ホークスのセンターは印象に残るプレーはしていない。だけど、調べ物をしていると困るんだ。
◉ちょこちょこ出てくるデッドモン
「NBAのデータ見ながら」と題するブログは、「試合中の印象」から選手の特徴を考えて「データ」を調べることで裏付けをとっていきます。時には逆パターンもあって「データ」を知ることで知らなかった特徴が洗い出されます。
オフシーズンはデータを使いやすい時期でもあるので、データを調べることから知ることが出来る実情からセンターを中心にいくつかの記事を書いていました。そんな中で印象度が殆どないのに、ちょこちょこ登場して書きにくくしてくれるのがホークスのドゥエイン・デッドモン。
まぁ登場してもわかりやすい数字なら、ちょっとした注目選手にも出来るのだけど、数字自体も中途半端だから、これまた触れにくい。例えば流行のストレッチ5ではガソル兄弟やブルック・ロペス、昨シーズンならバランチューナスなんかが「新たに3Pを打ち始めた」センターになるのですが、デッドモンもそんな1人。
〇3Pアテンプト
13-17 1本
17-18 141本
キャリア4年で苦し紛れの3Pを1本打っただけだったのに、昨シーズンは141本を打つストレッチ5に進化しました。そう捉えることが出来るのだけど、多投するわけではないし、それがデッドモンの価値を改変したかというと、そんな印象もない。そもそも走れるビッグマンなので3P打てるからといってメリットがわからない。ホークスのオフェンスはセンターをコーナーに置くのでフリーで回ってきたら打っているというくらいです。
何よりチームメイトにムスカラがいて、「そのプレーさせるならムスカラの方が良いだろ」ということに。プレーの幅を広げたのは間違いないし、確率は35.5%と悪くもないけど良くもない。
〇アシスト
13-17 71本
17-18 90本
3Pを打つようになったことよりもプレーの幅を広げたのがアシスト増です。キャリア4年で71本しかなかったアシストが昨シーズンだけで90本を記録しました。1試合平均にすれば全く目立たないけど、ホークスのシステムに適応できた印象を与えてくれます。プレイヤーとしては間違いなく進化した数字。
〇36分あたりのリバウンド数
16-17 13.4本
17-18 11.4本
〇36分あたりのブロック数
16-17 1.7本
17-18 1.2本
しかし、肝心のセンターとしての役割で言えば、強みであったリバウンドとブロックを減らしてしまったのでした。アシストと3Pを増やしたのは良いけど、それでオフェンスリバウンドを落としてしまったわけで、これも本人が悪いというかホークスのシステム都合でしかないのだけど「だったらムスカラで良いだろ」という印象を強くしてくれます。
「デッドモンは進化した」
と書いてあげたいところだけど、選手としての強みの部分を減らしてまで増やす意味があったのかどうか。というか、そこまで優秀な数字を残したわけではないから進化したとは言い難いのでした。ちょっと気になるデッドモンは、ちょっとしか気にならないデッドモンでもあるのです。
◉割と現代的なセンター
印象度で言えばデッドモンは決して器用ではないし、スターの卵でもないけど、割と現代的なセンターです。数字を落としたとはいえリバウンド力に優れ、ブロックも出来る。それらを支えるのは高さと機動力を併せ持っているからです。
〇オフェンス平均移動速度 4.66
センターとしては非常によく走り攻守にトランジションに参加してきます。またゴール下の決定力が高く、スピードのある合わせで確実に得点をあげてくれるので、カペラのような便利な存在でもあります。
〇ノーチャージエリア内のFG 77.7%
〇EFG 57.7%
弱かったホークスですがデッドモンの決定力は優れているので、よりアシスト力のあるチームなら高確率になります。実際16-17シーズンはスパーズにいたのでEFGは62%を上回りました。
ドラフト外でNBAに加わった29歳は機動力と高確率のゴール下を兼ね備えた有能なロールプレイヤーなのです。でも、いや、だからこそカペラに3Pは不要なようにデッドモンもゴール下仕事のみにした方が良い気がしてくるわけです。
いずれにしてもホークスで新しい役割を追加されても、それに対応出来るだけの柔軟性を兼ね備えていたことは他のチームでも活躍できる基礎力があるということです。サラリーも6.3Mとお手頃価格です。
◉ちょっとずつ足りない選手
高いリバウンド力があって機動力を持つのだから、もっと高く評価されても良さそうなセンターは逆に言うとちょっとずつ物足りないから、評価を得られていないのです。デアンドレ・ジョーダンの高さがあればもっと脅威だし、ジョン・コリンズのスピードがあれば圧倒するし、バランチューナスのパワーがあれば得点が増えるはず。でも、どれも少しずつ足りない。
そしてムスカラやコリンズに限らず、無名の若手までホークスのインサイドはみんな走るからデッドモンが重要なわけでもありません。
新たなホークスのメンバーは機動力とシュート力を全面に出そうとしているので、インサイドに隙が生まれることが期待されます。そこを適切に使っていくことが出来るのかどうか。使えるには使えるけど、ポジショニングが巧みというわけでもないのがデッドモン。現代センターとして必要な能力を備えているけど、標準値と言うくらいで特徴的に上回る良さには欠けているのです。
スペースの有効な使い方、あるいは高確率の3Pなど29歳とはいえ伸ばせるポイントが多くあるセンターは化ける気はしないけど、地味に少しずつ活躍する選手です。データを調べると微妙な数字が並んできて比較対象としても使いにくいので、何かしら突き抜けてくれると面白いのでした。
注目するほどではないセンターは、ちょっとだけ気になるセンターなのでした。
なお、そんなホークスはマスカラは放出するもシュート力のあるビッグマンのオムリ・スペルマンをドラフト1巡目で指名しました。一方でデッドモンよりも遥かに不器用だけど献身的に走るアレックス・レンを加えています。求められる仕事が何になるのかもイマイチよくわからないけど、それ以前にケガをしたとか。気にしても仕方ないか。
レンはこれからって時にチャンドラーが来て伸び悩んでいました。
ホークスでそれを爆発させてほしいです。
不器用ですが、リバウンドは得意です。
36分換算だと13.4リバウンドも取っています。
ヤングやハーター、プリンス、マスカラなどのシュートが得意なメンバーには相性が良いはずです
レンはリバウンドが強いのではなく、ひたすら参加する走力が良かったのでサンズ向きだと思ったのですが、周囲がシュートを打ちまくりそうなホークスになったので、それはそれで楽しみです。
コリンズ、スペルマンといてデッドモンの意味合いはよくわからない。
手頃な価格でチームに置いておくには便利なセンターという印象ですが、意外とATLは積極的に売りに出さなかったのが謎でした。
売りに出したけど売れなかった噂もありますね。
他のチームからしてもドラフト指名権等を放出してまで欲しい選手ではなかったのでしょう。
ホークスはサラリーキャップに空きがあったので、そこを活用する方法もありましたが、シュルーダーやベイズモアを処理する方が先でしたし、デッドモンは残り1年で安いので手元にいても(途中でバイアウトしても)損失は小さいと判断したのかも。
昨シーズンはビッグマンが連続でケガをして足りなくなりカバナーと契約したように、不安もあるのかも。
読めば読むほど1年前、スパーズが何で手放したのか分からなくなります。チーム的にフィットしてるのに、よりガソルとより高額な契約するって何なのかなと。ガソルの再契約額もそこまで割安ではなかったですし。
昨年オフのスパーズは良くわからなかったです。ジョナサン・シモンズもそんなに高くなかったのに放出してしまいました。ミルズとガソルには高額契約したのに。
これ以上ゲームを理解する力が伸びないと思ったのかなあ。