酒のつまみにヒート

お酒なりコーヒーなりオレンジジュースなりを用意してから読みましょう。

ネタさえ考えておけば、オフシーズンの方がデータも時間もあるのでいろいろと書けるって事がわかったので、ネタだけを考えることがあるのですが、その1つが各チームの1年間の感想をズラズラと書きなぐる企画です。
だから本当はオフに向けて、だったのですがそれっぽい内容が急激に必要になったのがヒートなので、まだシーズンが続くけど、感想を並べていこうっていう回です。

◉アデバヨとホワイトサイド

一般的なネームバリューと違って「ヒートのエースはジョシュ・リチャードソン」です。それが今シーズンになってドラギッチがケガがちだったので、より鮮明になってきました。
71試合全てにスターターで出場している唯一の存在は、11月までは平均得点も20点近くあり、ヒートオフェンスの中心でありエースキラーとして躍動していました。

こういう状況はヒートあるあるで、世の中一般的な認知度とヒートファンの認知度に大きな違いがあったりします。その最大の要素は有名なホワイトサイドと、スーパーマンのアデバヨの違いだったりします。
ヒートはハードなディフェンスが売りで、全員がとにかく動き回ります。それはオフェンスでも同じで、運動量で全てを駆逐するような形を望みました。

昨シーズンからディフェンス面でスポルストラが重用するのはアデバヨでした。だって、カリー相手だろうが守れてしまう能力を持っていて、センターとしてはアンダーサイズながら、どこにでも顔を出す運動量は驚異的です。
確かにホワイトサイドはブロック力もリバウンド力もありますが、ヒートのディフェンスは全員がハードワークすることにあり、ある意味リバウンドは他の選手でも補えます。

特に今シーズンはスターターに成り上がったウィンスローが5.4リバウンドも稼いでおり、時代の流れからもホワイトサイド的なディフェンス力よりもアデバヨ的なディフェンス力が重宝されています。
それだけなら良かったのですが、ヒートにはビッグマンを活かせないオフェンス問題がありました。ジャズのゴベアーみたいにオフェンス能力が高くなくても、周囲が上手く利用すれば価値があるわけですが、残念ながらヒートは周囲が上手く生かすようなチームではありません。

SGを多くそろえ、ドライブとプルアップミドルが多いチームは、オフェンス力不足に悩んだからこそ、スピードアップを選びトランジションに勝機を見出しました。ますますホワイトサイド不要じゃないか。
ってことで、今シーズンはトランジションの連続だと、アデバヨがスーパーなプレーをしていたこともあって、ホワイトサイドの意味がどんどん薄くなっていました。

それは予想された未来でもあったとさ。

◉ウィンスローとマグルーダー

そんな今シーズンですが、ケガ人続出でPG不足になります。困ったスポルストラですが、そもそもSGだらけなのでSGを並べます。そこで頭角を現したのがマグルーダー。3P決めまくり、一気にスターターになりました。
2年目のドラフト外選手は高い能力を使い、思い切りの良いプレーでチャンスをものにしていきます。それは運動量を求めるヒート的な良さを体現した存在であり、ジョシュ・リチャードソンをエースにしたチームで、同じような役割を少しずつになってくれる便利さもありました。

とまぁ勢いよく記憶に任せて書いたのは良いのだけど、マグルーダーのプレーそのものについては記憶がかなり薄くなっているので、とりあえずハイライトでも貼っておきましょう。

こうして毎シーズン恒例のように良いロールプレイヤーが誕生するヒート。ロールプレイヤーなら誕生するヒート。評価してよいのか悪いのか。

しかし、これらの選択は成績に繋がりませんでした。トランジションを多用し運動量で勝負するスタイルは、ロールプレイヤーが多いチームの特徴を活かそうとしたのでしょうが、ホワイトサイドと合わないだけでなく、単純に個人としての能力差で負けてしまうシーンを増やしてしまいました。

11月を8勝13敗で終えると、それまで102を超えていた試合のペースが96くらいまで下がります。「スローで巻き返すヒート」の登場です。要するにディフェンスに勝機を見出すためには、オフェンスのミスが目立つトランジションは失敗と踏んだわけです。
これをボックススコアでちょっと追ってみたいのですが、11/27のホークス戦でペース109で敗戦し、その次のペリカンズ戦から100を切るようになりました。ホークスもペリカンズも早いチームなので、ターニングポイントだったのかもしれません。それまで20試合中3試合だけが100を切っていたのに、それ以降は100を超えたら早い試合になっています。

この時期にもう一つの変化が訪れます。
ドラギッチに続いてスターターだったエリントンが離脱したのでした。皮肉にも守れないエースとテンポを早めるシューターが離脱したわけですが、代役になったのがウィンスロー。それまでもプレータイムを得ていましたが、晴れてスターターに昇格します。
トランジションでドライブ&キックアウト勝負だったヒートは、ジョシュ・リチャードソンとマグルーダーを並べていたわけですが、ペースを落としていくってことは、ハーフコートオフェンスが増えるのでコントロール役の必要性が増してきました。

1カ月もすると実質的にウィンスローがPGに収まります。ヒートは明確なポジション分けしないので、あくまでも「実質的」なのですが、スローダウンしたヒートには重要な役割を担ってもらえました。
ここら辺は特集していますので、そっちを読んでね。

ウィンスローが良かったことの1つにセンターを使う技術を持っているっていうのがありました。PGとしては明らかに遅いけど、それはちょっとした緩急を生み出し、ビッグマンをひきだしてインサイドを使う形。
この良さでホワイトサイドも恩恵を受けるのですが、スポルストラはそんなにコンビとして重用しなかったので、スタッツ的には限定的ではありました。

ただし、スローダウンしたことと、そんなウィンスローが加わったことでホワイトサイド問題は少し終息したように感じていました。ある意味、トランジションが減ったからアデバヨのスーパーマンっぷりも鳴りを潜め始めたし。
「スローダウンで巻き返したヒート」ってのは、今シーズンの完成形が見えてきたってことで、見事にヒートはプレーオフに向けて突き進むのでした。

◉観ていなかったヒート

と思ったら、またも停滞してしまいます。理由は知りません。なんせヒートのことを殆ど観ていなかったから。だって、「もうこれでヒートは安泰」だと思っていたし、多少負けても「そもそも強豪ってわけじゃない」前提条件があるので、そんなものだろうと。

実はこの頃、ちょっと注目していたことがあり、その注目点が発揮されたら試合を見て記事を書こうと思っていました。でも、そう思いだしたら全然登場しなくなってさ。

注目していたのはホワイトサイド。2/5のブレイザーズ戦で28点を奪うなど、ハイスコアの試合が混じってきました。試合をあまり見ていなかったとはいえ、その理由となる前提条件は1月の段階で少しずつ登場していました。
SGを並べるヒートはドライブが基本のオフェンスですが、それは合わせのプレーには量も質も課題があるホワイトサイド向きではありません。しかし、ヒートは次第に両コーナーまでを使ったスペーシングの意識が高くなっていました。

これはある意味エリントンが不在でムービングシューターがいなくなったこと、そしてドラギッチ不在で逆サイドへの横断パスを出す能力の持ち主がいないことで、コーナーに選手を置きショートパスで崩すことに主軸が移ってきたからかもしれません。
結果的にスペーシングが必要になったヒートは、ウィンスローの存在もあって少しずつインサイドのスペースを攻略する形が出来てきました。それゆえのホワイトサイド爆発という予想でした。

この予想は当たっているかはわからないけど、最近のヒートを観ると遠からず、って感じです。わかりやすく広がっているし、そこにカッティングする形を使っています。そう、カッティングなんだよね。ホワイトサイドではない。

結果的にヒートはホワイトサイドを諦めることにしました。その理由はいまいちよくわかりませんが、前述のとおり、そもそもホワイトサイドよりもアデバヨを重用していたので、コメントのしようがありません。
ホワイトサイドが最後にスターターで出たのが2/25のサンズ戦。そこでFG14/19で29点と大活躍しながら、点の取り合いになったことでチームは敗れました。

なかなか凄い話なわけですが、翌日のウォーリアーズ戦は例のウェイド様の『THE 神通力』によってヒートは劇的な勝利を遂げます。ホワイトサイドはケガか病気か。

翌ロケッツ戦こそ敗れましたが、ヒートはここから10勝4敗と波に乗ります。26勝33敗とプレーオフがムリっぽかったのに、ウェイドの神通力はプレーオフを諦めさせませんでした。
ということで、5割に戻してきた1月上旬から、一気に負けが進んだ2月と、取り返した3月という流れになります。何が違ったのか。

1/15のバックス戦から負けが増えていくのですが、単純にアウェイのロードで負けまくっています。
1/15~アウェイ4連戦で3敗、2/5からの6連戦で4敗。加えて5割を下回るチームがキャブス、ニックス、ブルズ、マブス、サンズしかなかった。4勝1敗。つまりはスケジュールに負けた期間でもありました。

その間はオフェンスレーティングが102まで落ち込みました。相手が強いから得点取られているのはアレとしても、オフェンスが全然機能しないじゃないか、ってのは実際問題気になるものです。

ホワイトサイドがプチ離脱したこともあり、ここで遂にオフェンス問題に大ナタを振るったというか、ホワイトサイドを諦めたというか、まぁ観ていないからよくわからないけど、ヒートは劇的な変化をすることになりました。
全然、今シーズンの完成形じゃなかった。

◉続く

こんな感じで、今シーズンを振り返ってみようぜ。をオフにやろうか悩んでいますが、やっぱりテーマ性がないと読みにくい気がしてきました。レイカーズとかクリッパーズってストーリー性がなかったりして、書きにくいんだよね。

で、このタイミングでヒートを書きたかった理由は、現状が随分と振り切っているからです。そんな振り切った形にした理由はシーズンこれまでの戦い方がベースにあって振り切ったわけなので、過去を観ておくこともとても大切です。

ポイントになるのはホワイトサイドとアデバヨの部分ですが、忘れてはいけないのがウィンスローがもたらしたオフェンス面の変化です。
それまではビッグマンを使っていたし、ジェームス・ジョンソンの特殊なプレースタイルを大いに取り込んでいました。SGが多いチーム構成の中で、ドライブをメインにしながらもビッグマンを活用する術が不足気味だったヒート。

それでもスローダウンしてディフェンスを立て直し、オフェンスも形になってきたのだけど、相手が強くなるとやっぱりオフェンスが上手くいかないんだ。
ホワイトサイドは活躍していても、それでは結果に結びつかない。攻守の難しい関連性もあるけど、スローダウンした中でどうやって点を取っていくのか。

この後、ウィンスローとマグルーダーが離脱し、帰ってきたウェイターズが絡んできます。でも、そこら辺の経緯を見返すほどの余裕はないので、現在地へぶっ飛ぶ予定です。

変わらないのはジョシュ・リチャードソンが唯一の信頼されたスターターとして残り続けていることと、アデバヨに頼ることになったチームバランス。結局は昨シーズンから予想された未来ではありますが、そんな簡単な話ではないんだよね。

続く。

酒のつまみにヒート” への3件のフィードバック

  1. ウィンズローやハレル、ペイトン、ウーブレ、ポーティス、ムディエイ等、今シーズンに入りドラフト2015年組がようやく開花し始めてきたようですね、
    このまま咲くかどうかはわかりませんが、来シーズンは飛躍してもらいたいものです。
    抜けるのが濃厚なADの後釜候補オカフォー
    レブロンをブロックしてから先発に固定されたヘゾニャ、
    CLEの愛されキャラオスマン、このドラフト組は面白いですね。
    ウィンズローと比較されていたスタンリーやウェストブルックの元ダンスパートナーのペインが少し心配ですが。

  2. 今日のブレイザーズ対ネッツの記事を書いて頂きたいです。よろしくお願い申し上げます。

  3. 勝手におそらくもう書くつもりだと思っておりますが、ネッツvsブレイザーズのアクシデントによるブレイザーズの立ち位置について管理人さんの意見が聞きたいです。
    カンターが代役できるとは思えません!と、勝手に私は考えます。

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