2018/12/19 ナゲッツvsマブス

首位から転落しなかったナゲッツと好調を続けるマブス

◉ドンチッチとレブロン

好調を続けるマブス。開始からその理由を示すように鮮やかなパッシングからコーナー3Pを連発します。全く同じような形でスペーシングし、デアンドレ・ジョーダンまでもがゴール下1on1を選択せずにパスアウトするのは、非常に良く出来ているシステムと戦術理解度が進んできたことを示しています。

名目上のPGは2巡目ルーキーのブロンソンなのも、チームとして機能していることを示しています。実質PGのドンチッチも以前に比べて、パスの狙い所に共通理解があり、パスの上手さを生かしてジョーダンを使っています。個人技とはひと味違う訳だ。ただ、時によくわからんプルアップ3Pを打つんだよね。

そこにエースのハリソン・バーンズがしっかりと決めてあげるのがより大切。ジャマール・マレーがダンクすると通常程度のぶら下がりなのに、テクニカルにするレフリーにも助けられてとね。これだけでテクニカルはないだろ。

ただPGドンチッチ状態の欠点は、たまにある独力のドライブなんかが外れるとカウンターになってしまうこと。これは別にドンチッチが悪いわけじゃなくて、スペーシングしているチームにはありがち。そういう意味ではレブロンにちょっと似ているかも。全員がドンチッチ待ちになることがある。

ディフェンスでもちょっと苦しかったのは、スイッチさせてvsヨキッチで3Pを打ったドンチッチだけど、そのまま前に走ったヨキッチなのでミスマッチが発生。レブロンならミスマッチが存在します。

決まれば一気にラッシュで外れればカウンターの作戦は、3Pが決まったドンチッチによってリードが生み出されます。バレアですらドンチッチに渡すので、もう戦術ドンチッチ化しているマブス。ただし、そこにはチームシステムがあるから頼っているって訳でもない。まぁこの形だとスタッツは稼ぐだろうね。

これで勝っているわけだし、ドンチッチを賞賛して良いと思いますが、ナゲッツのディフェンスは収縮が早いのでコーナーを追いかけるのが遅く、そこを狙ったプレーは超効果的だっただけに、勿体ない感じもある。と思ったけどドンチッチがベンチに下がったら、そのコーナーへのパスをスティール速攻された。難しいね。

マブスと言えばベンチメンバーの強さな訳ですが、そこに加わったレジェンド・ノビツキーはディフェンスがさぁ。一気に守れなくなってくるマブス。フィニー・スミスがベンチになったのって、そういう理由なのかな。

エルナンゴメスがドライブで振り切ってレイアップを決めれば、ライルズは3P。そしてリバウンドからの速攻であっというまに追いつくナゲッツ。ディフェンスの良さが特徴の両チームでしたが、33-34とナゲッツの1点リードになた1Qでした。

マブスはマブスの良さだったね。ナゲッツはマブスのミスからのカウンターが機能し、ディフェンスの弱点で逆転した感じ。

◉充実のベンチ

それにしても、あのナゲッツがそんな試合をするとかウケる。ミルサップとゲーリー・ハリスが離脱したのに、未だに守れるとか信じられないし。まぁクレイグやエルナンゴメスのプレータイムが増えた事はディフェンス優先を強めたし、マレーを上回ることもあるモリスも大きいよね。

しかし、収縮が早いというのは時に弱点にもなるわけで、適切なパッシングをするマブスの前には、殆ど機能していません。プラムリーは素晴らしい個人技ローテーションディフェンスをしていますが、チーム全体としてはマブスがパッシングしなかった時にカウンターになる程度の話。

ただ1Q終盤からシュートタッチが良かったライルズがまたも3Pを決めれば、マレーからプラムリーのパターンでこちらも簡単に得点していきます。機能していないマブスのディフェンス。やっと3Pを決めたノビツキーだけど、マイナスが大きすぎる。
なお、マレーは1人だけディフェンスの怪しさが段違いですが、ノビツキーに比べるとオフェンスで大きく取りかえしています。

ナゲッツが良くなった理由のもう1つがベンチメンバーの成長。ここも若いんだけど、見違えるほど良くなってきた。そこにマレーが加わることで成立している。エースの分業制度。ニック・ヤングはまぁ空気だけど、ジャマをすることもないので、良く出来ているよね。

クレイグやライルズは昨シーズンから活躍していたわけで、長い時間をかけてチームを作ってきた成果があります。でも、なんで同じメンバーでディフェンスが改善するのかはよくわからんけど。
マブスのスターターが戻ってきてバーンズのシュートで逆転されても、ビーズリーの3Pですぐに逆転。そのビーズリーにボールを任せておいて、オフボールムーブから簡単にフローターを決めるマレーと個人の突破力があまり関係ないしな。続けてビーズリーがミドル。

そもそも今のナゲッツのケガ人はアイザイア・トーマス、ハリス、バートン、マイケル・ポーター、ミルサップとこれで1チーム出来るくらいなのに、それでも層の厚さで戦えているのって凄い。層の厚さとオフボールでのプレーメイクと。

ただ主役のヨキッチは不調。不調というか、ブロンソンに守り切られたり、ジョーダンの高さが嫌だったり、見えないところからくるヘルプが嫌だったり。決めきれないヨキッチに対してバーンズが連続3Pを決めていきます。ある程度止まるから、ヘルプには殆ど来ないマブス。来るときは死角から。嫌な感じ。パスを回すヨキッチ対策なのかは知らない。

そのヨキッチを3Pラインの外に置き、ドライブ&パッシングで3Pにするナゲッツ。これもまたナゲッツというチームに根付くカルチャー的戦術。
次第に苦しみ始めるマブス。3Pにチェックに行くとファールになり、ジョーダンがヨキッチを離しすぎると3P決められるし。ブロンソンが速攻レイアップ決めると、そこからカウンターで残っていてヨキッチがレイアップだし。

そんなわけで1Qはマブスの特徴によってカウンターで得点していたようなナゲッツでしたが、2Qは自分達の良さを発揮してマブスを攻略するように。お互いのオフェンスが機能する試合は74-69というハイスコアの前半になりました。
最後に飛び出たのはプラムリーのバックビハインドからのレイアップというビックリプレー。その分だけリードしたって感じかな。

プラムリーのビックリプレー

ちなみにプラムリーはバーンズをマークしていた。ディフェンスを非常に頑張った評価したい反面で、ドンチッチじゃなくてバーンズで攻めまくっていたら展開が違っただろうに。違っただろうけど、6アシストのドンチッチも良かったから文句は言えない。

◉3本連続で止める戦い

後半もシンプルだけど効果的なマブスのオフェンスから。4人が広がって、インサイドの広大なスペースの真ん中でジョーダンが高さを生かしたポジション取り。ドリブルでアングルを変えながら、パスモーションにはいるドンチッチが瞬間の判断でヘルプのディフェンスを確認して空いた選手にパスを通します。空いた選手がいないならジョーダンか、自分で3Pなわけだ。

バーンズの3Pで成功していくのだけど、ドンチッチの3Pはプラムリーがブロック。しかし、どうにも本日のレフリーはヨキッチがお嫌いみたいで、ことごとくファールを取られていきます。レフリーが正しいか間違っているかではなく、単純にこのコンタクトで押し勝つとファールコールされることが増えたのも、リーグからパワー系が減っていく要因。今、シャックがいたらスピードについていけないだけでなく、オフェンスファールの嵐かもしれない。

5点程度のリードだったので簡単に追いつくマブス。クレイグが3Pでも、すぐにマシューズが返すし。マシューズは連続で決めるけど、マレーのミドルも連続で決まる。なかなか差が出ないし、延々とハイスコア。

しかしまたもバーンズの3Pが外れただけでカウンターになるナゲッツ。シュートの後で足が止まるマブスに対して、次のプレーへの判断で上回るナゲッツ。
マブスの3Pは良く決まっているだけに、外れた僅かな機会が速攻になるのは怖いマブス。ドンチッチがターンシュートに行く際に、自分からビーズリーの足を踏んだのに、ビーズリーのファールになるレフリーが怖いナゲッツ。

ひたすらに得点を取り合います。恐ろしい。3本止めたら一気にラッシュできそう。でもどっちも止まらない。ファールコールも厳しいので止まらない。止めたと思ってもファールになる。
それが残り2分半から3連続で止めた、というかフリーのシュートを外してくれるラッキーにも助けられたナゲッツ。それも例によって、ミスショットを速攻にして行くことで10-0のランで6点リードになります。

タイムアウトでもその流れを止められなかったマブスがシュートを外す中、鮮やかな連携からヨキッチが連続で決めていきます。なお、マブスはノビツキー出てないよ。出てて守れなかったけど、出ないと更に守れていないよ。たまたまだろうけど。

ずーっと互角だったけど、残り2分から得点が止まったマブスに対して105点まで伸ばしたナゲッツが10点リードで3Qが終わります。3本連続で止めたらそこから止め続けちゃった。止め続けたよりも外し続けたマブス。

◉達観したような若手達

ヨキッチに腕を絡ませたジョーダン。チャンスとばかり絡んできた腕をロックして外させずにドリブルしてファールにさせるヨキッチ。ちょっと苛立ってくるジョーダンに対して、ファールコールされまくっても冷静なヨキッチという雰囲気。何があるかといえば、ジョーダンのインサイド詰めが甘くなります。まぁ疲労もあると思うよ。

その鬱憤を晴らすかのように速攻にまで参加し、ダンクでフィニッシュするジョーダン。そんな速攻が生まれるくらいにミスが続いたナゲッツ。これも守ったよりもナゲッツのミス。外した方が負ける試合って怖いわ。

ナゲッツはとにかく3Pが決まらず、困っていくのですが、今度はライルズのポストアップに対しててファールしたマシューズ。誰がどう見てもファールなんだけど、何か気に入らないことがあったらしく、レフリーに大クレームしてテクニカル。

この試合はヨキッチが不利というのではなく、パワー系が不利な基準のコールが多いだけなので、どっちも苦しんでいるんだよね。

5分過ぎても5-11と途端に止まり始めた得点は、マブスがディフェンス面で頑張っているから何だけど、ちょっと詰め切れていない様子です。ナゲッツの若者達の方が大人というか達観しているというか。そしてジョーダンはイリーガルスクリーンでファールコールされて退場します。完全にヨキッチに根負けした。

3Qから活躍の目立つヨキッチですが、ジョーダン相手の時はアウトサイドで、パウエル相手ならインサイドにします。そのインサイドが増えた事で、止めきれなくなり、さらにパスアウトからモリスが3P。マレーがマシューズをブロックし、またマシューズがレフリーにクレームしている間にコーストtoコーストで速攻を決めて再びリードを広げます。

ちょっと面白いのはプラムリーがいても守れているナゲッツに対して、マブスはパウエルも下げて完全なスモールラインナップにしたこと。ヨキッチとプラムリー2人のビッグマンがいるナゲッツと対照的にして賭に出たわけです。

フィニースミスがヨキッチを守り切るけど、オフェンスではローテーションしまくったナゲッツに止められ、あまり効果を発揮出来ません。ハイスコアマッチの中で明確な優位点を探すわけですが、そこが生まれない。生まれないけど、やりたいことは理解出来る。

バーンズがレイアップを連続で決めますが、モリスがミドルで返し、さらにマレーとヨキッチのツーメンゲームから、逆サイドから飛びこんできたモリスのフローターとスモールの優位点がなかなか出てこない。やっと困らせて、パスの出し所がなくなったマレーの3Pも決まってしまい、残り1分20秒10点差と試合が決まったのでした。

◉事前データと違ったけど

ナゲッツの若手達はマブスのオフェンスに困ったし、レフリーコールにも困った。だけど、ずっと変わらぬテンションで試合をこなしていきました。それが凄いよね。1番のベテランでもプラムリーってくらいなのに。

良い意味で昨シーズンのようなメリハリがなく、安定している感じのナゲッツの脅威。守れるようになったチームだけど、打てるのに3Pを打たないヨキッチの嫌らしさが、ちょっとグリズリーズのやり方にも似ています。スローダウンとはちょっと違う何度も何度も組み立て直すことで、ディフェンスは嫌になってしまう。

その代償はチャンスで打ち切らないから、悪いシュートセレクトが増えることですが、そこがナゲッツのオフボール&パッシングオフェンスだと殆ど発生しない。まぁ今シーズンのオフェンスが良いかというと、そんなことないので、ヨキッチvsジョーダンの相性なんかも含めて、傾向が強かった試合と言うだけ。

ミルサップとハリスの離脱で落ちていくと思ったら、未だに首位にいるナゲッツ。その秘訣はディフェンス力だったはずが、全く機能しなかった試合でも揺るぐことなく、ハイスコアを制してしまったのだから怖いものだ。
でも連敗したらあっという間にぬかれるけどね。

戦術ドンチッチっぽかったマブスですが、それは前半くらいの話で後半になると通常のバランスアタックに戻っていったね。戻った方がドンチッチの得点は増えました。後半の方が本当のマブスっぽいですが、違うパターンで戦えていると思えば悪い事なんて何もない。

マブスもまたディフェンスの安定が生み出した好調ですが、ノビツキーはアレだったとはいえ、プレータイムは長くないし、試合全体で止められませんでした。止められないけどオフェンスで対抗出来たのだから、ナゲッツ同様に良かったよね。

ただナゲッツの方が良かったのはメンタリティ。変わらず戦い続けたナゲッツ。でもマブスもシステムがあって、しっかりと繰り返すから、両チームにそんなに違いはないと思う。特にドンチッチは動じないし。
多分、単純にナゲッツの方がチームが好調だから動じないで続ける忍耐力があるって事だと思う。大した差ではなく、負け始めたら動じるんじゃない。

何はともあれ噂のドンチッチの良さをあまり感じてこなかった管理人ですが、この試合のドンチッチは評価しているよ。昨シーズンで例えれば、ベン・シモンズとはいかないけど、マルカネンよりは上。それ以上になれるかは、継続性次第かな。

ただ、その活躍にはチームとして整備されていることも大きく、マブスはチーム力が向上しているのも存分に感じたのでした。その点ではドノバン・ミッチェルと似た路線。

ところでキングスのHCがドンチッチを絶賛したことで、ベンチから出てくるドラフト2位を暗に否定したみたいだという話がありました。そんなのドンチッチを「大した選手ではない」なんて言えるわけないじゃん。ってな話なので、悪気はゼロだと思うよ。
ただし、マブスのパウエルをみていると、あの役割をバグリーがやったら大活躍しそうなんだよね。そう考えたら、どうなんだってことさ。バグリーかドンチッチか、ではなく、マブスかキングスかなんじゃないの。


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