ケンバと若がえりしトニー・パーカー

ケンバ凄いよね。今度は60点だってさ。今回は続き編。セルティックス戦の前に書いていた内容です。

絶好調のケンバ・ウォーカー&支えるトニー・パーカー、勝ちきれないホーネッツ

ケンバについて書くと今シーズンは平均28点で、シクサーズ戦では60点だってさ。60点ってコービー以来かな?

でも、ホーネッツについては7勝8敗と負け越しているから「ケンバ以外が情けない」なんて書かれることもありますが、まぁ大体は試合を観ていない人の戯言って感じ。ちなみに60点とったことでちょっと検索してみたけど、いわゆる専門誌系の記事以上に個人が書いている「NBAの情報満載」みたいなブログだと、どのブログもほぼ同じ事を書いているよね。転載しすぎだろ。転載元すら書かないのに。

ホーネッツはハワード他のビッグマンで渋滞させていた昨シーズンまでとうって変わり、ガード陣の得点を求める形に変えました。そういえばバトラーに粉砕されたわけだけど、ホーネッツこそバトラーを狙うべきだったよね。交換要員?まぁいないけど。

そのガード陣に得点させるためにはスクリナー、パサーといったオフェンスセットの部分での役割と、ガードがドライブした際にインサイド合わせとアウトサイドシューターが必要なわけで、さらにオフェンスリバウンドにも参加する選手が必要なわけです。新HCボレゴがやったことは、単にガードに得点させるのではなく、1つのプレーに全員が参加することを求めるようなスタイルでした。

ケンバが得点しているけど、そこには全員が絡むよっていうのが大きな違いであり、役割が被る選手は同時起用されなくなったし、ボール持たないと何も出来ないカミンスキーはローテーション外になったわけだ。例えばMKGがセンター起用と書いたけど、普通にフォワード起用の方が多いですが、昨シーズンまでのようにマービンと同時は極端に減りました。役割が被ってしまうから。

そうやってケンバが得点しているけど、誰もが関係するオフェンスになったことで選手達はやる気に満ちあふれているぜ、ってのがホーネッツが良くなった部分。でもやっぱりクラッチタイムに弱すぎて、10点以上の得点差がないと勝てないってのは何も変わっていない部分。これが調べると結構な衝撃だったわけです。開幕戦から順に並べると

vsバックス 1点差敗退

vsヒート 1点差勝利

vsブルズ 2点差敗退

vsシクサーズ  2点差敗退

vsサンダー 4点差敗退

vsシクサーズ 1点差敗退

vsシクサーズ 3点差敗退

こうなってくるとなんでヒートは負けちゃったのかレベル。開幕のバックス戦については書いたけど、16試合でこんなに接戦に負けるチームって他にあるのか?ドラマチックすぎるのがホーネッツ。

ホーム開幕戦その時、ケンバは泣いていたのか

今シーズンを占うような開幕戦だったし、60点とっても最後にブロックされて3P決められるってのが今シーズンが濃縮されています。まぁ要するにケンバが得点を増やしたのは、そういうシステムにしたからってことです。理由はいくつかありますが、ラムとモンクの得点が伸びたように、ベンチにモンクを置くのでケンバに得点とらせるシステムだと、セカンドユニットも同じ形になるからじゃないかと。

なお、最近のモンクはダメダメなので、ラムをベンチにした方がよいかもしれない。というくらいの使い分けって事だ。

 

◉トニー・パーカーが若返った

ケンバの話はまぁいいや。もっと活躍してくれれば、もっと書きやすくなるんだから。

スパーズ一筋で現役を終えると思われていたトニー・パーカーはボレゴに誘われてホーネッツに来ました。理由は「自分に明確な役割を与えてくれるから」みたいな感じだったと思うけど、スパーズだって与えていただろうに。しかもホーネッツはガード過多なだけでなく、ケンバもモンクもサイズがないのでパーカーは合わないだろうと思っていたら、まさかの3人同時起用でした。

〇3人同時起用時のレーティング

オフェンス 109.3

ディフェンス 97.3

たかだか32分の話なので偶然の要素が強いのですが、ディフェンスが機能するってのが面白い。開幕戦のバックスで使った形なのだけど、最近は3P打ちまくるチームが増えて、ミスマッチ誘導でインサイドのパワープレーをしないチームもあるので、むしろ追いかけ回すことだけは出来る3ガードってのが機能することがあるわけです。グリズリーズが渡邊雄太をロペスのマークにしたけど、ロペスは3Pしか打たないので押し負ける事がなかったみたいな。

でもさ、ここで気になるのは「トニー・パーカーが追いかけ回す」ってことです。スパーズのディフェンスはベテランだろうがビッグマンだろうが走り回るのが基本なので、パーカーもその範疇に過ぎませんが、36歳のベテランを獲得して攻守に早いペースのゲームメイクをさせるってのがファンキーでした。

今シーズンのパーカーはキャリア最小の18.4分しかプレーしておらず36歳のベテラン感がありますが、数字を36分換算してみるとなかなかのスタッツになります。

 

〇36分換算のパーカー

得点 19.6

アシスト 8.4

ターンオーバー 2.4

リバウンド 3.8

スティール 0.4

これらの数字がどれくらい凄いかというと、2011-13にオールNBAセカンドチームに選ばれていた時期くらい凄い。要するに全盛期くらい凄いって事な訳です。パーカーが加入してベテランの味的なこととか、リーダーシップとか言われもしますが、実は単純にプレー自体が若返っているのです。若くないのはプレータイムだけ。

プレータイムについては最小9分から最大28分まで試合によってバラバラですが、プレータイム中の得失点差が悪いときはプレータイムも短くなっており、ボレゴは試合展開とパーカーの内容を見比べて、余計な起用はしないようにしていると思われます。若手のプレータイム削るほどは使いたくない。

 

パーカーのプレー傾向はそこまで大きく変化しておらず、ドライブの回数も10回前後と昨シーズン通りです。パスは5本くらい減りました。にも関わらず得点とアシストが伸びているのは、ケンバを活かすシステム同様に全体がスペーシングして3Pを打つようになったことで、パーカーもドライブフィニッシュが楽になったことが関係しています。

ショットチャートを比較してみましょう。ちょっとわかりにくいけど赤があまり決まらないゾーンで緑が良く決まるゾーン

実はこれらの色分けから観るとパーカーのシュート力はそんなに変化していないわけでして、違うのはショートレンジのシュートを良く決めていること。違ったよく打っていること。ペイント内くらいの距離ですね。

昨シーズン合計で57本(左17、中央33、右7)

今シーズン合計で30本(左11、中央10、右9)

ということで、得意なレンジのシュートを大幅に増やしています。それもバランス良く。ラプターズに行ったレナードもショートレンジを打ちまくっていましたが、オルドリッジゾーンであり、ダンカンゾーンでもあるわけで、そんな選手がいないホーネッツではトニー・パーカーの得意技が遺憾なく発揮されていると言えます。もちろんレイアップなんかも増えている。

ビッグマンを複数起用していたスパーズに比べるとガードが活躍しやすいのは当然なわけですが、これにちゃんとアシストも増やしているわけなので、チームオフェンスの中で明確な役割定義されていることが良く分かります。

まぁそれにしてもゼラーとエルナンゴメスにビヨンボを加えたホーネッツがセンターにまで3P打たせるとは予想もしませんでした。それもスパーズから来たHCがですよ。その一方でパーカーの得意ゾーンで打たせているわけだから、そこはスパーズっぽいんだよね。

〇オフェンス平均移動速度 5.12→4.92

一方で動き回らなくもなっています。ディフェンスも数字が下がった。求められる運動量の低下というのもパフォーマンス向上に繋がっているのかもしれません。まぁこれでもPGとしてはかなり動き回っている方なんだよね。

ちなみにホーネッツの凄いところはゼラーとエルナンゴメスがもっと動いていること。センター陣が他のポジションよりも走るというのは地味にチームを支えています。彼らが頻繁にスクリナーになり、速攻に参加し、リバウンドからリバウンドまで走り回るというのが基本ライン。ビッグマンにはプレータイム減らしても運動量を求める時代なんだ。

 

◉ケンバとパーカー

そんなわけでパートタイマーだけど全盛期のような活躍ぶりのパーカーが支えるホーネッツは、でもやっぱりケンバが試合を決めるシュートを決めてくれないといけないんだ。そして全盛期のようなパーカーだけど、4QのFGは40%を下回り、どうにもこうにも助けることが出来ていません。アシストは多くなる。

全盛期はどうなのかと思ったらFG50%周辺となっており、試合を決めに行っていたパーカーなので、やっぱりそこは衰えているね。というかプレータイムを制限するのが正しいようです。ちなみにケンバはFG50%ちかく決めていて、単純に最後の1本を決める事が出来ていないだけ。

全く合わないと思っていた2人のPGはなかなかどうして、非常に面白いコンビになっています。同時にプレーするよりもケンバの控えでパーカーが基本だけど、やっているプレーの本質が実は似ている。ホーネッツをダブルスタンダードと呼んだけど、スターターとベンチに同じ役割だけど違うプレーをする選手を揃えていて、その使い分けがここまで光っています。

光っていると言いつつも大量リードを得るのには役立つけど、接戦を勝ち切れていないのがボレゴのホーネッツ。それが今シーズンの課題であり、クリアしてしまうとプレーオフが現実見を帯びてきます。

 

いつかそのうちケンバもパーカーみたくなるのだろうか。ホーネッツのレジェンドであるケンバ・ウォーカーが移籍するなんて考えられないけど、それもまたパーカーと同じなんだ。

 

ケンバと若がえりしトニー・パーカー” への13件のフィードバック

  1. 昨日は勝負強かったです、ケンバ。
    勝負弱いってなんだよ!
    ホーネッツはモンクが化けたらおっそろしいチームになりそうな気がしてます。
    イーストも上の方は恐ろしいチームが増えてきた…

    1. モンクが化けそうにないってのが苦しいですが。

      ケンバは勝負弱いって言うか、最後の1本だけ決まらないんですよね。
      残り3分くらいだと強い。

  2. パーカーお褒めいただきありがとうございます、スパーズにしかいなかったせいで余計な過小評価をされていたと思うのでこうなってうれしいです。
    やれポポビッチのシステムに助けられていただけだの、スコアリングガードなのに理不尽力が足りないだのと。
    脱パーカーを目指したスパーズが若手ガード3人ケガして一番必要になるのはちょっと皮肉すぎますが
    ただ後期パーカーってfloppyとかボール預けて動き回るセットが多かったのでオフェンスのスピードは過剰目に記録されてると思います
    ちょうど今のケンバの役みたいな

    1. パーカーはドリブルしながら良く動きますが、レナードが登場したことでオフボールが増えましたね。それがケンバに当てはまっているのが今シーズンの良さかと思います。
      ポポビッチかボレゴかっていうよりも、丁度良い刺激をもらって若返ったのだと思うのです。

      ただベースにあるのは、やっぱり動き回る精神だと思いますし、ホーネッツがモンクも含めてそういうプレーをさせたがっていますね。
      スパーズだと唯一フォーブスがその精神を受け継いでいるかな。

  3. ケンバが「覚醒」したとか相変わらずケンバ以外ダメみたいな意見見ると、まあ普通CHAの試合なんて見ないし仕方ないよねって思っちゃいます

    マービンバトュムMKGなんてDFのチームなんて言われていた頃より、ずっとハッスルしていて見てて楽しいんですけどね
    もうちょっとシュート決めて欲しいとは思うけど、それも試合に好影響を与えていないと判断されるや否やすぐボレーゴに使われなくなりますし。だから選手の不調はそこまで気にならない。モンクは別
    代わりに出てくる選手が活躍するのも、チームがそれを理解してるからで。ベーコンフィジカルトレーニングうまくいったみたいで何よりです

    センターの3pは、去年までずっとトップのP&R多用してきたのでバリエーション増やしたかったんですかね。練習風景もトップの3pばかりやってますし。こういうのが管理人さんの言う良いところを持ち越すってことでしょうか
    センター陣は毎試合すごい体を消耗してくれていて、その代わりPTが全員足しても48分満たないことの方が多いんですよね

    ホント開幕戦みたいな試合が続くなんて聞いてないから、毎試合動悸がすごい。あんなに嫌いだったガーベージタイムがいまや恋しい

    最後の一文ずっしりきました。ただパーカーみたいな場が得られるのであればそれもまた選手人生冥利に尽きる話なんでしょうね…

    1. 昨シーズンまでのホーネッツとは全く違いますが、でもケンバのFG%は大差ないし、ビッグマンだって突然走り始めたわけじゃないし。ただ、それぞれが良く組み合わされていますよね。ゼラーなんかは、3P以外はプレーそのものが大きく変化したわけじゃなく、でもなんか貢献度が上がっています。全てを作り替えるのは難しい中で、上手な使い方をしている気がします。モンクはもっと決めるかトレードか。

      ジェットコースターみたいな試合も多いですが、慣れることで少しずつ安定するのかもしれません。ファンの心も。

      ケンバはベテランになってから他のチームに行って助けになりそうなので、残るにしろ残らないにしろパーカーのように最も活躍できる環境にいて欲しいですね。まぁ来オフは契約延長待ったなしですが。・・・でも、この活躍度だとマックス契約か・・・。

      1. モンクは一番大事なシュートが決まらないという、もう待つしかないような状態なのがこれまた。特に心配はしてませんが
        ビールに対してモンク1順目( +サラリー調整組)みたいな案がファンの中でも出てますし。多分WASはブリッジスの方が欲しいと思うけど

        今の所、来年マックスのお金はうちにはないんですよね…。理由は今更どうでも良いです
        それより年齢的にピークなのと5年2億はちょっと怖いってくらいですかね。シュート本当上手くなったし問題起こすようなタイプでもないのでリスクってほどではなく、超妥当MAXだとは思いますが

        因みに2004年にシャーロットにNBAが移ってからMAX契約とは縁がないらしいです。伊達に低空飛行球団やってない

  4. cha全然興味なかったですが、このあいだのウルブズ戦ですげーってなって注目してます。(負けたけど

    ウォールとビールが売りにだされるとかなんとか噂になってますがビールとかどうですかね。バトラー同様取るコマないですケド、、、

    1. いや、ビールの場合は獲得する術があるので、手を出すべきだと思います。ケンバの数字は落ちますが、チームとしては安定度が上がるはず。
      次回はウィザーズのもめ事について書こうかと。

  5. 以前もイシュ・スミスやカリーの平均移動速度に着目していましたが、誰が動いて誰が動かないのか考えると各チームの特徴が見えますね。
    噂によるとホーネッツがビール獲得に名乗りを上げたようです。
    一説によるとバトゥム&マービン&1順目で要求したとか。
    対価にもよりますが接戦を勝ち切るホーネッツも案外近いうちに見られるかもしれませんね。

    1. ちょっと面白いですよね。走るイシュと走らないドラモンドがピストンズですが、ホーネッツの場合はセンターがとにかく走るっていう。基本はエース達の負担を減らすためにサポートメンバーが走り、かわりにプレータイムが短いのですが、カリーは走りまくりますし。

      ホーネッツがビールを狙うなんて、まともな補強を計画するのだからGM交代の効果も大きいな。

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