アダムスの本気 ~ノーウエストブルック~

サンダーのビッグ4の一角スティーブン・アダムス。ちょっと観てみたい本気の姿

 

◉ハッスル・キウィ

 

ニックスを救う活躍をしたエネス・カンターはサンダーではアダムスの成長に伴いプレータイムを失っていきました。岩のように堅いスクリーンは、バトラーをして「殺されるかと思った」という強靱さを誇ります。ビッグマンの役割でスクリーナーとしての優秀性はより重要になってきた中で、ニュージーランドからやってきたファイターはかつてはスタッツに現れなかった貢献をしています。

〇スクリーンアシスト 4.9(2位)

ハッスルスタッツが記録されるようになったことで、その価値が数字でも表現されるようになってきました。ウエストブルックの突破を助けるために身体を張りまくるのでした。

 

またセンターとしては他の数字でも上位になっています。

〇ディフレクション 2.3(5位)

〇ルーズボール 1.4(4位)

機動力と運動能力に優れたタイプではないものの、単にデカくて強いだけでなく、ディフェンスの反応にも優れているアダムスは、ベーシックなプレーを繰り返せるメンタルの強さがあります。それはスクリーンアウトの堅実性でも評判なのですが、この数字の調べ方がわからない。

 

そんなアダムスはオフェンスリバウンドでも強さを発揮します。

〇オフェンスリバウンド 5.1(2位)

リバウンド王のドラモンドと並び、3位のデアンドレ・ジョーダン(4.3)を大きく上回っているリーグ最強のオフェンスリバウンダーなのです。

 

そう!「リバウンダー」ではなく「オフェンスリバウンダー」なのがポイント

〇ディフェンスリバウンド 4.0

かつて、ここまでオフェンスリバウンドの方が多くなる選手はいたのでしょうか?

そんな記録さえ気になるくらいディフェンス面では全くリバウンドをとれないのがアダムス。でもしっかりとスクリーンアウトをするのが特徴でもあります。要するにスクリーンアウトをするけど、リバウンドはとっていません。

 

その理由はウエストブルックの存在。リーグ9位の8.2ディフェンスリバウンドのPGの存在はアダムスのリバウンドを大きく減らしました。ちなみにカーメロ4.9、ポール・ジョージ4.7よりも少ないのがアダムス。

ペリメーターディフェンスも厭わない反応力と献身性がありながら、ディフェンスリバウンドだけは取りに行かない特殊系センターが本気を出したらどうなるのか?

 

◉ノーウエストブルック

 

ウエストブルックは膝に違和感を感じたため、開幕1ヶ月前になって手術に踏み切りました。プレスディGMも復帰を急がせないと明言しており、サンダーは戦術ウエストブルックなのに核を失った状態で開幕1ヶ月前後を過ごすと予想されています。

ロバーソンも含めて三位一体みたいなプレーをしていたトリオは、ウエストブルック有りきだし、逆に献身的にフォローしてくれるアダムスがいなければウエストブルックは成立しませんでした。そこで気になるのがノーウエストブルックでのアダムスのスタッツがどう変化するのかです。

 

「ウエストブルックにリバウンドをとらせていた」

というのが管理人の見解です。もしもアダムスが本気でディフェンスリバウンドを取りに行ったら、ウエストブルックのリバウンド数は3本くらいは減るかもしれません。それくらい強力なリバウンダーである「はず」なのがスティーブン・アダムス。

オフェンスリバウンド5.1を誇るパワーファイターが、本気でディフェンスリバウンドを取りに行ったら何本稼ぐのでしょうか。同じようなタイプのドラモンドが10.9奪っており、そこまで行かなくても8本くらいは楽に獲りそうな気もします。

なお、ウエストブルックにとらせるのは別にスタッツを稼ぐためではなく、トランジションオフェンスが強力になるからだよ。ディフェンスリバウンドから始まる理不尽速攻。

 

〇競り合いの中でのウエストブルックのリバウンド数 2.2本

平均で10.1本のリバウンドを奪ったウエストブルックですが、競り合い(コンテステッド)でのリバウンド数は上位陣の中で圧倒的に少ない2.2本しかありませんでした。リバウンド数が近い選手ではヨキッチ4.6、ゴベアー4.3、カペラ4.4と彼らの半分程度しか獲得していません。

つまり単に反応が早いだけでなく、アダムスのスクリーンアウトという見えないアシストが光ります。

 

〇アダムスのコンテステッド率 55.1%

対してアダムスはリバウンド上位陣の中では1人だけ50%を大きく超えるコンテステッド率を誇りました。要するに競り合いじゃないリバウンドが圧倒的に少なかったのです。ウエストブルックがフリーの状況で奪っていたリバウンドの半分をアダムスが抑えることになるだけで、平均4本も増えることになるのです。

シーズン開幕当初の注目の1つはアダムスがリバウンドでスタッツを稼ぐかどうかなのです。

◉アダムスの個人アタック

 

パワーファイターのアダムスですが、ひとつだけ異質なスキルをもっていて柔らかで高確率のフローターを決めてきます。多分、ウエストブルックよりも上手い。なんでも、これだけはNBA入りする前から上手かったらしく、繊細なタッチがあるのです。

というか、アダムスとは思えない別人なんだけど・・・。この選手が今の姿になるとか想像できないわ。

 

〇FG 62.9%

豪快なダンクと柔らかなフローターを武器に60%を超える高確率を記録したアダムスは低調なチームオフェンスを助けてくれる優秀なフィニッシャーでした。それらのプレーから平均13.9点を奪っています。ビッグ3がいたサンダーなので、4番目の選手として優秀な数字です。フリースローはいまいち。

アテンプト9.4本の内、5.3本がウエストブルックのパスから記録されており、不在の状況ではアシストが減ることが予想されますが、チームとしてはアダムスの得点力アップも期待しているはずです。

 

〇ポストアップからの得点率 1.08

さらに109回のポストアップから118点、FG60.9%を記録しており、実は個人アタックも優秀でした。ビッグ3よりも0.3点近く効率的に得点を奪えるポストアップはカーメロを放出したチームでは、より頻繁に使いたくなるプレーチョイスでもあります。

岩のような身体に柔らかなフローターを武器にしたアダムスの個人アタックもノーウエストブルックでは注目されます。

 

 

ウエストブルックの異常性を支えているアダムス。そのウエストブルックがいない状況をカバーするのもアダムスのプレーの数々になりそうな奇妙な雰囲気があります。単に得点をカバーするのではなく、リバウンドを奪い、速攻の起点となり、ルーズボールを追いかけ、カバーからブロックする。

これらはPGとして代役を務めるシュルーダーには難しそうな役割なのです。

そしてアダムスは非常によく走ります。カーメロやポール・ジョージよりも積極的に速攻に参加し、味方のミスを拾い上げてくれます。機動力やアジリティに優れているタイプではないけど、勤勉で献身的なニュージーランドのファイターはウエストブルックに負けず劣らずハードワーカーとして唸らせてくれます。

熾烈を極めるであろうウエストのプレーオフ争い

例えトリプルダブラーが不在であっても、開幕から負け越して進むわけにはいきません。全ての面でスタッツをカバーしてくれそうなアダムス。それはアダムスの本当の価値を知ることが出来る貴重な時間になるのかもしれません。

本気のアダムスはスタッツを稼ぐのか?

 

 

 

アダムスの本気 ~ノーウエストブルック~” への23件のフィードバック

  1. もしかしたらアダムスの速攻での速さを補完しているのがウエストブルックなのかもしれません。ディフェンスリバウンドをフルジャンプで取ることがないのでボックスアウトからの速攻で走りやすくなっているのかも…。スラムダンクでもリバウンドでジャンプからのダッシュは並みじゃないと河田が言っていましたよね?笑
    ウエストブルックがディフェンスリバウンドを取った方がサイドアウトしない分速攻も出しやすいので、お互いが狙って補完しているのかも…。

    1. それは間違いなくありますね。他にも3Pのチェックに出た後で迷わず走り出しますが、リバウンドをウエストブルックに任せられる利点を活かしてます。
      あれだけのインテンシティと運動量があるウエストブルックは凄いので上手く利用していますね。

    1. あんなイラスト書く能力があれば、ブログのデザインももっとオシャレにしているんですが。

  2. いつも楽しみに読ませていただいております。

    今回も分かりやすくスラスラ読めてありがたいです(^^)

    https://youtu.be/XU23Fz1T7JY
    動画の序盤にアダムスがリバウンドをウェストブルックに譲る場面ありましたのでコメントしました。

  3. ブログ更新お疲れさまです!僕の2番目に好きな選手の特集で嬉しいです。

    アダムスはハーデンのタックス回避のためのトレードで手に入れた子なんですよね。コリソンさん、ケンパさんに指導されてカバーDとスクリーンが上手くなってく様子が伺えましたね。昨シーズンはパスアウトやポストアップの良さも見られ、もはやロールプレイヤーの域を出つつあると思います。KD以降サンダーのドラフトに当たりが多いのは若手に技術を仕込むケミストリーもその一因であると思うのですが、どうでしょうか。

    1. サンダーは指名する選手に関して方向性が一貫しているので、しっかりと育成出来ているイメージです。指名権をムダにしていないチームは意外と珍しい。
      ただその選手達揃えてもケミストリー向上する気がしないのが問題です。

  4. 個人的にはアダムスはタウンズやドラモンド、ジョーダンよりもチームを勝たせることができるセンターだと思ってます。サンダーの試合ではラスとアダムスは常に画面にいる印象。
    途中のイラストは日本人の女性が書かれているものですよね。ジャズとのプレーオフ観戦してる様子が中継されてました

    1. うーん、タウンズやドラモンドもチーム状況違えば勝たせる気もします。ただ現状はセンターに大きな仕事を任せるとガス欠になりがちなのでアダムスくらいが丁度良いのかも。
      あと欠点の少なさでは、その2人を上回ります。

      1. 昔センターの選手は2.1メートルを超えると故障が増えプレーできるまでに戻らない事が多く、35歳までが限界だという話しを聞いたことがあります。コートを端から端まで走るわけだしアダムスも怪我気をつけてほしい。
        ドラモンドもタウンズも応援してます。ただアダムスと比べるとあくまで印象ですが守備時に存在感が薄い。タウンズなんかブロック多いけど、守れるイメージが無い気がします。ウルブズのシステム的な話しがあると思いますが。
        アダムスなんかはオンコート時にはペネトレイトされる事自体が少ない気がするのですがデータ的にはどーなんだろ。サンダー自体ペネトレイトされる選手が少ないのか。
        長くてすいません

  5. ラスとコンビの印象が強いのでラス離脱で一人になったアダムスがどんなことをやってくれるか楽しみです。
    前シーズン少しやってたポストアップがまた見られそうな気がします。

    1. 大活躍してラス君復帰後も使って欲しいです。ワンパターンなチームなのでオプションを増やさないと。

  6. デュラントが居なくなったシーズンでひたすらトップからのウエストブルックとの2メンゲームだけしてたら勝てるんじゃないか?笑
    と思って試合みてた時期があって、あのスクリーンはかなり強力ですね。
    個人的に今年はジョージと一緒にオールディフェンスチームのどこかに入ってほしいです。厳しいですかねー。

    1. 2メンゲームは強力でしたが、ディフェンスの戦術革新が進んで守れるようになってきました。
      そんな中でアダムスが様々な形で得点していったのも印象的でした。

      オールディフェンスチームは、やけに偏りがありましたね。
      ペリカンズとシクサーズはチームとして優遇される理由がなかっただけに、投票者のクセが出やすい分野になっています。
      ブロックが少ないアダムスはハードルが高そう。

  7. 昨シーズンのOK3は開幕前から「どうせダメだろうな」って冷めた目で見ていたんですが
    今シーズンはメロoutシュローダーinからのラス離脱で色んな変化が楽しめそうです。
    グラントがどこまで成長するのかも面白そうなポイントですね

    1. シュルーダーはどうなのかと思っていますが、変化としては面白いですね。
      ただどこでも守れるウイングが減った印象なので、インサイドの人数不足が目立っています。
      トレバー・ブッカーとか補強して欲しかったなぁ。

      グラント君のプレースタイルは面白いので、シーズン始まったら観察して記事にしたい!

  8. 前から気になってなんですけど同い年のカペラとアダムズ、どちらがより優秀な選手なのでしょうか?答えが難しい質問すみません

    1. 選手としてはアダムスですが、今のロケッツで活躍するのはカペラです。そしてロケッツの方がサンダーよりも効率的。

      アダムスの方が上なのは、自分で打開することも出来るし、スクリナーとしての強さがあって意外と賢くプレーするからです。そんな部分をウエストブルックがいないからこそスタッツで示して欲しいのです。

  9. ぜひokcファンとしてPaul Georgeについても書いていただけるとありがたいです🙇

  10. アダムス特集、ありがとうございます!前のセンター特集で名前があがらなかったので寂しい思いをしていましたが、ここにとっておいたのでしょうか?ハイライトの一発目のダンク、最高ですよね!いつも割りとクールなアダムスがノリノリのポーズで、後ろのロバーソンの顔といいサンダーファンにはたまらないシーンです。

    1. あれは途中でメンドくさくなっただけです。アダムスはウエストブルックが関係してくる特殊な環境ですし。

      ウエストブルック抜きだと、オフェンスリバウンドが減ったりして。

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