ゴンザガvsデューク

マウイインビテーションファイナル

おそらく読者の皆様は大体ご存じなのでしょうが、「ゴンザガ 八村」でたまたまブログを読む方もいるかもしれないので説明しておくと、八村のいるゴンザガは全米ランク3位。3位のエースが日本人ってのは凄い。日本で育ってきた選手がそのままNCAAでエースになるのだから。相手のデュークは全米ランク1位。高校時代の有名人達がゴロゴロいるのです。

来年のドラフト予想サイトだと1位ザイオン・ウィリアムソン、2位RJバレット、3位キャメロン・レディッシュというデュークの3人がトップ3とさえされています。30位にいるウルブズのタイアス・ジョーンズの弟もデューク。つまりスターター4人が1巡目指名予想されている豪華メンバー。

https://www.nbadraft.net/2019mock_draft

一方のゴンザガは1巡目は11位で八村のみ。こうなると圧倒的にデュークの方が強そうですが、ドラフト1巡目に予想される選手は16人が大学1年生、11人が大学2年生、2人がユーロ系なので実は八村が唯一の大学3年生以上でランクされています。NBAでもルーキーと3年目では完成度が段違いのようにNCAAでもやっぱり上級生の活躍するチームは強いです。

NBAだとレイカーズのイングラムがデュークに残っていたら4年生、テイタムがいたら3年生で、この試合にいたわけです。要するに9月に入学した才能溢れる新入生達のチームなのがデューク。それに比べると才能的に劣っていても完成度の高い選手が多いゴンザガです。

 

試合はまさにその様相が強くなります。ゴンザガは八村の3Pが初得点になりますが、マークが甘くてフリーにされたものを打ったシュート。その次も同じくフリーにしてしまったデュークのディフェンス。速攻気味にアーリーで運んでも両ウイングにしっかりと広がるゴンザガなので、真ん中をドリブルであがってきた八村は冷静にパスアウトして3Pを打たせるし、ハンドオフやスクリーンを利用してからパスを貰う選手が多く、マークマンと対面しての仕掛けは少なくてスピードに乗った状態でボールを貰ってインサイドに飛びこんで行くから、デュークのヘルプは遅れがち。

それらが上手く行かなくてもスクリーンでマッチアップ変更させての1on1という形が多くなります。八村が決めるポストアップも身体能力で上回れるマークになった時のもの。強引な仕掛けは殆ど無く、パスを捌き、スクリーンをかけ、フリーを作っていくチームオフェンスをするゴンザガ。まぁでも八村のシュート決まりすぎ。NCAAでもあんなに決まるのかよ、ってくらい決まります。ビックリ。

 

一方でデュークはオフェンスのスタートが1on1ばかり。ザイオンのアタックは強烈で重い身体を使いこなしてスピンムーブの繰り返しでねじ込んでいきます。ランドルフが10歳若かったらこんなプレーしそう。パターンはあんまりないけど、フィジカルが強すぎて相手にならない。NBAレベルでもこのフィジカルはレア。

それに比べるとバレットはもう少しスマート。当たり前か。ドライブしてから複数のパターンがあって、ディフェンスから大きく離れたところでシュートを打とうとするので止めにくい。バレットって昨年のU19に17歳ながらカナダ代表で出ていて日本戦は大したプレーしなかったよね。準決勝は1人でアメリカを倒してしまったけど、ルール的にNBAの方が向いていると思う。

 

まぁこんなオフェンスを繰り返していたら、そりゃあゴンザガの方が次第に良くなってくるわけです。ムリのないオフェンスが多い。そして何よりもシュート力が全く違い、2巡目候補の3年生ザック・ノーベルはNBA3Pを軽々と決めていくので、ゴンザガのリードが少しずつ広がっていくのでした。

ゴンザガの方は4人がしっかりと広がって、スクリーンを使いながら高精度の3Pに空いたインサイドの合わせがオートマティックに出来ているのでデュークの個人能力が高かろうとさすがにシンプルなゴール下のフィニッシュでは上級生が上回るって感じです。八村はサイズが小さめなのがネックなんだけど、ヘルプがこないならしっかりと決めきってくれます。

後半になると好調のノーベルの3Pで16点リードになるのでした。残り15分くらい。多分。

 

ピンチのデュークはオールコートディフェンスにしてきます。まぁでもゴンザガはそんなのに簡単には引っかかってくれません。あと八村のマークが弱いので最悪はそこに預けて運ばせる。なんで弱いかというとまずデュークなんで弱いわけではないのだけど、ザイオンはもっとヘルプ担当で動き回らせたいようなんだ。だけどアウトサイドに引き出されて、あまり役割を発揮出来ていない。逆にゴンザガも八村をザイオン担当にはしないで負担軽減って感じです。

オールコート自体はそんなに機能しないのだけど、それでも個人の戦いというシーンが増えたことで局面での強さを発揮していくドラフト候補達。ゴンザガもレベルが高いので、ここだとドラフト候補って超上手いというよりも身体能力的に優れているって感じなので。

ゴンザガの方はヘルプで八村がザイオンをブロックしたり、速攻で連携をみせたりと変わらぬチームバスケでしっかりと対応していますが、タイアス弟やバレットの速攻個人技、ザイオンのブロックショットと個人が躍動し始めるデューク。個人の局面が増えていくとゴンザガがファールトラブル気味になってきます。NCAAってまだ1&1ショットがあるのね。

 

残り8分になってもゴンザガが二桁リードをキープしているのですが、次第に八村の個人勝負が増え、そして全く決まらなくなります。その前にガード陣がプレッシャーを受けていたのでポスト利用を促したのかもしれませんが裏目に。

フリースローが増えたデュークは2本目を落とすとオフェンスリバウンド、シュートが落ちてもリバウンド、八村にブロックされてもリバウンドで、最後はザイオンが押し込み。とにかく落ちても拾っていくフィジカルの強さとイージーダンクを連発して、一気に追い上げます。バレットのレイアップで残り3分半で2点差に。

残り1分40秒でザイオンがしっかりとゴール下を決めて同点に。その次のオフェンスで八村がバレット相手に久しぶりの得点をゴール下で決め返します。

 

残り1分からデュークはどうするかと思ったらバレットの1on1に。ところがドライブコースにザイオンがいるからジャマ。そこでタイムアウトをとってバレットが勝負する形を徹底します。計3回あったバレットのアタックは全てゴンザガのヘルプに潰されてしまいました。タイムアウトで徹底されたインサイド潰しとキックアウトという判断がなかったバレット。

ちなみにNCAAはショットクロック35秒なのでデュークはファールゲームにいくしかなかったのだけど、ゴンザガは4本のフリースロー全てミスしてしまいました。そのおかげで目立ったバレットのダメなプレーでした。多分、バレットはこの試合で評価を落としたと思う。ゴール下で八村にパワー負けし、最後の勝負所で良いシュートが打てなかった。バレットは日本を嫌いになりそう。

 

◉八村の評価ってどうなの

デューク相手に一歩も引かないプレーをしたことで、ちょっと微妙だった八村の評価も固まってきていそうです。八村個人は評価されていてもゴンザガの相手が弱いチームのことが多いんだ。まぁそんな点も含めてどう観るか。

まずそもそも評価軸は「ドラフトされるか」「NBAにはいれるか」というところにはありません。渡邊雄太の場合は「NBAにはいれるか」だったわけでドラフトってのも現実味がなかった。八村の場合はドラフトされるのは当然。それが1巡目なのか、さらに上位指名なのか、って事になります。

デューク相手に良いプレーをしたこともあって、1巡目指名というのは現実的です。サイズが小さいPFというのが八村のネックだったのですが、ゴール下で戦えるだけのポテンシャルを示したことは大きく、スモールラインナップのPFとして起用出来そう。3ブロックはヘルプディフェンスが出来ることを示しました。その一方でシュートタッチの良さも好印象。もっと安定しないイメージでしたが国際試合だけでなくNCAAでも堅実性を見せられたことも良い方向性です。どこまで伸びるかはわからないですが「シュート力に難がある」とは問われない気がします。

リバウンドから自分でボールプッシュも出来るので、ゴリゴリのインサイドではない事も示しているので、やっぱりスモールのPFはぴったりかもしれない。逆に言えばパワープレーを求めるのであれば違う。2人に囲まれてもねじ込むとかはないだろうね。

一方でディフェンス面はヘルプの強さとブロック力の高さがあるけど、1on1は結構不安。バレット相手だとスピードで振り切られてしまうし、ビッグマン相手だとフィジカルと高さ負けしそうだったvsザイオン。とはいっても気になるほどではない。要するに3&Dかと言われるとそれはちょっと苦しいかもしれない。

じゃあどこが指名するのかってなりますが、3年生という点もあり、スーパースターの卵を狙うチームからすると指名しにくいよね。11位はペリカンズになっているけど、まぁありそうな話。あとセルティックスが4つも指名権もっているからスモールのPFという点では選んでもおかしくないかな。中位から上位チームが将来のスターター候補として選ぶのが現実的な気がします。あとはサンダーとか、スパーズあたりだと不足しているポジションかな。

グリズリーズが指名するのが1番なんじゃない。日本人的にはとっても楽だし、ジェイレン・ジャクソンがいるから起用しやすくなりそう。将来性よりも即戦力を求めていそうだし。まぁ指名権もっていないんだけどね。

 

 

 

 

ゴンザガvsデューク” への6件のフィードバック

  1. ドラフト11位ってここ最近のCHAのポジションだ。PFか。まあ今年は特に嫌な順位ですが

    でも贔屓のチームに来たらとか考えるのワクワクしますね
    というかアメリカ人は地元の選手がどこにドラフトされるかとか学生の時から追えるんですよね。それも毎年
    こんなワクワク。そりゃ一大ビジネスになりますわ

    それにしても指名権の怒涛のレプラコーン笑う

    1. 日本のプロ野球と同じですね。こっちはさらに高校、大学、社会人と混ざるから。育成組織がないと逆に盛り上がるってのも考えものですけど。

  2. スパーズが彼の人間性など考慮してトレードでピックしないかな?そしたらこれから面白くなりそう。。
    ないか、、
    ビュフォードよ頼む

  3. さっそくのレビュー!
    ありがとうございます。嬉しいです。

    そう、前半は良く八村入りましたけど、やっぱ疲れて来て後半はツラそうでしたね。
    連日の試合で、最後がデュークってのも。ほんとすごい。

    日本の高校で培った技術と、奇跡の運動能力と、アメリカの大学で知った自分の強み。
    NBAのスターターで八村の名前があったら泣いてしまうかもしれません。
    頑張れ!

    どこに行きますかね、メンフィスで日本人二人、、、笑

    NBAって、プロ野球の日ハムみたいに育てては売るってチーム方針の、所はないんですか?

    1. NBAもプロ野球も「売る」といっても現金がはいってこないので、その方針はないですね。
      ポスティング制度が特殊なので。NBAの場合は収入は各チームが安定しているようなので尚更。

      ネッツみたいにトレード駆使してわらしべ長者はありますよ。

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