7連勝とマーカス・スマート

7連勝!それはオフェンスの爆発

開幕からディフェンスが機能していたセルティックスはディフェンスレーティング102.5でリーグ3位と安定中。103.1だった昨シーズン同様にきちんと守れるようになってきました。

しかし、成績は10勝10敗と苦しむスタートに。そこから7連勝して17勝10敗はディフェンスレーティング2位のペイサーズと同じくらいなので、一気に適正水準へと戻ってきました。

オフェンスの改善がもたらした7連勝となりましたが、目立つ個人スタッツは3つ

アーヴィング FG51%
テイタム FG53%
モリス FG52%

これがセルティックスの全てといっても過言ではありません。3試合しか出ていないブラウン57%、ホーフォード61%と合わせてチーム全体のFG成功率が大幅に改善したのでした。

では、なんでそんな現象が起きたのか。それは度々書いていたように、タフショットが多すぎるテイタム、レイアップに行けないガード陣、迫力のない以前に起用されないセンター陣なんていう課題でした。

豪華メンバーのバランスアタックが機能しない

アーヴィングの個人技中心で改善するが連動性がない

ヘイワードをベンチにしてインサイドを強化

スマートをスターターにしてパス役を用意

復調してきたヘイワードがベンチを牽引

セルティックスウォッチャーではないので、細かく言えば違うかもしれませんが、大まかにはこんな流れです。機能しなかった豪華メンバーをアーヴィング中心に定める事で少し改善しましたが、やっぱりメンバー構成が悪かったのでモリスやベインズなんかを混ぜるように。
さらにパスの上手い選手を加えることでスペースを広く活用するようになりました。加えてヘイワードがベンチメンバーを引っ張る事で、試合を通して得点が取れるようになってきた感じです。

◉スターターになったスマート

7連勝が始まったのがマーカス・スマートがスターターに名前を連ねるようになってから。これで劇的にオフェンスが変化しました。

得点 106.3→124.9
失点 104.2→101.9

冗談みたいな数字ですが、例のブルズの歴史的大敗も含まれているので話半分でみてください。実際にここまでよくなるほどの影響力はありません。それでも素晴らしい成果を発揮していることに変わりはありません。

スマートの場合はスターターになって突然プレータイムが増えたわけではないので、元々がベンチユニット中心、それがスターター中心になったことでユニットの組み合わせが進化しました。逆にヘイワードが加わったことでベンチが良くなった面もある事も大切です。

〇スマートの変化

プレータイム 23.2→30.0
得点 6.4→8.3
FG 37.5%→40.4%
3P 30.6%→29.0%
アシスト 3.9→4.7

酷いシュート力は相変わらずで、これでチームを勝たせるとかおかしな話ですが、それが出来てしまうのだから摩訶不思議なスマートワールド。

実際にスマートはデータで示すのが非常に難しい選手で、パスが必要ならパスを、シュートが必要ならシュートを、ポストアップが必要ならポストアップを・・・とばかりにスクリナーからコーナー3P、オフェンスリバウンドだろうがPGプレッシャーディフェンスだろうが、何でもやってしまいます。
逆に言えば特徴的な数字を出してくれる選手じゃないので、劇的な変化というのが見えにくくなるのです。

これらの中で大きな変化をしたと言えるのはアシスト数。スマートのパス数は30.9本→42.6本と大きく増えた事でアシストが増えましたが、実際にはアーヴィングのアシストの方が増えています。
スマートがもたらすのは、あくまでもゲームメイクの部分で最終的に決定機を作るのは他の選手だったりするのです。セルティックスにはアーヴィング、テイタム、ホーフォードとその手のタイプが多くいるだけに、スマートがもたらすゲームメイクがチーム全体を改善させています。

アシスト数 24.3→28.0
パス数 281→323

まぁでも得点の伸びに比べるとアシストの増加はとても少ない数字です。20点増えたのに3.7アシストしか増えていないわけだから。卵が先かにわとりが先かくらいの差しかない。
その一方でパス数40本増加は異常な数字です。シュートが効率よく決まるというのはドライブでイージーレイアップみたいな形が増えるのですが、パスが増えてドライブが効果的になったわけだ。なかなか難しいのがセルティックス。少なくとも、そこにはスマートが関係しています。

ドライブ数 35.0回→36.4回
ドライブからの得点 18.0→23.4

そこでドライブをみてみると回数は殆ど変わらず、得点が大きく伸びています。つまりドライブを生み出しはしないけど、有利な状況の選手がアタック出来ています。

アーヴィング 10.3回 8.3点
ブラウン 7.7回 6.7点

しかし、実は目立つのはこの2人だけです。ブラウンは3試合のみね。
ドライブが効果的になったといっても個人レベルではアーヴィングとブラウンが多いだけ。好調だったテイタムとモリスは3Pとミドルが多いタイプで、アーヴィングとブラウンはドライブと3Pのタイプ。役割分担がハッキリしてきただけにも思えるのですが、それが出来ていなかったのがセルティックスが不調だった原因でした。

本当にスマートが改善したのかどうか怪しくなる数字ばかり。しかし、その成果はハッキリと出てきているのも事実。パス回しを促し、適切なプレーチョイスに繋げているスマートは、データで表現しにくい困りものにして、試合の印象は絶賛派と否定派に別れるってのも面白い存在です。

〇スマートがパスを出す相手

アーヴィング 11.9
モリス 8.7
テイタム 4.6

スマートはこんな感じでパスを出しています。アーヴィングが多いですね。モリスも意外と多い。これはまぁ特にコレといって。ここ7試合の数字ですが、その前はベンチユニットなので選手毎に比べる意味がない。

〇アーヴィングがパスを出す相手

スマート 3.4→10.3
モリス 5.7→9.2
ホーフォード 13.4→9.0
テイタム 9.2→6.2

こちらも一緒にプレーしている時間に左右されるだけなので、選手毎に比較することには意味がありませんが、注目したいのはホーフォードやテイタムといったPFやセンターとのパス交換が多かったアーヴィングはPGスマートとのパス交換が増えたと言うことです。

パスを貰うし、パスも出す。ホーフォードと2人で作るパターンが多かったのが、スマート&モリスの3人で作るようになってきました。前述の通り、チーム全体でのパス数は大きく増えており、かつパスを交換している選手の関係性も変化しているのでした。

◉おしまい

特にコレという結論もなく今回は終了です。セルティックスが改善したかどうかは、次のデータで答えが出ると予想していました。

ディフェンダーとの距離別シュートアテンプト
(タフショット減少&フリー増加)
キャッチ&シュートの割合増加
ミドルシュートの減少

要するにテイタムを中心としたタフショットが減って、ワイドオープンが増えただろうという予想です。

実際にワイドオープン3Pは3本近く増えているのですが、意外とタフショットも多く、キャッチ&シュートが増えたというデータはありませんでした。その一方でプルアップ3Pの確率向上だったり、ミドルが決まったり。何よりもタフショットが決まるようになっています。

これらの数字は試合の印象と異なりますし、チーム全体のFG%が向上していると言うことは良いシュートセレクトになっているのは間違いありません。個人の好不調はあっても誰もが不調から、誰もが好調とかは現実的な話ではない。

総じて言えば、PGスマートが加わったことで、単にパスが増加したのではなく、アーヴィングからのリターンパスも増え、展開に多様性が生み出されており、それぞれの選手が得意なシュートを打つことが増えているということです。

その意味では非常に良い流れになってきてますが、見方を変えればデータ的な優位性は生じておらず、どこかでシュートが決まらなくなる可能性も秘めています。

当然ひとつのキーになるのはアーヴィングの好不調。ここが止められると苦しくなってしまいます。ウィザーズ戦は守れなかった事もあって、かなり危なかったですが超絶シュートスキルとロング3Pで勝ってしまいました。あれは完全なる個人技。

しかし、アーヴィングと相性の良いスマートがいることで好調を維持しやすいのも事実。パス交換だけでなくクリアスクリーンでドライブレーンを空けたり、スクリーンでマークを変えたり。何よりPG役になるので、スコアラーに専念させることで負担減にも繋がっています。

スーパーディフェンダーのスマートですが、オフェンス面の改善にどれくらい役立っているのか。管理人的にはものすごく貢献していると評価していますが、それをデータで示すのが難しい困ったスマートなのでした。

ちなみにヘイワードもとっても改善しているのですが、スマートよりも遙かにシュートが決まるのでセカンドユニットにはヘイワードの方が向いている。周囲が決める能力があると輝くスマート。自分で決める能力が低いからね。

7連勝とマーカス・スマート” への4件のフィードバック

  1. 本当にスターター変更しただけで変わるものですね。
    スマートのアービングを補うディフェンス力にオフェンスもまさに献身的なプレーが光ります。
    ヘルプ頑張りすぎてマークマンと距離が空く事もたまにはご愛嬌笑

    前の記事でテイタムとモリスの起用に関して、なるほどなと思いました。個人的にはテイタムをセカンドユニットのエースとしてエースキラーのジェイレンブラウンと入れ替えるのがいいかなと思ったんですが。それではベンチユニットのディフェンスが心許ないですよね、、

    ヘイワードのディフェンスってどんな印象ですか?
    自分はスティールが多いってイメージしかないのですが、

    1. ヘイワードのディフェンスはジャズ時代の印象なので、何とも言えないですね。
      上手くビッグマンに追い込んでしまうディフェンスが特徴ですが、それはセルティックスでは機能しないし。
      クレバーですがハイプレッシャーで奪い取るようなことは出来ないので、周囲との相性も大切

  2. スマートとカイリーはお互いやりやすそうなんですよね。末永くコンビを組んでもらいたい。
    多分スマートは誰にでも基本的には合わせられると思いますが。
    スマートはアテンプトが減ったイメージだったんですけど調べたらそんなことはなかったですね。
    出来ればもう少し連勝してもらって東の2位ぐらいまで浮上してもらいたいです…。

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