2019/01/17 グリズリーズvsバックス

バックスにはすごいシューターがいるんだ。ミドルトン?違うよ、DJウィルソンさ。

◉対照的だから感じること

前回の対戦ではグリズリーズがスローペースに巻き込んで勝利していますが、非常に対照的ゆえに普段は強く感じないことも明確な違いとして出てきます。バックスのオフェンスは3Pとアンテトクンポなわけですが、その実、パッシングゲームの有能さがあります。
そのパッシングを可能にしているのは3Pを打ちまくるスペーシングなわけで、どっちが先かはわかりませんが、グリズリーズに比べると全体が1m近く外に広がっているように見えてきます。ということは必然的にディフェンスが追いかけるのはリスキーになるので、何でもないパスが簡単につながり、簡単につながるからスピードアップしていきます。

一方のグリズリーズはガソルがトップに出てくることで、追いかけてこないディフェンスを見越してパスを回していくのですが、バックスと比べると、このパスが全体的に遅いことが見えてきます。
後半に連続でパスカットされるシーンが出てくるのですが、まさに1m外にいたらディフェンスは全く手が届かないけど、内側に入り込むから触られました。そんなディフェンスを警戒するからパスの判断も少しずつ遅れてきます。

試合はそうやってスピード感あるバックスが、空いたインサイドをアンテトクンポが制圧することで開始から大量リードを奪います。
やっぱりグリズリーズには荷が重かったイースト首位との対戦。前半はスターターが9本の3Pを打ったのに1本も決まらず、何をしても上手くいかない感じでダメダメで一方的な展開になっていきます。
と、思いきやベンチからジャマイカル・グリーンが登場すると、ブロックにオフェンスリバウンド、そして3Pも決めて猛反撃したグリズリーズが追いつく展開に。

ロケッツも同じですが別に3P打ちまくるからって、決まりまくるわけではありません。確率はそこそこ。バックスの戦術が上回っているわけではなく、グリズリーズだって自分たちのやるべきことをこなせれば対抗できるわけです。
しかし、どうにもその精度が低くなっている今日この頃。特に目立つのはガソルのところで、良いパスが出せなくなっています。紙一重だけど、オフボールで体半分前に出ている選手にパスを通す能力があれば、機能しそうだったのに。

〇前半の3P
バックス 3/14
グリズリーズ 2/15

どちらも決まらなかったわけで、アンテトクンポがどうしようもない以外はグリズリーズもしっかりと対抗できていました。そして、この決まらない展開はグリズリーズお得意のパターンであり、粘り強い対応をして根競べに持ち込み最後に勝利を拾い上げていたのがシーズン序盤でした。
印象的にはバックスが圧倒していたけど、オフェンスはイマイチでも対抗は出来ていたグリズリーズでした。

◉ラッシュするDJ

個人的には単にルーキーとしてではなく、チームの中で重要な役割をしていると捉えているジェイレン・ジャクソン。やっていることはシンプルなポストプレーなのですが、1on1を制することを求められており、それに答えています。
さすがに相手がアンテトクンポということで荷が重い感じだった前半から、守り切れないと考えたのか、オフェンスで対抗し見事なスピンムーブで得点します。アンテトクンポが4ファールになったこともあり、これで勢いに乗ったグリズリーズはガソルの3Pで逆転に成功するのでした。
やられているようだった前半だけど耐えたことで、後半になって自分たちの流れをつかんだわけだ。

ファールトラブル気味のアンテトクンポだったので、ベンチからDJウィルソンが登場します。最近活躍しているわけですが、驚いたのは自信がついてきていること。前は良い判断に良いシュートがあっても、ちょっと信じきれないのか、迷いがありそうで無難なプレーをチョイスしていたのに、大きく改善し強気に変化していました。
PFですがウィルソンには強引なインサイドプレーはなく、ポジション的にはSFみたいなプレーをし、何よりもアウトサイドに走ってボールをもらい下がりながらの3Pも、フェイクからサイドに流れての3Pも、そして3Pでストレッチしていると見せかけ逆を取ってのカッティングダンクで一気に流れをもってきます。

前半はアンテトクンポを止める要素がなかったけど、後半になってファールさせて追い出すことに成功したはずのグリズリーズだけど、いなくなったほうが機能してしまうバックス。おそるべしDJウィルソン。ハーデン抜きでよくなるロケッツのジェラルド・グリーンみたいな。
インサイドの核がいなくなった反面、全体がさらにスピードアップします。何よりディフェンスが効き始め、スティールからの速攻が乱発されることに。

最近のバックスはジョージ・ヒルやスターリン・ブラウンなどベンチから出てくる選手がディフェンスプレッシャーで貢献するタイプになっており、グリズリーズは一気に困り始めます。困り始めるというか、全く対抗できない。
一旦、走られ始めるとトランジションディフェンスが悪くなっていく一方のグリズリーズ。何よりお得意のディフェンス力を発揮する場面を与えてもらえません。トランジションから簡単に3Pを打たれてしまうけど、ペースダウンするオフェンスは純粋に止められてしまう。

16-0、12-0なんてランを連続して食らってしまったグリズリーズ。DJウィルソンが3Pでハーフコートオフェンスをフィニッシュし、流れが来るとスティールからの速攻でラッシュしたバックスが3Qだけで41点を奪い、その流れは4Qになっても続き、最大31点のリードを得て圧勝したのでした。

◉DJと3ビッグマン

4Q半ばまで30点近いリードがあったバックスですが、最終的には10点差でフィニッシュしています。ガベージタイムっぽくなって20点も追い上げられたわけだ。そこには渡辺雄太も登場し、ソン・メイカーとマッチアップしていたのでした。
もう完全にビッグマン扱いになっているので、時にスイッチを促されてペリメーターディフェンス勝負がありましたが、問題なく止めていたよ。

問題は渡辺がどうのではなく、スローダウンのグリズリーズだけど、こうやって30点差を追いかけるためにペースアップしても、そこはそれで何となく上手くいくことがあること。
バックスに満ち溢れているのは、戦術的優位性以上に「この戦い方で勝てるんだ」という自信だよね。でもそれはシーズン序盤のグリズリーズでもあるわけで、信じられなくなった感じがビンビン出ています。

自分たちを信じるバックスは、13点、3P3/5のDJウィルソンによって大きなリードを得ることに成功したわけですが、誰かが爆発するのを待つスタンスで、3Pが外れた時の戻りの早さも目立ちました。
「シュートを決めるためにどうする」というのがシーズン序盤の変化なら、「シュートが外れた時にどうする」という部分まで徹底されてきている印象でした。

グリズリーズに足りないのはそんな部分かな。スローダウンして展開力に乏しいオフェンスは、上手くいなかない時間も結構あるわけです。それでもディフェンス勝負なら、何はともあれ速攻だけは許してはいけなかった。
そんなことは百も承知だけど、どうしても耐え切れず、戻り切れず、パスミスが増えてしまったよ。

またヒート戦からケガ人が多くなったことで、カスピ、ジャマイカル、ジェイレン・ジャクソンのうち2人を同時にコートに出すことが多くなりました。もちろんガソルかノアのセンターも出ているよ。
トレードで獲得したホリデー兄は前半5分しか出番がなく、テンプル以外のSFを信じていません。ガソルをアウトサイドで使うのに、インサイド渋滞っぽくなるのも悩みどころ。

本来はSGからSFの渡邊が完全にビッグマン扱いになっているけど、3人のビッグマンを並べるくらいなら、もう少しチャンスをあげたらどうなのかな。
トランジションの連続が増える中でしっかりと走れる選手が足りなかったグリズリーズ。日本人のひいき目とかじゃなく、献身的に走れる選手をもっと起用するべきだし、速攻を止めさえすれば、得意のディフェンス戦術も機能してくるんじゃないかな。

上手くいかないオフェンスからカウンターを食らいすぎているグリズリーズでした。でも、そもそもオフェンス力なんてプレシーズンから壊滅的だぞ。

2019/01/17 グリズリーズvsバックス” への6件のフィードバック

  1. 大したことないチームだったバックスがこんなにも良いチームになっているのを見ると、HCの重要性を再認識させられますね
    贔屓チームにもバックスの変化を見習って欲しいです
    ヤニスが活躍しなくても勝てるチームになってきているのは本当に強くなっている証拠だと思います

    1. シーズン開始で大きく変化したわけですが、しっかりとマイナーチェンジしていっているのは流石です。ブーデンフォルツァーもプレーオフが課題のHCなので、ここからが正念場

  2. 昨日の試合を見ていて、DJのプレーに自信が満ち溢れているのは同じく感じました。一バックスファンとして、レギュラーシーズンで勝てていることは嬉しいですが、この快進撃がプレーオフになっても続くでしょうか?
    やはりオールスター級がヤニスしかいないので、ラプターズやシクサーズ、セルティクスに対抗できるか心配です。
    管理者さんはどうお考えでしょうか?

    1. 一回落ちそうになったのに、耐えきったのでそうそう崩れないと思います。
      シクサーズとセルティックスよりは安定していて、ラプターズは違う問題発生中なので、バックスが一番良いのは間違いないかと。プレーオフはペイサーズの方が怖い。

  3. 大なたを振る時が近づいている様なグリズリーズ。生え抜きを放出し、三年我慢で、ジャクソン、ラブ、ユータなど若手をどんどん起用し、指名権&サラリーを空けて、新生熊さんになることを望んじゃったりした試合でした。

    1. これがまた今年のドラフトで指名権がないから、現時点で大ナタを振るう意味を感じていないのでしょうね。ただ、試合に関しては選手を試すべきだと思いますが。

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