2018/10/03 プレシーズン グリズリーズvsロケッツ

渡邊雄太は肩のケガでお休みです。代表戦でケガしたとか苦しいな。

 

◉カーメロを改造する

さて、最も注目すべきはカーメロ・アンソニーのロケッツデビューです。その内容は非常によいものに映ったかと思いますが、理由をいくつか考えてみましょう。

・身体がシェイプされていた

初めに感じたのはこれ。昨シーズンはニックスでプレーする気持ちのなかったカーメロは、サンダーに合流した当初から身体が重すぎでした。プレーオフに進みジャズにカモにされるなど、厳しい戦いを経験できたからこそ新たなシーズンに臨む準備が大きく違っているのだと思われます。

 

ここからが本題。23分のプレータイムでFG8本とサンダー時代よりも少ないくらいです。つまりは案外ボールは回ってきてないよ。しかし、そのうち6本が3Pで3つを決めて13点と活躍しました。ロケッツにフィットしたと感じたファンも多いでしょうが、この点についてはサンダー時代にガマンを覚え、チームの1選手に過ぎない役割をこなそうとしていた経験が活きています。

その一方でサンダー時代ではあり得なかったプレーが混ざります。

クリス・ポールから届いたパスは決して打ちやすいものではありませんでしたが、カーメロはワンドリブルでかわして3Pを打ちます。サンダー時代では殆どあり得なかった、ワンドリブルからの3Pです。

・ロング2P禁止

以前の記事でも触れたようにダントーニが修正してくると思われたポイントがいきなり出てきたのですが、それは後半のワンプレーで実証されました。

ついついこれまで通りのプレーをしたカーメロはベンチにいるダントーニに対して「MyBad」と声をかけています。要するにやってはいけないプレーをした自分のミスであると。

「ロング2Pはダメ」というわかりやすいルールですが、ダントーニの凄いところは簡単なルールを守るだけでチームオフェンスとして機能させていく点です。カーメロのチームへの馴染み方は非常に良く出来ていて、とてもプレシーズン1試合目とは思えません。

とはいえ、実はやっていることはサンダー時代と大して変わらない。選手に共通ルールを理解させ、それを守ることでチーム力に換算できている姿はHCの優秀さがもたらしています。まぁPGが優秀じゃないと機能しないわけですが。

 

そんなわけでカーメロを改造する計画は、第一段階が完了している様子。非常に簡単な要素で成り立つけれど、それを出来なかったサンダーのビリー・ドノバンが続投しているというのは、結構怖い話。

サンダーでカーメロが出来なかったがハードワーク。オフェンスの一つひとつはそんなに問題ではないけど、プレーとプレーの間が悪かった。そしてディフェンス問題が大きかった。

・スイッチディフェンス

この守り方もルールはシンプルなので割と対応出来ていましたが、問題は一杯残ります。ちなみにカーメロ以外も問題ありなので、別に個人のディフェンス力ではないのであしからず。スイッチ自体はシンプルですが、瞬間に発生するギャップを見事にコンリーに活用されました。なお、コンリーくらいしか活用できないグリズリーズも問題。

またカーメロをスピードで振り切るプレーをする選手もいないというグリズリーズ問題。まぁプレシーズンだからシステム優先の一面はありました。要するにディフェンス面は未知数なカーメロ。

 

とりあえず気持ちよさそうにプレーしていましたが、ハードワークを求められるサンダーのディフェンスに比べると、ロケッツのスイッチ連続はハーデンのような選手が混ざることを前提にしているので、ちょっとサボりやすくてオフェンス面で良い影響があるのかも。プレーオフでは守りまくったアリーザが疲れちゃったし。

では、カーメロが素晴らしいかというと30Mの価値はないよね。ミニマムは安すぎるけど。

そして「この役割がカーメロである意味」は何一つありませんでした。カーメロだからこそ決めたシュートや、カーメロだからこそ出来たプレーというものはないので、チームにフィットはしていたけどロケッツとしての+アルファが足されたかというと、そんなことはないかな。3P50%決まった試合だったので非常に出来が良かったのですが、ワイドオープンならサンダーでも40%超えていたよ。

アリーザを超える価値を示すにはシーズン通して決め続けるしかありません。もしくは他の要素が混ざるのかどうか。

 

◉その他のロケッツ新戦力

スターターに名前を連ねたエニスもカーメロと同じような感じでした。サンダーで慣れたカーメロよりは対応が悪い一面もありましたが、概ね順調な滑り出し。

マーキース・クリスはビッグマン起用でした。完全なるカペラの代役にして劣化バージョンであり、スクリーンやダイブのタイミングに苦しんでいました。ウイングよりも難しいビッグマンというロケッツらしさ。それでも後半になるにつれ、よいプレーが増えてきたのでした。

しかし、まぁカペラが益々異質になってきました。スイッチしまくるロケッツのディフェンスは、大したスクリーンではなくても、オフボールですら簡単にスイッチします。そうなると頻繁にガード相手のディフェンスになるけれど、カペラはハーデンよりもペリメーターディフェンスが出来るくらいなので、何の問題もありません。

おそらく劣化版といってもクリスを代役にしたいのは、カペラに近い役割が出来そうだから。ネネイは全く違うタイプの良さがあるのですが、vsウォーリアーズで考えると層の厚さが欲しいよ。

 

そんな新戦力達の中で、価値を示したのはマイケル・カーター・ウイリアムス。

3Pがないビッグガードはどうなのかと思っていたら、むしろゆっくりとしたロケッツの中でドライブを混ぜ込めるので機能していました。また速攻への参加やオフェンスリバウンドへの飛び込みなど、見えない貢献度があり、ある意味カーメロの真逆を行きました。

そしてガードながら高さがあるのでスイッチディフェンスへの対応力もあり、予想したよりも好印象です。そしてどうもハンドラーではなくウイングの1人が基本ラインらしい。ウイングをしながら、ケガ人が出たらハンドラーも任せられるのであれば、非常に良い補強になりそうです。

MCWはアリーザの代役が最もイメージが近い気がしました。

 

◉グリズリーズの115点

ハイスコアになったこの試合は火力で上回るロケッツが3P21/46で大勝しました。その一方であのグリズリーズが115点も奪っており、期待を抱きたくなります。

ところが内容的には3Pは9本のみ、26点がフリースローと何だか難しい。ロケッツもそうですが、ルール改正なのかスクリーン関連のファールコールが攻守に厳しくて、試合は単なるフリースロー合戦になりました。この試合に限らず同じ傾向なので、このルールはかなりヤバいです。

コンリーがスクリーナーのクリスに引っかかって倒れたシーンでは、コンリー側のファールがコールされました。理由は倒れるときに手が引っかかった(ユニフォームを掴んだ)ということらしく、これでファールコールされるとなると、スクリーンに対して守れなくなります。

 

そんなわけで、グリズリーズのオフェンスは何だか良く分からないけど115点まで辿り着いたのでした。

スターターの時間はボールムーブしてからコンリーが仕掛ける形ばかりに。ただ、相変わらず抜群に上手いコンリーがロケッツのスイッチを逆手にとるプレーを連発します。時にはスピードでエニスを振り切ったりと、久しぶりのコンリーを堪能できました。同時にミスマッチが頻出するので、そこを活用していくことでインサイドの得点を伸ばしていき、ペイント内で58点をとっています。

コンリー不在だった昨シーズンは、ひとりでプレーメイクして3P決めてくるエバンスによってアウトサイドを助けられながらもペイント内が24位だったグリズリーズですが、もう少しインサイドを攻めたい模様。ロケッツが促したとも言える内容なので要観察

 

プレシーズンでシステム重視なのかボールムーブをしてから仕掛けるグリズリーズは、前述の通りミスマッチは使うもののカーメロをスピードで狙い撃つようなプレーは殆どなく、個人の打開力に欠けていました。こちらは本番でどうしてくるのかというくらい。

しかしベンチメンバーになると一変します。ボールムーブは読まれてスティールの餌食になれば、個人で仕掛けても打開出来ないし、連携も出来ない。本当に115点になったのが信じられないくらい。

気になるのは渡邊雄太が試合に出てきたときに、一体何をアピール出来るのか、ということ。サマーリーグのネッツでは非常にわかりやすいアピールが出来たわけですが、あんな風にコーナーから打つことは難しそうだし、全員が迷いながらプレーしていたようなセカンドユニットでした。だれもアピール出来なかったよ。

そんな中でも6本のFG全てを沈めて15点奪ったのはドラフト4位のジェイレン・ジャクソンjr

意外と落ち着いたプレーをみせてゴール下で慌てず騒がず、しっかりと決めました。まぁロケッツはあまり襲いかかってこないし。ただし、6つのファールで退場しています。

 

NBAのコールに苦しんだわけですが、カペラじゃないけどペリメーターまで守りに行けるディフェンス力は磨けば光る気がします。ブルズのヴェンデル・カーターといい、突然増えてくるタイプのセンター達。相手がハーデンとクリス・ポールと言うことで一蹴されましたが、最後までしっかりと手を伸ばしており、あと10センチ近づいて守れれば化けるかもしれません。

ただ、ドラフト4位だけどチームにはガソル弟がいてスターターではないのです。ガソルのプレーぶりは微妙すぎたこともあり、グリズリーズは常にいろいろな選択肢を頭に入れながらシーズンを過ごす必要があります。

 

スパーズからやってきたカイル・アンダーソンは苦労した代表格。ヌルヌル抜けていく感じと、堅実なシュートチョイスでFG5/6を記録し、ディフェンス面でもプレッシャーで追い込むなど個人プレーとしては、これまで通りでした。ただ、単純なパスひとつとってもドコに出せば良いのか分からない状態で、基本的な動きすら未確認みたいな雰囲気で3つのターンオーバーをしています。うち、2つが24秒。

 

そんなわけでグリズリーズの115点は参考程度に考えていた方が良いです。こちらもロケッツのディフェンスとの相性で得点がとれたに過ぎないです。とはいえ、秀逸すぎるコンリーのゲームメイクに新加入2人がしっかりとシュートを決めてくれる点はポジティブ。開幕までに連携が深まることに期待しましょう。

渡邊雄太にもチャンスはありそうだけど、そのチャンスを活かせる気がしないというチーム状態でしたが、次戦はどうなるのか?

 

2018/10/03 プレシーズン グリズリーズvsロケッツ” への10件のフィードバック

  1. カーメロはアリーザ、タッカーバーアムーてなど他の3&dの選手と比べるとリリースが速く、その分スリーをディフェンダーとのスペースがあまりなくても打てるので、その点ではアリーザよりも優れていると言えるのではないでしょうか?

    1. アリーザ よりもシュートタッチは優れてますよ。

      アリーザ は戦術遂行能力が高く、相手の嫌がる事が出来る臨機応変な判断力も備えていました。何よりディフェンダーです。

      カーメロも当然いろいろ出来るわけですが、今のところはキャッチ&シュートだけしかしていないので、シュート以外に何をもたらすのかですね。

  2. サイドステップ3は適応を見せてくれました。シュートは上手いからC&3徹底で打ち勝つ力はあります。カーメロだからこそのプレーがロケッツでどう表現されるかは…。『困ったときにカーメロ』は短絡的ですか。デュラントの様に捌ければいいですね。+αどんなイメージですか。

    1. 困った時にカーメロは良いのですが、それってどこから仕掛けるの?というシステム都合があります。
      だからどう組み込むのかに注目していたのですが、とりあえずは単なる普通のウイングでした。

  3. ジョジョがやろうとして上手くフィットしないままでしたが、メロのポストプレイをオプションに出来ないですか?
    やっぱりHOUのペース&スペースだと合わないですかね?

    1. ハイポストからのアタックはネネイみたいな役割で組み込める気がしますし、スクリナーにしてライアン的な動きをさせることも出来るはずです。
      でも、それは次戦以降に持ち越しでした。カーメロがポストアップで成功するかは意外と未知数です。

      1. あくまで個人的な感想ですが、メロの強みの1つはロー、ミドルでのポストプレイだと思ってます。ディフェンスが密集していても一歩目の速さでゴール下までねじ込んでくるみたいな。今はもうDEN時代のスピードではないですが。
        タッカーをセンターに使うストレッチ5のような時間なら活かせるかもしれないですけど、ダントーニはそこまで冒険しないでしょうね。

        1. 昨シーズンのカーメロはポストからのパターンがイマイチでした。ミスマッチを使う前提のため逆なスピードで負けていましたし。

          ジャブステップが効果を発動する使い方ならハイポストかなーと

  4. クリスがビッグマンで使われるのは予想の範囲内でしたが、カボクロまでがビッグマンとして起用されているのは予想外でした。しかも結構守れてたし。
    クリスは時々DF意識が低い(外へのチェックが遅いなど)と感じるところがあったのですが、それはあくまでシステムに慣れてないだけなのでしょうか?

    あとガベージタイムの選手までもが守れていたのは驚きでした。誰解雇するんだろうな……

    1. まぁロケッツが良かったのか、グリズリーズが悪かったのか。

      クリスが集中力を欠くのは平常運転。むしろクリスとしてはシステムに対応する意欲があったくらいです。能力は高いけどパーフェクトを求めてはいけない選手なので。

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