センターを知ればチーム戦術が判る 〜後編〜

センターと戦術の関係性に触れる後編です。

センターと戦術を色分けしたのは、
「インサイドをどう攻めるか?」
という視点でセンターをどこに置くかは現代的なポイントになるからです。3Pを打たせるのは有効な手段ですが、目的がインサイドを攻める方法なので3P以外にも戦術的方法論があるわけです。

簡単に言えばスペーシングする方法論を考えていった結果です。チームによって考え方は様々ですが、それでもやっぱり似てきてしまうわけで、戦術とセンターを分類する事が出来たのが前編でした。

後編は色分けするのが難しいタイプになります。



トップセンターは誰だ?

オールNBAチームに選ばれたのは
アンソニー・デイビス
ルディ・ゴベール
デアンドレ・ジョーダン

当初から違和感が大きかったですが、今季の活躍をみると尚更です。チームのオフェンス戦術的には重要性の低い3人。デイビスについては必要不可欠ですが、フィニッシュ専門です。

ゴベールとジョーダンはいなくて良いくらいです。戦術は日々進歩しているけど残念ながら投票者はそこについていけてない気もします。
なお、あくまでもオフェンス戦術の視点ですので、ディフェンス力も含めて評価されているので、3人の能力が低いといっているわけではありません。

むしろ能力が高いからこそ戦術としては微妙なのに生き残れているのかもしれません。



ゴベールとジョーダン

特徴が似ている2人。オフェンスでの役割が微妙な事もそっくりです。その理由は高い能力故に使いたいけど、個人で得点できるわけでもないから戦術までは昇華出来ない部分にあります。

ジャズが本当に使いたいのはミドルレンジシューター。ボールを回しチームで作りながら全員がアタックするジャズ。フェイバーズがセンターに入ると合わせのゴール下だけでなく、ポップしてのミドルもあります。
何よりもそこから自分で切り込んでからのキックアウトも加わるので非常に使いやすくなります。

クリッパーズが活かしたいのはグリフィン。オールラウンドに活躍する選手ですが、最大の特徴はドライブしてのショートレンジの強さ。となれば3Pシューターで広げたいところ。なお、クリッパーズにはベンチにもそんな選手いません。設計不良。
リードの方が良いのは機動力がルー・ウイリアムスに合うからです。

ゴベールもジョーダンも戦術的に本当は違う選手が適しています。しかし、それでも使いたくなるのは個人で頼もしいポイントがあるから。

◯オフェンスリバウンド
ジョーダン 4.9(2位)
ゴベール 2.8(18位)

◯セカンドチャンス
クリッパーズ 15.1(2位)
ジャズ 9.8(26位)

◯速攻での失点
クリッパーズ 11.9(25位)
ジャズ 7.1(2位)

考え方はチームで異なりますが、クリッパーズはセカンドチャンスのためにジョーダンを重用しており、ジャズはゴベール任せにしてトランジションディフェンスに移ります。
なお、今季のゴベールはオフェンスリバウンド少ないですが、昨季は3.9でリーグ3位です。

つまりシュートまでの一連のオフェンス戦術には適さないものの、トータルの設計の中では重用されている2人。それは個人能力に任せた設計とも言えます。

ジャズの場合は戦術自体もディフェンス優先で考えているので必要性も高いです。
センターを知っても戦術が見えてこない2人。しかし、チームが重要視しているものは見えてくる2人でした。



存在自体が戦術

結局は現代にはシャックはいないんだな。と思われてしまいそうな今回の企画。

しかし、かつてのセンターを中心にしていた時代の基本戦術を

「リングに近い位置で確率の高いシュートを決める」

そう捉えるならばこの企画でいうセンターの役割と戦術は

「リングに近い位置で確率の高いシュートを決めるためのセンターの役割」

これを紐解いているので実は中身は同じです。リングに近い位置でセンターが決める事を考えた時代から、チームが決める事を考えた時代になっているのです。



シャックに決めさせるために周囲はアウトサイドを決めていたわけですが、それを個人でやってしまう戦術センターが最新型の個人能力センターです。

カール・アンソニー・タウンズ
マルク・ガソル
デマーカス・カズンズ
ニコラ・ヨキッチ
ブルック・ロペス

要は中外柔軟にプレーする選手です。重要なのは彼らはインサイドプレーが強いという事です。強い上でアウトサイドでもプレーします。

ガソルやロペスは全く3Pを打たない選手でしたが、《戦術に合わせて》打つようになりました。それは1人のセンターがインサイドを攻めるよりも多くの選手が攻める方が効率的であり、そのためには必要な変化でした。なお、ロペスはネッツ時代のお話ですが、考え方はレイカーズでも同じです。重宝はされていません。

2つのタイプに別れます。



フィニッシャー

カール・アンソニー・タウンズ
21.1点 1.3アシスト

ブルック・ロペス
15.1点 1.8アシスト

2人ともチームが変化したので昨季から5点ほど平均得点を落としました。それでも高い得点力と低いアシスト力を持っています。お互いにチームメイトにスコアラーが多い割にアシストの少なさが目立ちます。

共通するのは中外問わず、マッチアップやボールムーブの中で有利に打てるポイントに動いてフィニッシュする事。エースがスペースに動くという事は、元のポジションが空くという事。周囲はそこを利用していきます。

3P系のセンターと違うのはインサイドにポジションする時間が長く、自分がスペースを優先的に使える事です。比較的好き勝手して良いエース達。

◯ノーチャージエリアからのシュート割合
タウンズ 42%
ロペス 30%

◯3Pのシュート割合
タウンズ 24%
ロペス 35%

インサイドの強さがあってこその能力である事は変わらず、どこからでも打つタウンズだけど、ゴール下が最も多いのはセンターとしての仕事でもあります。
ロペスがゴール下でもっと強ければスターになれていたでしょう。結局は大切なのはゴール下の強さです。レイカーズの問題もあり、むしろ3Pシューターになっています。

ゴール下か、3Pか

それは流行の戦術ですが、単独でそれをやるセンター達です。



タウンズをみて変わっていると思うのはコーナーからも打ちます。センターだとトップから45°くらいの間でのプレーが多いのですが、3P54本中13本をコーナーから打っています。ロペスも14本を打っています。
例えばポルジンギスは5本だけだし、カズンズは4本、ガソル弟は0です。

攻撃の起点ではなくフィニッシュ担当なのでノーマークになれるポイントを探して動いている事がわかります。



考察されなかった戦術

センターを知れば戦術が判るかというと、それも難しいタイプです。何でも出来るため何でもやっています。

レイカーズでは立場も微妙なロペスですが、全員アタックの中でインサイドの合わせもやるし、外に開いてドライブスペースを空けることもあります。

タレント豊富になったウルブズでは、中外問わず動くタウンズを捕まえなければいけない状況で、さらにボールがコートを横断するシステムです。捕まえにくいタウンズにより他の選手は攻めやすくなっています。

共通するのは周囲も流動的に動くような選手だという事です。そしてバランスが崩れた方がノーマークになりやすいです。

「センターが自由なチームはエースとしてセンターの動きを中心に設計されている」
センター中心の考え方なので、どんな選手を組み合わせるかです。しかし、両チームともにセンターと戦術に合わせた選手を集めるのではなく、タレントを多く抱えて勝つ方針です。

どんな戦術が生まれてくるのか?

気になる所ですが残念ながら1人のセンター中心に設計されたチームはグリズリーズしかありませんので、しばらくはわからないでしょう。



ポイントセンター

しかし他にもセンター中心のチームはあります。ペリカンズとナゲッツです。そこにいるカズンズとヨキッチはセンターの概念から大きく離れた選手です。

中外関係なく動く点はタウンズやロペスと同じですが、2人の役割はプレーメイカーです。起点としてボールを持ち、自分で勝負することも、アシストする事も、チームを崩壊させる事もあります。

◯デマーカス・カズンズ
27.1点 13.2リバウンド
5.6アシスト 5.3ターンオーバー

◯ニコラ・ヨキッチ
15.6点 11.3リバウンド
4.5アシスト 2.2ターンオーバー

その最大の特徴はアシスト。

スキルとしてハンドリングだけでなくアシストセンスがあるからこその能力ではありますが、本職ガード以上に高いスキルがあるかというと微妙です。では、ポイントセンターを利用するメリットは何処にあるのでしょうか?

それは即ち戦術設計に繋がります。



ポイントセンターの利点

・高さがありプレッシャーを受けない
相手のリズムを乱すためにPGにプレッシャーをかけていくことはよくあるパターンですが、殆どプレッシャーを受けずに組み立てられます。起点が安定していれば、安心してセット出来ます。
そのうち高くてフットワークの優れたディフェンダーも出てくるでしょうね。

・起点の位置が移り変わる
高さがあるので上のパスが使えるため、トップからポストまであらゆる位置で起点になります。ガードには出来ないプレーモデルが可能になります。
一方でローポストで起点になるならば昔のセンターと同じですが、外に出るのでインサイドを空けて味方のドライブを促すことも出来ます。
動かないカズンズと違いヨキッチは本当に何処からでも起点になるので、捕まえにくくミスが少ないです。一歩先にいるポイントセンターです。

・トランジションオフェンス
ウエストブルックは自らリバウンドをとって速攻に移る速度を上げますが、ポイントセンターは周囲の走り出しを促せる利点があります。ガード達はリバウンドに参加する必要がありません。

◯ナゲッツの速攻
チーム 15.4(2位)
バートン 3.8
ハリス 2.6
マレー 2.3
ムディエイ 1.6

リーグ2位でありながら、特定の個人に偏らないナゲッツ。リバウンドはインサイドに任せて走れる利点があります。
なお、バートンはリバウンドもとっているので素晴らしい。
しかしペリカンズはここが弱いです。

◯ペリカンズの速攻
チーム 11.6(10位)
デイビス 2.7
ロンド 2.3
ムーア 1.7
カズンズ 1.6

この差はガード陣の得点能力の差と走るヨキッチと走らないカズンズの差です。

◯オフェンス平均移動速度
ヨキッチ 4.55
カズンズ 3.73

さすがに走らな過ぎのカズンズ。ポイントセンターとしてプレーするのは、実は走れなくて現代バスケについていけないからかもしれません。
ペリカンズは少し設計不良。デイビスが最も速攻で得点しているのはおかしな状態です。ツインタワーのリバウンド力があるならば、走って得点出来る選手は必要です。

ロンド復帰で期待されるのは意外と得点面です。まぁ単純にカズンズはパスは上手いけど視野は狭いのでパスが出ないだけかも。



ネルソン曰く似ている両チーム

今季ナゲッツから放出されてペリカンズに加入したジャミーア・ネルソンはすぐにペリカンズにフィットした理由をナゲッツとオフェンスシステムが同じだからと答えたそうです。
その理由はヨキッチとカズンズにあり、2人の周囲をオフボールカットしていく点とアウトサイドに広くフロアバランスをとりながらも、全員がポジションを入れ替えていくシステムです。
ナゲッツの方がシューターを多く配置しているのは全員がバランスよく得点するナゲッツと、デイビスという大エースがいるペリカンズの違いです。



特殊系の問題点

ポイントセンターのチームはフロアバランスをとりながら全員が動く

要は起点が動くわけなので、それに合わせて他の選手達はフロアバランスをとるわけです。フィニッシャーとの違いはスペースに動いていくセンターと起点としてポイントを作る違いです。

ペリカンズは両方のセンターがいるのでそのバランスは更に難しい反面、機能されると止められないチームになっています。

このタイプの難しい部分はベンチで休んでいる時間にチームが停滞してしまうことです。戦力低下以上に戦術が使えなくなります。

ペリカンズはPGも2人いて、ワンセンターとツインタワーを使い分ける対応ですが、結局は2人とも長時間出場しています。

ナゲッツはヨキッチのオフコートレーティングが低かった昨季を経て、代役となれるミルサップを獲得して解決を図っています。



戦術マルク・ガソル

同じようなフロアバランスをとっているのがグリズリーズです。特殊なセンター達を並べる中でも更に特殊なのがガソル弟です。本人が特殊というよりは戦術が特殊です。

◯マルク・ガソル
19.7点 9.3リバウンド 3.5アシスト

フィニッシャーというには得点力は少し物足りなく、ポイントセンターというには少しアシストが物足りないガソル弟。
ちなみに相棒のコンリーも高い実力の割には少し物足りない得点とアシストなので、お互いに分け合っています。

◯パス数/アシスト数
ガソル 72.2/3.5
カズンズ 63.1/5.6
ヨキッチ 61.9/4.5

センターでパス数上位の3人です。ガソルのアシストが少ない事がわかります。でま圧倒的に多いパス数。ボールの経由地になっています。
なお、ガソルのパス数は全体でもシモンズに次いで2位です。ヨキッチで9位とレブロンより多いのでポイントセンター扱いする理由がわかるかと思います。



グリズリーズの特徴はフロアバランスをとってコーナーまで広がります。その点はペリカンズやナゲッツと同じですが、違いはあまり動きません。チームが遅い展開を好む点もあります。

◯オフェンス平均移動速度
グリズリーズ 4.39
ペリカンズ 4.60
ナゲッツ 4.65

ガソル自身もあまり動きませんが、積極的に3Pをうち、ポストアップします。

◯3P
ガソル 1.6/4.9
カズンズ 2.5/7.3
ヨキッチ 1.4/3.3

◯ポストアップの割合
ガソル 30.8%
カズンズ 16.8%
ヨキッチ 17.8%

カズンズが3P打ち過ぎなので惑わされますが、4.9本はセンターで2番目に多いアテンプトです。違いはポストアップも多くなります。得点の約半分がこの2つのパターン。



つまり動かないチームの中で3Pを打ったり、ポストに立ったりと自分で得点するフィニッシャーでありながら、多くのパス交換をするポイントセンターでもある両方の性質を持っています。でもどちらかに定義するには得点もアシストも物足りない。

このガソルの役割をオフボールプレーメイカーと位置付けています。ガソルの役割は中外でミスマッチを作り出す事。パスを預けてカットしたり、ハンドオフしたり、何度も繰り返してミスマッチを作り出すと、ガソル本人がフィニッシャーになります。当然、ヘルプも発生してディフェンスは動きます。

そこから始まるのは固定ポジショニングを回るボール。周囲はガソルが外にいればドライブするし、中にいれば外から打ちます。

面白いのはグリズリーズのシュートアテンプト。ガソル、コンリー、エバンスが13〜15本台以外は、9人が4〜7本台にいます。バランス過ぎる構成。
その9人の3Pアテンプトはセンターのライトを除けば1.5〜3本とやっぱりバランス。

基本的にガソル&コンリーが生み出したギャップをバランスアタックで利用して行くグリズリーズ。例外の6thマンにエバンス。



アンチガソル

ガソルの役割を言葉で表現するのは難しいです。ただ1つ言えるのはガソルの存在を利用するのがグリズリーズです。

ガソルの逆をとる
周囲が行うプレーはそんなイメージです。ガソルが動くなら止まり、止まったら動く。中に行けば外に行き、外にいれば中に行く。
合わせるというよりも逆をとるイメージです。

それはフィニッシャーとしての怖さでもあれば、起点としての怖さを利用しているシステムです。



さて、そんなガソルの素晴らしさを褒め称えていますが、実はこのガソル仕様の戦術はデータ的には崩壊しています。
ガソルのオン/オフのレーティングを比較してみます。

◯オンコート → オフコート
オフェンス 103.1 → 105.0
ディフェンス 105.9 → 97.2

攻守に渡ってガソルがいない方が機能しているグリズリーズ。代役はブランドン・ライトで仕事はポストでボールの経由地になり、ドライブやピックから味方からのパスをもらいます。今回の内容で近いのはハイポスト系のセンターです。

タレント不足のガソル活かしチームオフェンスとみせかけて、実はセカンドユニットはエバンス中心の全員個人アタックに変化していくグリズリーズ。それはツーガードシステムに近かったりします。
コンリーのケガもあり成績が下降してきたグリズリーズですが、本当はガソルシステムの機能性が怪しかったりします。



新タイプ

ポイントセンターは昨季から感じている流れですが、今季からの新戦術はハワード、カンター、ドラモンドの3人。ホーネッツ、ニックス、ピストンズ。前者2人はトレード組、後者2チームは躍進中。意図的に組まれていると感じるのは後者2チームです。

HCが考えた新しい活かし方。

でも、3人とも前からいるセンターだし、何よりもローポストアタックが中心で、インサイド以外では役に立たず、スキルも高くないタイプです。時代遅れ。
だからこそどうやって活かすか工夫が生まれた気がしています。



走れ!ハワード

3人ともパワフルなプレーでゴール下で頑張るタイプです。しかし、時代は高速化。走らない選手は要らないよ。スモールラインナップだよ。ロケッツはハワードよりカペラだよ。

ハンドリングやパススキルもないから起点にもならない、そんな時代には合わなそうな選手達。じゃあどうするのか?
まぁまずは走れば良いじゃないか!

◯オフェンス平均移動速度
ハワード 4.21→4.49
ドラモンド 4.12→ 4.14
カンター 4.37→4.39

急激に走り出したハワード。コーストtoコーストなんて場面も。
カンターはウエストブルックについて行くので元々走っていました。
ドラモンドは観た試合ではかなり走っていましたが、データは全く違いました。ハーフコートであまりにも動かないからでしょうか?

みんなコートのセンターラインをリングからリングに走ります。



◯ドワイト・ハワード
29.6分 14.6点
オフェンスリバウンド 3.9(4位)
ディフェンスリバウンド 9.0(5位)

◯アンドレ・ドラモンド
32.8分 13.5点
オフェンスリバウンド 5.7(1位)
ディフェンスリバウンド 9.6(3位)

◯エネス・カンター
25.8分 13.8点
オフェンスリバウンド 3.9(5位)
ディフェンスリバウンド 6.7(16位)

その特徴はオフェンスリバウンドの強さ。出場時間を考えたらカンターもハワードもかなり多いです。ジョーダン、アダムス、レンなんかもこのタイプ。ホークスのコリンズなんか4割がオフェンスリバウンド。



リバウンドの特徴

3人が評価されるのは適度な得点力に加えて、高いリバウンド力があるからです。それではそのリバウンドにはどんな特徴があるのでしょうか。昨季からの変化を見てみます。

◯オフェンスリバウンド機会
ドラモンド 7.7 → 10.1
ハワード 7.3 → 7.6
カンター 6.6 → 9.2

◯ハワードの変化
競合い以外 0.9 → 1.3

オフェンスリバウンドに参加する機会が増えた3人。走るようになったハワードは相手と競合わない場面が増えました。出場時間が増えたカンターはともかく、ドラモンドは大きな変化です。

◯リバウンド時のリングからの距離
ドラモンド 3.8
ハワード 3.5
カンター 3.9

平均4フィートを下回りながらリバウンド数が多いのは他にバランチューナスくらいです。つまりゴール近辺ばかりでリバウンドをとっています。



スモールラインナップは時にその機動性を武器にリバウンドを拾います。展開が早くてスペースが広くなり、そして3Pが増えてロングリバウンドも増えた時代だからです。

真逆を行く3人が新しいタイプとするのは、実は1つにはスモールラインナップが増えすぎて、そもそもパワーで優位に立てるようになった事も見逃せません。「対抗する走力さえあればゴール下で負けるわけないよね」理論です。それを狙ったかはHCに聞かないとわかりません。

重要なのはリバウンドだけならば個人の役割ですが、オフェンスリバウンドを取りやすい戦術設計になっているのであれば話は違います。そして特にゴール下に限定される意味は何処にあるのかという問題です。
「リバウンドは気持ち」とか言ってたらコーチにはなれないよ。



肉体の壁

話を戻すとセンターと戦術を紐つけるのは、「インサイドスペース構築」のためです。センターがインサイドにいるとジャマにもなります。そんな考えがメインでした。

昨季の流行に1つの例があります。アダムスやゴータットがよく使う自分のマークマンにスクリーンをかける方法です。
https://youtu.be/NVcncej_SvY

ウエストブルックやウォールは単独でも抜いてくるのでヘルプディフェンスに行かせないために、リングへのコースを作るために自分のマークマンにスクリーンをかけています。
つまり1つの発想として「相手のセンターをブロックしてスペースを作る」わけです。

それを常時システムの中に混ぜ込んだのが今回の3人です。彼らがゴール下にポジション争いをし続ける事でヘルプに行かせない事が出来ます。
ハワードとカンターは正にこのタイプです。ローポストアタックの強い2人はアーリーオフェンスから積極的にゴール下でポジション争いをします。

ポイントは「ボールが貰いやすい位置」よりも「ゴール下」でポジションとりを徹底する事です。



ホーネッツのエースはケンバ・ウォーカー。スピードとテクニックでドライブしてきます。そんなドライブに合わせるタイプのセンターではなく、ドライブのコースを作るタイプを求めました。そして落ちてもゴール下なのでハワードが拾ってくれます。

今季のハワードがリバウンド数で存在感を示したのはそんな理由です。なお、実は昨季も割とやっていましたが、ホークスはそこを攻め立てるタイプのチームではありませんでした。ハワード自身の根本は同じ。



ニックスのエースはポルジンギス。3Pまで打てる7フッターですが、最も怖いのはショート〜ミドルレンジのターンシュート。高さの利だけで問答無用に打たれてしまいます。そんなポルジンギスに必要なのはペイント近辺での広いスペース。

身体のぶつかり合いでポジションを取れるわけではないので、ボールムーブに合わせて貰いやすいポジションを探します。そんな時にカンターはゴール下でポジション取りをするから、ディフェンスからするとカンター→ポルジンギスの順で警戒せざるを得ません。

そして同じく落ちたシュートはショートレンジなのでリングから近くに落ちてきます。サンダー時代とエースは違うけど、やっている事は同じのカンター。



ピストンズは少し違います。ハイポスト近辺のドラモンドを使ってハンドオフを多用します。ピック&ロールのスクリナーに近い役割です。ペリメーターでフリーを作り、ドライブコースを生み出すドラモンド。システムから求められる役割。

ボールを渡したらタイミングを計ってゴール下へ。ピック&ロールへのスイッチローテーションはディフェンスの対応が進んでいて、ゴール下にはヘルプがきますが、ハンドオフは起点が内側に収縮していて、さらにアウトサイドにシューターが構えているので、ヘルプが遅い側面があります。

ハンドオフでマークマンをブロックし、シュートスペース、ドライブコースを作ると共に、空けたゴール下に飛び込むドラモンド。



ピック&ロールを使えない。

1つの共通点としてハワードとドラモンドはロールマンとしての優秀さに欠ける面があります。ポルジンギスとカンターはピック&ロールの意味がないです。
つまり各チームがピック&ロールではない形でスクリナー的な役割を持たせています。さらにオフェンスリバウンドにも繋げる特徴があります。

「ゴール下専任のオフェンスリバウンダーをスペースを構築するスクリナーとして利用する」

これが1つのトレンドです。やっている事は以前からある役割ですが、時代が変わったからこそゴール下にピン留する意味が高まってきました。



特殊系の後編

前編では戦術の種類に合わせて、センターの役割が決まってきています。後編はセンターの種類に合わせて、戦術が調整されているパターンです。ムダにするには勿体無い能力の持ち主という事でもあります。

カズンズを「センターなのに・・・」と批判するのが好きではないのは、こうやって戦術と比較してどうなのか?という事です。

ジョーダンやゴベールに戦術を合わせるべきというのが、普通の発想だと思うので、戦術に合わないから変えろという管理人は少数意見かもしれません。

「合わないから要らない」と言って放出してしまうHCもいれば、戦術を調整して組み込むHCもいるわけです。

いずれにしても、ポジションなんて関係なく鍛え上げられた身体とスキルと戦術眼を使ってベストな起用方法をされている選手が最も評価されて然るべきと考えています。

ウエストブルックのシーズントリプルダブルの翌年にシモンズやロンゾといったガードが出てきましたが、この先カズンズやヨキッチタイプのセンターも増えるでしょう。

そんな時にどんな戦術で活かされるのかを考えてみても楽しいかなと思います。

なお、今回出てこなかったチームにネッツがありますが、かなり面白いシステムを使っていて、誰がセンターなのかすら微妙です。
でも、「そこの役割に適したセンターがいたら」というポジションがあります。

どこかのチームのベンチの端っこに座っているそこにフィットする選手が隠れている可能性もあります。突然ヨキッチが出てきたように、戦術に合う新しいセンターが現れるのも楽しみにしましょう。

センターを知ればチーム戦術が判る 〜後編〜” への1件のフィードバック

  1. 前編も含め、大変面白い記事でした。
    特に、「ドライブのコースを空けるためにマッチアップにスクリーン」、個人的には毎回咄嗟に、当然のようにやってましたが、あまり深く考えたことはありませんでした。それをチーム戦術までにしているのは、初めて聞く発想で、目からウロコです。
    観戦時も意識するとともに、自分でプレーするときももっと意識してやってみようと思います。

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