6年目の27歳はポジションを勝ち取り15試合にスターターで出場
◉サンズの正PG
昨シーズンのキャナーンはロケッツで1試合だけ出場し、その後サンズに辿り着き19試合に出ました。当時のサンズはブレッドソーの乱を経て、ブランドン・ナイトもおらずPGは品薄状態に。そこでチャンスを得てプレータイムを掴んだものの、1月にシーズンを棒に振る大ケガを負ってしまいました。その試合は観ていましたが、やった瞬間に会場全体が凍るような雰囲気でした。
しかし、今シーズンは無事に復帰し、サンズの正PGの座を掴み取ります。管理人はディフェンス面を優先すべきだという考えからシャキール・ハリソンを推していたように、ちょっと納得がいかないものでしたが、別にキャナーンを否定しているわけではありません。そしてココスコフが求めたのは堅実に3Pを決めてくれる能力だったことがわかります。
〇3Pシュートマップ
— whynot! (@whynot_jp) November 29, 2018
トップと左45°は弱いですが、右サイドと何よりコーナーの強さがありました。これはとっても重要な要素で、キックアウト3P担当になっています。サンズはブッカーがハンドルしまくるので、PGに求めたのは特別なことをせずにブッカーに渡し、戻ってきたパスを決めること。キャナーンは良いシューターではないですが、求められた役割をこなしていた感じがあります。
なんせサンズはジョシュ・ジャクソンとTJウォーレンにさえもシューター的な役割を求めており、ブッカー以外はシューターにしたい様子。ブッカーの控えはジャマール・クロフォードなのだから迷走も迷走だけどね。
— whynot! (@whynot_jp) November 29, 2018
そんなブッカーの好きなプレーエリアはトップから左45°となっており、右サイドのアテンプト数の少なさが目立ちます。つまりキャナーンはブッカーとの相性の良さから選ばれたと言えるのでした。
〇ブッカー→キャナーン
パス数 119
2P 4/11
3P 8/20
3P40%としっかりとその役割を果たしているキャナーン。もっともTJウォーレンやアリーザも同じくらい決めていますし、ミカル・ブリッジスも決めているので目立つほどではありません。
〇キャナーン→ブッカー
パス数 204
2P 19/34
3P 10/22
一方でFG44%のブッカーに対してキャナーンからのパスだと52%近く決めており、こちらも悪くなかった様子。プレシーズンを休んでいたブッカーでしたが、復帰してきてキャナーンとのコンビは最高ではないでしょうが、悪い要素でもなかったと言えます。
15試合にスターターでプレーし、平均26.5分のプレータイムだったキャナーンは
3.3アシスト 1.5ターンオーバー
とアシストは少ないもののターンオーバーも控えめで自分の役割を全うしていました。ディフェンスを優先するならそもそもハリソンで良かったし、シュートとディフェンスを気にするならリードで良かったけど、最後にポジションを勝ち取り、その2人をウェイブさせてまで選んだのがキャナーンだったのです。
・・・まぁそれくらいしか書く事がない。褒める要素なんか特にないPGです。
そんなアイザイア・キャナーンはなんとサンズからウェイブされました。これは驚きを通り越して意味の分からない動きです。別にキャナーンに思い入れもないし、「ウェイブされるような成績じゃない」なんて言うことも出来ない程度のプレー内容。しかし、サマーリーグで結果を残して生き残っていた若手をカットしてまで残した中堅ガードをこのタイミングでカットするんだ。
19試合中15試合でスターター起用され、20分以上のプレータイムを得ていた選手が突如ウェイブされるというのも奇妙な話です。サンズの迷走っぷりを改めて示してくれたような一連の動き。
今シーズンのサンズはタイラー・ユリスをカットしてブッカーの怒りを買ったことで、それを納めるためかブッカーと高額契約を締結。
ドラフトでオコボを指名
ハリソンとリードがサマーリーグで台頭したけど、結局はカット
ロケッツとのトレードでナイトを放出しルーキーのメルトンを獲得
(GM解雇)
ジャマール・クロフォードを獲得
こんな流れで結局はスターターPGはブッカーになりました。
誰が正しいとかではなく、タイプも違えば経験も違うPGをとっかえひっかえ起用しているサンズ。あれも違う、これも違う、試合は結局ブッカー、ブッカー、またブッカー。ちょっとジャマクロさんに頼る感じに。
アリーザ獲得までは未来を考えている雰囲気だったのが、PGがチームの方向性と違うキャナーンを選んでずれていけば、ロケッツとのトレードでチーム全体の行方も怪しくなり、GM解雇したらチャンドラーに続いてキャナーンもカット。ロスターが揺れまくって、方針も戦術もメチャクチャ。ウエストで最下位独走中の理由が詰まっているのでした。
キャナーンのウェイブなんて大した話では無いけど、サンズで起きている異常事態。スターターでプレーしていたらロッカールームから荷物を引き上げることになるんだ。怖いチームだし、FAで選手を集められるとも思えないのでした。
◉vsクリッパーズ
ブッカーPGで始まる試合はブラッドリーのディフェンスプレッシャーに悩まされる形で始まります。ブッカーに任せることは良くても、ボール運びから何からやらせるのは攻撃的なディフェンスの前ではスタミナを浪費することに。しかもブッカーは一度パスを出してオフボールムーブしたがるのですが、じゃあそのパスを誰が受けて、どうタイミングを合わせるのか、全く決まり事がないサンズ。
PGがどうかってのは気にする話ではないですが、誰がコントロールするのか、パスの起点になるのか、何も決まっていないようです。そしてブッカーの貰い方も苦しいから、シュートを決められた後のスローインでパスが出せずラインクロスする始末
そこでオコボが登場します。なかなか活躍するオコボですが、それはあくまでも自分で得点する話。パスの起点という意味ではブッカーがオフボールムーブしてもパスを出さず、ジョシュがフリーになる動きをしてもシンプルなパスが出てきません。突破力はあるけど、デザインしたプレーの中でパスを出せないオコボ
しかしジャマール・クロフォードが出てくると更にサンズの根本的な大問題が出てきます。とにかくポジションが被りまくる状態に。3人くらいがボール運びのパスを貰おうとするし、フロントコートに入ってもトップの位置で渋滞します。スターターがブッカー1人しかいなかったガードが、今度は3人くらい固まるという消化不良
もはや、何のプレーコールになっているのか理解していない様子。例えばジャマクロがトップで持ったときアリーザがスクリーンに来ますがジャマクロが首を振ります。そこで一旦離れるアリーザですが、やっぱり寄ってこいと指示が出て、みたいな繰り返し。そもそもジャマクロPGって。
以前に観たサンズはこんなに酷い状態では無く、それぞれのポジションで力不足を感じても、整理整頓はされていました。ちょっと合っていないのがPGくらいだった。それが今や3人くらいが同時に何するのか分かっていない様子だし、プレーコールで動いてもパスが来ないし。
あまりにも酷いサンズなのですが、意外にも前半は接戦で過ごされます。1つはサンズはサイズがあったので割と守れていること。ゴール下でエイトンが待ち構えているし、プレシャーで10のスティールを奪い取ります。そしてしっかりとチェックに飛ぶことでクリッパーズのシュートはいまいち決まりません。アウトサイドは決まっていたのに。
そしてオコボは自分で突破してフローターを決めれば、インサイドにアシストも通します。PGというよりエース感溢れるプレー。ブッカーはいつものタフショットメイカーぶりを見せつけ、個人技で得点を積み重ねていきます。本当にタフショットばかりなんだけど、良く決めるよね。
そしてそれだけ引きつけるとしっかりとパスアウトもするので、全体は何をしているのか意味不明なサンズだけど、個人の部分では割と対応出来ているのでした。選手同士で何をするのか言い合っているシーンもあるけど、ブッカーに任せておくことで一先ず落ち着くようなサンズ
後半になると突如として改善します。イメージとしてはブッカーはPGの役割だと徹底し、むしろボールをしっかり持たせて、ミカル・ブリッジスとTJウォーレンが両コーナーを横断するようにオフボールムーブして、そこにパスが出てきます。ブッカーが自分で行くときも含めて、しっかりと落ち着かせる役割に。まぁブッカー頼みって事ですね。
しかし、皮肉にも守れなくなります。前半同様にアウトサイドはプレッシャーをかけられず決められていくと、SGAやガリナリのアタックに押し負けていきます。それはオコボやホルムスが出てくると加速してしまい、ガリナリがオコボにマークされるとインサイドで、ホルムスにマークされるとアウトサイドから次々に決めていき、あっというまに17点差。
相変わらずスティール速攻がでて得点面は何とか。ボールも動くようになり、PGいないのをオフェンスセットで賄っている形に。これが出来るチームは強いんだけどね。でも選手交代でそのながれは一気に消えてしまうから継続しない。そして自分達のミスはちょくちょくまじるからどうしても爆発する空気感がないのでした。
そのまま試合は終わってしまった。つまりビハインドの中で何かしら仕掛けていくような変化も作れなかったし、クリッパーズ側が特殊な対応を迫られるようなオフェンスでも内のでスキを作ることが出来なかったのでした。
そんなわけでサンズが正PGだったキャナーンをウェイブしたという事実は、キャナーンのプレーそのものがどうかはちょっとわかんないけど、チームに蔓延するルールのない空気感を強く感じることに。それでも前半は接戦だったし、先日はバックスにも勝っているように、個人の強さはところどころで感じます。
そしてやっぱりオフェンスよりもディフェンス面の方が強みが出せそうなチーム。シャキール・ハリソンがお気に入りかどうか以上に、ディフェンスの良いPGを残すべきだったという思いは今でも残っているのでした。オフェンス面で上手く行っていない部分は、PGの力不足なんかではなくサンズが延々と続けているチームとしての規律不足を感じずにはいられないのでした。
良いPGが欲しいならテオドシッチでも狙えば良かったのにな。
キャナーンのウェイブ、代わりのPGをどうするかも問題ですが、他の選手の士気への影響も心配です。
すでに地位を確立しつつあるエイトンはともかく、ミカルやオコボが成長していく環境としてはあまりにも酷に思えますね。
競争させて適度に選手に緊張感を与えるのは大事ですが、成績不振の代償がプレータイムの減少ではなくいきなりクビというのでは返り咲こうと奮起することも無くなりそうです。
ミカルは素晴らしい活躍だと思うのですが、今のオフェンスだと目立たないですし、出番も自分のプレーと比例していない気がして可哀想です。
いろんな所にモチベーション問題が出てきていそうな雰囲気を感じてしまいました。
フルツ獲得の噂も上がってきていますが、個人的には混乱に拍車かけるだけではと危惧しています。
もしサンズでフルツが活躍できるとしたら、どのような役割を担うことになるとお思いでしょうか?
ウイングにシューター的な役割ばかりやらせた挙句に、そこにパスを出すのではなく、何となくハンドラーが自分で決める個人勝負が全てになってきたので、意外とフルツは合うかもしれませんね。もちろんマッコネルの方が相応しいのですが。
しかし、オコボやメルトンの出番を失わせる事になるので、迷走するだけでしょうね。
ドックはリップサービスなのかよくわかんない事言ってましたけど
テオドシッチもPT少なくて「ユーロ帰る」とか言い始めてますし
サンズとクリッパーズでトレードすればwin-winなのにってずっと思ってます。
他にテオドシッチ需要がありそうなチームが少ないってのもありますけど
テオドシッチの発言とサラリーはトレードを難しくしていますね。今シーズン限りで良いから補強したいチームか、サラリーダンプしたいチームに限られますが、そもそもクリッパーズが後者なので複数年の選手とのトレードも成立しません。
サンダーがフェルトンとトレードしたら面白そうだなと。あとはマジックがもう1人欲しいような。実はウォーリアーズも面白そうなのですが。