ラマスがしっかりと修正してくるのかが注目のイラン戦です。
◉ラマスの修正と皮肉な結果
初得点はオフボールで比江島が八村にスクリーンをかけてのショートレンジになりました。そして竹内が比江島にスクリーンとカザフスタン戦からの修正が垣間見えるスタート。ただ、相変わらず3Pへと繋がる効果的なプレーはあまりない。渡邊も簡単ではないけど決めて欲しいシュートを決められず。
ディフェンスはゾーンになるとピックから簡単に3Pを打たれます。むしろマンツーの方がショーディフェンスの意識が高くなっていて止めています。短い準備期間だけど修正がみられるわけで、ラマスが仕事をしたのでした。そして早々にゾーンは諦めてマンツーにします。
内容的には互角だけど、渡邊はシュートが決まらないし、八村はダンクミスするし、イランはアウトサイドから良く決まるのでビハインドで始まった試合なのでした。
スクリーンを頻繁にかけてくれる竹内がベンチに戻ると、役割変更で八村がスクリナーになって上手く行きません。カザフスタン戦で渡邊と八村を助けていたアイラで上手く行かないというのは皮肉な結果です。
前回は少なかったハンドラーへのピックを使うように修正したが故に、今度は富樫がスクリナー待ちで停滞を生み出してしまいました。もっとワイドにボールを捌いた方が良いよ。交代で出てきた田中や馬場に全くボールが渡らなくなります。
あと、イランは走れないみたいだから、もっとトランジションオフェンスにした方が良いと思うが富樫はコントロールしたい。でも富樫のスピードは有効っぽいからラマスが1Qひっぱってしまった。
◉イランの弱点
2QになるとPGが篠山になってボールは動き始めるのですが、時間が経過してきたこともあり八村頼みのパターンが出始めます。イランからすると「それは警戒しているよ」という感じでアウトサイドでフリーにされ、インサイドでは瞬間のヘルプで止められます。そんな八村がベンチに戻ると竹内に同じポストアタックをやらせるのは苦しすぎる日本。
そういえば「比江島+田中がみたい」と書いたけど、まさにそんな雰囲気になってくる2Q序盤でした。全然打開出来ていません。連動もしていない。アルバルクトリオなのでボールは動くのだけど、ちょっと篠山にシュートの積極性が足りない。
しかし、イランもシュートが決まらなくなったので点差が変わらないというお互い「流れと点差が比例しない」状態なのでした。あとイランは日本のインサイドに対して機動力が足りなすぎ。ポストアップではダメな竹内だけど、正面からのドライブが有効に決まり始めます。足がついていかないイランのビッグマン達。
まさかの竹内の大活躍から、渡邊雄太のスティール&速攻で同点に追いついた日本です。やっぱりトランジションで走りまくれば、イランはついてこれないぞ。
スピードについてこれないイランのインサイドは、更にファールも増えてきてイライラしているのでした。渡邊がレイアップもフリーのショートレンジも外すからリードを奪えない日本。流れと点差が比例しない。
ちなみに日本はディフェンス面でもイランのスピードに苦労しないからスイッチに躊躇いがありません。ちょっとこれまでとイメージが違う日本。ファジーカス戻ってきたら苦労しそうだなぁ。
イランがビッグマンの強さを活かして得点しますが、それを補うだけのスピード差をみせ、広い範囲をカバー出来る八村と竹内、そして渡邊によって日本の流れになりますが、渡邊がイージーシュートを落としまくったのでリードを奪えない前半なのでした。
あと、ラマスはなんで1Q全部を富樫にして、2Q全部を篠山にするんだ?
渡邊がいるときは比江島PGが最適なのかもしれない。張本と辻は出てきそうにないね。そんな前半は32-35と日本の3点ビハインドで終わります。
◉ドラフト候補の躍動
後半始まって日本が一気にリードを奪います。その内容は八村のターンアラウンド、渡邊のレイアップ・ダンク、そして八村のショートレンジと主役2人がラッシュしたことによるものでした。正直、前半は外しまくっていた渡邊がちゃんと決めただけという内容です。そこに富樫がアウトサイドから加点したのでした。
初めて内容と点差が比例した時間に。ちなみに渡邊はちょっと跳べていなかったから疲労が溜まっているのかも。
さらにイランは渡邊を止めようとして、何度もジャンプシュートにファールをしてくれます。NBA観ている管理人としては「ミドルにファールするなんて愚かな行為」なわけですが、あまりにも繰り返してくれたイランのディフェンスは国際試合でのプレッシャーと、どうしても届かない渡邊の高さがあって、冷静な判断が出来なかったといえます。
実況が「中心選手だった2人がいない」と言っていましたが、経験不足なのか何なのか。いずれにしてもイランはガマンが出来なくなっていきました。
一方で日本のディフェンスが機能していきますが、実際には2Qからほぼイランを止める事が出来ていました。ただ、苦しい状態で打つシュートが決まらなくなったのみです。そして竹内が攻守にリバウンドをとっていくのでイランの攻撃機会が失われ、益々焦りが募っていくのでした。
あと、途中でトランジションの連続になったけど、イランはやっぱり走れていなかったよ。ただ、日本も比江島の判断が悪くて中途半端になることも。実質、この3Qで勝負が決まるわけですが、継続していた良いオフェンスをしっかりとフィニッシュすることが出来、加えてディフェンスからトランジションが増えたのが大きかったのでした。決めたのはほぼ渡邊&八村です。
そんな中で八村が圧倒的な活躍をしましたが、いくつか伏線があるので考えていきましょう。
・インサイドでスピード勝ちした前半
竹内とアイラはポジション取りで負けても、より広い範囲をカバーし、そして動きの量で身体の大きな(重そうな)イランのビッグマン達を困らせていきました。それはファールトラブルにも繋がったわけですが、後半になると八村のマッチアップが小さい選手になっています。
試合を見直さないとイランの交代とファールの状況がわかりませんが、おそらく前半から続くこの流れがマッチアップの優位性を生み出したのだと思われます。八村が決めたけど、伏線としてはアイラと竹内も重要です。
・八村のポストアタックが目的ではない
プレビューでも触れたとおり、カザフスタン戦はとにかく八村のポストに渡すことが全てでした。しかし、しつこくハンドラーにピックをかける竹内とワイドに広がる渡邊にパスが出てドライブすることで、イランのディフェンスは八村に集中することが出来なくなっていました。
またパスの角度が頻繁に変わるようになったので、ポジション取りの時点で優位になります。後半の得点は高確率で決めた本人の能力と、その前段階で優位な状況を作れていたことが大きく、ボールを貰うとゴール下というシーンも多発しています。
ちゃんとプレーメイクが出来た上でフィニッシュに八村を使うことが出来ました。
ドラフト候補としての能力をみせつけたわけですが、チームとしても4試合目で最も上手く八村を使うことが出来たと言えます。ちなみにイランは八村と竹内の3Pはドフリーにする作戦を決行し、それは成功していました。
◉細かい部分での渡邊雄太
試合は危なげなく進んでいきます。この根本にあったのはイランのファールトラブルと日本のディフェンス力でした。あとフリースローが決まったね。ウインドウ5を睨んで少し補足してみましょう。
フリースローが決まったことで堅実なリードを守れたわけですが、主に八村と渡邊によるアタックからもたらされたものです。他にはアイラと竹内の踏ん張り+馬場の突破でした。それはやっぱりドライブの重要性を示しています。田中も比江島もちょっと躊躇いがあるのが現状で、ちょっと悩ましい。
田中がアイラとのピック&ロールで良いパスを出しかけますが、それをイランの8番が後ろからスティールしました。8番を褒めるしかないプレーですが、そこに手が出てくるというのがBリーグでは味わえない違いなのだと思います。
そしてこの8番に対して田中が素晴らしいディフェンスをするものの、コンタクトされて後ろに跳びながらミドルを決めてくるし、バランスを崩したはずなのに最後のワンステップで立て直してファールを稼いできました。田中のディフェンスは終始、非常に良かったのですが8番はそれを完全に上回ってきたのです。なお、まだ23歳らしい。
しかし、前半からこの8番をマークしていた渡邊雄太は押さえ込み続けていました。「206センチがそんなに追いかけてくるの」と言いたくなるようなプレッシャーディフェンスによって、8番は戦意喪失しており、渡邊のマーク時にボールをもらうと、殆ど何もしないでパスを捌いていました。
8番が消えると対面にいる13番が目立ち始めます。後半開始から比江島は3回くらい逆をとられました。試合終盤は田中が起用されていたのは、ディフェンス面で比江島より信頼されているからだと予想されます。試合の早い段階でゾーンを辞めたように、イランのアウトサイドシュートは日本を悩ませそうでした。それを未然に防ぐ渡邊のディフェンス力があったことが、田中を通してわかってしまったのでした。
高さの部分が注目されがちですが、その前段階で渡邊雄太が止めていたことは忘れてはいけないし、この個人のマッチアップはアウェーでどうなるか難しい部分があります。
また、ショーディフェンスが徹底され、ビッグマンがかなり追いかける形が前半から機能した故のマンツーマンでしたが、ロールマンに対して渡邊が早い反応で前に回り込んでパスを出させなかったこと、そして篠山と田中が裏パスを2回カットしていることも重要でした。
カザフスタン戦では時間をかけさせながらも最後に裏パスを通されていましたが、チームとして上手く守れていました。ここでもアイラと渡邊はオフボールでのスイッチの連携も良く、相性の良さを感じさせてくれました。ファジーカスがいないタイミングでラッキー。
最大の懸念事項だったピック&ロールへの対応は、ラマスが見事に修正してきました。
◉アンラッキーだったイランとカザフスタン
終わってみれば内容で完璧に上回った日本代表でした。それは八村と渡邊が揃い踏みしたウインドウ4で日本と対戦したイランとカザフスタンは運が悪かったとしか言いようがありません。共にエースが引退した直後らしいですが、多分あまり関係ないと思うよ。
カザフスタン戦は個人技ベースでしたが、このイラン戦はよりチームとして連動した中で八村と渡邊が決めてくれました。特に前半は渡邊のシュートが酷すぎたにも関わらず、チームとしては崩れなかったのだから高く評価して良いでしょう。
一方で単なる得点面だけでなく、ひとつひとつのプレーに対して2人の貢献度があまりにも高く、インサイドで陣取る八村は攻守に圧倒的だし、どこでも誰でも守れる渡邊の万能性はチーム戦術を楽にしてくれました。特にトランジションオフェンスは強い武器になった反面、ボールプッシュもフィニッシュも出来る2人がいなくなったらどうなってしまうのか。
そんなわけでウインドウ4はボーナスステージでした。戦力で上回る日本代表という従来は考えられなかった状況なのでした。70点中43点が八村と渡邊による得点でしたが、それ以上の存在感があったよ。
あと年齢とかも考えたら竹内の存在感も凄いよね。3Pさえ決まればなぁ。
日本はウインドウ4で対戦しなかったカタール(グループ最下位)とホーム&アウェーに、カザフスタンとのホーム、イランとのアウェーが残ります。現在、4勝4敗ですが3勝出来るなら突破が見えてきそうです。
ディフェンスがとにかく素晴らしい試合でしたね
全員良いディフェンスしてましたけど、やはり八村、渡邊、アイラのディフェンスは群を抜いてました
特に渡邊の抜かれない、パスコースを塞ぐディフェンスは見事でした
ただセンターとのポジションの取り合いは課題でしたが…
八村はフィジカルが弱点と言われてるのに全く押し込まれませんでしたから、いかにNCAAが化け物の集まりなのか改めて感じました
次戦からは八村、渡邊が離脱してファジーカスが戻ってきますから、少なくともディフェンス力はかなり落ちちゃいますね…
竹内も良い仕事してましたけど、穴を埋めきれるかというと無理だと思いますし
なんとかアウェイのイラン戦以外は勝たなくてはいけません
つくづく4連敗が痛い
前半リードされている時にアイラが出てくると相手との差が縮まっていたのでタイプや役割は違うけど日本にとってはイグダラみたいな選手だなと思いました
日本のディフェンスは前半はイランにお付き合いしつつ、後半開始からディフェンスプレッシャーを強める作戦が当たった様に見受けました。
体力の配分からか前半は全然プレッシャーかけませんでしたね。
その為かイランのシュートが前半は良く決まりました。
数年前では考えられない、日本のドライブが相手に通用している、という点が何より日本の進化を感じさせてくれて嬉しいです。