2018/11/19 オラディポがいないということ

昨シーズンのペイサーズはオラディポのいない7試合全てに敗戦し、その影響力の大きさを思い知りました。今シーズンのテーマはオラディポに頼らないこと。そのためのオフェンス改革。

◉エースの離脱

ホークスとの1戦はお互いに得点出来ない立ち上がりで、3分経ってもそれぞれFG1本のみ。そんな中でオラディポが捻挫で戻らないことに。4分半でフリースローの2点のみで終わったエース不在のペイサーズは如何にして戦うのか。

ペイサーズは選手層が厚く、チーム力で戦うので影響が大きくなさそうなのだけど、やっぱり最後に決めてくれる存在がいないと苦しいんだ。それは特にオフェンス面。そもそもオフェンス力に乏しいチームは得意のディフェンスから速攻以外だとサボニスによる合わせのプレーとオラディポの個人アタックが必殺技。それは仕方ないとしても、全体を上げていかないとね。

〇レーティング 107.9(13位)

〇EFG 53.6(7位)

でもよく見ると今シーズンのペイサーズはFG65%なんて試合もあったことでオフェンスも良い結果になっています。ということはオラディポ不在で困るのはクラッチタイムなのかな。追い込まれたときにどんなプレーをするのかという点に注目。

 

そして前半はFG38%に終わります。やっぱりオラディポいないとダメなのか。

コリソンが5アシストもFG0/5と堅実性を発揮出来ず、どうにもポジショニングの悪かったターナーは、シュートは好調で10点5リバウンド2ブロックと活躍。そしてオラディポがいないとエース格になるのがボグダノビッチというのは笑えるのだけど、しっかり12点を奪います。ベンチメンバーもサボニスに対して警戒するホークスによってアテンプト2本に抑えられました。代わりにタイリークが10点とコンビとしては機能している。

9のターンオーバーは多すぎたけど、13アシストでそんなに問題ないようなオフェンスだったのに、コリソンの不調だけで上手く行っていないオフェンス。これってとっても難しい話でたかだかFG5本を全て外した選手が1人いるだけで苦しい感じっていうのはちょっと。

前半のペイサーズはしっかりとしたチームオフェンスがあり、誰かが暴走するようなことはなかったのですが、フリーでボールを受けるシーンはとっても少なかった。そしてレイアップに行くような形がなく、ディフェンスを引きつけてくれる選手がいないのでした。完全なるオラディポ不足。さすがにこの状態だと良いチームオフェンスをしたところで1試合通じて得点するのが難しい。

お得意のスティール速攻も殆どなく、それもオラディポ不足かよと言いたくなるような前半でした。

 

◉ミスしたって良い

ホークスはルーキーのケビン・ハーターがスターターに。こないだはスペルマンがスターターだったし、若手に経験を積ませていくチーム。その中心のトレ・ヤングは観る度にほれぼれするゲームメイクをしてくれます。ドリブルでもパスでも力感ないプレーで流れるように繋いでいくから、激しさがなくそれが周囲に余裕を与えています。なんでもなくパスを繋いでいるようでいて、崩しているから次のプレーに移行しやすい。それでいて視野が広くてパスが正確だからコートの広いスペースを有効に活用してくれます。

チームとして3Pを積極的に打つことでディフェンスを広げ、単純なピックからのレイアップを増やしていますが、ベイズモアやベンブリーの確率はまぁまぁ。2人は良くやっているけど、ここにワンランク上の選手を獲得したいね。バレットかな。

一方でヤングとリンはドライブして引きつけてのキックアウトに、センターへの合わせとより全体を活用していくパスゲームを作ります。「誰もが3Pを打つ」チームなのだけど、役割分担も決まってきたようでPG,シューター、ペネトレイトとアウトサイド3人はこの組み合わせでユニットが組まれているみたい。本日はプリンスがいない。

 

前半のホークスは12人がコートに立ち、そのうちの8人が12分以上プレーするというバランス起用に。LA、GS,DEN、INDとアウェーが続いているので疲労軽減なのか、若いチームが団結力を高めるのかわからないけど、競争原理と言うよりは誰もにチャンスがあって、ミスをしても構わないからチャレンジしなさいという雰囲気。

そんな中で今シーズン初めて試合に出てきたのがジョン・コリンズ。機動力系インサイドでスペースを作ってしまう2年生は、ミスも交えながらも前半はチームハイの12点を奪います。得点方法は至ってシンプルにゴール下と速攻ダンクが多いけど、ヤングと組ませると非常に面白く、ヤングのドライブからパスをもらってゴール下から逆サイドのコーナーにキックアウトパスをします。3P活用チームにはこういうインサイドのパサーがいないと機能しないよね。

前半のFGは40%と非常に低かったけど12アシストを記録し、何より7つのスティールから速攻に走ったことでリードを奪うことに成功します。全員が試合に出てディフェンスで運動量を保ち、速攻に走るってペイサーズのお株を奪ったようなホークスでした。

 

◉エース不在

ペイサーズの1点リードだった前半残り2分からホークスは3スティール1ブロックで一気に9点リードにもってって前半が終わると、後半開始2分の連続得点で14点リードになります。ハーフタイムを挟んだけど修正が効いていなかったペイサーズは早々にタイムアウト。

ここから見違えるようなオフェンスが始まります。

まず目覚めたのはコリソン。コリソンの良いところは3Pキングになったシュート力、というよりは堅実なシュートセレクション。しかし、ここではより積極的にリングにアタックしていきます。2人の間を抜けてレイアップを決めれば強気に3Pもヒットし、3Qだけで10点を奪います。昨シーズンのコリソンは47%の3Pとアシスト/ターンオーバー率4.28が高く評価していましたが、今シーズンはアシスト数が減っており、怖くないPGになっていたといえます。

それがホークスディフェンスを楽にしていたようで、突然自分でドライブしてくるコリソンにタジタジになったホークス。オラディポがいるようなペイサーズになりました。

堅実なダレン・コリソンの意外な貢献度

 

ところが今度はターナーがストップ。FG5本全て外しましたが、ゴール下は1本のみとセンターとしての物足りなさを感じます。ターナーの魅力は高いシュート力で、前半はミドルをしっかり決めていたし、この3Qも変なシュートはなかったのでシュート自体は否定するものではありません。しかし、タウンズについて書いたようにアウトサイドだけの機動力ビッグマンでは魅力が足りない。

ペイサーズのオフェンス力が物足りないのってコリンズがドライブを決めて打開してくれたようにイージーシュートが少ないことだと思うんだ。それを他のチームがどうしているかというと、1つの解決策はセンターのインサイド合わせでゴール下をねじ込むこと。サディアス・ヤングが要所でポストアップをしていたけど、ターナーももっとやらないと。

そんなわけでコリソンによって流れが出来てきたら、エースになるべきターナーで乗り切れず、逆襲はしたけど一気に試合を決める事が出来なかったペイサーズ。

 

ホークスはそんな勢いに飲み込まれてしまい、3Q残りの10分で決まったFGは3本のみ。若いぞ、若すぎるぞホークス。特にハーターが完全にストップしてしまうと、苦しいときに強引に得点を導くようなプレーは足りていないヤングという事情もあり、ベイズモアのアテンプトが目立つように。

ヤングはほれぼれするゲームメイクなんだけど、エースとしての仕事という点ではまだまだダメなんだよね。つまりはホークスにもオラディポが足りないわけだ。まぁそれは仕方ないし、そういうタイプの選手はまだ獲得していない。ドンチッチの方が良かったかというと、このチームではヤングで良かった気がする。来年のドラフト待ちなのか、FAで仮エースを探すのか。

そんなわけで16点しか獲れなかったホークス。一気に試合を決められてもおかしくなかったし、それに抗える個人力が足りなすぎるけど、ペイサーズもまた試合を決める力が足りずに1点差で4Qになるのでした。ジョン・コリンズは出てこなかった。

 

◉ホリデー・ホリデー・ホリデー

オラディポが離脱したことで少しプレータイムを得ることが出来たのがルーキーのアーロン・ホリデー。2Qも少し出てきたけど、4Q序盤は素晴らしいオラディポっぽいプレーを、いや、ペリカンズのホリデー兄っぽいプレーを披露します。止められないスピードでディフェンスを切り裂き、スピードと運動量でハンドラーを追いかけ回し、回ってきたパスに思い切りよく3Pを決めます。

まだまだ荒いのだけど、コーリー・ジョセフによるゲームメイクがあって全てを自分でこなす必要はなく、外れたシュートを拾ってくれるサボニスによってミスも消えていきます。たまらずホークスがヤングを出してくるとルーキー同士のマッチアップに。選手としてはヤングの方が上なんだけど、エースっぽいのはホリデーだよね。そう思っていたら、ホリデーのハイプレッシャーディフェンスに対して、ボール運びでファールさせまくるヤング。上手いな。

しかし、そんなヤングのドライブはサボニスが叩き落とし、サボニスとのピック&ロールから崩してパスを出し、再び3Pラインの外にポジションを取るとパスが戻ってきて3P。さらにドライブからバックビハインドでサボニスにアシスト。守っても相手がリンになるとオフェンスファールを引き出し、ホリデーの大活躍でペイサーズが11点リードになります。

もう残り3分半になっているけどホリデーを交代させないマクミラン。調子に乗って横断パス出してスティールされるけど、それでも交代させないし、周囲とあっていると踏んだのかジョセフやサボニス、マグダーモットも残します。決まらないマグダーモットはまぁ置いといて、驚くほどにホリデーのチームになったペイサーズでした。

〇アーロン・ホリデー

15分 12点 FG4/6

 

リンがレイアップを返し、スティ-ルからの速攻に走るけど戻ってくるサボニスに止められてしまい、どうにもオフェンスが成功しないホークス。カーターおじさんが積極的に行ってファールを貰うのが精一杯。プレータイム管理なのかヤングもコリンズも出てこないから、もうどうしようもなかったね。

こんな時にはスローダウンするのが普通なんだけど、そこはシクサーズからきたロイド・ピアースだからか、単に10点を追いつくのは難しいからか、アーリーオフェンスの連続で崩れっぱなしになったホークス。結局後半は33点しかとれなかった。ホークスにホリデーがいたらどうなっていたのかね、と考えてしまうのでした。選んだのはハーターの方だから、打ちまくるのが正解なのかな。

 

 

◉オラディポがいないということ

そんなわけでオラディポがいないと勝てないペイサーズは、オフェンス改革しているけど、成功したのは全く関係なく登場したエース代役のホリデーによる大活躍でした。良いのか悪いのか全く分からないけど、新たなオプションを手に入れた事に。3Q大活躍だったコリソンが全く出番を与えられないというマクミランの起用法は、いつも以上に柔軟というか固執したというか、素晴らしかったね。

22点をとったボグダノビッチはしっかりとオラディポに続くセカンドエースの役割を果たしたし、16リバウンド6アシストとサボニスもいつも通りの大活躍。そしてジョセフもコントロールして5アシストと、ペイサーズの場合はホリデーがエースになったといっても役割はあくまでもスピードを使って振り切り、フィニッシュすることなので効果的に使ってもらえた感じ。ミスが多いのだけど、ミスする機会を減らしたような感じなんだ。

1人でもなんとかしてしまうオラディポと違って、周囲の選手がしっかりと働くことが大前提だけど、切り札になりえるわけで、でもオラディポと同時起用は違うので、マクミランは頭を悩ますことになるのかも。タイリークやジョセフを削ってまで使う価値があるかは微妙だし、決まらないマグダーモットを削るのか!?

オラディポがいないことがテーマだった試合で、まさかの代役ルーキーの登場は層が厚すぎるチームに更なる厚みをもたらしたのでした。

 

2018/11/19 オラディポがいないということ” への15件のフィードバック

  1. ペイサーズ、オラディポ周辺の記事ですが、同じく小柄なケンバ ウォーカーの話がしたいです。

    1ピック使ってミドル、スリーならホーネッツだったかもしれないのに、あの敗戦は仕方ないですか、チームオフェンスがあのタイミングで機能しなかったんでしょうか。

    バトラーがハイジャンプできる状況だったからウォーカーのレイアップは厳しいですよね。

  2. 昨季オラディポ不在で全敗だったのがランスを切った理由というのが個人的見解なので、タイリークには頑張ってほしいところ。
    実はリーフ、ホリデー、サムナーと期待できる若手が結構いるので、何試合か不明ですがオラディポ不在に存在感を見せて欲しいです。
    今季はターナーとサボニスの併用について、最適解を探るシーズンだと思っているのですが・・・。前にあった記事の通りお互いの長短を補えそうで補えない。何故?

    1. タイリークはそこそこ働いていますが、昨シーズンの活躍度で獲得しただけに、まだまだ足りなくて。
      基本的にサボニスのプレーは素晴らしいのですが、周囲を動かしていく良さがある中で、ターナーはあまり動かないですからね。時折ビッグマンをサボニス1人にするように、広いスペースと動ける選手を与えた方がサボニスが輝きます。そしてターナーを併用するにはサディアス・ヤングが良いってのも。ターナーがもっと頑張れって思いますが、それだけじゃなくて他の選手が頑張っているってのも関係してますね。

  3. 更新お疲れ様です。
    チーム別検索記事改めていろいろ読み返しました。こうして見るといろいろと面白いですね。
    一つお聞きしたいのですが、11/22のLAL vs cav は書く予定あるのでしょうか?

  4. やはり、ペイサーズには強引にでも「決めてくれる人」が誰か必要ということですね。
    ボグダノビッチは時々目の覚めるようなドライブも見せたりして、好きなスコアラーですけど、基本的にはアウトサイド中心なので、強引さはないわけで。

    ここでホリデー三男が出てきたのは本当に嬉しい誤算でした。
    最近、3ガード1ウイング1ビッグとか、3ガード2ビッグとかのラインナップをマクミランがやってくることもあるので、その中に入ってこられるかもしれません。
    この試合はタイムアウトの取り方やホリデー三男の使い方といい、マクミランの起用に柔軟性が見えたのはちょっとびっくりでした。

    ターナーは最近5試合はブロック数が22333、良いシュートチェックを見せるシーンも多く、ディフェンス面では吹っ切れた感があるのですがオフェンスは……。
    サボニスが同時にコートにいる時は今のアウトサイドのポストとピック&ポップでも構わないと思いますが、ターナーしかいない時はもっと中でポスト役になってほしいです。
    ピック&ポップでちょっと迷って自信なさげにミドルを打つのだけはやめてくれ。

    1. ボグダノビッチを代表戦で観るのが楽しいのですが、実はシューターっぽくないスコアラーだったりして。

      最近はサボニス+2シューターや、ジョセフ+コリソン+タイリークなんかも試していますが、主に前半の話でしたから、4Qにホリデーを残し続けたこと、それ以上に他の選手も交代させずにホリデーを主役にし続けたことは驚きました。多分、コリソンが1番驚いたんじゃないですかね。出番がこないとは。

      こないだ観た試合は、後半になったターナーがポストアップ増やしたのが好印象だったのに、やってくれないし、ちょっと自信なさげな。
      オラディポを見習って「ウエストブルックが常に110%なら、オラディポは115%で、自分は120%だ」ってなってくれないと、あんまり成長しないような。スキルがあるだけに、もっと自分が主役になって欲しいです。

  5. ホーネッツの外記事読みました。より勝っていくにはウォーカーの勝負強さやチームが後半に失速しないこと、と概観的に書かれていましたね。息切れしなければ接戦にならないし、なってもウォーカーが決めれば。

    シクサーズ戦の対バトラーはどうです。試合を通じてP&Rで、エンビード絡みでバトラーの守備を乗りきっていたのではないかと。バトラーに接触に行ったけどウォーカーの当たりではバトラーは怯まず優位性が動かずにブロックで。そこも含めて勝負強さかもしれないけど。最後周辺の選択どうなのよと。

    1. 観てないから何とも言えませんが、そこまで決め続けているのに、なんで最後だけブロックされてんのかと。バトラーの方は2点で良いのに3P打っているわけで、辺にタフショットにしている気がします。そこがケンバの悪い部分なのかもしれませんが、前のシクサーズ戦はミドル選択して外し、3Pはシモンズが視野に入っていなくてブロックされました。結構、様々なタイプのシュートを外しているので、やっぱりちょっと最後の勝負強さというか、肩に力が入りすぎている気がします。

  6. そうなんですか、御覧になっていないと噛み合わないかもしれませんね。最後だけブロックされる、のは最後だけバトラーと1on1と換言できるはずなので、でも他の試合でも外してるとなると、うーん。今日、さっき終わった試合はウォーカー良かったらしいですよ。今度は僕が見てませんけど。

    バトラーのスリーは、バスケにも心理的先攻後攻があるはずなので、『後攻め』優位とドライブステップバックミドルで体勢が崩れたりディフェンスが本気でチェックに来るより、意表をつくようなステップバックスリーの方がかえって気持ちよく打てたのかも。ああいうの流行だし、練習もしてたりして。

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