2018/11/24 ラプターズvsウィザーズ

ラプターズも負けたら首位から落ちるのね。

◉パスをする両チーム

ウィザーズが測りにくいのは、凄いワガママなプレーをするのではなくて、誰もがしっかりパスをするし、ちゃんと走るのに上手く行かないこと。サボる選手は時々いるけどね。しかし、そのパスがあまり効果的じゃなかったり、走るけど連携が定まっていなかったりするので、それこそデータ的には悪くなくても内容が悪いことは結構あります。

ラプターズはいうまでもなくしっかりとしたパスムーブと全員のハードワークが組み合わさっています。でもそのパスが効果的ってのは何が違うのかって話です。開始から目立つのはバランチューナスの合わせ。1回ボールを貰うと簡単に捌いて動き直し、ツーメンゲームでアシストパスからフィニッシュします。

ウィザーズにないのは、「1回ボールを貰う」というシンプルながらディフェンスのポジションを少しずつずらすことと、「動いてアシストを貰う」の2つかな。しっかりとスペーシングしてパスを回して行くウィザーズだけど、シューターになる選手は基本的に止まっているので、ディフェンスからすると初めのポジションを意識しておけば済んでしまう。たまにラプターズもそんなパスを出したらウィザーズがカットしたし。

 

ウィザーズはちょっと良いプレーをして自信も出てきたか、センターのトーマス・ブライアントが3Pを打っていき成功します。ウォールとのピックプレーからポップしてフリーになって打つブライアント。じゃあなんでそれをスモールでやらないのか疑問もあるけど、1本で決まればやりやすくなるよね。さらにビールはパスではなく自分で打つパターンも選択するので、ピック&ロール自体は良い感じに。ただし、ウォールはレイアップを決めてくれない。ギリギリのところに飛びこみすぎなんだよね。

ピック&ロールは悪くないけど、その時アウトサイドで3人が足を止めているから、どうにも展開しないウィザーズ。たまにウーブレイがカッティングして決めるけど、余計なこと言ってテクニカル。対してラプターズはシアカムが動いて合わせるプレーを連発するので、ウィザーズのディフェンスは困っていきます。ベンチからアヌノビーが出てくると気がついたらインサイドでフリーになってダンクも。

 

そこからラプターズの3Pショーが始まります。アヌノビーが必要なのかよくわからないフェイクをしてチェックを受けながらコーナーから。ミスからルーズボールになったのを何とか拾いボールを回すとショットクロックなくなったところでイバカ。2for1のためにアーリーで打ったヴァンフリート。そして1Qブザービーターでアヌノビー。

インサイドをカッティングで困らせた挙げ句、アウトサイドから射貫きまくったラプターズ。そりゃあ大量リードになりますよ。でも、あれなんだよな。この決まりまくるラプターズをみると後半に決まらなくなって逆転されるのもパターンなんだよな。

 

◉連発しない3P

2Qのラプターズは両エースはベンチで始まります。オフェンスはそこそこだけど、サトランスキーのプレッシャーディフェンスがリズムを乱し、ラプターズのオフェンスはスタートのヴァンフリートが困り始めます。ちょこちょこ抜かれるサトランスキーですが動きを止めないので、ボールを循環しすぎた時にスッとカバーリングしています。1人だけラプターズっぽいサトランスキー。

オフェンスになってもボールプッシュの早いサトランスキー。そこにウーブレイとモリス、ポーターのスモールラインナップは走るのでリズムが掴み始めた感じ。走るチームなのにボールプッシュが遅いとか組み合わせが変だったウィザーズ。シュートミスをポーターが拾ったりとなんかこっちの方が仲良さげなのはニュースの影響で先入観があるからだろうな。

加えてラプターズは3Pが決まらなくなります。ドライブとパスの連続で完璧にドフリーを作るけど、決まらないラプターズの3P。決まりすぎの1Qは早くも精算します。これでウィザーズのペースになりそうだったのだけど、ウィザーズもモリスしか3Pを決めなかったのでリズムは掴んだけど、追いつけないままスターターが戻ってきます。

 

レナードが速攻ダンクに、ミドルレンジのターンシュートを&ワン。対してビールがドライブからフローター、さらにウォールの3Pをアシストします。CJマイルズにもドライブ&ワンが出て押し戻すラプターズ。それを個人突破でとりかえすビール。

この時間はバランチューナスが出ているけど、ウィザーズはスモールラインナップのまま。オフェンス面では上手くリムプロテクターを外すことに成功してビールが突破出来ていますが、守る方はちょっと苦しそうなモリス。それでもフリーになれるので3Pを決め、さらにゴール下でポーターが助けてくれて収支はプラスに働き、点差は一桁になります。ラウリーとバランチューナスがレフリーにクレームつけてテクニカル。ラウリーは退場しそうなくらいクレームし続けている。

3Pを決めたラウリーをヴァンフリートに交代させます。そのままロッカールームへ走って行くラウリー。イバカのブロックからラウリーがコーストtoコーストのダンクも、サトランスキーが3Pを返し前半はラプターズの8点リードで終わります。1Qの内容からするとウィザーズは取り戻したし、3Pが連発で決まればって感じです。リズムは悪くないし、3Pも決まらないわけじゃないのだけど連発がないので、追い上げる勢いがない。

 

◉追いついたとき

どちらもしっかりとドフリーを作って3Pを打ちますが、どっちも決まらない3Qのスタート。ブライアントが出ているとオフェンスリバウンドを取れるウィザーズがシュートは決まらないけど何度も打ち直していきます。そしてボールムーブからビールが3Pで1点差になると、バランチューナスのゴール下を守り切って、速攻に走ったウーブレイがユーロステップで逆転します。開始早々に9-0のラン。ラプターズは殆どがバランチューナスとグリーンのミス。

本当に何度も助けてくれるトーマス・ブライアント。スターターというチャンスを貰い、良いプレーをしたことでちょっと自信をつけたのかな。例えばバランチューナスがボールを持っても長い手を挙げて距離を詰めるに留められるようになっています。これまでなら危険なゴール下だと慌ててファールしてしまうイメージだった。何度もスクリーンをかけ直し、そしてオフェンスリバウンドに参加します。ただし、合わせのタイミングとかはまだまだだし、ディフェンスもピックを守れない。

苦しくなったラプターズですが、ラウリーが流れながらの3Pを決めると、続けてレイアップ。レナードもミドルをヒットすれば連続得点で取り戻していきます。バランチューナスとグリーンでミスが続いていたのに、逆転されたらエース2人のパターンが増えて取りかえしていくラプターズ。エースが引きつけるとグリーンもコーナー3Pで続きます。

 

ウィザーズもウォールの速攻、ウーブレイがドライブ&ワン。フリースローのリバウンドからバランチューナスを置き去りにして走るブライアント。その走りは素晴らしいのだけど、ウォールのパスはラウリーに読まれてしまいカットされます。それでも今度はポーターとビールが走ってレイアップ。多少のミスは許容して走った方が良さそうなウィザーズ。

しかし、ラプターズは3人目のエースであるアヌノビーが出てくるとレナードの突破に合わせていくアヌノビーが3Pにスピンしてのリバースレイアップ。コーナー3Pは決まらないけどレナードがリバウンドを拾ってターンシュートに。再び10点リードにします。アヌノビーは更に走って速攻。速攻といってもウィザーズが4人戻っている中で後ろから走ってきたアヌノビーが何故かゴール下1on1にしちゃって決めただけなんだ。隙をついたコース取り。

ウィザーズは再び3Pが決まらなくなります。ただし、今度は1Q同様に動かなすぎてフリーになっていない3Pばかりなので決まらなくても仕方ない。そうなるとエースのドライブだけど、ストップジャンプシュートは決まったけど、ゴール下まで行くと潰されます。イバカは味方のライトを吹っ飛ばしてのブロック。

一時は逆転したウィザーズでしたが、ラプターズが14点リードにして3Qが終わります。エースが必要なときに働いたラプターズ。そのシュートの殆どはショートレンジのジャンプシュートだったレナード。デローザンも同じシュートだったけど、ラプターズが持つ武器がそこにあった感じ。スマートシュートだけでは勝てないんだ。

 

◉クロージング

昨シーズンのラプターズの強さは4Q序盤にセカンドユニットで勝負を決めてしまう形と、スターターが戻って逃げ切る形の2つがあったから。クロージングタイムが2回ある強さは他にもペイサーズなんかにもありました。かつてのNBAはクラッチの強さが大切だったけど、それだけでは勝てなくなった理由。

しかし、この試合は全く上手く行きません。リバウンドを拾ってもトラベリングになったり、スティールに失敗してフリーを作ってしまいイージーレイアップされたり。ウィザーズは2Q同様にベンチメンバーのスモールラインナップの方がディフェンスプレッシャーが効いていて、困ってしまうヴァンフリートというデジャブ。明らかに効いていたウィザーズディフェンス。

でもウィザーズはオフェンスが連続得点出来ない。10点差まで縮めたけど、もう一歩進められないでいると、ショットクロック無くなってステップバック3Pを打たざる得なかったライトが見事に決め、さらにマイルズもロング3Pで続きます。他は守れているのに、2つのタフ3Pで点差を戻されてしまいます。本当にこの2つの3P以外は酷かったオフェンスなのだけど。それを上回れないウィザーズのオフェンス。

101点で始まった4Qが6分経っても109点だったラプターズ。ウィザーズにはチャンスがあったのだけど、自分達も6分で10点しか取れなかったのでした。割と難しいのはオフェンスが決まらなかったこともあるけど、良いディフェンスをしたことで時間が過ぎてしまったという嫌な理由も。ラプターズは意図的にスローダウンしたわけじゃないけど、プレッシャーを受けた時にミスをしなかった事でクロージングに成功したのでした。やり直しまくるグリズリーズみたいな強かさ。

なお、試合はスターターが戻ってきたことでレナードがジャンプシュートを決めて何の問題も無く逃げ切ったのでした。おしまい。

 

◉ゲームメイク力の差かな

脇役達の3Pが連続で決まって序盤にリードを得たラプターズが、ウィザーズの反撃にあって追いつかれたけど、エースが働いて突き放し、プレッシャーディフェンスで苦しくなっても時間を使いながら単発シュートを決め、最後は危なげなく逃げ切るというリーグ首位に相応しい内容でした。これを今のウィザーズに覆せというのはムリでしたね。

3P17/39で44%なので4Qのライトとマイルズの2本を除けば決まりまくったわけではありませんが、FG50%近いのにオフェンスリバウンドを13本奪う地味な努力を繰り返せたことが非常に大きかったのでした。レナードは27点とエースの働きだけど3Pは1本、ペイント内は8点のみと必要なときにミドルジャンプシュートを決めてくれるのが非常に大きく、チームとしてはゴール下と3Pが多いけどエースは違うシュートを決める。そしてアヌノビー、イバカ、ヴァンフリート、ライトの4人のベンチメンバーも2桁得点と相変わらずのセカンドユニットの強さも光ったのでした。

 

ウィザーズはやっぱり走った方が良いチームだと思うし、走ったときの方がオフェンスリバウンドも拾えるし。ブライアントがそこそこ使えるようになったのは大きい。3P9/46と外しに外したけど、オフェンスリバウンドは15本とちゃんと助けることも出来ていました。でも走るときの形があまり決まっていないのかな。

ハーフコートオフェンスになった時に狙いが乏しいのは変わらず。こないだの試合だとオフボールスクリーンからビールのパターンが結構あったのに、消えていたしな。どうもゲームメイクも安定していない印象。ラプターズが交代交代で活躍する選手が登場したわけですが、それだけ良い選手を抱えている以上に時間帯によってプレーチョイスの使い分けが光った事に比べると一本調子なウィザーズ。ラプターズ相手だから目立ってしまったよ。

ラプターズだってラウリーがそこまでコントロールしているわけではなく、誰もが積極的なことと、でも勝負所はエースが中心だよという共通意識があるだけの気がするので、ウォールももっと意思表示をハッキリすればよいのにとは思います。サトランスキーとウーブレイの積極性が良い流れを生んだ印象なので、誰もが積極的な時間とエースの時間を使い分けたい感じです。殆どがエースの時間ではあるけど、しっかりとパスを出して誰もを使っていくので悪いわけでもないのだけどね。

これ書いているときサンダーがクラッチタイムになっているのだけど、シュートが全く決まらないウエストブルックが、でも「自分の時間です」感を出しまくっている。みんなは他のことを頑張ろうぜ。ってことで。全然決まらないのにディフェンスとリバウンドで耐え凌いでいる。ウィザーズも「ウォールのシュートは確率悪いからディフェンス頑張ろうぜ」で良いのかもしれない。ディフェンスリバウンドをとっているだけだったウエストブルック。

 

2018/11/24 ラプターズvsウィザーズ” への6件のフィードバック

  1. いつも拝見させて頂いております。
    仰る通り3Qハーフコートで攻めれない場面が目立ちました。ビールをオフボールで動かしたいのですが、他の選手のスクリナーとしての意識だったり、ビールも何とかしたいのかボールに寄る場面が多くなりましたね。そこら辺も試合によってバラバラなので整備が必要ですかね。

    1. 問題は最後の部分ですよね。試合によってバラバラ。昨シーズンもその試合運びの下手さが目立っていたのに、改善してこなかったところがHCとフロントの問題かなと。
      トーマス・ブライアントはしつこくスクリーンに行く意識があるのですが、戦術理解していないというか、理解する戦術がないのか。

  2. サンダーのクラッチタイム見てました。
    ラスが決まる気しない3pt打つのはどうかと思いましたが、それでもボールを任せられる関係性を築けているのはいいことですね。フリースローはしっかり決めてよかったです。
    ラプターズはオフェンスが停滞する時間帯が長いことがこの試合以外でも見られるような。何か原因があるんでしょうか?こんなものですかね?

    1. サンダーなんか頻繁にオフェンスが停滞するけど、みんなラスが決まらないのは知っているから気にしないというか。
      ラプターズは普段が決まるから意識しがちですね。デローザンだけじゃなく、みんな3Pが決まらなくなると一気に停滞しますね。それでも打ち続けるのですが、弱気になってしまうのか。強気に打つラウリーも調子悪いときは全く決まらないですし。

  3. >エースが必要なときに働いたラプターズ。そのシュートの殆どはショートレンジのジャンプシュートだったレナード。デローザンも同じシュートだったけど、ラプターズが持つ武器がそこにあった感じ。スマートシュートだけでは勝てないんだ。

    デローザンに大きな不満があるわけではありませんが、正直言ってレナードほどは頼りにならないと感じている今日この頃です。
    試合を見ておらずイメージが湧きづらいので、同じミドル〜ショートレンジのシューターであるレナードとデローザンの違いをもう少し詳しく解説していただけませんか?

    1. うーん。シュート自体は同じようなものですが、レナードの方がフィジカルも高さもあるので、厳しくチェックされても決めますよね。デローザンはフェイクでかわす感じ。

      そこだけ切り取ったら大きな違いはないと思いますが、ディフェンスリバウンドやスティールから強引に持ってこれる能力もあるのでレナードの方が力強いです。あとポストアップで始められるのもアウトサイドアタックのデローザンより堅実ですね。
      ニック・ナースでのデローザンを観たかったなぁ。

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