ウインドウ5 vsカタール

渡邊も八村もいない日本

◉波乱のスターター

プレビューでも触れたとおり、ラマスはハンドラー系やシューター系を重視せず、サイズの重要性を貫きました。今回は宇都も外れハンドラー仕事を出来るのが富樫、篠山、比江島、田中の4人のみに。かなり思い切ったことをしてきたわけですが、これが試合に大きな影響を及ぼすことになりました。

まずスターターは富樫、比江島、田中、竹内譲、ファジーカス。これが驚きだったのですが、田中をいれています。つまりハンドラー3人の同時起用です。だったらもう1人はベンチにハンドラーを置くべきだったのに、実質的に篠山しか控えがいないことに。ラマスは会見で「国際試合では1人20分程度のプレータイム」と話していた内容と一致しません。

1つハッキリしたのはラマスは信用している選手が限られてきていること。それだけこの予選で結果を残すことの厳しさとチームを作る上では安易に交代できないことを示しています。おそらくこの段階ではラマスの頭の中には篠山と馬場を加えた5人で回したかったのだと思われます。

 

しかし、開始早々に比江島がファールトラブルに陥ったことでプランは変更に。馬場が出てきたことでアルバルクトリオがコートに揃います。これが非常に良い回転をもたらすことに。馬場にしろ田中にしろコーナー一杯まで広がってエンドラインを利用しながらディフェンスから消える動きをし、それが連動された形に。ドライブに対してしっかりと合わせ、オフェンスリバウンドにも絡むことで日本は良いスタートを切れました。

前回は1Q全てを富樫、2Q全てを篠山という謎采配をしたラマスでしたが、アルバルクトリオと相性が良いのは篠山と言うこともあって残り4分で篠山もコートに。オフェンス面では何も言うことのない1Qでした。ただラマスは変なことをしていて竹内譲と太田を交代させ、2分後にファジーカスと竹内譲を交代させています。

 

◉カタールは弱い

1Q観た感想はカタールが弱いこと。日本のゾーンに対して攻める術がなく、コーナーを全く利用できないオフェンスになっていました。台湾だったかオーストラリアだったかは、攻め方は知っていたけど全くシュートが決まらないなんてこともありましたが、カタールの場合は攻め方を知らない。だけどシュートは決まるので、ぼちぼちな1Qに。

そして普通にミドルポストのセンターにボールがはいると、普通にそこそこやられてしまう日本。本来はファジーカスの動けない問題をゾーンで上手く解決しているのですが、ファジーカスは全体的に反応の悪さが目立ちました。川崎の試合を観たことがないのですが、まだ本調子じゃないのではと思わせる内容に。記憶にある昨シーズンのファジーカスはさすがにこれよりは動けたぞ。

 

カタールの選手は全体的に判断が悪く、隙間を抜けるスピードもスキルもないし、かといって素早いパッシングなんてもってのほかでした。ただし、例外が2人いて、6番のが21歳のガードは3×3の代表だったらしいですが、スピードと抜けていくスキルをもっており、次第に日本を困らせ始めます。

もう1人が96番の体格の良い22歳のセンター。アウトサイドシュートを持っているだけで無く、インサイドも起用に抜けていきました。ファジーカスを翻弄し、守っても良いカバーリングをみせていました。意外にも若い選手2人に困らされることに。八村と渡邊みたいな。

 

2Qになるとまたもファールした比江島との交代で古川が登場します。ちょっと不用意すぎる比江島。一時的にハンドラーが富樫1人になってしまいます。ラマスの失敗。

元々、ゾーンに対しての攻め方をタイムアウトやQ間で徹底してきたこともあり、攻略し始めた矢先にさらに選手交代したことでカタールは非常に攻めやすくなり始めます。特にマンツーだと6番が強気に攻めてきて、そこからパスを回すように。後手後手になる富樫。6番の得点でカタールが逆転すると日本は富樫から篠山にスイッチ。正しくは富樫が3Pの着地時に足を踏んでしまったことで捻挫して、この試合は戻らないことになりました。そうでなくても交代していた可能性があるけどさ。

つまり、この時点で比江島のファールトラブル、富樫の離脱ということで4人しかいないハンドラーが2人使えなくなったわけです。ラマスの大失敗。だから安藤をいれておくべきだし、せめて宇都をいれておくべきだったし。富山なのにね。馬場と交代で田中も登場します。

余談ですが竹内公も2Qから登場しましたが、双子とは言えやっぱりやることは違うよね。ちょっと苦労するんだ。だけどやれることは似ているから、同じチームにいると役割を引き継ぎやすかったね。

 

2Q残り5分半で発生したこれらの交代から試合は膠着状態に。そこから日本はフリースローの得点のみ。カタールは96番がアシストと3Pで得点を作りますが、6番がベンチに下がったので、もう何しているのかよくわからないことに。結局5分半で日本は6点、カタールは5点しかとれませんでした。

カタールが弱かったから助かったけど、ラマスは大失敗していた2Qなのでした。やはりもう1人はハンドラーを加えておくべきだった。その考え方は間違っていないと思うけど、それはそれで予想外の後半戦に突入するのでした。

 

◉富樫の代役

後半の日本は富樫がダメなので、篠山、比江島、馬場、竹内譲、ファジーカスで臨みます。富樫がケガしたことで田中じゃなくて馬場になるというのがラマスが犯した失敗を物語っています。

相変わらずカタールの6番が厄介で厄介で。レイアップをミスしてくれたシーンはあったけど、マンツーマンの日本を相手にしません。そこから始まるカタールのオフェンスリズムは、日本にリズムを渡しませんでした。ただ96番の方はネタ切れというか、周囲がついてこないこともあって、3P決まらないとやれることがグッと減りました。

31-32で始まった3Qは3分経過して35-35と前半同様の動かない展開。ここで篠山との交代で田中登場し、コートには再びアルバルクトリオが並びます。

 

アルバルクトリオよりも大切だったのは、6番のマークが田中になったこと。富樫と篠山がきりきり舞いだった21歳のPGに対して、ディフェンスの良い田中が突破を許しません。1回抜かれたけど馬場だったか竹内譲だったかがカバーして事なきを得た。

カタールは弱い。でも6番と96番だけが厄介。その6番を田中が止めたらどうなる?

というわけでカタールは全く機能しなくなります。それまでほぼ6番だけが突破口だっただけに、封じられてしまうと本当に何をしているか分からないことに。理由は不明ですがラマスがマンツーを選んだ事もプラスに働きました。ずーっと田中につかれる6番は次第に嫌がり始めます。これはイラン戦の渡邊のディフェンスを思い起こさせる。あの時もイランの素晴らしい活躍をしていた選手が渡邊になった途端にドライブを辞めてしまった。なお、田中は翻弄されていた・・・。

 

アルバルクトリオでボールが回り、それを前半4分しか出なかった比江島が3Pでフィニッシュしていきます。そりゃあ元気じゃなきゃ困るよね。ハンドラーが4人しかいないのにファールで休んでいたんだから。アルバルクトリオでボールが回るのは想定事項のラマス。だからこその使い方。

そして田中の見事なアシストから馬場がダンクで締めくくる速攻が決まって11点差に。カタールは4人を交代させ、日本もファジーカスを下げて張本にします。

もう怖い6番もいなくなり、マンツーで全てを止め、日本の選手は走れないファジーカスもいなくなった。ということで、ここから速攻のオンパレード。竹内譲まで走って速攻&ワンを決めるし、ハーフになっても張本と竹内譲にまで3Pが決まってしまうのだから、やりたい放題に。カタールは手も足も出ませんでしたとさ。おしまい。

 

◉快勝したよ

八村と渡邊が抜けて不安視された試合に快勝した日本。正直、カタールは弱かったし、どっちにしても最後は日本が押し勝てたと思う試合でした。それは竹内公や太田、もちろん市岡にもプレータイムは殆どなく、これまでのメンバーで戦うことを選んだように、チームとして強くなってきた部分が大きかったです。あとは3Pが良く決まったね。古川はもっと頑張ろう。

中心にいるのは富樫、比江島、ファジーカス・・・ではなくアルバルクトリオによる連携が生み出すボールムーブです。つまりは「クラブチームでのレベルアップが代表強化にも繋がるんだ!」という至極簡単なメッセージ。だけど、代表強化に繋がるレベルの戦術熟成を各チームがしているかは知らない。栃木が良いチームなのは知っている。そうだ鵤呼ぼうぜ。それしか知らないから。

しかし、日本が快勝するきっかけになったのは皮肉にもハンドラー不足と富樫のケガによって生じた田中によるvs6番へのディフェンスでした。本当に皮肉なんだ。あのまま富樫が残っていたら、翻弄された可能性は否定できない。

そんなわけでBリーグを観ていないから「鵤を呼べ」とか書いていますが、別に各チームのガード陣が良い悪いではなく「しっかりとディフェンス出来ますか?」というのがラマスから突きつけられた課題でもあります。オフェンス面でも高さのある国際試合で活躍できるのかってのもありますが、国内でサイズのある選手を選び、各ポジションでフィジカルファイトしていくことを求めているラマスのやり方に見合う選手がいるのかどうか。

ハンドラーを減らしたことはラマスの大失敗。だけど、それをフィジカル的に優れた田中のディフェンスが救い、そして馬場や張本、なにより竹内譲が走ることで日本は快勝したのでした。運が良いのか悪いのか。間違いないのはカタール戦がウインドウ4じゃなくて良かったね。八村と渡邊を起用するのが勿体ないくらいだった。

 

これで気持ちよく次のカザフスタン戦に。いや、富樫がいないのは気持ちがよいわけないか。入れ替え可能だったよね?

カザフスタン戦の印象って、走れば楽勝なんじゃないかってことでした。逆にインサイドの強さに渡邊も困らされていたくらいだからな。でも走るフィリピンが負けているらしい。富樫が戻ってくる可能性もありますが、捻挫だからさすがに代役を立てるでしょう。でもラマスは出来れば篠山、比江島、田中の3人で回したいだろうね。

そしてSFは馬場しか信用されていないのも気になる。だけど古川が3P決めるのも大切だよってことで、やっぱり高さのある宇都が選ばれるのかな?

 

 

 

 

 

ウインドウ5 vsカタール” への2件のフィードバック

  1. 改めて考えると国内組でハンドラーっていませんね
    ベンドラメが怪我してなければ彼一択なんですが…
    多少ギャンブルでも宇都を起用するしか無いんですかねー
    田臥世代があと5歳でも若ければ…

    1. 盛實とか西田とか、あるいは岡田とか。下の世代になるとコンボガードみたいな選手が増えますが、彼らを加えたいですね。PG達はPG2人並べると苦しい選手ばかりで、緊急時のサードPGなら田中で良いかってなっていそう。だから本当はハンドルできるSGが欲しいのですが、意外といないのかもしれません。ベンドラメは守れるから加えてもよさそうですが。

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