20171125 ナゲッツ vsグリズリーズ

構成が似ている両チーム。ポイントセンターのガソルとヨキッチ。しかし、もう1人のプレーメイカーであるコンリーを欠くグリズリーズと、同じくミルサップを欠くナゲッツ。
影響が大きいのはコンリーがいないグリズリーズというだけでなく、ナゲッツにはマレーとゲーリー・ハウスがいるのでガードで力負けしそうです。それをベンチを含めたやりくりでどうにかするのがフィッツデイルHCの仕事。
スターターはナゲッツ、ベンチはグリズリーズのはず。





ガソルvsヨキッチ
お互いの戦術を理解しているからか、ガソルとヨキッチがそれぞれ打っていきます。この理解しているというのは、起点である選手にやらせておいた方が、全員でアタックされるよりもリスクが低いというディフェンス側の考え方です。
ボールが回って全員アタックされる方が嫌。
6分が経過した時点で全員がシュートを打ったナゲッツとガソルが半分近く打つグリズリーズなのでナゲッツがリードします。
珍しくハウスがミスしていますが、ゴール下にいるファリードがボールを回収するのでミルサップよりも機能しています。
最近の試合では良い時と悪い時がハッキリしていたナゲッツですが、こういう選手がいた方が安定しそうです。良い時のナゲッツではないけど、ミスを回収してくれるので悪くもならないという1Qは珍しい。



グリズリーズはガソルと逆の動きをするジャマイカル・グリーンが使われて上手くいき始めます。ワイドにボールが回るのでバランスも良くなります。
しかしそんなグリーンがベンチに戻り、ガソルも交代すると全く機能しなくなるグリズリーズ。コンリー不在でベンチ層が薄い感じが出ています。
インサイドのポスト役が足りないのかな?
マクレモアは戻って来たものの毎年恒例で欠場の多いグリズリーズ。コンリー、エニス、ライトがいないのかな。コンリー以外はどうでも良いように思えますが、中堅どころの層の厚さで勝っていたので、人数が少ないとパターンが減って苦しくなっているグリズリーズ。
ヨキッチが下がったナゲッツですが、マレーとハウスがいるので、爆発はしないけど組み立てることは出来ています。ムディエイも出て来て核がある感じがグリズリーズと違います。
ナゲッツが9点リードして2Qへ。



悩みが深刻そうなグリズリーズ
ウォーリアーズやロケッツを倒し、開幕ダッシュしたものの今は6連敗中のグリズリーズ。コンリー不在が大きいのだと思いましたが、どうもそれだけではなさそうな雰囲気です。
『センターと戦術』で書いたように独特なガソルシステムですが、データ的には機能していません。
システム的には有効そうなのですが、まずガソルがローポストアタックを決められず、さらにトップに移動した時に周囲がインサイドスペースを使うのですが、そこで堅実に決めたのはグリーンだけです。外しまくるゴール下。
全員アタックのグリズリーズですが、システムとしてコンリーとガソルがオフボールでギャップを作っているだけで、最後は個人技アタックがメインです。それをベンチも含めた多人数で行うのでプレーを読み難い形を作ります。
そんなシステム自体は割と機能していますが、結局は個人技が決まりません。足りないのはスコアラーとしてのコンリー。
グリーンやベンチから出てきたエバンスが決めていることからも内容は悪くないはずです。もう少し強引でも良いから思い切り良く行かないと打開するのが難しそう。
悩み所がシステム云々よりも個人が決められない事なので、若さもないグリズリーズには頭の痛い話です。そしてガソルがケガでドライブ出来ないのは本当らしく、3Pさえ打たれなければ問題なく止められるみたい。



ナゲッツはベンチメンバーでも得点が繋がります。固定メンバーばかりになっていたイメージでしたが、ミルサップ不在で辞めたのか。
そんなベンチメンバーからバートンが何度も走り、ムディエイやライルズが外から決めたのでベンチメンバーでも調子良いナゲッツがリードを広げて前半が終わります。



ミルサップのいないナゲッツ
◯前半のナゲッツ
得点 61
FG 67%
3P 50%
FT 39%
グリズリーズのディフェンスが酷いかというと、そうでもありません。足が動かないのはいつも通り。プレッシャーをかけてもボールを捌かれるだけで、オフボールで簡単に引き裂かれていきます。
では、美しいボールムーブをナゲッツが見せているかというと、それも違います。ヨキッチを軸にして、マレーとハウスが簡単なパス交換やピックを繰り返してシュートチャンスを生み出していきます。
開幕当初のレポートで「ミルサップが合っていない」とし、
勝ち始めた時に「ミルサップはやはり合っていないけど、フロアバランスの取り方を改良し、システムとして改善させた」としました。
この前半の姿は開幕当初に戻っています。そこにミルサップがいないだけ。



フロアバランスをとり、ヨキッチとミルサップが自由に動き回って起点となるオフェンスは美しいボールムーブを生み出し、好調時のナゲッツはリーグ最高のオフェンスチームに見えてきます。
しかし、そのボールムーブはシュートが決まらないだけで崩壊し、一箇所をディフェンスに破壊されるだけで崩壊し、頻繁にダメなナゲッツが顔を出しました。
この試合ではミルサップがいなくなったのでボールムーブはしなくても少人数での崩しから展開されるオフェンスとなり、安定感が増しました。
それはリーグ最高のオフェンスとは言い難いですが、昨季のレーティング110を思い出させる内容です。



グリズリーズの改善とナゲッツの過信
ハーフタイムでオフェンスを改善させてきたグリズリーズ。エンドラインの逆サイドカットでの合わせを増やします。前半の個人技アタックが決まらないと書きましたが、そこに合わせを増やそうとしたっぽいです。
しかし、そんなカットをフィニッシュ出来るのは結局はジャマイカル・グリーンだけ。ダンクすら決められないのは厳しくないか。
しかし、前半と違うのはインサイドへカットする選手が増えたので、アウトサイドのフリーが増えます。グリズリーズが5アウトなのは変わらないし、ガソルが中外なのも同じなのに広くなっています。
ポジショニング重視で動かない時間が長いグリズリーズオフェンスなので、効果的なカットプレーが出るだけでボールの展開が大きく変わります。普段はコンリーが動いて経由していくのですが、いない分の努力をカットで補いました。
ガソル本人も決定力を欠いていたのを認識したのか、自分で勝負するよりもポイントセンターに徹します。フリーでキャッチ&シュートは打ちますが、ポストの崩しはシュートではなくアシストへ繋ぎます。
ポイントセンターとしてはアシストが少ないと評したガソル。この試合ではフィニッシャーとしても物足りないのでアシストに徹すると、3Qの時点でキャリアハイとなる12アシスト。
個人技アタックから合わせを加えてきたグリズリーズ。なんで初めから合わせないのかは良くわかりませんが、この修正は見事でした。



ナゲッツの3Qは得点が止まりました。しかし、内容はなんとも言えない。トラベリングやオフェンスファールで流れを切られた感じです。じゃあトラベリングしてないかと言うとしてますが。
イメージとしては前半に好調過ぎて調子に乗った感じです。中をやられ過ぎたと考えたグリズリーズが意識を高めたのに、思い切りが悪くなり、中で潰される場面が増えます。
ファールっぽいグリズリーズのディフェンスも多かったですが、敵も味方も多くいるインサイドに無謀に飛び込み過ぎた感じです。
苦しくなってから外で打っても外れます。
グリズリーズが2点差まで詰めて4Qへ。



ヨキッチとハウス
4Q立ち上がりはガソル不在のうちに働くヨキッチ。ちょっと強引だけど何とかする意識がありそうです。ハウスがドライブからアシストし、更に走ったハウスにヨキッチからアシストが出ます。
マレーの1本を挟み、ヨキッチとハウスの3人だけがシュートを打っていくナゲッツ。再びリードを9点まで戻します。以前も触れた通り、結局はこの3人がナゲッツの中心です。そして目立たないウィルソン・チャンドラーとこぼれ球を回収するファリード。まあチャンドラーは出てませんが。
どうも5人でボールムーブしているよりも、分かりやすくて堅実で、それでいて効率的。3人にディフェンスが引きつけられて、ゴール下のファリードと、3Pのエルナンゴメスになります。
機能しているナゲッツ。再び点差を二桁に広げます。



3Pかゴール下か。
グリズリーズはどうも歯切れが悪いチャンドラー・パーソンズ。うーん、打てば良いのに自信ないのだろうか?
◯今季のチャンドラー・パーソンズ
20分 8.6点 FG3.2/6.1
3P48.1%
FG50%を超え貢献しているようなパーソンズですが、異様にセレクションを気にしています。打って決まれば個人以上にチームとしてディフェンスを広げて楽になりそうなのですが、ドライブを選択し、打てずにパスアウトします。
なお、グリズリーズ自体がそんな選手ばかり。FG50%オーバーが5人もいるのに責められないチームです。
おそらく狙いは3Pかゴール下。ガソルをリングから遠ざける事でドライブフィニッシュを狙うため、コンリー以外はミドルを制限されているのか?
それをやるには思い切りもスピードも足りないグリズリーズ。オフボールカットするのがグリーンだけなのは厳しいし、コンリーいないので誰もミドルを打たないし。
ファリードのブロックが飛び出すなど、ヘルプでゴール下を守れる選手がいると攻め手がなくなってきます。
4QはガソルはFG0に終わり、更にターンオーバー5つとシュートに辿り着く前に終わってしまいました。
FG7/14と確率が悪かったわけではないのに18点しかとれなかったのは、打てるはずのミドルを拒否した事からナゲッツが守りやすくなった事に由来します。
打ったけど決まらないのではなく、打つ勇気と戦略を欠いたグリズリーズでした。



コンリーがいたら!
ライトがいたら!
エニスがいたら!
それぞれの不在を感じさせました。コンリーは言うまでもないですが、ガソルを休ませる時のライトがいない、思い切りよく打つエニスがいない。
いやいや、そんな事でどうするんだ?
分業し過ぎじゃないか。
3Pかゴール下を徹底させる思い切りが良いのか、ケガ人の役割も含めて試合の中で調整して時にはギャンブルする思い切りがないのが悪いのか。
どっちなんだフィッデイル!
そんな試合でした。



ナゲッツらしいナゲッツ
ラストQをエース達の活躍で攻守に圧倒したナゲッツ。
ミルサップがもたらしたものはディフェンス力。グリズリーズのオフェンスが怪しい点を差し引いても、それはナゲッツに生きていました。1つひとつに軽いディフェンスをしないし、ヘルプがしっかりとしています。
そんなミルサップの良さを継続しながら、離脱した事でオフェンスの役割が整理された感じがあります。中心の3人は述べた通りですが試合を通して目立ったのはファリード、エルナンゴメス、バートンのサポートメンバー。
ファリードはゴール下の強さだけでなく、リバウンドから速攻に走ります。相手にガソルがいた事でトランジションが遅く、何度もヨキッチのロングパスからチャンスを得ていたナゲッツ。
同じことはバートンにも言えます。昨季は速攻で得点していましたが、今季は上手くハマっていなそうだったのが、リバウンドからのフリーランニングでギャップを生み出します。
そしてエルナンゴメスはルーズボールと3Pシューターとしてワイドにスペースを作りました。
この3人がミルサップ時はイマイチだったのは、よりオールラウンドな仕事を求められていたからな気がします。それはウィルソン・チャンドラーの仕事。活躍度が逆になったのは、5人で平等に攻めていたミルサップ時から、ヨキッチ・ハウス・マレー中心に変化したからと感じました。
この変化はチームに安定感と多様性をもたらせたので、非常にポジティブです。存在感がなくなっていたナゲッツのベンチ陣が復活するかもしれません。
ナゲッツの注目度が上がった試合となりました。

20171125 ナゲッツ vsグリズリーズ” への1件のフィードバック

  1. 初めまして。楽しく読ませていただきました。
    MEMはリバウンドで苦戦する試合が続いているのが気になります。守ってもDREB拾えないと致命的。
    今季リーグ屈指だったOppFG%や速攻にも当然影を落としています。
    遂に8年ぶりの7連敗だそうですが、まだまだ伸びそうな気配が…
    ガソルが足を痛めたと報じられた矢先ライトが離脱。
    エニスもおかしくなって実質フロントコートが足りていない印象です。
    かと思えばバックコートのFG%、3P%も酷い。
    コンリーもですが、スターターと目されていたセルデンの開幕前の負傷も痛手でしょう。
    そしてエバンスの右肩も。
    毎年こんなこと言われてるMEM。
    個人的にメディカルチームの見直しも検討すべきように感じる次第です。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA