昨シーズンで最も予想を外したのはウィザーズだった気がする。豪華なスターターを抱え、ベンチメンバーも奮闘するのにチームはあまり勝てない。さて、どうなるのか。
◉2位なんて予想できない
昨シーズンのウィザーズにはウォールという優れたPGがいて、そこにスコアリングエースのビールがいる。3番手に控えるのが超高確率のオット・ポーターjrだからエース達を止めに来れば、むしろ得点力が上がる。ストレッチもインサイドも出来るモリスも高いシュート力を発揮し、センターはベテランのゴータットだ。
ベンチには3&Dの若武者のウーブレイがいて、驚きの高確率ビッグマンとして活躍したマイク・スコットと同じく高確率のシュートを武器にウォール不在の穴を埋めたサトランスキーの2人も台頭してきた。
他の選手は酷かったが、中心となる8人が活躍しているのだから8位という順位は納得できない。シーズン前の予想は2位にしたくらい高評価していたのに、リードを奪っては追いつかれ、ビハインドを負っても追いついてしまい、結局は4Q勝負のチームになっていたウィザーズ。何よりも勝率5割以上のチームには23勝24敗だけど、5割以下のチームに対して20勝15敗といまいち勝てなかった。
この成績はウォールが41試合も欠場しての成績。「ウォール不在で43勝」というのは良い結果だが、中身を観るともっと勝てた気がするウィザーズ。
マイク・スコットを失ったのは大きな痛手だが、ウイングには同じく万能型のジェフ・グリーンを加え、インサイドにはドワイト・ハワードが加入することになった。他のプレーオフチームはセンターの枠が埋まっていたこともあり、不要だったハワードだけにラッキーだったウィザーズ。ちなみにフリーになるのがデローザン(パートル)のトレード後だったら、ラプターズに奪われていた可能性もあったよね。
いや、本当に豪華なんだよね。メンバーを考えればイーストトップに躍り出てもおかしくないけど、ラプターズのような高いチーム力と点差に関係なく激しくプレーするメンタルが足りないウィザーズ。個々のパフォーマンスは高いけど、昨シーズンでチームとしての信用を失った感じです。HC交代させなかったのが不思議なくらい。
◉意外と期待したくなるハワード
そんなチームで問題があったのはゴータット。プレーの面でも衰えがみられ、57%前後あったFGが52%に低下したことでウォールとのピック&ロールの脅威が減り、プレーの選択肢が減ってしまいました。リバウンドも平均3本近く減らし、スピードについていけないのでプレータイムも25分に。
何よりもロッカールームで揉める原因になっていたらしく、ちょっとめんどくさいベテラン選手に。ゴータットって昔も同じような発言していた気がするけど。
そこにやってきたのはドワイト・ハワード。高い身体能力を武器にリーグを席巻してきたセンターは、その身体能力に見合わないフットワークのなさとワンパターンなオフェンスですっかり信頼されなくなりました。問題がありそうなのは後者で、ゴータットの上手さはウォールを助けていましたが、ハワードには期待できません。細かなスクリーンでドライブコースを作ったり、ウォールの変態的なパスをキャッチするなどゴータットのポジショニングの上手さを持ち合わせていないハワード。
そんなハワードについて書いてみようと調べたところ、いくつもの予想外の数字が並び、それはウォールのプレーを効率的にしてくれる気がしてきました。
〇アリウープ数
ウィザーズ 56
ゴータット 9
ハワード 86
チームで56しかなかったアリウープですが、ハワードは1人で86も記録しています。個人アタックについては微妙ですが、ここにはウォールもビールもいるのだから、ゴール下のフィニッシャー専門になれば高確率でリングに押し込んでくれます。おそらく余計なことをしなければFG60%を超えてくるでしょう。余計なことをするんだけどね。
止められないスピードのウォールですが、これまでは「上のパス」という選択肢がない中でプレーしていました。これからはロブパスをあげておけばフィニッシュしてくれるハワードがいるのです。機能すると超怖い。
〇ディフェンスリバウンド
ゴータット 5.4
ハワード 9.6
〇ブロック
ゴータット 0.7
ハワード 1.6
チーム最多のゴータットで5.4しかなかったディフェンスリバウンドに、チーム2位で0.7しかなかったブロックはハワードにより大きく改善しそうです。そもそもウィザーズはディフェンスの良いチームなのだけど、ゴール下が非常に弱かった。ハワードはアウトサイドを守れませんが、それはゴータットと比べれば大した問題ではありません。イーストでこの弱点を突いてくるのはセルティックスとペイサーズくらいだし。ちなみにブロックでチーム1位はウォール。
優勝することを考えるとハワードでは不安ですが、ウィザーズがはじめに取り組むべき事は「確実に勝利すること」です。つまり弱い相手からの取りこぼしを減らしたい。その点で考えると、ディフェンスリバウンド、ブロックショット、ゴール下のFGがハワードによって改善しそうなので、勝率をぐっと引き上げてくれる可能性が高いです。
正直、プレーの側面だけで考えると否定的だったのですが、数字を観ていくと期待したくなってくるハワード。ウィザーズの問題点を強みに変えてくれそうな存在です。
加えてリバウンドの確保からウォールの速攻にも期待したくなります。昨シーズンはなりを潜めがちだった速すぎるウォールのボールプッシュ。ハワード自身も守→攻の切り替えは早くなり、走るようになりました。ここでも最後に押し込む役割を果たしてくれると大きな力になります。
もともとご機嫌になれば良いプレーをするハワードなので、周囲のチームメイトが高いレベルでプレーし、自分の特徴が発揮されるならば大きな力になるはずです。ハワードの弱点は確実に利用されるでしょうが、それを補うだけのプレーをすることが出来るかどうか。
◉ウイングの効率性
しかし、ウィザーズにとってセンターはチームの強みではありません。だからこそハワードが強みになれば嬉しいわけですが、それは相手のレベルにも関係してきます。スモールラインナップでの戦い方が熟成され、守れるチームになるとオフェンスの標的になり、そして困ったらファールでフリースローを打たされるでしょう。相も変わらず57%だった確率なので、ハワードは強豪相手だとプレータイムを減らす可能性が高いです。
そうなれば本来のウィザーズが登場します。ウォール&ビールのガードコンビに加え、更に高確率なウイング達を揃えています。
オット・ポーター FG50% 3P44%
マーキース・モリス FG48% 3P37%
トーマス・サトランスキー FG52% 3P47%
ケリー・ウーブレイ FG40% 3P34%
ジェフ・グリーン FG48% 3P31%
エース以外の効率性を強みに持て、誰もが3Pを狙えます。問題は下の2人の確率です。特にウーブレイは数字よりは良い選手ですが、好不調の波が激しく、ウォールがいないと機能しません。人数的には揃っているのですがスコットを失ったことでベンチの質には不安が残ります。
同時に起用法も不安が残ります。FG50%、3P40%をクリアした選手が3人もいたのにチームとしては良さを活かしきったとは言い難かった昨シーズン。
さらにガードにはボールがないとプレーに関与しないオースティン・リバースが加わりました。これだけのメンバーを揃えるのでオフボールで機能しないと宝の持ち腐れであり、結局はウォール頼みのチームになってしまいます。
16-17シーズンはスクリーンからのキャッチ&シュートを有効に混ぜることでオフェンス力を向上させたウィザーズ。それに比べるとビールにも個人突破を求めるようになってしまい、全体としての連動性が落ちました。
ウイングを有効活用する
これが出来るかどうかはトップチームと対戦するときに大きなカギになります。機動力とシュート力を備えたウイングがいるだけに、オフボールでプレーに関与していくことをシステムに求めたいところ。だからHC交代したかったのだけど、何かしらの工夫を観ることが出来るのかどうか。
◉高い機動力とディフェンス
ウイングが揃うウィザーズはディフェンス力のあるチームです。しかし、レーティングは106.2(15位)と奮いませんでした。理由の一つは前述のインサイドの弱さ。もうひとつが機動力とディフェンス力がリンクしなかったことです。
ウォールのスピードと走れるウイング達を揃えていますが、それはハーフコートのきっちりした守り方になると普通のディフェンスチームになってしまいます。チームでの連動性などが高いわけではなく、そしてお互いに走らないのであれば、そこまでメリットがないという。
つまりウィザーズはもっとランニングゲームを仕掛けた方が面白そうなのです。それは単にオフェンス力が向上するというよりは、お互いにミスを誘うくらいのハイテンポでこそ強みが最大限に発揮されると読んでいます。
昨シーズンはシクサーズがこの形を導入しました。特にエンビートをケガで欠くと走りまくった結果、相手が疲れてディフェンス力も向上しました。そこにはブレッド・ブラウンによる細かなローテーションと走れる選手層が関係しています。
シュート力とウイング、そしてスピード溢れるウォールがいるのだから、より機動力勝負することで相対的にディフェンス力が向上しそうです。
まぁそんなわけで攻守にわたって戦術面の革新が欲しくなるウィザーズ。選手だけの話であれば強いチームですが、それだけでは勝ち抜くことが難しい。とはいえスコット・ブルックスHCは16-17シーズンは結果を残しています。それもオフェンスに傾倒することで成功しました。
よりオフェンシブなチームを構成しながら、機動力あるディフェンスとハワードというゴール下のフィニッシャーにより安定感ももたらされることを期待しています。全てが期待通りに行くわけがないのはわかっている。だけど、昨シーズンの反省があるからこそ、システム的な変革を導入して欲しいのでした。
どんな形で期待を裏切ってくるのか、1位から8位まで全てあり得そうなウィザーズ。イーストで最も順位が読めないチームです。
攻撃力 ☆☆☆☆
守備力 ☆☆☆☆
インサイドのフィニッシャーがもたらす安定感と3P能力の高いウイング達なので、オフェンス面の期待が高まります。ディフェンスも堅実性を増しそうなので、どちらも標準は上回るはず。なので期待も込めて4つにしてみた。あっ今回の題名が「期待を裏切りそう」だった。
勝利の美酒度 ☆☆☆
ところが勝てるかどうかというと、毎試合ハラハラさせてくれます。弱いチームにしっかり勝てるかどうかが勝率を上げる要素であり、トップチームに勝つための要素は加わらなかったオフの補強です。戦術次第。
先行投資度 ☆☆
スター選手度 ☆☆☆☆
先行投資という言葉は似合わないチームだなぁ。それはウォール&ビールにハワードも加わり、スターが揃ってきたチーム状況も関係してきます。いい加減ハワードの知名度を超えて欲しいウォールとビール。というか極めてジャパンな問題。
若手有望度 ☆☆☆
ポーターを若手と捉えるかどうか。そしてビールも25歳なので、若手とは言い難いけど、☆を減らすのも忍びがたかっただけ。ウーブレイも4年目か。
戦術期待度 ☆☆
チーム成熟度 ☆☆
ウィザーズの問題はここね。ここ。昨シーズンは戦術的にも目新しさがなく、ロッカールームでも揉めるという大問題。果たしてハワードはどうなるのか。自分がボスではない環境がどう作用するのか。ダメならクビにされちゃうよ。
スーパープレー度 ☆☆☆☆
+アルファ度 ☆☆☆
ハワードが噛み合えば、毎試合のようにダンク&ブロックパーティーの会場になりそうです。特にウォールのブロックの爽快感はすげー。でもチームとして噛み合うかは不明だよ。集まっている選手は現代的に活躍できる選手ばかりなので、何かのきっかけで変化するかもしれません。何もないと退屈な試合をみせてくれるのですが。
なお、その他の選手にはあまり期待できないチームです。なのにプレーヤーオプションを保持していたりと契約が下手すぎる。
ウォールとビールについては触れないでウィザーズを書いてみたのでした。どうせ他の時に触れるしね。ていうか触れたしね。
ウィザーズはダントーニーが好きそうな選手が多いイメージで指揮すれば強くなりそうと思うのですがどうですか?
間違いないです。ウォールならば機能するはず。
しかし、補強は真逆をいったようにダントーニ路線の集め方ではないですね。
ハワードのマジック時代が忘れられず、もう一花咲かせて欲しい気持ちがすごく強いです。才能はピカイチなのだから、良い指導者と出会えればとつい思ってしまいます。何が悪いのでしょうかね。脳みそですかね?欲に弱そうな顔つきですかね?
ハワードはケガっぽいんですよね。最近ニュース見ないから詳しくは知らない。
陽気な性格が緻密になっていく戦術と合わないのでしょう。
ハワードからすれば、「そんなことしなくても決める」と思っているのでしょうが、そうはいかない。
カペラがやっている役割に徹することが出来れば、相当強いと思いますが、ボールがこないでも動く姿勢はないですからね。
ビールは子供が生まれたので今年さらに飛躍して両方でステップアップしてほしいです。精神的にも変わりそう。
ウォールもあの味方をも抜きさっていく速すぎるボールプッシュ、楽しみです。
あと疑問がオースティン・リバースってどんな感じで出てくんですかね?
ウォールの控えですかね?
ウォールの速すぎる感じは楽しいのですが、リバウンドがとれなくなってめっきり減ってしまいました。
それが復活するだけでもハワード効果があったといえるでしょうね。
オースティン・リバースはよくわかんないです。
でもサトランスキーと一緒の方がマシになるのは確かなので、ビールの控えの方が近いのかな。
いつも楽しく拝見させてもらってます。あと少しで開幕ですね。
さて、ウィザーズですがスターターは今年も良いのでとにかくセカンドユニットとゲーム終盤の粘りをある程度改善出来ればイースト1位もいけると思ってます。
個人的には若手のブライアントとロビンソンを是非使って欲しいところです。
1位もいけると思っていますが、60勝するメンタリティが足りないのもウィザーズかな。
せめて50勝はして欲しいところ。新加入の問題児2人のロッカールームもどうなるのか。
だったら若手に切り替えた方が良いという話もあります。