ブレークするLeVert

ネッツの得点王は新たなスター候補に躍り出る

◉台頭する選手達

昨シーズンからNBA全チームを隅々まで観戦するようになり、チームを移籍して開花したり、あるいは3年目くらいでグッと成長してくる選手が結構いることを知りました。代表的なのはオラディポ&サボニスのペイサーズコンビだったり、クリッパーズのハレルだったり、ネッツのディンウィディーなんかもいます。ピストンズのブルロックも凄かったね。

今シーズンはまだ10試合程度ですが、目立つ選手が少なく、ブレイザーズのスタウスカス、キングスのビエリッツァ、ヒートのマグルーダー、ホークスのレンってところかな。

そんな中で新たなスター候補を生み出したのはブルックリン・ネッツ。管理人お気に入りのHCケニー・アトキンソンは誰もが3Pを打つ全方位型のオフェンスを変化させ、フィジカルの強いディフェンダーを加えながら、得点すべき選手を目立たせてきました。1人は現在3P39/73で53%と決めに決めているジョー・ハリス。「誰もが打つ」のではなく「確率の高い選手が打つ」形を求めているわけです。

そしてもう1人が今回の主役であるカリス・ラベート。2016年ドラフト20位のシューティングガードは3年目となる今シーズンにスターターとなり、チーム最高の19.0点を稼いでいます。LeVertの日本語書き方は難しい。

開幕のピストンズ戦でキャリアハイの27点を奪うと、次のニックス戦では28点、そしてロケッツ戦では29点を奪うなど、新たなエースの座を手にしようとしています。

 

◉ペイントに侵入する

ラベートの魅力はスピード。ハンドリングシェイクでディフェンスを振り切って一気にペイント内に侵入します。しかし、その意味合いを説明するために、まずはネッツのチームオフェンスの数字を紹介しましょう。

〇ネッツのオフェンス

ドライブ 49.9→48.6(6位)

パス数 327→292

ボールムーブが特徴だったネッツは今シーズンになってパスの数が30本近く減りました。これによってディアンジェロ君のエロさが減ってしまったと言えますが、ドライブの数は変更無く、個人技頼みになったわけではありません。しっかりとボールムーブしてディフェンスを振り回しても、どこかで振り切ることが必要であり、その役割を担うのがラベートのスピードになっています。スピードないディアンジェロ君には出来ない役回り。

〇ペイント内得点

ネッツ 43.8→49.7

ラベート 5.9→10.9

その効果は抜群で、ギャップを作ったときにスピードで切り裂いてくれるラベートによってペイント内得点が大きく増えました。単にボールを回すのではなく、イージーシュートに繋げることが出来るようになったわけです。

このペイント内得点はデローザンやウォールクラスなので、ガードの選手としては非常に優秀だと言えます。ちょっと上にラヴィーンがいるんだよね。タイプとしては似ているかもしれない。

 

〇FG%

ノーチャージ内 50/79

ペイント内 26/54

ミドル 2/11

3P 19/61

その数字の通り、目立つのはペイント内での確率の良さ。ミドルとかは決まらない。完全なスピードタイプでネッツのエースなわけですが、主役であるディアンジェロ&ディンウィディーとは全く違うプレースタイルで攻め込むからスコアリングエースになっています。

赤が濃いほどリーグの平均よりも高い確率になるのですが、明確に右サイドが嫌いなのね。カイリー・アーヴィングと組めば良いコンビなのかも。3Pはコートのどこからでも満遍なく打っており、プレーエリアを限定しているわけではなく、よく動き回っています。

ドライブからのFG56%と非常に高く、それだけ良い状況で飛びこんでいます。PGのゲームメイクからパスを受けて仕掛けるのがメインのため、チームバランスが良いとも。パスゲームのネッツオフェンスが新たに求めたキーマンがスピードでドライブしていくラベートなのです。シンプルだけど確実性も求められるので、昨シーズンまではベンチだったといえます。

3Pを練習してくるのがオフの流行ですが、むしろドライブの精度を上げてきたことが高く評価したいラベート。やっぱりこれがないとオフェンスは成立しないと言うことを示してくれています。

 

◉勝負強く

4QのラベートはFG55%ともう一段ギアを上げてきます。アシストとターンオーバーが減り、スコアすることが明確な仕事に。実はクラッチタイムの仕事は昨シーズンから頻繁に任されていました。最後に個人技勝負したいときはラベートのスピード勝負に賭けていたわけです。

今シーズンは既にゲームウィナーを決めており、フローターを武器に、長い手を生かしてペイント内で粘り強さと体幹の強さをみせています。決勝点を決めたニックス戦のハイライト

1人目のディフェンスをかわすと勢いでフィニッシュするのではなく、しっかりとブロックして自分のスペースを確保し、フローターを決めたりステップを踏んでいます。最後のシュートはコンタクトされながらもバランスを崩さず、粘って決めきりました。

今シーズン6勝のネッツですが、ゲームウィナーは他にもあり、ナゲッツ戦では完璧なエースムーブで試合を終わらせました。

元々はボールムーブするオフェンスで誰もが得点していく形だっただけにアンセルフィッシュなプレーをたたき込まれながら、勝負所では明確なアイソレーションを担当するラベート。その期待に応えてチームを勝利に導くプレーを連発しています。高い身体能力といっても、そんな若手が増えてきた中で2年間の熟成を経て、良いプレーチョイスの中で最後のフィニッシュで上手く身体能力を活用できていると言えます。

 

◉カムバック

ドラフト指名権がなく、難しい再建を余儀なくされたショーン・マークスGMが一番初めにドラフト指名したのがラベート。チームはディアンジェロ・ラッセルとスペンサー・ディンウィディーの2人を中心に立て直されていく中で、ケニー・アトキンソンっぽいプレーをたたき込まれて開花してきているラベートはニュースター候補となりました。再契約が怪しそうなディアンジェロと違い、明確にチームの中核になれる活躍は好調なネッツの未来どころか、今シーズンのプレーオフ進出を担っています。

しかし、ウルブズ戦で前半終了間際にブロックに跳んだところで、大きなケガを負ってしまいました。本当はこの記事ももう少し熟成してから書こうと思っていたくらいに、間違いなく活躍しそうだっただけに非常に残念なのでした。

元気にカムバックしてくれることを願うのみです。

 

中心選手不足の代わりに、多くの選手を揃えてきたネッツですが、ラベートの代役だけは誰もいません。ゲームウィナーを決めてきた選手だけに、一気に勝率が落ちてしまいそうな匂いすらします。単にエースが離脱したと言うだけでなく、オフェンスプランも変更せざるを得ない状況になっており、非常に悩ましいアトキンソン。

予想通り混沌としているイーストだけにプレーオフ進出も十分に考えられたので痛すぎる離脱です。ちなみにvsイーストだとここまで5勝3敗。

新たなスターの誕生は話題性もあっただけに、一応書き残しとこうと思ったのでした。昨シーズンはディアンジェロ・ラッセルのブレークと思われながら同じくケガで2ヶ月以上の離脱がありました。そこで登場したのがディンウィディー。ムサやクルックスがブレークしないかなーと思いつつも、2年間の熟成がないと苦しいだろうな。

 

 

 

 

ブレークするLeVert” への5件のフィードバック

  1. これからが楽しみだったけど、今日の怪我はヘイワードの時並みにきつかった。ディアンジェロは、いつ開花してオールスター候補になれるのでしょう?

    1. レイアップ入ればオールスターですが、全然決まらないし。
      ラベート君の分もドライブ決めないと。3P9本決めて31点しか獲れないって苦しすぎます。
      昨シーズンのケガ前はとても良かったのですが、再契約を安い金額で済まそうとしているのかなぁ。

  2. いつも楽しく拝見させていただいてます!

    ラベートのケガ残念ですね…ブレイクしそうだっただけに本人も悔しいでしょうね。ウルブスの選手まで涙してましたね…

    まだ若いのでカムバックして欲しいです。

    1. 脱臼で済んだそうなので、しっかり直してくれれば同じパフォーマンスは期待できそうです。

  3. ラベート、手術なしでシーズン中に戻ってこれるようです。
    リハビリ乗り越えてまた活躍してほしいですね。

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