クリッパーズの明日は何処に〜ジョーダンはトレード?〜

クリッパーズ周りが騒がしいので、考えをまとめてみようと思います。ポイントはこんな感じ。
不調のチームで未来があるのか。
再建のためデアンドレ・ジョーダンをトレードするのか。
リバースHCを解任するのか。
順番に触れてみましょう。




不調のチームで未来があるのか

答えはわからない。不調の理由はガード2人がケガで離脱し、更にガリナリも離脱。連敗から抜け出したと思ったらグリフィンも離脱という状況がもたらしたものです。
グリフィンの可能性については説明不要ですが、ルーキーのテオドシッチ、ディフェンダーのベバリー、ビックシューターのガリナリはそもそもチームとして機能させる方法が確立されないまま離脱しています。リバースHCの手腕への疑問もありますが、他のチームの状況を見ても簡単にフィットするわけでもないので、このチームは未知数としか言いようがありません。

◯主力の年齢
グリフィン 28
ガリナリ 29
ジョーダン 29
ベバリー 29
テオドシッチ 30
ウィスリー 30
ルー 31

グリフィン中心の設計で勝負するわけですが、長くて3年という布陣です。あまり悠長な事は言ってられません。そして3年経つと残る契約はグリフィンだけなのでオールリセットを考えるはずです。


つまり今のチームの可能性はともかく、未来に繋がる要素がないのがクリッパーズです。未来なんて誰も予測できませんが、チーム設計を考える事は出来るわけで、そこを捉えると難しいとしか言いようがありません。

そうチーム設計を考えるわけです。
まず今季はプレーオフに出れるのか?

悲観するほどの負け越しではありませんが、悲観したくなる程の状況ではあります。グリフィンがオールスター前辺りで戻ってくると仮定してそこまで約30試合です。10勝出来たとしても既に35敗くらいになるので、グリフィン復帰したら20連勝くらいしないといけません。それは非現実的なので12月の成績次第でプレーオフは諦めます。

◇12月終了までにはプレーオフの可能性がわかる

まぁ意外と勝つ可能性もあるわけですから、そんな簡単には諦めません。でも現実もみようね!という話です。


◯プレーオフの可能性がある場合
チームは好調でグリフィンの復帰で一気に勝率を上げればプレーオフでも期待が持てる。このまま突っ走ろう!となります。

◯プレーオフの可能性が低い場合
来期以降を考えます。

グリフィンいないだけでお先真っ暗なチームです。来季もグリフィンが健康とは限りません。ならばこのロスターのままでも来夏には補強が必要になります。
そこでジョーダンです。契約は今季終了後に破棄される可能性があります。でもおそらく破棄しません。高年俸を支払うチームが現れるとは限らないからです。
そうなると戦力は維持出来ますが、FAに費やすサラリーキャップが無くなります。

極論言えばレブロン獲得のチャンスくらいは欲しいわけです。ジョーダンがいるとサラリーキャップで可能性ゼロです。カズンズやアイザイア・トーマス、まさかのクリス・ポールまで様々なシナリオを考えておくためにも、トレードで若返り&サラリーキャップ創出したいのが一般的なGMの意見です。

・成長株の獲得でチームを若返らせる
・FAのためにキャップスペースを作る

前者だけでなく後者を忘れてはいけません。現状ではルー・ウイリアムスの7Mくらいしか空かないのでジョーダン放出は現実的です。

「ジョーダンまでいなくなったらクリッパーズ終わってしまう」

という意見もありますが、そもそもは

「クリッパーズの(今季が)終わってしまうからジョーダンもいなくなる」

こちらが正しくなります。

放出でドラフト上位指名権だけでなくFA市場も狙う訳なので、まぁジョーダン放出の対価はあります。



再建のためにデアンドレ・ジョーダンをトレードするのか。

答えはする。そうしないと今回の記事がここまでで終わってしまいますし。

 

前提はプレーオフに進出出来ない事なので、「即戦力でポジションも考えて!」なんて事はありません。求める条件は2つ。
・成長株で3年後も考えられる選手
・サラリーが安い選手、もしくは契約が保証されていない選手

こう考えれば意外と安く売れるジョーダンです。そうは考えないのがリバースHCですが、既にGM職はウィンガー氏に代わっています。サンダーのプレスディの元アシスタントなのでジョーダン放出はより現実的になります。FA資金を作る発想があるかは不明です。

それでは今回のメインとなるトレードの内容を考えます。


そもそもジョーダンはどんな選手なのか

独断と偏見ではありますが、オフェンスシステム的には何の役にも立たないセンターです。アジャストする能力も乏しいので、チームシステムに合わなければ役立たずのセンターです。

また、圧倒的に高さがあるので簡単には打たせないものの、平面のスピード差を使ってくるスモールラインナップに対抗するディフェンス能力もありません。
アウトサイドまで追いかけられなければ、スクリーンプレーに対して下がる事しか出来ないのでチームとしての守り方にも制限が出てきます。ピストンズのドラモンドに置き去りにされ、ゴール下にダイブされるシーンが多々見られました。

一方でリバウンドとブロック力には絶大な信頼があるので、単独でオフェンスリバウンドを奪えるし、リムプロテクターとしては最高レベルの高さを誇ります。

管理人が大して評価していないのは度々書いていますが、戦術的にこんな存在がネックにならないチームであれば非常に有用な選手です。加えて役割が単純なのでチームにフィットするのに時間がかからない利点もあります。

その点で1つ重要なのは再建中のチームには合わない事です。年齢的な部分だけでなく、戦術的に融通が効かないのでジョーダンをロスターに加えても、戦術変更した時に役に立たなくなるケースがあるわけです。

若手が多い再建中のチームは欲しくない、というのはクリッパーズからすると悩ましいものです。


候補として噂されているのは、ラプターズ、バックス、ウィザーズ、ウルブズ。可能性が低そうな順番に触れていきます。

ウィザーズ

◯ウィザーズの交換要員
マヒンミ 残り3年約16M/年

◯クリッパーズの獲得希望選手
ビール、ポーター、ウーブレイ

ウィザーズからするとサラリーの邪魔になっているマヒンミを放出出来るならば、それだけでも十分なトレードです。なんならジョーダンが今季までしか残らなくても問題ありません。むしろ今季だけの方が良いかも。

戦術的にはマヒンミも役立たずなのでジョーダンの方が大きなメリットがある上に、ウォール&ゴータットが停滞気味なので変化も欲しい所です。
ジョーダンがいるとアウトサイドからより積極的に打ちやすく、ディフェンスの良いチームに唯一不足していたリムプロテクターが加わります。
ドラフト指名権をつけても問題ないと考えるでしょう。

しかし、クリッパーズとしてもマヒンミの高額サラリーと3年契約はネックです。そしてビール、ポーター、ウーブレイは譲ってくれないので非現実的です。

クリッパーズがマヒンミ+指名権で満足する。それが成立条件です。


ウルブズ

◯ウルブズの交換要員
ウィギンズ、タウンズ、バトラー、ギブソン以外

◯クリッパーズの獲得希望選手
ウィギンズ、タウンズ、バトラー

利害が一致しない両チーム。
ウルブズは戦術はあるけど、ないに等しい拘りと効率性なのでジョーダンは受け入れられます。ギブソンとタウンズを両方使うくらいなので、ジョーダンも問題ないと考えます。

しかし、3人以外にクリッパーズからみて魅力のある選手はいるのか?
ティーグとジェンのどちらかは引き取る必要がありますがティーグでサラリー圧迫は厳しい所です。ジェンは四年契約で約16M/年とこちらも謎の大型契約。
ジェンはグリフィンの相棒には悪くないタイプですし、他にパットン、モハメド辺りを高評価しているならあり得ない話でもないです。クロフォード出戻りも。

つまりはジェンへの評価次第。他に魅力的なオファーがなければウルブズで妥協する可能性はあります。


ラプターズ

◯ラプターズの交換要員
バランチューナス 残り3年約16.5M/年

◯クリッパーズの獲得希望選手

ラプターズはボールを回す新スタイルと、ドライブする旧スタイルの妥協点を探し、ドライブからのパッシングみたいなスタイルに落ち着きつつあります。そうなるとポストプレーのスペースはないわ、ドライブの邪魔するわで居場所がないバランチューナス。
ゴール下でのフィニッシュ専門のジョーダンはむしろ戦術的に最適です。

そんなバランチューナスは高いFG%でポストプレーが上手く意外と若いです。実力が証明されていながら若返りも出来てクリッパーズとして悪くない選択です。あとはジョーダンにはないポストプレーを評価するのかどうか。

更にラプターズには今季ブレイク中の若手がたくさん。OGアヌノビー、ヴァンフリート、シアカム、ポエルトとポジションも選べるので実はクリッパーズからするとこっちが魅力的。それを活用できるHCではない事も証明済ですが。
しかしラプターズもアヌノビーは絶対に出さないし、シアカム以外も難色を示しそう。なのでお互いの妥協点を探す交渉になります。

問題はジョーダンが来期以降も残るのかどうか。
ラプターズは今季限定で獲得するリスクは取らないチームです。そして人気がないトロント。


バックス

◯バックスの交換要員
ヘンソン、スネル、ウィルソン

◯クリッパーズの獲得希望選手
ミドルトン、ブログトン、ヘンソン、ソンメイカー

バックスはヘンソンを重用していますが、オフェンスに求めるものが少なく、トランジションディフェンス優先でオフェンスリバウンドをヘンソンに任せて戻ります。
これがジョーダンだと1人でも取りまくってくれるのでオフェンス力アップします。ディフェンスでもゴール下を任せられますし、そもそもアウトサイドのディフェンスは良くないチームです。ジョーダンはとても欲しい。

ヘンソン+ミドルトンorブログトンがクリッパーズの希望らしいですが、どちらもバックスには重要な選手。
ミドルトンがいなくなればシュート力がなくなり、ブログトンがいなくなればアイデンティティを失います。それよりクリッパーズにブログトンは何も生み出さない気が。

さて、もしもクリッパーズがジャバリ・パーカーと言いだしたらどうするのでしょうか?
現時点での戦力を失わずにジョーダンを獲得出来ます。パーカーの方が価値が高いのでケガ分だけ差し引けという内容になります。
バックスがパーカーをどう捉えているのかが分からないので、要求してみても良い気がします。

他のチームと少し違うのは妥協するのがバックス側という事です。若い力を抱えるバックスですが、将来設計に優先的に組み込む選手を選ぶ時期に入るかもしれません。
ブレッドソーとジョーダンを選ぶチームは相当珍しいと思いますが。


その他

◯キャブス
トリスタン・トンプソン、シャンパート

キャブスからすると控えセンターとして欲しい存在です。高さが必要な時に働いてくれればそれで良し。シャンパートは活躍し始めましたがアイザイア・トーマスが戻ってくるから余剰人員になりそうなので。
クリッパーズからすると取り敢えずポジションは埋まります。でもFA資金はなくなります。ついでにローズをつけてくれ!と要求したらキャブスも喜ぶかな。
ネッツのドラフト指名権つければ、どんな内容でもOKになりそう。

◯シクサーズ
オカフォー、アミール・ジョンソン

話が出てきて良さそうなチームなのに話題にならないのはエンビートの控えになるからか?
シモンズのパスがあれば大活躍しそうなジョーダン。エンビート不在時のリムプロテクター不足も解消です。
交換要員としては十分な存在のオカフォー。1年契約のアミール・ジョンソンもFA資金を作れるのでグッド。ついでにシューター1人を掻っ攫えばクリッパーズにはお得な気が。

◯ブルズ
ミロティッチ

クリッパーズからすると魅力はなさそう。

◯マブス
ナーレンズ・ノエル

マブスがジョーダンの事を恨んでいるのかどうか。ノエルだけでは嫌なのでカリーくらいは欲しい。


こんな所でしょうか。キャブスとシクサーズなら簡単に成立しそうですが、その気はなさそうです。現実的にはバックスくらいか。

しかし、どんな内容も結局はクリッパーズ側が獲得した選手を活かす気持ちがあるのかどうか。フロントにジェリー・ウエストがいるので、実は獲得したい隠れた有力選手リストがありそうですが、現場はそんな実績のない選手を使ってくれない現状があります。
何よりジョーダンと高額契約したリバースHC。それからロスター変更が難しくなったので、分岐点となる契約でした。それはつまりジョーダンの有用性を誰よりも評価しているという事です。

そもそもリバースHCをどうするのかは最大の課題事項です。


リバースHCを解任するのか。

パルマーオーナーは、主力4人がケガしている状態で正当な評価は出来ないから今季中の解任はないと言っているそうです。
過去を振り返ってもプレーオフでケガ人が多くて勝てていないだけで、しっかりとシーズンは結果を残しているリバース。内容で解任されるならば、とっくの昔に解任されているはずです。
このタイミングで解任する方が不自然。

疑問なのは今季終了後の解任はあるのかどうか?

◇プレーオフ進出
理論的には留任です。解任なら今の時点でするべき。

◇プレーオフ進出ならず
難しい。ここまで信頼してきたのに解任する理由になるのか?

20勝レベルなら流石に解任
35勝レベルなら留任
間なら後任が見つかっていれば解任

有能なHCはきっといっぱいいると思いますが、有能で結果を残しているHCなんて簡単には見つかりません。第2のブラット・スティーブンスを探すようなチームではないと思います。

だから後任に相応しいHCがみつかっていなければ留任するでしょうね。

このチームを他のHCが率たら上手くいくのか、失敗するのかも見てみたいのですが。


トータルで言えばクリッパーズは今季中に明確に変わる事は無さそうです。ジョーダンをトレードしても手にする選手に過度な期待はしてはいけません。過度な期待をするような選手で可能性があるのはパーカーとオカフォーくらいと予想します。でもどちらもブランクあり。

そもそもまだテオドシッチとガリナリの真価は計れていません。特にガリナリはグリフィンがいない方が機能する可能性もあります。なお、個人技勝負になって全く機能しなくなる可能性もあります。

開幕前のクリッパーズの評価は「強いけど勝てない」です。理由の1つは毎年恒例の主力がケガをする事。これは予想以上に当たってしまいました。
では「強いけど」の強い部分が出てくるのかがこれからの勝負所です。弱くて勝てなければ即解体ですが、そうではないはずです。

果たしてクリッパーズはもう一度浮上して現状路線を継続するのでしょうか?
それともジョーダンのトレードでマイナーチェンジを測るのでしょうか?
HCもジョーダンも放出して大幅な路線変更を計画するのでしょうか?

1つのリミットは1月末です。そこまでの成績次第で様々な変化が行われる可能性があります。

クリッパーズの明日は何処に〜ジョーダンはトレード?〜” への1件のフィードバック

  1. いつもながら冷静な分析、すごいなあと感心するばかりです。
    ファンとしては、まずはHC解任してほしい。クリス・ポールとの4年間を振り返ると、彼が生み出すもの以上のものは何も生み出せなかったコーチとしか思えません。特にチームディフェンスがまるで出来ていない。毎試合、ハーフで60点取られてしまうのはコーチの力量不足では?
    何よりも息子の偏重はファンからも大ブーイング。息子が成長するためにもよくないよ。クリス・ポールもそれについてはチーム内に不満があったと言っていたしね。

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