2018/10/18 スパーズvsティンバーウルブズ

逆の悩みを抱えているような両チームの開幕戦

 

◉デローザンとスパーズ

この試合の前に少しラプターズを観ていたのですが、レナードはあまりシュートが決まらない中でラプターズは更にパワーアップした雰囲気を出しています。エース交代よりもニック・ナース効果の方が大きそうなわけですが、個人で決める部分ではデローザンに分があり、それに対して「シュートを決める」という能力以外で貢献できるレナードという雰囲気が出ていました。ラプターズの話はまたそのうち。

スパーズの昨シーズンの悩みは、いろいろと出来ているけど決定力を欠いていたこと。オルドリッジのみがスーパーで、本当にその武器だけでやりくりしていたのでした。そこに高い決定力を誇るデローザンを加えたわけで、昨シーズンの強みを失わなければパワーアップした姿がみれそうです。

しかし、開始からその決定力がいまいち機能しません。デローザンも決まらないけど、それ以上にオルドリッジ。イージーなショートレンジがあまり決まらず良さを発揮出来ません。それはちょっとデローザンとの相性問題も絡んでいそうで、パスのタイミングと使いたいスペースが一致していない雰囲気。

2人はミドルとゴール下を使い分けることで良いコンビになると思っていますが、それはあくまでも上手くポジションを入れ替えるスパーズらしさがあっての話。デローザンが慣れてこないと相性の悪いコンビなのかもしれません。

それでもデローザンのミスを助けてくれるパートルにより、粘り強く得点していくスパーズ。もう少し時間はかかるでしょうが、とりあえずはこれまでの強みもパートルで保とうとしています。

 

そしてデローザンがベンチに下がると、オルドリッジがゴール下で次々に得点していきます。まぁデローザンだけでなくパートルからガソルになったことも大きそう。そんなわけで「デローザン+パートル」とオルドリッジパターンでしばらくは戦うのかも。

決定力を発揮することに悩みがあるスパーズ。なお、デローザンもオルドリッジもいなくなったら見事なボールムーブが出てきたことは付け足しておきます。中心にいるのはルディ・ゲイ。スパーズの新たなビッグ3なのでした。

 

◉バトラーとウィギンズ

酷いプレシーズンだったウルブズ。バトラー問題が目立つのだけど、それとは何も関係なく酷い内容で、まともなパスが全く出てこないチームになりました。それは前年からの積み上げが何もないということ。戻ってきたとはいえバトラーはチームオフェンスを円滑にするタイプじゃないし。バトラー問題とは全く違う話だと認識して下さい。

そしてあんな問題を起こしておきながら普通にスターターになるバトラー。要は本人よりもシボドー問題があまりにも大きいのです。この状態でベンチメンバーにやる気出せと言っても無理でしょ。

 

試合が始まるとやっぱり酷いウルブズ。もう観てられないレベルで、スパーズがイージーシュートを外してくれるから何とか点差が離れないだけ。それでも何とかねじ込むバトラーやタウンズみたいなタレント力がウルブズのオフェンスを改善させないのかもしれません。決定力はあるけど展開力が無いのがウルブズの問題。

ちなみに展開力があれば、全員が機能する形を模索するので選手同士の関係性も上手く行きがち。そしたらこんなに揉めなかったのではないかというのは、ホイバーグ以外のHCが考えていそう。

 

そんな中で決定力さえも失ったのがウィギンズ。展開力あってこそ活きるタイプとはいえ、ロールプレイヤーじゃないのだから、それなりに決めてくれないと困ります。スタートから外しまくって、足を引っ張りまくるウィギンズ。

もう終わっているウルブズ。と、思ったらバトラーがベンチに下がると突然ウィギンズが覚醒します。この時、ティーグとギブソンもベンチに下がっており、かつてのメンバーばかりになっていたため、広いスペースを使いながら、アーリーオフェンスも連発します。

個人が突然覚醒したようでいて、ウィギンズが使えるスペースが生まれ、同時にパスもしっかり出てくるようになっていたのでした。ウィギンズのための展開力があった状態でエースムーブをするウィギンズ。益々問題が根深く感じるけど、とりあえず得点差は縮まり、互角の試合になるのでした。

◉ブランク

2Qになってバトラーのスティールから速攻で追いついたと思われたウルブズですが、タウンズもウィギンズもいない時間は展開力が無く、個人で押し込むだけのパワープレーに戻り、ブランクを感じさせまくるバトラーによって全く得点が伸びなくなります。ゴール下まで押し込むけれど決まらないレイアップ。

その間にベリネリの3Pでラッシュして10点差になると堪らずタウンズとウィギンズを戻しますが、戻ったところで結局は1on1ベースになるので特に意味はなく。

面白いのはバトラーを下げると、またもウィギンズがドライブを決め、さらにキックアウトでティーグの3Pを生み出し、それなりの展開力を発揮します。ポストアップからのターンシュートも沈め、再びウィギンズによって点差が縮まるのでした。さすがはマックス契約。笑うところね。

スパーズはスパーズで、オフェンスをデローザン頼みにして行きます。スパーズらしくないといえばらしくないけど、そこからしっかりとパスを出していくデローザンなので、1人でやっているわけではない。

ほぼウィギンズvsデローザン状態になる前半残り5分以降。スーパースター対決は、ほぼ互角なのだけど合わせるチーム力の差でスパーズが4点だけリードを奪って前半が終わるのでした。

 

〇前半のスタッツ

デローザン 11点 FG4/10 3アシスト

ウィギンズ 16点 FG6/13 1アシスト

ウルブズはブランクを感じさせるバトラーが13本のアテンプトがあり、タウンズは僅かに3本のみ。もうタウンズが移籍しなよ。

それにしても両チームのTwitterは働かないね。ハイライトプレーを掲載したかったけど、殆どアップしない。

◉白熱するけど盛り上がらない

ところでスパーズの問題はPG陣の相次ぐ離脱だったのだけど、それだけデローザンがボールを持つ機会が増え、そして代役のフォーブスがしっかりと3Pを決めるから、選手層の問題とマレーによるエース潰しが出来ない問題の2つくらいしか影響がなさそう。まあ後者は大問題なんだけど。

後半開始からフォーブスが決めるのだけど、ティーグがイージーに返していきます。ディフェンスはデローザンとベリネリもいてちょっと悩ましいよね。インサイドが強いだけに、もう少し何とかしたい。オフェンスが成立しているだけに守れなくなっては。

ウィギンズがスーパースターで、バトラーが自分でやりたがって、ティーグが好きに突破出来るので、もうお役御免みたいなタウンズ。ファールトラブルもあって早々にベンチに下がって見学しています。

スパーズに比べると個人が守れるウルブズ。この両者の何とも言えない個人とチームの差はちょっとずつウルブズが上回ってリードを取り返して3Qが終わります。本当に表現しにくいことが多くて、何でも無い個人の突破でゴール下まで押し込んでしまいフローターが決まるティーグに対して、レイアップをミスするミルズとベリネリみたいなことばかり。

インサイドで優位に立つスパーズなのだけど、そのインサイドではイマイチ加点できなくて、3Pが決まるのを待つだけ。逆にウルブズは苦しいはずなのにドライブから得点出来るよと。

あとホームとは思えないくらいミスコールされまくるスパーズ。「厳しくする」というルール改正を守るために強引にコールしているような雰囲気で、触っていないのにファールにされ、止めたくても止められないのでした。うーん、本当に何とも言えない試合じゃ。試合としては白熱しているはずなのに、とってもつまんない。

 

◉スパーズらしさ

4Q始まって3分経たずにボーナススローになるウルブズ。3つはミスコールなんだけどな。ただ試合はバトラーのマッチアップがvsフォーブスになっているのに、わざわざvsゲイにスイッチさせる謎オフェンスをする通常営業のウルブズというミスも出始めて、ゲイのミドルで同点になります。

全体的に言うとバトラーがいない時間の方が良くなっているウルブズなんだけど、個人突破中心でもティーグの大活躍によって均衡を保てているような。次第にデローザンの持ち過ぎが停滞を生み出す空気がしてくるスパーズは、それでもポポビッチがガマンしているような。

 

タウンズが久しぶりに出てくるとイリーガルスクリーンで5つ目のファールになり、更に苦しい所をオルドリッジが攻め込んでいきます。決めきれなくても最後はルーズボールファールを貰ってティーグのフリースローで対抗していくウルブズ。いや、白熱はしているけどさ。

勝負所の残り5分になってデローザンとオルドリッジで攻め込みながら、キックアウトとエクストラパスの連続で最後はベリネリの3P(ファール)やバータンズの3Pでフィニッシュする「らしさ」を使っていくスパーズ

ティーグとバトラーの強引な突破が目立っていた中で、なかなかゴール下が決まらず、そして空気になるウィギンズ。それ以上に空気だったタウンズがオフェンスファールで退場します。

わかりやすい展開でスパーズが一気に8点リードして残り4分へ。

 

ウルブズもローズとティーグで反撃します。どうにもこうにも守れていないスパーズのガード陣を尻目にドライブで押し込んでショートフローターを沈め、ティーグは3Pも沈めて度々4点差まで持って行きます。珍しくバトラーのドライブから合わせたウィギンズのショートレンジも。

時間がなくなるので早く攻めるアーリーオフェンスの連続というのも珍しいけど、個人の突破と合わせで対抗出来ているウルブズ。それをスパーズは粘り強いオルドリッジがリバウンドを拾いあげて押し込むことでリードを保ちます。守り合えない両チームとも言えるけど、白熱しているし、内容的にも面白くなって試合がクローズに向かっていきます。良かったよ最後はかなりまともな内容で。

残り1分3点リードのスパーズはオルドリッジがエアボール。

返しのオフェンスをバトラーが難しい3Pを沈めて同点。

そこから時間をかけずにアタックするデローザンがバトラーを吹っ飛ばしてバンクを決めて2点リード

 

タイムアウト明けをバトラーに託すけどデローザンに止められ、仕方なくローズがフォーブス相手にアタックするもシュートは決まらず。残り16秒でリバウンドを抑えたスパーズに対して、何故かファールゲームに行かないウルブズ。ウルブズ恒例の「タイムアウトで何を指示していたんだ」状態に。

スパーズがフロントコートまで運んだ後の残り8秒でやっとファールにいき、それをデローザンが確実に決めてスパーズがしっかりと逃げ切ったのでした。

 

あぁ違った。

クラッチタイムにエース・デローザンの大活躍で見事に勝利を掴んだのでした

大事なことですね。ここがジノビリ頼みだった昨シーズンに比べると、普通に活躍して勝利した感がある。デローザンは大事なところで外すイメージがあるかもしれないけど、意外とそうでもないよ。ただ大事な場面でドフリーで打たされて決められないことはよくあるよ。

◉ポポビッチの使い所

スパーズで気になったのは昨シーズンから続くローテーションの妙と焦らない姿勢。この試合は内容的にはもっとリードして良かったのに、前半はウィギンズ、後半はティーグにやられてしっかりとしたリードを奪えずに進みました。それは決して良い意味ではありません。リードを奪おうにも少しずつズレがある新加入選手達。

パートルがスタメンだったり、デローザンの1人エース状態にしたりと、様々なユニットを組んでくる中で、最後はバータンズやミルズを起用してデローザン以外は昨シーズンからのメンバーで固めました。同時にオルドリッジとデローザンの周囲をシュート力ある選手で固める形でもあります。

最後まで温存しておいたようなメンバー構成にして、守れない部分を連携とシュート力で補おうとしています。強いメンバーを揃えると言うよりも組み合わせで勝負するポポビッチの使い所が明確に出ていたのでした。

 

デローザン28点、オルドリッジ21点、ゲイ18点とタレント力のあるスパーズだけど、バランスを保とうとするポポビッチなのでした。

こう書くと「さすがポポビッチ」となりそうだけど、現実はまだどうすべきか迷っているだけのような。デローザンとオルドリッジを中心に、どうやって組むべきか試して、シボドーもビックリのオルドリッジを42分プレーさせました。パートルは8分のみなのに。

カニンガムも短くて7分のみ。ガードが薄いだけにインサイド陣までケガさせたら大変なことになってしまうよ。何を悩んでいるのかわからないけど、ベンチメンバーを信じているようないないような、やけに大人しいポポビッチでした。

 

◉シボドーの使い方

バトラーのことが大好きで仕方が無いシボドー。

まぁスターターにするくらいはわかる。しかし、最後がバトラーというのはマッチアップの優位性も、この試合の内容も全て無視したような采配だった。そしてその次にアタックしたのもシボドーが大好きなローズ。試合内容的にはティーグかウィギンズに託すべきだったのに、最後をこの個人技に託してしまうのがウルブズが伸びてこない要因なのでした。

 

前半16点奪ったウィギンズだけど、後半は殆どパスが回ってこず。そのパフォーマンスはプレシーズンでは怪しかったけど、この試合はパフォーマンスは良く、だけどもやっぱりチームプレーの中では活かされなかったのでした。

正直、この内容で接戦になったことが驚き。それはFG8/12で27点のティーグのおかげなのだけど、FG9/23と打ちまくったバトラーもいるのだから、殆どがガードコンビでフィニッシュしてしまうのでウィギンズとタウンズは消えるよね。

冒頭の通り、バトラーのいざこざはあまり関係なく、このオフェンスを続けて伸び代が感じられないことが問題なのでした。それならそれで、前半にベンチメンバー中心になったときにメインアタッカーとしてウィギンズが働いたように、そういう使い方もあると思うんだよね。

ティーグ、バトラー、ウィギンズの3人で上手く回す使い方がなかったのか。タウンズ?酷使されるのが嫌なのか22分で6回ファールしていたよ。タイアスや出番のなかったルーキー達も含めて若手のモチベーションの下がりそうな開幕戦でした。

 

ティーグとウィギンズの大活躍で接戦に持ち込み、バトラーの3Pで同点に追いついた。選手達を責めるのはちょっと違う。ユニットの組み方、ラストプレーの選択、その後のファールゲームを想定していない指示、プレーオフでの采配ミスが反省されていない。

勝利を掴んだのはデローザン

勝利を手放したのはシボドー

そんな開幕戦でした。

 

2018/10/18 スパーズvsティンバーウルブズ” への10件のフィードバック

  1. 記事に全く同意します.
    開幕早々,ミネソタ,再度の暗黒時代到来ですね.
    どうしてミネソタはこうも監督選びに失敗するのか….
    そしてシボドーはウィギンスとタウンズをどうしたいのか….
    世間が馬鹿にするミネソタティンバーブルズに本気でしたいのか.
    バトラーもバトラーですが,シーズン開幕直前にここまで事態をややこしくしたのはシボドーの対応が原因だったとしか考えられません.
    そもそもバトラーをトレードする気もなさそうですしね.

    シボドーが監督になったことでKGがミネソタの経営権を取れそうにもなくなりミネソタを去りましたが,早急にKGにはミネソタに戻ってきて欲しいです.

    1. 接戦に持ち込めたのは良い部分でしたが、この先何を伸ばすのか何も見えなかったのが最もつらい内容でした。
      プレシーズンで良かった部分(ルーキーなど)は全て放棄されたのも気になります。

      勝敗云々ではなく、ベンチメンバーがやる気なくす采配というのは「層が大事」と書いただけに。

      シボドーの上にはオーナーの迷走っぷりもあるので、益々厄介なんですよね。

  2. 触れてませんが、ローズの起用には疑問しか感じませんでした。強引なドライブしか出来ずFG%は悪いし、ディフェンスでも穴になってる。
    せっかくオフにオコギーやKBD、ナナリーのような3&Dを揃えたのなら育成の意味でも使うべきだし、19分出ていたトリバーに関してもパスを回して打たせていった方がいいと思うんですが。
    やっぱりこれもシボドーには無理なんですかね…

    1. プレシーズンのローズは良いプレーと悪いプレーが混じり、高いレベルで安定するのが難しい事を示していました。だからプレータイム制限して、マックスで動ける時間のみにすべきだと書きました。

      バトラーが戻ってきてもプレーの被るローズを同時起用するなど、選手の組み合わせには興味がなさそうなので、3&Dが優先される理由もないですね。
      どうせパスが来ない事をシボドー自身が理解しているからかも。

  3. メンバーだけ見ると心踊るミネソタですけれど、見てみるとぐちゃぐちゃ。ウィギンズとタウンズはなぜ移籍しないのですか?

    1. バトラーがトレードされると確約されたから契約した疑惑ですね。
      あれから特にタウンズの方がやる気無いように見えています。

      ウィギンズは自分が高すぎて売れないことを知っているのかも!?

  4. 楽しみにしてたオコーギも出ずクリスダンの二の舞なんていう予言めいた管理人さんの言葉が頭をよぎりました(笑)

    ローズが出てる時のウィギンスの仕事がよくわからないのでKBDを使ってみてウィギンスは休ますとかジミーとローズで並べると効率が悪いからローズじゃなくオコーギを使うとかシーズン終盤に向けてアップデートしてくためのお試しを見たいんですけどね
    シーズンで進化あるいは変化がないチームはあっという間に淘汰される時代になりましたし今負けても後半とりかえすぐらいの気持ちでチームをつくってほしいです

    クラッチタイムはローズじゃなくてトリバーだろって思ってたファンがたくさんいたはず

    1. ダンの二の舞なら来シーズンは他のチームで活躍を!

      ウィギンズの仕事は意味分かりませんが、じゃあ他の選手だと変わるのかというと・・・。
      むしろウィギンズエースの時間は、合わせる選手を考えるべきですね。

      そしてトリバーはディフェンスの良さが評価されて獲得したはずでは・・・
      ディフェンスを重視するコーチと思いきや、勝負所では守れない選手を起用したりと、チグハグなんですよね。
      バトラーで勝負するなら、トリバーで良かったはず。

  5. 1試合だけでいいんでポポビッチに監督してもらえませんかね?
    ウィギンスにはずっと期待しているのですが、使われ方が悪いのか、本人が悪いのかずっとイマイチ伸びて来ませんね…
    まあ、両方の問題ですがね…

    1. ウィギンズは評判悪いですからね。ただネッツに欲しい人材ではあります。マックスじゃなければ。連動性のあるオフェンスの中で違いを作れる選手である事は、ウルブズでも時たま示しています。
      この試合もまさにそんな感じの前半で、みんながウィギンズを狙っていると、オフェンスの機能性が高い高い。ポストアップ もあるので、マッチアップミスを狙いまくるセルティックスみたいなチームなら有能でしょうし。

      ポポビッチから離れたトニー・パーカーとダニー・グリーンまでもが若がえったプレーをするので、どうにも何とも言えませんね。

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