20171207 ニックス vs グリズリーズ

カンターがいないと勝てないニックス。ポルジンギス離脱のヒート戦も勝利し、エース不在でも戦える事を証明しましたが、流石に連敗中。
今季は走るようになったわけですが、お互いのチームが走る展開には実は弱いのではないかと思われたのがペイサーズ戦です。
それは走る中でもハードワークが得意なカラーなのに、お互いが走るとさすがにハードワーク出来なくなりそうだからです。
今夜の相手はリーグで最もペースの遅いグリズリーズ。ある意味得意な相手になりそうです。ハードワークしてチャンスを掴んで走る。それがニックスのカラー。
ハードワーク!





グリズリーズは連敗脱出。
フィッツデイルの影を振り払ってセンターをするガソルですが、少しずつフィッツデイルに戻って打開を目指す姿もあります。融合点を見つけられれば、それなりに有効なシステムになりそう。
「フィッツデイルとガソル」が予想以上に人気出たのは非常に嬉しいです。そこに書いたように本当は次の一手があったように感じていて、それはスペースを作るスタイルから使うスタイルへの変化です。HCが変わって使う事ばかり考えている雰囲気なので融合はあり得ない話ではありません。
ケガ人が戻ってきて、やり易くなったはずですから、そんな姿も見えそうな試合。



お互いの強みを出すスタート
ニックスの強さのわかりやすい部分からスタートします。ポルジンギスがフリースローレーンから決めます。否定される距離ですが、この確率が高いから止められなくなります。
同じ様に打った2本目が外れるとカンターがオフェンスリバウンドからフリースローを得ます。カンターはなんとフリースロー90%オーバー。
とにかく2人のこの相性の良さがニックス最大の強みです。高確率のミドルレンジと外れてもオフェンスリバウンド。
この試合のスターターにはハーダウェイに代わりランス・トーマスで激しいルーズボール争いもあるなど今季のニックスらしい内容。



グリズリーズはフィッツデイル時代の様にスペーシングはしませんが、インサイドのガソルにボールをいれてキックアウトパターンが美しく決まります。
そもそも適切なスペーシングとポジショニングが出来ているかが重要なプレーなので、次の一手にみえる要因でもあります。HC交代直後は全てを忘れた様なシステムを始めましたが融合点を目指した様に変化しています。
そうなるとガソルにも勝負するスペースが生まれ、それを確率よく決めていきます。更にエバンスとパーソンズがロングレンジから迷わず打ってこれも確率良く決まります。
ちなみに3Pを積極的に狙うのもフィッツデイルから始めたのでこれも名残だったりする、というのは言い過ぎかな。
気になるのはガソルの高確率。それが決まらないから困っていたのにポルジンギスもビックリの高精度で決めた事でグリズリーズがリードします。



ディフェンス面の対応
チャルマーズもスティールから速攻を連発し、リズムの良いグリズリーズ。連敗脱出で吹っ切れたかのような快調さ。
一方でニックスはなんだか重そう。グリズリーズにプレッシャー負けします。「ポルジンギスがいない方がニックスがわかりやすい」と呟きましたが、グリズリーズはポルジンギスにボールが入った瞬間を狙い所にしています。
そこを経由するのがわかれば止めやすい。だからいない方がワイドにボールムーブしていたり。そしてボールを持ったら打たせないように距離を縮めれば抜かれるのは怖くない雰囲気。
ニックスがセカンドユニットになってグリズリーズの勢いは削がれます。単純にディフェンスの時間が長くなったからかと。別に決まらないけどボールを動かして止められるわけでもない。
またオクインはガソルを止めるので、攻め所を失うグリズリーズ。お互いに崩せない展開なのでエースを休ませているニックスに流れは向かいます。



スターターに戻るニックス。これで追いつくかと思ったら、ポルジンギスとカンターのディフェンスから崩されます。どうしてもスクリーンとポップを繰り返すジャマイカル・グリーンの動きについていけないポルジンギス。度々フリーにしてしまいます。まぁ空けてもシュートは決まらない計算もありますが、ドフリーなので3Pを決められます。
そしてガソルのポストムーブに対してポジションの取り方が怪しいカンターがファールしてしまいます。なお、カンターが怪しいのは通常営業ですが、ポストアップする相手が少ない事情が助けてくれています。
追いつけそうで追いつけない中でカンターがオフェンスリバウンドからゴール下をねじ込んだ際にガソルが足を痛めてロッカーへ。



オフェンスが停滞気味になったニックスはグリズリーズのメンバーをみて考え方を変えます。カンター→ビーズリー。
この狙いはオフェンスでシュートの強化と、ガソルを守らなくて良くなった利点を活かしスピードアップです。ポルジンギスをセンターのディフェンスに回してローテーションの穴をなくします。
この辺の采配が上手くなったホーナセックHC。カーメロがいなくなった恩恵かな。
頻繁にターンオーバーするようになるグリズリーズ。コートニー・リーのスティールから速攻も出てこの采配は成功します。
ガソルを失ったグリズリーズに見事につけ込んだニックスでした。



最大12点差まで広げたグリズリーズでしたが、前半ラストに決まったリーの3Pによって同点に追いつかれました。
◯前半のポルジンギス
6点 FG3/11
◯前半のグリズリーズ
3P 7/12
エースが決められず、グリズリーズに高確率で3Pを決められた事を考えれば同点は良い結果と言えるニックス。
采配で追いつくという時点でニックスファンからしたら信じられない今季かもしれません。
◯前半のガソル
9点 FG3/5
試合開始直後はカンター相手に決めまくったガソルがオクイン相手にして失速すると同時にチームも沈黙していきました。意外とこの普通のバスケの方がガソル次第だったりします。他にはエバンスくらいしか自力で崩せないので。
なお、エバンスは次回の企画で登場します。
フィッツデイルの極端なスペーシングはそれぞれが個人勝負する目的もありました。しかし今は全員にシュートへの積極性はあるものの、勝負するスペースは与えられません。だからガソルが崩せないと厳しくなります。
攻めたいポイントに大きなスペースを与える事は出来ても、バランスアタックにはならないのが今のグリズリーズ。
この辺りは考え方次第なので難しい所です。



ハードワーク&トランジション
後半はポルジンギスのロング3P、リーの速攻でニックスが先行します。ニックスの修正点は決まらなかったポルジンギスに頼りすぎていたので、ポルジンギスを囮に使うこと。
するとポルジンギスに3Pが生まれるのだから皮肉なものです。
グリズリーズは戻ってきたガソルですが、足が痛むのかカンターとインサイド勝負出来なくなってきて、この試合初めて3Pを打ち外れます。さらにトップでボールを回すようになり、そこのカウンターでアーリーオフェンスからリーの3Pで12点まで広がる点差。
これが正にガソルの不調で生じていた嫌な流れ。ガソルがトップでミスするとトランジションを守れないグリズリーズ。
その後もジャックの見事なドライブ&キックアウトからリーの3P、カンターのポストアタックのミスをランス・トーマスのオフェンスリバウンド。
ハードワーク&トランジションでラッシュをかけたニックスでした。



困るとフィッツデイル
完全にトラブルのグリズリーズ。このまま離れて行くかと思ったら、ベンチから出てきたハリソンの活躍でアッサリと盛り返します。
これは何なのか、よく見ているとガソルが外に出始めたので、ちょくちょく現れるフィッツデイルスタイルのフォーメーション。インサイドが空くので1人を突破出来ればシュートチャンスが生まれます。
メンバーを変える事でニックスのハードワークにも対抗していきます。そこを封じられるとなんだかよく分からなくなって行くニックス。
17点までリードを広げたけど、3Q終了時には9点まで縮められました。点数だけみればグリズリーズのシュートが決まらなかっただけの3Qでした。



賢くやるニックス
グリズリーズは得点をなんとかしなければいけないのですが、手段に乏しくなります。良く言えばフィッツデイルスタイル、悪く言えば足が止まっているオフェンス。ボールが動かなくて積極的に打たないならば後者です。
こんな時にコンリーがいないのが痛い。なんとかガソルが3Pを決めます。
残り7分切ってスターターに戻ると再びディフェンスでつききれなくなるニックス。グリズリーズは3Pを打てるようになり得点が繋がりました。単発のシュートなのですが、それなりにフリーで打てています。
ニックスは変わらずポルジンギスが止められるので、どうも歯切れの悪いオフェンスに。こうなるとリードを保って時間を消費しきれるかになってきます。
前半は采配が冴えていたホーナセックですが後半は普通に交代させているだけに。ガソルに対して攻守で劣るカンターと、ディフェンスは止められるオクインなので、ガソルが出ていない時にカンターにしていれば、もう少し楽に得点できた気がします。そしてオクインならばグリズリーズの3Pも減ったはず。



時間を使うニックスがショットクロックなくなったところで3Pを打つとロングリバウンドが再びニックスに。
時間を消費されるので仕方なくダブルチームを仕掛けると冷静にフリーに振ったジャック。
前から当たってグリズリーズのオフェンスにも時間を使わせるランス・トーマス。
しっかりとリードを守ったニックスでした。



ポルジンギスが活躍しなかったニックス
◯ポルジンギス
18点 8/19
それなりに活躍したようで、最後にフリーになって5点とっただけで全くダメだったポルジンギス。しかしフリーの3Pは決めたのでシュートが不調というよりもグリズリーズのディフェンスが良かったです。
そんなポルジンギスが活躍しなくてもちゃんと勝てるニックス。
途中でビーズリーとリーが言い合う場面がありましたが、ビーズリーなんて自由人が言い合うのはチームでやる事を確認しているわけで良い傾向なのでしょう。
◯3P
ニックス 9/14
グリズリーズ 12/28
高確率すぎるニックスですが、打たなすぎでもあります。この辺の思い切りがハーダウェイ不足でした。またセカンドユニットはマグダーモッドがフリーになってもボールが届かない事が。
ニリキナはキックアウトが課題です。
◯ビーズリー
14点 FG5/7
そんなセカンドユニットで活躍したのがオフェンスのビーズリーとディフェンスのオクイン。オクインのガソルへの対応が最も大きかった気がします。



ガソルが活躍出来なかったグリズリーズ
グリズリーズは非常に難しくて良かったようで、勝つにはやっぱり振り切ったシステムをとらないと苦しいかなという印象です。オクインに止められてしまうガソルなので、そこに頼ったチーム作りは間違っているといえます。
結局、フィッツデイルがガソルシステムを作った理由は、3Pを積極的に打たせてディフェンスを広げると共にビッグマンに守らせる事を困難にし、スクリーンを使って相手にスイッチさせる事でガソルのマッチアップを楽にしてポストアップさせる事にありました。
真っ当なマッチアップでポストアップを決めるのはガソルじゃなくても難しいのは、この試合でポルジンギスが証明していたわけですし。
まぁHCは両面を使いながらバランスを求めて行くでしょう。相変わらずパーソンズはチームが良い時間しか活躍しなかった。



ピストンズの3Pが決まらなくなってきています。ピンチ!

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