ナゲッツ戦の話
◉打ってはいけない男
3Pが決まらないことで有名なラッセル・ウエストブルック。今シーズンも17.6%と絶好調?
しかし、実はこの低確率は昨シーズンから悪化した話で、下手ながらも少しずつ改善し、2シーズン前は34%を記録しています。しかもこのシーズンはデュラントがいなくなって1人でスーパーな活躍をしていったシーズン。マークがよりきつかったけどしっかりと決めたし、アテンプトも7.2本もありました。
それが30%を割った昨シーズン。フリースローも85%から74%に落ちており、実はいろいろと身体的な問題がありそうなんです。フルツほどではないにしろ、ムキムキな選手には時折あるような状態。今シーズンのウエストブルックは実はあまり打たない。キングス戦の10本でアテンプト数が上がっているのだけど、ちょっと控えめだったのが、ナゲッツ戦では12本も打ったことでチームはオフェンスが上手く行かずに負けたのでした。
自重していたはずなのに、なぜ12本も打ってしまったのか。そんなことを振り返るナゲッツ戦。
序盤のウエストブルックはこれまでと同じようなプレーをして、あまり打たない形でプレーメイクしていきました。初めての3Pは1Q残り4分でポール・ジョージがドライブし、パスアウトしたのをキャッチ&シュートと良いシュートで決めないとダメだよねという3P。だから努力して決めるようになって下さいというだけ。そして1Qはこれだけ。
つまり今シーズンの内容そのままのプレーをしていたウエストブルック。アシストは1つだけだったものの、自信の突破から軽快にパスを回して行き、サンダーオフェンスは少し魅力あるものに。これもちょっと大切で、最近のサンダーは結構オフェンスが良くなってきました。ボールムーブが良くなり、フリーの選手を作ってそこにパスが出てくるようになっています。
でもシュートは決まらない。本当に決まらない。OKCはファーストシュートが決まるまで観客は立ち続けるのが恒例ですが3分くらい決まらず。なかなか座れません。良いシュートを打っているのに決まらないってのは苦しいし、まぁでもそんなオフェンスを繰り返せるようになってきました。
もちろん、それが最後まで続かなかったわけですが、まずはナゲッツのディフェンスに触れる必要があります。
◉クレイグの登場
ナゲッツはディフェンスの良さで勝率をあげていますが、そもそもオフェンスのチームだっただけに違和感がありすぎます。キーになるのはミルサップとゲーリー・ハリス。優れたディフェンダーであるゲーリー・ハリスがエースを止めるのですが、この試合はお休みでクレイグがスターターに名前を連ね、そしてウエストブルック担当になります。
昨シーズンは2WAY契約から成り上がったクレイグは、ディフェンスの弱いナゲッツという事情もあり、ひたすらエースキラーを担当してきました。スモールフォワードなのにPGマレーが守れない事情も合って、頻繁にPGのディフェンス担当もします。そんな時は1人オールコートマンツーでプレッシャーをかけ続けるのが特徴。
とはいえ、やっぱりフォワードなので1年前に登場した頃はスピードで簡単に抜かれまくっていました。慣れって怖いよね。成長か。今ではそんなスピードに悩まされることも少なくなり、エースを止めたいときにプレータイムが長くなります。
クレイグのプレータイムは16分程度。ところが3分とか4分の試合も珍しくないし、逆に20分以上も珍しくない。つまり必要なときだけプレータイムが与えられます。この試合は今シーズン最長の36分。ウエストブルックがベンチに下がるとクレイグも下がり、コートに登場するとクレイグにも声がかかったのでした。
2Q残り8分18秒で登場したウエストブルックはこの試合初めてのドライブからのレイアップを打ち、15秒後に同じプレーで得点します。直ぐに動いたマイク・マローン。残り6分22秒でクレイグが登場すると前半のレイアップは打ち止めに。
前述の通り序盤から軽快にパスを回して行たウエストブルック。その理由は実はクレイグをフィジカルで抜くことが難しいこと。スピードで抜くシーンは時々出てきますが、それだけじゃないからウエストブルックの凄さがあるし、それだけで簡単にやられるほどディフェンスが悪くないナゲッツ。
ウエストブルックが12本の3Pを打った最大の理由はクレイグの存在。フォワードでありながらPGまで守れる選手はフィジカルの部分で簡単にやられないことで、アウトサイドから打たざるを得ない状況を作り出しました。
前半の残りの3Pはクレイグが登場して3分ほど止められてからの3本
2Q残り3分で打ったプルアップ。クレイグを前にしてやるべきプレーが見つからず打ったかなりダメなシュート。それこそカリーでもダメと言われるシュート。
残り1分半でポール・ジョージのパスアウトから、やるべきプレーが見つからず打ったダメな3P。そして2for1のためにクイックで打ったキャッチ&シュート。これは良いシュートだけど決まらなかった。下手なわけだし。
◉アダムスとヨキッチ
サンダーのオフェンスが良くなってきた理由のひとつはアダムスのポストアップを効果的に利用するようになったこと。何故か、柔らかなフローターだけは上手いアダムスは、リバースレイアップに行く判断も良いのでポストアップから効率的に得点出来ます。しかも、パスアウトもしっかりするのでオフェンスの起点にもなっている。今のサンダーオフェンスで1番効果的なのがアダムスのポストアップから始まるパターン
ところが相手をしたのがヨキッチ。完璧に止めていきます。フィジカルファイトで勝てることでアドバンテージを得ているヨキッチ。そんなに鮮やかに抜くパターンもフェイダウェイなんて技もないアダムスだけに苦しいわけです。
前半のアダムスはFG0/6と止められればオフェンスリバウンドも3つのみ。アダムスに3つは少ないという変な感じ。まぁサンダーがFG29%とシュート外しまくっていたので、いつもならアダムスでなんとかしていた部分です。
サンダーの中で1人だけFG%が高いアダムスが決められず、しかもオフェンスリバウンドも取れない。さらに3P2/19で11%と別にウエストブルック以外も決まらないわけだ。誰が打っても決まらない。パスを回すけど、決まらない。しかし、インサイドも止められる。
実は前半の時点で追い詰められていたサンダー。守ってもナゲッツを止めていたのに、こぼれ球が全てさらわれたりと運にも見放され、3P7/17のナゲッツに23点のリードを許して前半が終わります。
ちなみにナゲッツのオフェンスは良くない。得点取れたけど、良くない。元々素晴らしいオフボールの合わせで華麗なオフェンスを展開していて、しかもヨキッチ、ハリス、マレーのトリオが極めて相性が良かったチーム。その3人は残っているから、パッシングは続くし、これまでの良さを感じるときも多多あるけど、ハリスがいないこの試合はなんかオフボールの合わせとか殆ど無かった。
それでもシュートの上手い選手を並べていることもあって、決まる時もあるさってくらい。ディフェンス良くなってオフェンス悪くなるって。あるあるなんだけど、メンバーが変わっていないだけに悲しいよ。
◉反撃の3Q
3Qになって追い上げたいサンダー。ヨキッチがファールトラブルでベンチに下がったことで流れが変わってきます。まずさすがにクレイグに止められ続けるわけにはいかないウエストブルックがドライブしていきます。決まったり決まらなかったりだけど、3Qだけで7本のドライブからのシュートに結びつけました。決まらなくても破壊し始めたわけです。それは悪い話ではない。
そしてヨキッチがいなくなったことで良いポジションをとりやすくなったアダムス。といっても相手はプラムリーだし、ディフェンス全般、特にヘルプのスピードではヨキッチを上回ります。これはウエストブルックを止める面では役だったけど、サンダーファンに言わせれば「ウエストブルックのシュートミスはアダムスへのパス」なわけで4本のオフェンスリバウンドから6点を奪ったアダムス。
ウエストブルックの突破と合わせて2人でゴール下から12点を奪うことに成功します。
これはサンダーの流れを良くしました。インサイドが止められて3Pを打っていた前半のウエストブルックだったわけで、3Qはインサイドを攻略してグラントとシュルーダーのキックアウト3Pも生まれたのでした。問題のウエストブルックは
残り4分半でパスを出すところがなく、マークのクレイグが下がったのをみてプルアップ。これは打つ必要が無いシュート。
残り2分でリバウンドの流れからコーナー3P。これは決まらなかったけどフリーになっており悪くはない。
残り14秒でモリス相手にプルアップを決めたのでした。つまり唯一決めた3Pはクレイグにマークされていないときだったわけです。
3Qに8点縮めたサンダー。それはインサイドをしっかりと破壊できたコンビによる反撃にして、8点しか縮められなかったのは、もう一歩ウエストブルックのシュートが決まらなかったから。そんな日もあるから仕方ないよね、といいたいのだけど、クレイグはウエストブルックのレイアップを2本もブロックしたのでした。
そりゃあ36分もプレーするよ。しかも、クレイグはゲームトータルで6つのオフェンスリバウンドを奪っています。この流れもちょっと面白くて、サンダーのディフェンスはアダムス含めてスイッチを厭わずプレッシャーをかけていくのですが、実はそれが出来る要因の1つがウエストブルックに代表される周囲のリバウンド力。ビッグマンがアウトサイドに引き出されても関係なくリバウンドがとれるわけです。
ヨキッチやミルサップが3Pも打つので、アウトサイドに引き出されるアダムス。それは別に怖くないサンダーの事情。ところが同じように飛びこみリバウンドをしてくるクレイグに奪われてしまったことで、単にウエストブルックのリバウンド数が10に抑えられただけでなく、速攻への起点も潰されていました。
オフェンスリバウンドを奪うことで守ってもいたクレイグでした。ブロックショットと合わせてサンダーの怒濤の反撃を軽減していたよ。
◉決まらなかった3P
反撃したいサンダーはポール・ジョージの3Pで9点差にすると残り10分で早々にウエストブルックを戻します。さすがにクレイグは戻ってこないよ。と思ったら30秒後に登場します。徹底的にクレイグを信じるマイク・マローン。出番をとられたマリック・ビーズリー。ナゲッツのオフェンスが悪くなっていると書きましたが、そもそもHCはディフェンスがお好きな感じなんだよね。昨シーズンもそれで悪くなったし。
ウエストブルックは3Pを打ちます。ボールムーブから来たので良い3P。だけど一瞬躊躇ったし、ナゲッツは抜かれる方が嫌だから距離を詰めずに打たせた。
ちなみにサンダーはアダムス以外はガードというスモールラインナップ。ウエストブルックとバートンがゴツすぎて4ガード感はないんだけどね。スピードあるボールムーブはするけど、ヨキッチに押し込まれたりクレイグにオフェンスリバウンド取られたり。しかも、オフェンスでもゴツい2人が3Pないからあまり意味なく、ポール・ジョージが戻ってきます。
ファールを貰いに行く3Pを打つウエストブルックがコールして貰えず、カウンターからマレーが3P決めて残り6分13点差に広がったのでした。
ポール・ジョージに任せていくウエストブルック。しかしパスアウトされて3Pを打ち決まらず。これも良いシュートだったので決めようぜ。ポール・ジョージが自分で打つと決まり、さらにウエストブルックからアダムスへのアリウープ。パスアウトからシュルーダーが3P。
マレーが見事なダブルクラッチリバースで得点し、リバウンド争いでファールを貰うミルサップとナゲッツも一歩も引きません。全体的にシュルーダーを狙っているナゲッツ。スターターと同様にカバローで良かった気がするけど、スターを信じるのがドノバン流だしね。それでもウエストブルックのドライブキックアウトからグラントの3Pが決まって残り3分には6点差に。
得意のリバウンド速攻を作るウエストブルック。ところがボールが戻ってきてしまい3Pを打ってしまいます。これは不要だった。普通に作り直せば良いのに、急いでしまった。タイムアウト明けのプレだったので、急ごうという指示があったのかもしれない。ヨキッチがフローターで決め返すも、またウエストブルックからアダムスへのアリウープで残り1分半5点差に。
大事なポゼッションのナゲッツを守り切ったサンダー。ところがまたもオフェンスリバウンドを押し込むクレイグ。ウエストブルックのパスからダンクのシーンになったアダムスだけど、プラムリーがブロックしたので試合が実質終わりましたとさ。
この後、ウエストブルックが急いで3P打って外れ、それがクレイグの速攻になるとか、この試合を象徴していたね。最後にベンチに下がったけど、ポール・ジョージとアダムスも下がったので、ドノバンが諦めただけでした。
振り返ってみるとウエストブルックの12本の内訳は
➀ポール・ジョージのキックアウトパスからのキャッチ&シュート 2本
➁良い形でのキャッチ&シュート 2本
➂良い形でのフリーのプルアップ 1本
④普通のプルアップ 6本
⑤ファール狙い 1本
決めたのが④の1本ってのが痛いのですが、①~➂は決めて下さいねというだけで良いシュートでした。特に①は打たないといけないので、もう決めてくれることを願うしかない。一方で「困ったらウエストブルックを空けておけ」というのも鉄則なので、これはこれで選手の組み合わせなんかは考えるべきです。
問題は④です。これが6本はウエストブルックじゃなくても多すぎるし、駆け引きの一端としても打ち過ぎ。まぁそのうち2本は時間がない中で選んだだけなので、致し方ないのかもしれませんが、どんなに外していても勝負所だけは決めるから賞賛に値するのであって、打ち続けて外したんじゃ管理人でも打てます。まぁラウリーもそんなことを良くやるのだけど・・・
④の状況が発生したのは、ナゲッツのクレイグによるウエストブルック対策が効果的に効き、しかもオフェンスリバウンドを取ってしまったことで、理不尽速攻を減らしてしまうオマケ付き。ラッシュしたかった3Qに得意技が使いにくく、しかもレイアップをブロックまでされてしまいました。
プルアップが多くなったのは、そんなクレイグのディフェンスに悩まされたから。突破しにくい中でシュートを決めないといけなかったわけです。「ウエストブルックなんてシュートを打たせておけば大丈夫」というのが鉄板ですが、でもそれをやりたくても出来ないのが殆どのチームの悩み所。出来ないから理不尽なわけです。勝負所だけ決めるし。
全くやらせなかったクレイグ。フィジカルのあるディフェンダーがもたらした3P1/12と、上位相手の貴重な1勝のナゲッツでした。
この記事を読んで、ラスが悩んで仕方なくスリー打ってるように見えた理由が分かりました。
参考になります。
ラスのスリー確率 1/12 が目立ちますが、前半は皆フリーでシュートが入らなすぎたのが、前半で20点差つけられた大きな要因だったのかな、と。
珍しくアダムスが封じられてたから、「困ったらアダムスで攻める」が出来なかったですしね。
試合終わった後、ラスが2時間ちょっとシュート練習してたそうですが、ラス以外もシュート練しろと思ってしまいました(苦笑)
ファンとしては、不調なラスのスリーとFTの確率が一昨年のレベルまで戻ることを祈るのみです。
連戦で疲れてたかもですが、記事にあったように、リバウンド取られ過ぎたりで、ハードワークの部分でも負けてたから、そこは要修正してほしいですね。
困ったのは、ナゲッツ戦があと3回もあること。
ドノバンは、ナゲッツに対して、ちゃんとした解決策を見出ださないと、キツいですねぇ。
ナゲッツもオフェンスリバウンドが強いチームなので、そこの勝負で負けたのが悪い流れを加速させました。
あれだけ打たせたクレイグのディフェンスが得た勝利です。
ウエストブルックは堅いので、もう少し脱力することをトレーニングに組み込まないと。ジャンプシュートも殆どがバンクになっていて、本人も自覚していると思うんですが、肩の専門医に診て貰うようなメンタルではないでしょうが。
シーズンオフのウェストブルック記事で、カリーの様に打てばいいのではと書いたら、フォームは各々個性、と返されまとまりましたが、ここに来てやはり見直しが…。従来も入るときはど真ん中、スウィッシュ?ですがね。ミドルバンクは増えましたね。
ただ、ミドル、スリーバンクこそ柔らかさが大切だと思うんです。ただぶつけるのでなく、ボードに落とすように当てることが肝要だと感じているんですが直線軌道で当ててゴロゴロッと入るのは苦笑いです。
スリープルアップ連発をやめて少しドライブしてステップバックミドルにするだけで違うかなと。バトラーはスリー継続で。
マッスルなんでフォームというよりも筋肉系のトレーニングって感じです。シュートに限らずやけに力がはいっているのが昨シーズンの序盤で、信じられないようなミスを連発していました。今は当時ほどは酷くないですが、力は抜けてないなと。
ステップバックにして抜くのは良いのですが、それでパス出来ればよいけど、なので本人しか分からないですね。今シーズンはプルアップ3Pはあまり打ちませんよ。
脱力しながら筋肉を使うみたいな話でしたか…。フォーム改変と結んでしまう自分がいます。プルアップスリーというか、おかしなタイミングでの、ビハインドでレギュレーション終了間近で、みたいなやつのことなんですが減ってるんですね。KD抜けてからそんなんなってしまって。
アダムスやシモンズのフローターは不思議です。そもそもフローターはジャンパーより難しいはず。フローター打つなら1ピックからミドルのが筋だし簡単だし普遍的。でもたまにいますよね。デローザン、カリー、アービング、リラード、マカラム…。
サンダー入らない時、本当に決まらないですね。見ててシュルーダー以外のベンチからの得点があまり期待できないのはどうでしょう?
パターソンとかもフリーの3p入らないし。
ジョージも試合によってたまに波あったり。ジョージは相手のエースとかもつかないいけないからスタミナ消耗するんですかね。
ロバーソンが復帰したらディフェンスはある程度任せたらシュートの精度が上がったりしますかね?
サンダーのベンチはパターソンがなんであそこまで決まらないのか問題が大きいです。決まればもっとノエルも活きてくるのですが。
ベンチの得点に乏しい以上に、プレータイムが短いのもね。6人の中心選手に休みを与えるための起用になっているので、伸びそうもない。ノエルなんかはもっと使うべきだと思います。
ロバーソン復帰したらディフェンスの負担は減りますが、ロバーソンのシュートが決まらないから収支は同じ。