ヌルキッチ後のブレイザーズ

どうなるんだろ

「最近のリラードについて」というリクエスト的なコメントを頂き、それは確かに書きたいなと思っていた矢先の出来事。外出していたので珍しくTwitterでリアルタイムでネッツの結果を追っていたin女子大で、居た堪れない出来事が発生しました。

ヨキッチみたいなポイントセンターになることを求められた今シーズンのヌルキッチ。でも、そもそもヨキッチじゃないわけで、ミスのオンパレードでした。

その時って批判するわけじゃないですが「ヌルキッチにそのパスは無理なんじゃない」と思っていまして、マカラムの裏抜けにパスを出すものの、マカラムは体半分抜けているのにパスは通らないみたいな。

パスが下手なのか、読まれているのかでは後者なのですが、かといって上手いとは言えなかったヌルキッチ。それが通るようになるのだからテリー・ストッツ様様。

そしてヌルキッチは単にパスを出せるセンターではなく、高さでは劣るけど懸命にオフェンスリバウンドに参加し、スペーシングとオフボールムーブが成立しているオフェンス事情から、フィジカルというか体の幅を活かしたオフェンスリバウンドはキャリアハイを記録しました。

起点に成りながら地味仕事もこなす。まるっきりヨキッチじゃないか。ヨキッチに追い出された形だったのに、そんなヨキッチ的になるなんて皮肉なヌルキッチ。

しかし、ヌルキッチはもう戻ってこない。リラードについて書くよりも、ブレイザーズがどうなるか考えないといけません。

◉結論:リラードが頑張る

まぁ簡単な結論です。これ以外にありません。マカラム離脱で2人分働いているリラードが、3人分働くことになります。で、リラードは3人分だって必要なら働く男です。でもプレーオフで勝つってのはかなり苦しいです。

最近のリラードには凄みを感じるというか、ゲームの支配者という印象を受けます。チームメイトが好調なら全てを任せシューターになり、あるいはやり返したそうなら、それも許容してボールを渡します。

それはまるでチームメイトの気持ちを全て察し、コントロールし、試合展開の中で自由を与えているヘッドコーチのようでもあります。

「選手が判断する必要がなくなってきた」とは誰かが言ったような気がしますが、NBAでも似たような傾向はあり、高い戦術遂行能力は必須になった代わりに、ゲーム全体を把握して戦術選択するのはコーチングスタッフがやれば良くなりました。

しかし、いや、だからこそ時にゲームコントロール力が目立つ選手がいるのも事実で、リラードほど人の感情も戦力分析も試合展開をも瞬間で判断しているような選手は他にいません。

ウエストブルックは味方を信じてパスを出しますが、心まで把握はしていません。ハーデンは自分がやり続けることでチームをひとつにしますが自分がやるしかありません。

リラードは味方のミスに一喜一憂することはなく、しっかりとディフェンスに戻り、ボールを取り返しに行きます。「お前がミスしても最後はオレが決めるから心配するな」と顔で語っている気もしてきます。

レブロンはわき役とハードワークが出来ません。アーヴィングは味方が外すと目に見えて落胆します。

それぞれが悪いのではなく、チーム状況や求められる役割でそうなっているだけですが、全てを超えてゲーム全体を把握しているように見えてくるのが現在のリラード。だからマカラムがいなくて、ヌルキッチがいなくても、リラードはその状況に応じて何をすべきか考え実行し、最後は自分が決めて勝つのだと思います。

◉ウイングを増やしてコリンズ

とはいえ、周囲のシュート成功率を神通力で上げるわけじゃないし、リラードだってミスもあるし、プレーオフで勝てるほどにチーム力は高くないのでした。

これは極めて残念な話です。今シーズンもブレイザーズのスターターは強い。それはそれは強い。リラードの件もあって強い。

アミヌとハークレスは誰が相手でも守れてしまうディフェンダーです。先日はハークレスがマークしていたのはレジー・ジャクソンでした。なんてマッチアップだ。

このディフェンス力は驚異である上に、リバウンドへの参加意識が高いことで、スイッチを促すオフェンスにも強みを見せます。「強固なディフェンスで失点しない」というよりも「柔軟性の高いディフェンスで失点を減らす」といった方が正解かもしれません。

相手がどんなチームでどんな特徴があっても対応するだけのウイングディフェンスがあるのがブレイザーズ。課題はリラード&マカラムですが、最近のディフェンスは体を張るだけでなく読みの鋭さが目立ってきました。特にリラード。ここでも心を読んでいる様子。

しかし、現在のロスターで替えが効かなくなったのがヌルキッチです。これが困った困った。なんせ、カンターもレナードも守れません。どっちもポジショニングや体の向きといったディテールが下手なんだ。戦術時代には致命傷なんだ。

一定期間をカンターで凌ぐにしても、ベンチからレナードが登場するわけだから不安で仕方ないよね。どうだろうか、ここはラビジエリにギャンブルでもしてみるかい?

強烈なスターターはそのディフェンス力を十二分に使うことが難しくなります。あとはザック・コリンズに託すのみかもしれません。ウイングに加わってアミヌとハークレスがリバウンドに参加する機会を増やすこと。

コリンズなら試合トータルでのプレータイムが長めになってもスタミナでくたばることはないでしょう。カンターは無理。守るならコリンズってことになります。

◉カンターのローポスト

しかし、オフェンスはコリンズだとウイングは3シューター状態になってしまい、ちょっとバランスを欠いてしまいます。

ヌルキッチによるパス供給パターンが消えるだけでも痛いのに、チームオフェンスのバランスが悪いってなれば、どうしようもない。もうリラードに頼るしかありません。

もしもリラードに頼るのを前提にするなら、カンターのローポストアタックは面白いものがあります。かなり強力な武器にして、リラードとは全く違うオフェンスパターン。

ヌルキッチとリラードのパターンを組み合わせて多様性あるオフェンスを構築していった今シーズンのブレイザーズですが、ヌルキッチの役割をカンターに求めるのは無理です。ていうか、シーズン序盤はヌルキッチだって出来なかったのだから。

だからいっそのこと、全く違うパターンとしてのカンターローポストが成功するかは、唯一の希望です。実際、ヌルキッチよりカンターの方が上手いし。

◉元に戻ってターナー

リスクがいろいろあるコリンズとカンターに比べると、勝負所でターナーというのが、最も堅実な選択肢に思えてきます。今までもそうやってきたし。

結局のところ、オフェンスでヌルキッチの役割は起点としてシューターにボールを供給することと、スクリナーやリバウンダーになることです。後者はアミヌとハークレスもやるので、ヌルキッチほどではないにせよ頑張ってもらうしかありません。

問題となる前者は起点となるのだからターナーが適役です。ディフェンスではコリンズとそこまで大きく違うとも思えないし。そもそもターナーPGってのはシーズン序盤の形だしね。

コリンズ、カンター、ターナーのどれで来るのか。
おそらくスターターはカンターにするけどメインはターナーでしょう。あとはハークレスがステップアップするしかありません。

いずれにしてもウエストの各チームからすると強力なライバルが1つ減ったような状態です。柔軟性あるディフェンス力と、高いシュート力にオフボールを組み合わせたオフェンス。

それは特にスリーピーとを目指すウォーリアーズにとって脅威のチームだったはず。サンダーのディフェンス力に大きな陰りがある中で、ウォーリアーズが最もやりにくい相手がブレイザーズだったはず。

そこに生じたヌルキッチのケガはスリーピートの可能性を引き上げたと思っています。そんな流れすらもリラードがコントロールできるのかどうか。厳しすぎるヌルキッチのケガでした。

ヌルキッチ後のブレイザーズ” への10件のフィードバック

  1. 女子大…管理人さん女の子だったんですか、勝手に男だと思っててすみませんでした
    ヌルキッチが抜けたぶんはカンターに頑張ってもらいたいですが、
    控えには干され気味のレナードが復活するんでしょうか?
    ラビッシエーが奇跡とか起こさないかなぁ

  2. 昨日はショックでヌルキッチの事ばかり考えてしまいました。まずは怪我が治るのかどうか?一応、手術後に全快を期待できるとのコメントが出ましたが、これだってまだ確かではありません。仮に治っても、最低でも1年はかかるでしょう。つまり来シーズンも無理という意味です。本当に今は復帰できることを祈るだけです。
    POですがヌルキッチの代替は居ません。おそらくCJは戻るでしょう。でも、それでは勝てないことは去年までで証明済です。カンターをスターターにして、カリー、ターナー、フッド、コリンズの9人ローテで回すしかありません。どんなに困ってもレナード起用だけは駄目です。ハークレスとアミヌにはPTを増やして貰いましょう。でもオフェンスは期待できません。コリンズのインサイドも無理。ヌルキッチ不在だと必然としてガードコンビへのプレッシャーが厳しくなります。去年のNOPのように相当上からダブルチームに来られると上手くオフェンスが機能しません。おそらくこれを短時間で、しかもCJが万全でないなかで対応するのは困難です。下手をすれば新たな怪我人を生んでしまうかもしれません。折角、チームをして上手く機能してきただけに残念ですがPOは今年も諦めざる負えないでしょう。

    本国でも非難されていましたが、倒れたヌルキッチの怪我した左足を蹴ってまたいだ39番のレフリーは絶対に許せません。人としてあり得ない行為です。気づかなかったなんて言い訳は絶対に通用しませんよ!

  3. そうなんです。リラードが3人分頑張るしかないんです。ですがそれも期待してはいけないんです。
    ヌルキッチが怪我する直前のポゼッション、リラードはファールを貰い右膝を痛めているようでした。歩くのがしんどそうなほどに。おそらくこれからも出場するかと思いますが、リラードも怪我なのです。

    1. リラードもまた休んだ方が良いのでしょうが、彼のメンタリティからすると出続けるでしょうね。

  4. ヌルキッチがあんな怪我したのに不謹慎ですけど、こういうシチュエーションで覚醒的に伸びてくる若手って昔からいますよね。デンが怪我したあとのバトラーしかり、グレンジャーが怪我したあとのポジョしかり。最近だとカイリーが抜けたあとのロジアー? そういうのをコリンズあたりに期待してしまうんですけど、存在感みせてくれたら嬉しいですね。

    1. コリンズはこの先どうなるのかなぁ。大学残って、八村と共にチームの中心として切磋琢磨した方が、より良い選手になれていた気がして仕方ないです。

  5. リラードには強さを感じていて、何となくウエストブルックと比較していたのですがしっくりこないなーと思っていたんです。
    スタッツや印象度ではどう見てもウエストブルックが上だけど、リラードは全く引けを取らないというか。

    思ったのは支配力という強さの括りではあってもその内容は全く違っていて、リラードのそれは管理人さんの言われるチームメイトの気持ちも理解してゲームに組み込み、なおかつ最後は自分で決めるという覚悟というかメンタルのコントロールが優れているんだと思います。

    とはいえリラードで全てが解決するわけではなく。

    個人的にはオフェンスはカンターに任せてみるのがいいと思います。
    インサイドはうまいです。
    現代的ではないけどそこはリラードがいるので(笑)

    ヌルキッチ離脱をチャンスと捉える野心的な選手がいるかどうかでブレイザーズの今季、来季は大きく変わるでしょうね。

    1. ホークス戦みてたら、インサイド陣もアミヌとハークレスの残されたスターターもヌルキッチの穴を埋めようと奮闘しまくっているのが印象的でした。そんな気持ちの強さがリラード効果なのかもしれません。

      リラードは高い能力に加えて、心を読む力がリーグ最高のPGであると思っています。

  6. ウォリアーズにとってブレイザーズが最もやりにくい相手だったの?どの辺が?

    もし、それが本当だったら萎える

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