ハーデンの歴史的な1月

NBA1のモテ男は密着デートを繰り返す。本日はダニー・グリーンとデートする。

1月のハーデンは12試合で平均44.4点。平均得点が44点だぞ。渡邊雄太のシーズン合計は52分で14点なのに。カペラまで離脱して非常事態になるとギアを上げたというか、カペラの分まで打つようになったハーデン。
恐るべきは、そのFG%と3P%である。

〇1月のハーデン
FG43.1%
3P33.5%

大した数字ではないのである。確かにフリースローは多いけど、それだって平均13点の話。ていうか、1試合のフリースローだけで渡邊雄太より稼ぐことが頻繁になるのか。
ハーデンのシーズン通算はFGも3Pも1月の確率を上回っており、歴史に残るとてつもない活躍は、その一方でただひたすらにシュートを打ちまくっている事で達成しています。

1月のロケッツは7勝5敗。ハーデンの大活躍がなければどうなっているのか。全てをハーデンから始めることで、わかりやすくなっているロケッツのオフェンスですが、やっぱりディフェンスは改善していないし、勝率的には微妙。
ある意味、ロケッツは「ハーデンにやってもらうしかない」状況に陥っているのでした。

しかし、12月に書いた記事を思い出すと、それもまた違うんだよね。ハーデンが大活躍し、ハーデンがいない時間にリードを奪うのがロケッツの勝ちパターンでした。

本日のラプターズ戦は全く同じ構成になります。

〇前半の得失点差
ハーデン △4
リバース +11

ロケッツはハーデンが休んでいる時間に、リバースによる見事なドライブとパスアウトから3Pを決めまくり、最大22点リードを奪いながら、ハーデンが出てくるとダニー・グリーンの密着マークに、アヌノビーの密着マーク、シアカムからもデートを申し込まれて、めんどくさいからゴードンに託しました。
アイソレーション万歳の展開だったのに、ハーデンがいなくなるとリバースに簡単に抜かれまくるラウリーに、コーナーのタッカーが空きまくるチームディフェンスでどうしようもなかったラプターズ

「平均44点のハーデンをどうにかしないといけない」
その発想がディフェンスにひずみを生んでいると言わざる得ないのでした。まぁラプターズは割と良くこんな感じでディフェンス崩壊するけど。

ただし、12月(2.3)と違い1月はハーデンのいる時間にレーティング+5.8としっかり稼げています。ハイスコアを繰り返している得点と違い、ハーデン本人の効率は悪いのにチームとしてはオフェンス力が向上しました。
ちょっと何書いているのか、わかんないですね。数字で見てみましょう。

〇1月のオフェンスレーティング
オンコート 118
オフコート 103

まずこれだけの差があり、ハーデンがいないとダメダメなチームになっています。103は流石にね。

〇1月のEFG
オンコート 53.6%
オフコート 51.6%

しかし、凄い差があるわりにはシュートの効率性には大した違いがありません。要するにハーデンがオンコート時に違いを生み出しているのは「ファールを貰うこと」だったりします。それが大きな違いを生み出す。
その一方で地味な違いも存在します。

〇オフェンスリバウンド率
オンコート 26.8%
オフコート 22.6%

〇ターンオーバー率
オンコート 11.8%
オフコート 14.5%

ハーデンがいることでオフェンスに間違いがなくなる上に、リバウンドを取る確率まで向上します。要するに「わかりやすくなる」ということです。
実際にロケッツの面々はシーズン当初よりも気持ちよく3Pを打っており、機能している匂いがします。でも実際には数字的な改善はそんなに。違いがあるのはターンオーバーが減ったことだし、それは昨シーズンから始まった流れなんだよね。

ハーデンの大活躍は、その活躍っぷりとは裏腹に個人の効率はそんなに高くありません。しかしチームとしてのオフェンスの形がハッキリしたのでした。難しいハーデン効果にして、ロケッツにおけるクリス・ポール問題を感じさせてもくれるのでした。

◉スタミナで勝つ


〇1月のハーデン
2Pアテンプト 12.9本
3Pアテンプト 16.9本

それにしても見事に3Pばかり打っています。よくぞこんなに打てるよね。注意すべきは確率はそんなに高くないことで、タフショットが多いから確率は落ちている。
ラプターズは後半になるとレナードがハーデンの相手をするようにもなります。でもこれって、どうなんだろうね。レナードがファールトラブルになるほうが怖いような。

ハーデンが怖いのは、これだけのシュートを打ち続けるスタミナです。どうしてこんなにオフェンスの中心なのにバテないのか。ちなみに同じような凄みがあるのはデュラントで、攻守にハイレベルなのに最後までオフェンスマシーンなんだよね。でも、あっちはプレーをシェアしている。
ハーデンが3Pばかり打つのは、出来るだけムダなスタミナを使わないことにも関係していそうです。スピードだけでなくフィジカルなぶつかりあいもあるドライブよりも、1on1でファールを引き出す前提がある3Pなら、そんな接触プレーが少なくなります。

そして未だにどうしようもないロケッツのディフェンス事情もハーデンがサボりやすくしています。

〇ディフェンス平均移動速度 3.3

誤解を恐れずにいえばノビツキー程度にしか動かないハーデン。徹底して動かない。スイッチの多いディフェンスシステムを利用して、周囲の選手に対応させまくっています。
ならば、ハーデンのところを攻めるのが正解に思えるのですが、ハーデンにはハンドチェックと勘の良さがあり、スティールしまくっています。これでビッグマンを守るのも上手い。

ハーデンのディフェンスはギャンブルみたいなものですが、ギャンブルみたいなものでもメリットがあるわけです。チームとして守れていない中で、時にメリットを生み出すなら計算が成り立ちます。
そしてある程度サボっているから、試合が接戦になってくると、それなりに守りだします。スタミナが残っているわけだ。

ラプターズが7点差に追いついた4Qになると、その傾向は強くなり、3Pでファールをひきだせば、守ってもパウエルを追い回します。
後半は1分20秒しかベンチに座らなかったハーデンの得失点差は△4ですが、9本打った3Pは1本しか決まりませんでした。やっぱり効率がよいわけではありません。
ところがハーデンがいる時間のディフェンスレーティングは102とラプターズのオフェンスは爆発しきれていませんでした。ちなみにリバースは118。個人のディフェンスじゃないのに、やけに大きな差がついています。理解するのが難しけど、それがロケッツ流。

ちょっと話がそれるけど、ファリードがフィットしすぎだよね。ネッツでの不遇を経て、溜まりまくったパワーをぶつけている感じ。でも、ネッツファンからすると「試合に出てきても酷いプレーしていたじゃないか」という印象なんだけどね。エド・デイビスみたいな活躍してくれなかったのにな。
ロケッツ内部でいうとカペラよりも良い部分がひとつあって、カペラみたいにペリメーターディフェンスに積極的ではないから、ゴール下に戻ってくるんだよね。
ラプターズは3Pを決めまくって猛反撃に成功しますが、カペラがいたら、そんなに打てなかったと思います。だけどファリードがいるから、インサイドで得点するのが簡単ではなかったのでした。

残り3分でも14点リードがあったロケッツ。時間があるのでファリードへのファールゲームを仕掛けたラプターズ。でも2本決められて意味なかった。
それでもリバースの所から攻めまくるラプターズ。インサイドを攻めた後はグリーンの3Pが決まります。でもまだ残り1分20秒で11点差。完全におわったような試合でしたが、フルコートでプレッシャーディフェンスでチャンスをつかむと、レナードとラウリーが3Pをエアボールしてもシアカムが拾ってグリーンの3Pに繋げれば、自らもコーナー3Pでなんと残り20秒2点差まで辿り着きます。
決めれば同点のラストオフェンスのラプターズはもちろんレナード。そこに張り付いたのはハーデン。インサイドへの侵入ではなくステップバック3Pを選択したレナードはエアボールで終わったのでした。

今回ってラプターズ戦を交えながら書こうとしたのに、大失敗したな。

◉ダブルPGが帰ってくる

ゴードンが戻ってきているラプターズ戦。ハーデンは15本のフリースローを全て決めたのに、「たったの」35点しかとりませんでした。それでもチームは121点と、本当はハーデン個人がとればよいってわけではないことを示しています。
それでも個人で撮りまくるしかなかったハーデンが残した1月のとんでもないスコアリングマシーンっぷり。

ロケッツはオフェンスを昨シーズンの形に強引に近づけました。もっと良いオフェンスをしていたけど、その良い部分をハーデンの個人技に変換しています。
そして、そろそろクリス・ポールも戻ってくることに。ハーデンの個人技とクリス・ポールの個人技が混ざり、ミスが少なく堅実かつアイソレーションばかりのオフェンスをしていた昨シーズン

基本的な違いはないけど、ディフェンスが悪くなり、そしてクリス・ポールがオフェンスで結果を残せない今シーズン。
果たしてダブルPGはどんな結果をもたらすのか。ハーデンに頼り切ることで復調したロケッツは、勝ちたければクリス・ポールが復活してくれないといけません。

歴史的な大活躍が続くのはチームにとっては黄色信号
それでも勝利をもたらしているハーデン
2年連続のMVPにふさわしい個人スタッツと、2年連続はなさそうなチーム成績と。





ハーデンの歴史的な1月” への10件のフィードバック

    1. 特殊なトレーニングを積んでいるのか。卒業生のオラディポもスタミナありますし、今シーズンはポール・ジョージもスタミナが増しています。

  1. 本当にハーデンの1対1の巧さ、バスケットIQの高さには脱帽ですね!

    あとファリード、カペラの穴埋めには最適ですね。
    個人的にはセルティックスに行っても面白くなったのではと思います。
    管理人さんはどう思われますか?

    1. セルティックスは面白かったでしょうが、あのチームはすぐに3P打たせようとするので代理人が避けたのかも。

  2. ダントーニは残りシーズンCP3の出場時間セーブしますかね。
    リヴァース取ったのでハンドラーの数は足りてますし、20~25分にセーブしてプレイオフに照準をあわせるべきかと。
    それだけのPTでもハーデンのPTを5~10分は削れると思いますし、要の2人が活躍しないと勝ちきれないのは去年のWCFラスト2戦で思い知った気がします。

    1. 昨シーズンもセーブした挙句、プレーオフになると離脱しちゃったんですよね。
      ある程度、長く使いながら休養を挟むほうが良いのかどうか。
      ゴードンがいる中で4人目のリバースの存在って、かなり微妙な気がするのですが。

  3. 今のハーデンはサッカーでいうとメッシ、ロナウドですね。守備をしない前提でチーム設計をすれば攻撃でそれ以上に貢献してくれる感じ。

    1. 守備に参加しないからこそ、カウンターの脅威を感じさせる点でロナウドの方が近いかなぁ。

  4. ハーデンのドライブに囲みにいくけどうまくいかず。その内ディフェンス崩壊して点差開いて、これはもうダメかなと途中で外出したら終盤ワンチャンスあるとこまでいったみたいで、ラプターズがよくわからない…。
    休んでいたOGとレナードが戻ってきてくれたのはよかったです。ラウリーの3ptタッチも戻ってきてくれればなぁとずっと思ってます。すごく不安定に見えるんですよね。
    ところで自分はバスケ見る専門であまり知識がないんですがWhy notさんはどういったところに気を付けて試合を観られてますか?

    1. 試合を見るときは、ボールに絡んでいない選手が何しているかに注目したいと思っています。
      NBAなんで誰もがすごい能力を持っていますが、それをうまく発揮させるために周囲が何をしているのかって気になります。
      戦術がないと書くチームは大体どこかに浮いた選手がいますね。

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