20171206 ラプターズ vs サンズ

ラプターズは新スタイルと旧スタイルが混じり合いながら進んでいった結果、見事に強豪チームに復権しています。
◯直近10試合のレーティング
オフェンス 113.8(5位)
ディフェンス 102.5(7位)
なんと+11.7と素晴らしい数字に。

開幕当初は減らしていたラウリーの得点が20平均になり、ラウリー&デローザンがFG50%を残しています。
同じくシアカム、OGアヌノビー、そしてパウエルが50%近いFG%なのでエース2人にマークを集中させないバランスアタックが出来てきました。

◯アシスト
ラウリー 7.5
デローザン 5.3
ヴァンフリート 4.2

それを象徴する2人のアシスト数。
中心選手は変わらないけど、フィニッシュは多彩になり、止めるのが難しくなり始めたラプターズオフェンスです。



サンズのこの10試合は4勝6敗。最下位候補だったのだから悪くない成績です。そして直近でブッカーは46点の大暴れ。
SGやったりPGやったりと大忙しのブッカー。
◯直近10試合のブッカー
26.8点 3P40.9%
好調を維持していますが、ディフェンス力が低く、それはチームも同じで困っています。打ち合うしかないのかサンズ!



ルーキーのOGアヌノビー
サンズは当然のようにブッカーが行きますが、問題はブッカーが行くと誰もセーフティに戻らない事。
驚くほどに簡単に速攻が出るラプターズ。ボールを奪った瞬間にボールラインより後ろに3人もいるのに、誰1人戻らずワンパス速攻されるサンズです。しかも走ったのはイバカだから戻らない方が悪い。
ラプターズはOGアヌノビーがスターターになり改善した部分が大きく、その1つがコーナーからの3P。中に行くのが好きなパウエルと違いキックアウトのターゲットになってディフェンスを広げてくれます。そんな3Pが2本決まりリードします。
イバカがシューター化していた問題は解決しそうです。
逆にシューター不足なのはサンズのスターター。ブッカーしか打てないけど、ブッカーはハンドラーだし。なのでベンダーが出てきた方がバランス良くなります。



ラプターズはディフェンスも良いチームですが、その中でもラウリーはリーグで最もオフェンスチャージをとる選手です。
サンズで唯一有利なマッチアップだったウォーレンからチャージを引き出したので、一気にラプターズペースに。
ベンチから出てきたCJマイルズの3P、ポエルトの合わせ、パウエルのドライブとそれぞれの持ち味を出してリードを広げます。
パウエルは開幕当初酷かったけど、少し落ち着いてきました。ラプターズは契約更新を急ぎすぎたな。
サンズはもうトラブル状態ですが、ある程度ジョシュ・ジャクソンにやらせていたので、それは負けてもやらなければいけない部分です。成長してくれないと何も繋がりません。



両チームが成長させたい部分
ブッカー、ダニエルズ、ジャクソン、ベンダー、レン
こんなユニットで2Qをスタートするサンズ。ブッカーPGが機能的なのはブッカーを活かせないPG陣にもありますが、単純にアウトサイド不足のスターターユニットにもあります。
このユニットだと役割がわかりやすくなります。インサイドのレンとシューターのダニエルズにストレッチ4のベンダー。そこにブッカーとジャクソンが崩して行く役割です。スペーシング出来るサンズ。
しかし、残念ながらブッカーとジャクソンがそこまで個の力では抜けません。そんなわけで成長待ち。可能性は十分にあります。



ラプターズは余裕もありセカンドユニットが長くなります。今季の良さはヴァンフリートの台頭でラウリー&デローザンがいなくても組み立てに困らなくなりました。
デローザンが休みの時間にラウリーがスコアラーに徹します。でもラウリーに頼らず周囲を使って行くヴァンフリート。
ラウリーが得点を伸ばし始めた事とヴァンフリートへの信頼はセットだと思います。必ずディフェンスを収縮させてからパッシングしてシュートに結びつけるようになったラプターズ。サンズディフェンスの怪しさもあってムリのないシュートばかりになります。



サンズはレンが目立ち始めます。
ボールマンへのプレッシャーは上手いラプターズですが、インサイドに穴が出来るシーンが割とあります。そこに飛び込めるレン。
その流れはレンがベンチに下がってもダドリーやウォーレンが引き継ぎます。前半の終わりに一気に得点差を縮めるサンズ。
ラプターズはヘルプに飛んでくるイバカのブロック以外は止める術がない感じ。リムプロテクトは強くないディフェンスです。
オフェンスでもアヌノビーではなくパウエルだからか、イバカがシューターになり始めます。それなりに決めたから良いけど、また少し良くわからない状態に。完璧に整理出来たわけではないようです。



キックアウトの出口
後半もアヌノビーの3Pが決まります。繰り返されるキックアウトの出口は偶然ではありません。ドライブのラプターズが手にした武器は賢いポジショニングのアヌノビー。
少しずつ試合が荒れ始めます。ウォーレンが2つ目のテクニカルで退場。さらにクリスもテクニカル。
若いで済ませて良いのかも微妙なテクニカル。なんせウォーレンなんかファールコールされているのにテクニカル。
サンズの噛み合っていない雰囲気はプレーよりも性格面かもしれません。落ち着いた感じの選手達と感情出し過ぎの勝ち気過ぎる選手達。
テクニカルで人がいなくなったので、再び良かった組み合わせのユニットになると追い上げ始めます。やはり違いはパスコースの作り方で外のダニエルズと中のレンに合わせます。お互いに前半と同じ。
ブッカーがコーナーからの逆サイドのコーナーにスイングパスをダニエルズに通せば、ジャクソンがアンクルブレイクしてドライブからレンに合わせます。そこにあるのは役割のわかりやすさとポジショニング。特にダニエルズは凄い。
盛り返したサンズでしたが、テクニカル分のフリースローとQ最後にマイルズが3Pと速攻を決めてラプターズにリードを戻しました。



新生ラプターズのゲームフィニッシュ
しかし、そんな流れはメンバーが変わっても失われずスムーズではないけどボールが繋がるのでサンズは少しずつ得点差を詰めます。
ラプターズは少し気を抜きすぎました。オフェンスに躍動感がない。そんなわけで再びラウリー&デローザンのプレーメイクに戻します。
昨季まではこんな時にエース2人が得点できるかのラプターズで、そこにはリーグトップクラスの選手には劣る2人がいました。それはレブロンがいるキャブスとの大きな差でした。
しかし、2人のプレーメイクからフィニッシュするのは様々な選手に変わっているのが今季のラプターズ。キックアウトからヴァンフリート。そしてデローザンに合わせるラウリーと非常に効率的なシュートに繋げていきます。
そしてスモールラインナップはラウリー、デローザン、ヴァンフリート、アヌノビー、イバカと更に小さくしています。攻め勝つ気マンマンですが、ボールマンへのプレッシャーを優先している構図です。
残り4分でサンズもセンターを外して対抗形に。ジャレット・ダドリーの万能性も興味深く、ジャクソンが合わせに動くというのも面白いのですが、ブッカーがアクシデントで動けなくなりロッカーに引き揚げたので抵抗は難しくなりました。
なお、終盤のラプターズはアヌノビー、イバカ、ヴァンフリートが得点していきました。点差があったとはいえ、その積極性はこれまでと違うかな。



サンズの疑問
やはり攻め勝つしかなかったサンズ。ディフェンスはなにも特徴がないのはオフェンス整理優先なのでしょう。特にPG2人が小さいので融通も効きません。
その点ではウォーレンとクリスに頼りたくなる面は理解できます。身体の強さが違う2人。
一方でオフェンスはブッカー+ベンチメンバーが良かったのも悩ましい。おそらくHCはこっちを使いたいのではないかと思います。それぞれの良さを組み合わせるオフェンス。
勿体ないのはアレックス・レン。何故、モンローとチャンドラーが優先されるのか?
それはおそらくトレードのため。ウォーレンとクリスのどちらかも含まれるかもしれません。ウォーレン&クリスでスモールラインナップのインサイドが出来るならば有用なのですがフォワードコンビとしては相性悪いです。
だからサンズは色々な縛りがある中で戦っている気がします。
HC交代後は改善が進むサンズですが、少し改革は停滞気味。それでも前には進んでいるし、この試合の展開でも簡単に引き下がるようなチームではなくなりました。
そしてやはりブッカーの相棒が欲しい。スタッツ稼ぎのマイク・ジェームスは不愉快。



強さがあるラプターズ
ラプターズはやはりOGアヌノビーの気の利いたポジショニングが光りました。ラプターズに足りなかった要素。
シーズン当初から若い力を活用していたラプターズですが、このタイプはいませんでした。昨季まではキャロルやタッカーがいましたが、コーナーでプレー出来る選手は必要不可欠です。
それにしてもルーキーがやる役割ではないケースが多いのに素晴らしい適応力。ヤンチャな感じのジョシュ・ジャクソンとは大きな違いがあります。どちらも楽しみですが、チームの違いでもあるので3年後にどちらが得をしているのか?
ラウリー&デローザンのプレーが整理されたので強さを感じるラプターズ。問題は終盤のユニットが本当にこれで良いのか、という事。さすがに高さ不足すぎる気がします。
前に接戦の展開でみたのはセルティックスで小さかったので問題ありませんでしたが、もう少し大きなチームだとどうなのか?
カギを握るのはパウエル。ヴァンフリート→パウエルなら少しはリバウンドがマシになりそうです。アヌノビーに負けている現状で自分のプレーを見つけられるのか?



お互いにキックアウトの出口がキーポイントになっている両チームでした。整備されているラプターズと、整備しようにも選手が足りないサンズという感じでもありました。

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