いるチームなのだから、ネッツやマジックの躍進とは意味も違う。
グリフィンが中心のチームとして構成しながらも、グリフィンに頼らないシステム構成をしたことで、終盤になるとスタミナ切れっぽくなっていたグリフィンの悪い癖を見事に修正したけれど、またもコンディションが整わない状況でプレーオフを迎えてしまった。
総じて「方向性は間違っていなかったけど、思い描いた構図は実現できなかった」といったところか。だからまずは良かったところから考えていこう。
そういえばシーズン前は「ドラモンドが3Pを打つ」という話があり、実際に打っていたけどちゃんと辞めたよね。ドラモンドの向上心と制御心がそこそこあるのは面白い。
◉ピストンズの良かったところ
①大人になったレジー・ジャクソン
毎シーズン不安定だったピストンズ。その最大の原因はPGが不安定ってことのような。サンダーあるある。とにかく感情的過ぎたレジーはシーズン序盤は勝負所のPG役をイシュに譲り、シューティングガード的な形を採用されました。
〇プレーオフの成績
得点 17.8
アシスト 7.0
ターンオーバー 1.3
エリートPGなスタッツを残したレジー。他にエースがいるチームとして、ミスを減らしながらしっかりとアシストを記録しています。もう少しFG%が上がればいう事ありませんが、そこは能力的な問題なので。
シーズンでもターンオーバーは1.8と少なく、堅実なプレーぶりが光りました。ミスが減った理由はドライブを減らし、パスムーブとアウトサイドから狙うようになったからです。FGアテンプト数は昨シーズンと同じだけど、3Pは1.9本増やしています。
大人になったというか、戦術の中で役割を果たすことを重要視されるようになったということ。グリフィンの負担を減らしたピストンズですが、それは全員に言える事でもありました。
②機能したパチュリアとメイカー
正直、これは驚きでした。個人としても微妙な部分がある2人が、ビッグマン過多と思われたピストンズで自分の持ち味を生かして貢献していたのでした。
そもそもこの2人以上にドラモンドとグリフィンのコンビが現代的には機能しそうにない問題が大きかったのですが、思ったよりも上手くいっていました。スキルはあるけど運動量の足りないグリフィン、致命的にシュート力のないドラモンドってのは補えあえないと思ったのですが、他にもビッグマンを連れてきて変化させることで凌いだ印象です。
まぁ、でも本当はシューター系PFが欲しいよね。
③エリントンとケナード
シーズン後半になってピストンズが向上した理由は、この2人です。シューターがスコアリングの中心になったことで、基盤が向上しました。そもそもドラモンドがいるので、リバウンド面に強みがあったピストンズですが、酷いEFGでした。
〇EFG 50.9%(26位)
未だに4チームも下がいることすら驚きですが、トップチームと5%も違うってのは大問題です。なお、プレーオフではバックスディフェンスの恐怖にあって最下位に沈みました。
で、問題はこの数字を大きく上回る選手が皆無だということ。昨シーズンはドラモンドは53%程度で、グリフィンは49%です。レジーも50%を下回るので「主力3人のシュート効率が悪い」という大問題がありました。
エース達の効率が悪いなら周囲で上げる必要があります。だから3Pシューターで補うってのは理にかなっていますし、「シューター中心にした」と感じた理由もそこにあったかもしれません。エリントンは57%オーバーで大きく引き上げてくれました。
エースが打つよりも3Pシューターに打たせろ
これが定まったからチームは上昇曲線を描けたといえ、そうしなければいけない事情がプレーオフでは苦しさを増したといえます。ケナードは気を吐いたけどね。
◉安定感と引き換えに
これらの事はドゥエイン・ケーシーらしさでもありました。全員がそれぞれに役割を持って仕事をするスタイルです。ドラモンドのリバウンドとグリフィンの得点力があるけど、それがあるからこそ頼らない。みたいな。
それはチームに安定感をもたらしてくれましたが、ちょっと力強さを感じない部分もありました。成績面でもそれが表れています。
〇対戦相手別勝敗
5割未満のチーム 26勝14敗
5割以上のチーム 15勝27敗
なお、5割未満で14敗ですが、ホーネッツに4連敗、キングスに2連敗しています。この2チームを除くと26勝8敗。ニックス、ブルズ、サンズ、ウルブズ、グリズリーズをスイープして勝率を上げました。なお、何故かラプターズからも3連勝。
選手のケガなどのタイミングもありますが、チームシステムが安定したことで5割の成績を残せたピストンズですが、格上相手にも通じるような武器が少なく、そっちの意味でも安定してしまいました。
これもちょっとしたケーシーあるあるで、ラプターズ時代も好成績なのだけど、その内容は「格下からの取りこぼしが少ない」ってことでした。ウィザーズとは大違い。
ケーシーがもたらしてくれたチームの安定感、各選手の役割分担、個人の成長、そしてプレーオフ。それは不安定だったピストンズには良い薬になったと思います。
このチームには「弱くないのに勝てない」敗者のメンタリティがあったので、まずはそれを1シーズンかけて払拭したと考えれば成功だと思います。ただ、もう1ステップ上に進めるのかは青写真が描けていないってことです。
若きネッツとゴードン&アイザックのいるマジックに比べると、伸びそうな若手がケナードと・・・ドラモンド(?)になってしまうのがピストンズのオフの悩みです。
◉ブルース・ブラウンの衝撃
閑話休題。ピストンズで忘れてはいけないのがコレ!ドラフト42位のルーキーです。最終的にスターターの座をゲットしたブルース・ブラウンは、たった1つの試合で大いなる注目を浴び、サクセスストーリーを歩き始めました。
この試合がブルース・ブラウンの全てといっても過言ではないくらい大いに輝きました。アイソレーションマックスのロケッツなので、個人のディフェンス力が目立ちやすいという事情もあります。
平均4.3点しかとっていないスターターは、立派なエースキラーとして役割を与えられました。今シーズンのピストンズはガードの補強しましたが、最終的に勝ち残ったのが42位ルーキーだったのです。
グリフィンとドラモンドが高確率マシーンだったら、なおさら意味がありそうなのですが、そういうわけじゃないので試合終盤には起用されにくくなります。オフにディフェンスを磨いてくるのか、それともオフェンスでの貢献度を高めるためにシューティングを磨いてくるのか。
素晴らしきシューティングエースになれそうなケナードと共に、ピストンズがチームとして向上したければオフの間に成長してほしい選手でもあります。
チームに残れるかすら微妙だった選手が、オフの成長を期待されるなんて素敵な話なんだ。あとはケンバをしっかり守ってくれ。
◉切なきグリフィン
管理人はドラモンドがお気に入りです。理由はシンプルで自分のプレーを徹底して繰り返せる強さと、ディフェンスから速攻に参加したり、パスでゲームを組み立てたりとイメージと違うプレーもこなせたりするから。
ピストンズが一番強い時って、ドラモンドがディフェンスハッスルするときです。リバウンドが強いけど、それよりもアウトサイドまで守れる能力があるんだよね。イメージと違って。
この数字って今シーズンはどうなっているんだろ。
問題なのは、それがグリフィンの特徴とあまりリンクしなかったことで、ドラモンドがアウトサイドまで守っている時にカバーリングが上手いわけじゃないし、グリフィンのポストアタックにドラモンドは邪魔です。
現代的には成立しそうにないコンビで成立させたのがケーシーの素晴らしかった部分ですが、もう一段上のコンビネーションはなかったよね。それこそデアンドレ・ジョーダンとドラモンドだったら、グリフィンにはジョーダンの方が合っていた気もします。
余談ですが、現代的にはグリフィンってセンターだと思うんだよな。ネッツでセンターやれば機能しそうだし、あとはバックスでヤニスのポジションにそのまま落とし込めそうだし。ミルサップとプラムリーという違うタイプとコンビを組むヨキッチみたいに使い分けられればね。
ケーシーはグリフィンとドラモンドをコンビとしてどうするか考えてきた今シーズンでしたが、それは他の選手たちに明確な役割を与えることでバランスを成立させました。ピストンズの良かった部分。
もうひとつケーシーが考えていただろうと予想するのが、「シーズンを通してグリフィンのコンディションを維持させる」ってことです。パワー系の選手だけに長いシーズンで浮き沈みが大きかった。
これはシーズン通して考えた時に、エースがいなくなる方がデメリットという考え方ですし、プレーオフになるとケガで離脱しまくっていた過去を鑑みての事だったと思います。しかし、結果はまたもプレーオフを欠場。
理由は各シーズン様々ですが、同じ問題を抱え続ける切なさ。プレーの負荷を減らしたけれど、やっぱり失速してしまいました。切ない。
「さようならピストンズ」ってことで、今シーズンを振り返ってみると、最も印象的だったのはグリフィン周辺が解決したことであり、そして最後に再びグリフィンのケガに戻ってきてしまったことです。グリフィンが扱いにくいのか、正しい扱い方をしてあげられていないのか。
バックスとのシリーズは、勝ち抜くのは難しかったとしても「ヤニスをグリフィンが抑え込む」という点で少しは沸かせてくれるかと思っていたのですが、そこにたどり着く前に終わってしまった印象です。切ないね。
再建しないと決めたピストンズは、ブルロックとスタンリー・ジョンソンまで放出しました。ビッグマンとシューターを中心とした構成で来シーズンも勝負するのでしょうか。あるいは更なるビッグトレードに踏み切るのか。
ケーシーが1年かけて整えた環境は「正しい方向性」と捉えられるのか、「将来性を感じることが難しい」と捉えられるのか。プレーオフに進めなければ答えは簡単だった気もしますが、結果が出たからこそ難しいってこともあるのです。ウルブズ。
ブルース・ブラウンの衝撃もケナードの得点力も、レジーの変化もドラモンドの献身性も、パチュリアのスクリーンもメイカーの3Pも、イシュのコントロールもカルデロンのいぶし銀も、ギャロウェイの勢いもエリントンの運動量も
どれもこれも面白い要素をもっていたけど、それが「物凄く面白い」と特集するところまではいかないものでもありました。成長したけど、ブレークはしなかったピストンズ。
1位と8位のシリーズは、1位と8位らしくスイープで終わりました。しかし、その1位バックスは中核となるメンバーは同じなのに、選手1人ひとりは明確に成長したと感じさせるものではなかったのに、チーム全体では大いなるブレークを果たしました。
「成長したけどブレーク出来なかった」それが今シーズンのピストンズ。来シーズンはバックスのように化けることが出来るのか。シューターを集めただけに、そんな方向性もあり得るのでした。
3チームさよならの悲劇
マジ地獄!
もう書く気持ちすらないので、明日はジャズもクリッパーズも勝ってほしい。
就任一年目からプレイオフ出場を実現させたケーシーの手腕は見事だと思うのですが、一方で古巣のラプターズは無事に一回戦を突破しましたね。
まだピストンズは一年目だし、プレイオフも先まで見ないと正当な評価は難しいとは思いますが、ケーシーのやり方はレギュラーシーズンは強いけどプレイオフでは通用しないんでしょうか…
そんなことはないと思いますが、それよりもそもそも爆発力にかける部分を何とかしないといけません。メンバー的には
ハードディフェンスから速攻
トランジションと3Pで運動量勝負
堅実なハーフコートオフェンスでディティール勝負
みたいな方向性を並べた時に、どれを採用するにも一長一短な気がしています。
あとはバックスの結果次第で、複数のチームの方向性が変化してくる気がします。
あのスタイルがプレーオフで問題になるのかどうか。
全く話は違うのですがヒートのアデバヨこれからの成長も考慮してヤニスのような選手にはなれませんか?
巷では第二のハワードと言われてますが磨けばもっと輝く原石かもと自分で過度な期待しています。
ボールプッシュできるし、ハンドリングもそこそこでパスセンスもあるので純粋なセンターとしてよりは今期のようなバックスのヤニスのポジションが当てはまりそうな気がしてます。
今期のヒートはスペーシングオフェンスが良い形で見られるしドライブを多用していてバックスのシステムにマッチしていると思います。あとは、ブルックロペスのような選手をもってくればもっと形になるかなと。。。
ホワイトサイドじゃ無理だし
ディフェンスは今の個人能力に頼るよりもリムプロクターを置きペイントエリアに誘導する方がいいかと
リチャードソン、ウィンズロー、デリック・ジョーンズと期待できる選手も多いので変革期に入った今後のヒートが楽しみです。
アデバヨについてはスーパーマンと評していますが、ハワードとは全く違うタイプのスーパーマンだと思っています。
確かにボールプッシュもするようになり、ミドルすら決め始めましたが、その本質はオープンコートの打ち合いでこそ強みが発揮されそうです。そこはヤニス的。
ただヤニスはサイズの有利性があるからこそ、センター的なプレーが出来ているのに対して、アデバヨはサイズ的に苦しく、止まった状態でのゴール下では弱さがあります。
スピードに乗った展開でのフィニッシュ専門の方が機能しそうなので、ADの方が近いのではないでしょうか。
現実的な路線ではロンゾあたりをトレードで狙ったら面白いかもしれません。何でもトランジションにしてしまえるガードとの相性が良さそうだし、ロンゾに足りない部分をスポルストラが教え込むことも期待できそうなので。
メイカーの3Pって確率がよろしくないのでなんとも……サラリーがスッキリする1年先まで契約があるので頑張ってほしいですけど
それはバックスが諦めた要因でもあります。多分。
なんで決まらない3Pばかり打って、インサイドプレーの向上に時間を費やさないのか。
ケーシーならインサイドを重視させると思ったのですが、ちょっと違ったのはね・・・。
ほんとそれです、今のところはイシュに操縦されてればインサイドで得点できてる印象ですけど彼とは再契約できるか微妙ですしなおさら。
そしてオフェンスがアレでもブルースプラウンのようにディフェンスで輝ければいいのですけどね……
あのサイズで、あれだけ動けて、高さがあるので、ペリメーターまで守れるリムプロテクターになる要素はありますが、感情的になりすぎガマン出来ず、戦術理解度も足りていないので、ディフェンダー向きの性格じゃないんですよね。
ピストンズは補強のポイントが分かんなくて難しいですね。ASクラスの選手はグリフィンとドラモンドしかいませんけど、一見すると、ハンドラー、シューターにもタレントは揃ってて、ブルースブラウンっていうエースキラーもいる。成長といったら簡単ですが、具体的には誰の何を向上させたらもっと強くなるのか。とりあえずグリフィンが健康でいることは大前提ですけど、EFGの低さを考えるとチームディフェンスの向上が最優先なんですかね?
いやー、やっぱりグリフィンはセンターだと思うんですよね。器用でスキルも高いけど、アウトサイドに置いておくと、ろくなことがない。そうなると3Pがないドラモンドとの相性ってのが。
まぁドラモンドを軸に考えて、シューティングチームにして、ドラモンド以外はハリーバック。自分たちは速攻を出すけど、相手には出させない戦い方なら、アリだと思います。キーになるのはシュート力ですが、そこはケナードほか揃えてきたわけで。
いずれにしてもチームディフェンス優先でしょうね。「チーム」ってのがね。グリフィンが集中力に欠けることが多いから・・・。