2018/12/01 スパーズvsロケッツ

12位と14位の試合。つまり下位争い。

割と良いスタートを切ったはずのスパーズは、この10試合が3勝7敗と急激に勝てなくなりました。その理由はなんなのかといえば、オルドリッジの乱調と守れなくなっていること。ミルズとゲイだけは良いディフェンスレーティングになっており、スターターの悪さが目立つのは、やっぱりインサイド問題で被FG50%オーバーとリムプロテクト出来ていません。負けない戦術が出来ていないわけです。

酷いスタートを切ったロケッツはカーメロを戦力外にした頃からチームを元に戻し始めました。つまりはハーデンとクリス・ポールにやらせまくる形であり、それに見合う選手しか起用しなくなったこと。カーメロが注目されすぎているけど、実は他の新戦力達も出番がなくなり、クラークとハーテンステインのルーキー2人だけがベンチなんてことも。試合観ていませんが、ここにきてダニエル・ハウスなんてのも登場している様子ですが、いずれにしても戦力が急激に薄くなりました。ダントーニの悪癖で再び勝てなくなってきましたよ。ハーデンが50点オーバーで負けるとかね。

 

◉1on1

開始からハーデンのドライブがすいすい決まって行きます。ブロックに飛ぶことすら出来ていないスパーズ。さらにクリス・ポールにブロックに飛べばイージーカペラ。インサイドが守れないスパーズなのかオルドリッジなのか。カペラの見事なスピンムーブに手も足も出ないオルドリッジ。

ロケッツはスパーズのコーナー3Pを止められない。止めに行くとデローザンが間を抜けて決めていく。このコーナーとそのディフェンダーの位置関係が微妙な差を生み出す中で、同じくデローザンがアタックしようとしてミスになり、コーナーディフェンダーだったタッカーがスティールすると足を引っかけたデローザン。早々にフレグラント1をコールされるデローザン。

これで流れがロケッツに。裏抜けタッカーのレイアップとゴードンの連続3Pで8点リードに。

 

タイムアウトのスパーズはミルズを加えます。やるのはシンプルなデローザンのポストアップ。堅実な選択。ロケッツはハーデンとタッカーのコーナー3Pを選択。らしさの戦いはデローザンが打ち切れずパスミスし、カペラのゴール下とジェラルドの3Pでリードを広げるロケッツに。

ここでちょっと興味深いのはタイムアウトからスパーズはデローザンの1on1頼みにしていること。必ずミドルレンジでやらせるから、そこはスパーズらしさなんだけど、あくまでも起点は1on1なんだよね。途中でパートルが登場するけど、どうもそこに悩んでいるような。1on1に勝てなくてパスしてミスして速攻をくらう。パートルは1on1弱いからね。

パスアウトしてからのエクストラパスはあっても、オフェンスパターンとしては1on1なので、そこだけで勝負し続ければ大ケガしないし、大ケガしなければオフェンスで上回れると各チームが踏んでいるのかもしれない。なんせミスになると簡単にカウンターになります。

 

だったらせめてスイッチさせて弱い相手と1on1のチョイスにするのが一般的。ミルズやフォーブスがハーテンステインとの1on1にしますが、ミルズの難しいステップバック3P決まったけど、2本目はエアボールになってしまい、オフェンスパターンの乏しさで続かないスパーズ。でもフォーブスもハーテンステイン相手に3P。

ゴードンがドライブしては緩急で翻弄して決め、強気にファールを貰いながら空中でタメを作って3P決めて、3P好調なロケッツが39-23でリードの1Qになるのでした。ロケッツはちょっと好調すぎてマズいね。前半に好調な時はここからムリをしないオフェンスに切り替えて、のらりくらりが昨シーズンのパターンだけど、その中にも強気な姿勢を交えなければ意味はない。バランスがとれるかどうか。

 

◉どうする?続ける?

2Qになってもロケッツはゴードン。粘り強くボールを持って右手側でファールされると左手に持ち替えて&ワン。しかし、クリス・ポールは決まらない。パスもミスになってしまい苦しいね。ハーデンが出てくるとドライブからハウスの3P2本をアシストし、そして自らプルアップ3P。相変わらずカペラはねじ込んでくれるしで、結局流れを失わないロケッツ。

スパーズはフォーブスの強気なプレーが得点になり、ゲイはポストアップからスピンムーブでダンク。ベリネリも3Pを決め、さらにゲイがドライブレイアップ。オルドリッジは隠れている。

どちらも良く動いているのですが、ロケッツの方がかなり機能的。エースが決めていることと、インサイドの強さかな。同じ事をしても超堅実に決めるカペラに比べるとシュートを打てないオルドリッジなので、スパーズの方がディフェンスでインサイドへ収縮することを求められています。その差が楽なシュートになっている感じで24点差。

 

散々回した後で選択肢がなくなり、やっとカペラ相手にアタックしたオルドリッジがレイアップ。デローザンもファールを引き出して両エースによる得点が続き、デリック・ホワイトがハーデンを守り切りますが、カペラにオフェンスリバウンドを奪われたり、オルドリッジがブロックされたり。

痛かったのはゲイのドライブからオープンの逆サイドコーナーにパスが出たのに、コーナーで待っていたホワイトと移動してきたデローザンが重なってキャッチミスのターンオーバーに。なんでそこにきたんだデローザン。20点以上の差がある中で追い上げるには気持ちよく連続得点になっていないスパーズ。

ロケッツはそんなに良くないけど、ゆっくりとしたボールキープから自分達のパターンで打っていき、時々3Pが決まる感じに。ハーデンとクリス・ポールがインサイドまで行って決めきるしで、アウトサイドプレッシャーも効かなければリムプロテクトは論外のスパーズ。

やっとオルドリッジが連続得点し、ミルズの3Pも決まるけど、ラッシュにならずにのらりくらりと過ごし始めたロケッツがハーデンのブザービーターレイアップで23点リードにして前半が終わるのでした。両チームの何が悪いかを見たかったけど、ただただスパーズが悪い試合になってしまった。キャブスvsセルティックスにしとけば良かったと後悔する前半。スパーズは得点もリバウンドもゲイがリーディングだからインサイド問題は大きい。

 

◉おしまい

ドライブした際に手がハーデンの顔にあたったとしてデローザンがテクニカル。開始から悪くないオフェンスで取り返しに行ったスパーズでしたが、カウンターを食らいまくってしまいます。またもカペラによるフリーランニングで生み出されるダンク。しっかり戻ったつもりがセンターの走力差だけでシュートにしてしまうのって恐ろしい。

オルドリッジもオフェンスリバウンドからゴール下決めるけど、それだけでは追いつける要素がなく、ショットクロックなくなった中で打ったハーデンのロング3Pが決まって32点差。もう何でも無いところでエニスにボールを奪われたフォーブス。

さようならスパーズ。何をしてもダメだったね。そこにゴードンの好調さが加わってしまったからお手上げだったよ。さすがに3Q開始5分で終了になった試合は初めてだ。唯一あったのは26点差になれたサンダーがおしまいと思ったら、ウエストブルックが1人でやり始めて3Qの間に追いついてしまた例の試合だけだけど、それをデローザンに許すチームじゃないでしょ。

 

◉対応出来ていないスパーズ

スパーズの何が悪いのか。まぁまず悪いのはディフェンス。驚くほどに悪いわけだけど、これがあっちもこっちも悪いから嫌になってしまう。前回のロケッツ戦はこんなことなかったはず。

まず第1にアウトサイドが全く守れていません。好き勝手に3Pを打たれている。特にゴードンは難しいステップバックとか使っていないのに、キャッチ&シュート(ただしロング)で打てています。全く間に合っていないわけですが、おそらく根本にあるのはボールマンへのプレッシャーが甘いから簡単にパスを出されていること。だからといって1on1も守れていない。全部ダメじゃないか。

〇ゴードン 3P7/11

7本も決められているのに11本も打たれるなよ。

しっかりとプレッシャーをかけて追い込めていないからパスを出されるし、ドライブコースを限定して追い込むことも出来ていないからリムプロテクターが間に合わない様子。じゃあ間に合ったら止められるかというと苦しいオルドリッジ。

ゲイがいると守れているのはおそらくそのどちらも出来るから。ミルズはちょっとわかんない。

とにかくパス1つに対する反応の悪さが目立ち、先読みできていないよね。デローザンが守れないとかいうレベルでは無く、チーム全体として対応出来ていませんでした。オルドリッジに話を戻すと機動力でも高さでも間に合わないし、カペラに好き勝手決められました。

〇カペラ

27点 FG12/16

8オフェンスリバウンド

これ書いているときはまだ3Qなんだけどね。カペラにしても、1人でインサイドを決めきるのが流行系の中でオルドリッジはちょっと弱い。これは最近の話なので、それ自体は仕方ないさ。だけど昨シーズンは2人のビッグマンにしていたのに、今は1人だけで押し負けているのでした。パートルとガソルで苦しいならバータンズを使おう。カニンガムを長く使おう。

要するに焦点が絞れていないスパーズのディフェンス。自分達が何を出来て、何を優先するのか。今はアウトサイドもインサイドも守れていません。どうしようもないじゃないか。インサイドを強力なセンター1人でカバーしきるのが流行系なら、それはオルドリッジでは厳しいよ。その分、周囲にビッグマンを置くのか、それともアウトサイドのデイフェンスを強化するのか。

 

オフェンスはデローザンとオルドリッジのバランスが未だに取れていない。どっちかに1on1させたら、どちらかは放置みたいな。そんな変な話あるのかい。そしてデローザンがドライブしてエンドライン際に行ってダブルチームにこられると合わせがないスパーズ。同じようなプレーをラプターズでしてもそこまで困っていなかったよね。つまりそれはスパーズが悪いんだ。

で、1つには逆サイドコーナーへのキックアウトは警戒されがちな今シーズンの傾向があるのかもしれません。対応出来ていないわけだ。フォーブスやミルズは強気に打って3Pを決めていたけど、言い換えれば「強気に打っているね」といいたくなるようなシュートなわけで、有利なシチュエーションを作れているとは言い難い。

1on1に頼ったスタートと、だからといって合わせが良いわけではない。ダンカン&パーカーみたいにオルドリッジ&デローザンの関係性を作るのかと思ったらそうでもない。昨シーズンと違って戦力的には充実してきているだけに、戦術的・戦略的な整理ができていないのが目立つスパーズでした。

 

ロケッツは何で勝てていないんだ?

と言いたくなるけど、まぁ30点差になってもベンチメンバーは殆ど出てこないわけで、クリス・ポールが欠場していたら選手が足りないのね。でも昨シーズンはPGの欠場が多くて65勝だからね。やっぱりいろいろ不足しているわけだ。

だけど、この試合はシュートが決まりまくって、カペラがオルドリッジを圧倒しちゃったから問題が何かって読みにくかったね。とりあえずベンチメンバーが全く信用されていないのはわかった。クラークやハウスが起用されるけど、それはあくまでもジャマをしないで3P打ってくれるし、しっかりポジション取ってくれるからってだけなのでプラスをもたらしているわけではない。

皮肉なのはGMモーローってデータ主義の人だからデータの足りない若手を発見する能力には乏しい傾向があったこと。だけど今シーズンでプレータイムを得ているのはそんな未知数の若手ばかりってことだ。それはダントーニが上手く見出しているわけだけど、でもダントーニは信用できない選手は使わない主義。難しいね。

 

 

 

 

 

2018/12/01 スパーズvsロケッツ” への7件のフィードバック

  1. セルティックスとキャブスも決着は早かったので大丈夫です(何が?)
    スマートスタメンでオフェンスが良くなった気がするので、ブラウンが戻った時にモリスと入れ替えでそのまま使ってほしいなあ。
    スパーズは想像以上に苦労してますね…レナードはともかくグリーンとパーカーが蘇ってるのも含めてポポビッチは地団駄踏んでそう。

    1. ブラウン戻ったらモリスと交代させると、まぁ要は昨シーズンに近づく感じですね。ベインズは頑張っているけど、ワンセンターだと苦しい感じなので、もう1人欲しいな。

      スパーズは昨シーズンも連敗しまくった時期がありましたが、迷走し始めてますね。パーカーが分かりやすい役割で活躍しているだけに、何しているのか。地味にボレゴの移籍が大きかったりして。

  2. モーリーをモーローと書くのは何か意図があるんですか?
    ハーデンは正直TO多すぎて競ってる試合終盤のハンドリングは見てられません。だからのCP3なんですが最低の契約とか評価されないこと多いのですが管理人さんは4年160milをどう思いますか?
    怪我多いので難しいですかね…

    1. 初めて読んだ記事がモローだった。

      クリス・ポールの契約は、この数シーズンのケガを考えると高過ぎます。試合数で割ったら割高で元気すぎるレブロンと比べたら、もう。
      そして4年後までロケッツは縛られるわけですから、それがもっと酷くって、クオリティを保てるのか疑問があります。

  3. この雰囲気のまま行くと22年連続プレーオフ進出は怪しいですね
    まぁ、去年もそう言われてましたが一応進出はしたので修正はしてくると思いますが
    ポポビッチもBIG3という核を失ってエースに去られ、自身も衰え始めている感じが
    また、最近のNBAの流れについていけてないのかうんざりしているのか
    王朝もリフレッシュが必要ってことですかね。ミルズやフォーブスみたいなスパーズ文化を継承してる選手は残って欲しいですね

  4. スパーズは一つ前のウルブズ戦もひどいものでしたが、まさか二試合続けてこんなにひどい試合になるとは思いませんでした。

    システムのことはわかりませんが、ディフェンスでやろうとしていることは昨季と変わりないのではないかと思っています。個々の能力が低くなった分だけ昨季より悪くなっているだけ。ただ、その下がり幅が予想の数倍大きかったです。
    あと仰る通り、オルドリッジ一人にインサイドを任せるのは無謀ですね。そういう意味ではガソル爺の不在も痛いのかもしれません。デローザンのディフェンスも前評判通りひどいし。ディフェンスによって「負けない試合」をしていたのは遠い昔のことのようです。

    ディフェンスでマイナスになっている両エースですが、オフェンスで大きなプラスを生み出しているかというとそうでもない。いつからこんなに1on1頼みのチームになってしまったのかと悲しくなります。各自が行う1on1が止められたら終わりなオフェンス。
    両エースの相乗効果も皆無で、エース二人の1on1に対する他のプレイヤーの合わせも少ない。それは、合わせて動いてもパスが出せない両エースだからなのかもしれないけど。しかも、悪い流れになると結構消えている両エース。ゲイがエースなんじゃないかと感じることがあるくらいの両エース。頼りなさすぎて泣けてきます。

    ポポビッチのラストイヤーをこんな状態で過ごすのは残念ですが、来季以降のコーチにとっては悪いシーズンの後を引き継いだ方が自分のやりたいことが思い切ってできるから、それだけは良い事かもしれないと思う今日この頃です。

    1. ラプターズのデローザンはラウリーもいてアシストが少なかったけどパスが出せないわけではありませんでした。
      それがスパーズだと全く合わせにならないのは非常に気になります。デローザンが対応出来ていないのか、それともスパーズが全体的に悪いのか。個人スタッツは良いだけに後者の気がします。

      一方でオルドリッジは急激に働かなくなっていて、その理由も気になります。昨シーズンは復活したようでしたが、寂しい感じになってきました。1on1を任されているのだからもっと積極的で良いと思いますけどね。

      いずれにしても守れないのが大問題。デローザンが守れないのはわかっていて、カニンガムやパートルをいれたわけですが、機能していないですね。ここが機能するだけでオフェンスにも波及すると思うのですが。同時にオフェンスのパスミスがなくなればディフェンスもよくなるはず。どちらも手をつけられていないってのが苦しい現在ですね。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA